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【Shoot It! 062】戦略と練習の差が出た!「Eスポーツワールドカップ(ESWC)」の日本代表決定戦

7月26日に東京・五反田にて『Eスポーツワールドカップ(ESWC)』の日本代表決定戦が開催されました。ESWCは『ワールド・サイバー・ゲームズ(WCG)』や『ワールド シリーズ オブ ビデオゲームズ(WSVG)』、『チャンピオンシップ ゲーミング シリーズ』などと並ぶ世界的なコンピューターゲーム大会です。日本の参戦は今年が初めてとなります。参加種目はチーム戦のFPS『カウンターストライク1.6』です。『カウンターストライク1.6』は、テロリスト側と特殊部隊側に別れて闘い、相手の殲滅やミッションの成功あるいは阻止によって勝敗が決まります。射撃の腕が重要ですが、同時に作戦やチームワークが重要です。

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【Shoot It! 062】戦略と練習の差が出た!「Eスポーツワールドカップ(ESWC)」の日本代表決定戦
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7月26日に東京・五反田にて『Eスポーツワールドカップ(ESWC)』の日本代表決定戦が開催されました。ESWCは『ワールド・サイバー・ゲームズ(WCG)』や『ワールド シリーズ オブ ビデオゲームズ(WSVG)』、『チャンピオンシップ ゲーミング シリーズ』などと並ぶ世界的なコンピューターゲーム大会です。日本の参戦は今年が初めてとなります。参加種目はチーム戦のFPS『カウンターストライク1.6』です。『カウンターストライク1.6』は、テロリスト側と特殊部隊側に別れて闘い、相手の殲滅やミッションの成功あるいは阻止によって勝敗が決まります。射撃の腕が重要ですが、同時に作戦やチームワークが重要です。

日本予選オフライン決勝にはオンライン予選を勝ち抜いた4チームが出場しました。過去のオフライン大会経験者、日本代表経験者が集まり、実力が拮抗しているかのように見えます。そんななかで観客の何人かに聞いてみたところ、優勝候補は『Speeder』とのことでした。『Speeder』のリーダーsion選手はWCG2006日本予選などで活躍した実力派。そのSion選手の盟友でチーム結成者のnoppo選手は、かつての日本代表の常連だった4dNの最後のメンバーとしてWCG2005のイタリア・モンツァ大会に出場した"世界戦経験者"です。しかもnoppo選手はWCG2005のあと、Eスポーツの盛んなスウェーデンに留学してプロゲーマーを目指して修行中とのことです。xENqLity選手も国内大会の常連です。ユニークなことに、ロシア国籍の日系人Twist選手とブラジル国籍の日系人nativo選手を組み入れました。この二人は『Speeder』メンバーが過去に対戦してスカウトしたそうです。ユニークな多国籍軍というわけです。

『Speeder』の最初の対戦は第2試合。相手は『Lycoris Radiata』。カウンターストライクが日本でプレーヤーを増やしていた頃のクラン戦の常連で結成されたチームです。新生『Speeder』対ベテラン『Lycoris Radiata』の戦いは16-03で『Speeder』の圧倒的な勝利でした。『カウンターストライク1.6』のルールは前半15セット、後半15セットで戦い、前半と後半でテロリスト側と特殊部隊側を交替します。この試合は『Speeder』の一方的な展開となり、先に16ポイントを撮った時点で勝利が確定しました。

『Speeder』の次の試合は第4試合。相手は国内リーグ経験者で結成された『A.vouLus』。最年長32歳、Link選手の老練なテクニックを期待しましたが、やはり『Speeder』は強かった。結果は16対6で『Speeder』の勝利。『A.vouLus』はチームの連携と作戦に優れたチームで、今回も強豪の『Speeder』が銃弾を浴びせる中、テロリスト側で4回も爆弾設置に成功しました。このうち2回は爆破に成功し、2回は解除されています。射撃力は『Speeder』の優勢で、ほとんどのセットを全滅させられる中、爆弾設置までたどり着いたファイトは観客を沸かせました。

決勝戦に進んだ『Speeder』に対し、それを阻止すべく立ちふさがったチームは再び『A.vouLus』でした。なぜ負けたチームが再び決勝戦に登場するのでしょうか。実は、コンピューターゲームやカードゲーム、ビリヤードでは、運の要素を排除するために『ダブルイリミネーション』という方式が採用されています。これは試合の敗者が敗者側でもうひとつのトーナメントを結成し、勝ち上がったチームが決勝戦に進出できるというルールです。簡単に言うと敗者復活ルールですね。つまり『A.vouLus』は一度『Speeder』に負けましたが、その後、敗者のみのトーナメントを勝ち上がってきました。すべての負けチームの中でトップ、つまり、現段階で2位が確定しており、あらためてトップの『Speeder』にチャレンジするわけです。

さて、決勝戦。試合結果を先に書くと、16対2で『Speeder』の圧勝でした。前回とは逆で『Speeder』が爆弾を設置するテロリスト側。対する『A.vouLus』は特殊部隊側。これは射撃力の差で『A.vouLus』には不利な展開でした。特殊部隊側の戦略は、まずテロリストを全滅させること。テロリストが爆弾を設置したあとは、爆弾を守るテロリストを倒したのちに解除作業を行う必要があります。テロリスト側では射撃戦を避けて爆弾設置してミッション成功、という作戦が使えましたが、特殊部隊側では射撃戦は不可避です。

『Speeder』は射撃力の他にチームの連携もスムーズでした。試合開始からなんと11セットを連続で獲得。このうち、射撃力を見せつけた全滅勝利は7回。意外にも爆弾設置による勝利が4回ありました。いや、爆弾設置によって相手を誘って殲滅勝利を狙っていたとも言えましょう。これに対して『A.vouLus』が相手の全滅に成功したセットは2回のみ。会場のスクリーンにはLightning選手とm@ru*選手のナイスショットが何度も映し出されましたが、なかなか勝利に結びつきません。前半は13対2で『Speeder』が優勢。後半は『Speeder』が特殊部隊側。得意の射撃であっさりと3連続殲滅勝利。これで『Speeder』の日本代表が決まりました。



圧倒的な『Speeder』の強さ。その理由は画面にハッキリと現れていました。今回の試合は射撃戦が多く、やはり日本代表のnoppo選手、経験豊富なsion選手、xENqLity選手のセンスが光りました。そして彼らがスカウトしただけあって多国籍選手も納得の活躍。とくにnativo選手は第4試合で4人連続キルを披露し、シビレルほどの鮮やかさでした。強さの理由のひとつめは、基礎的な射撃力が高かったことです。

そしてもうひとつ。チームの連携、作戦も秀逸でした。画面で解る範囲では、テロリスト側に置いて作戦がよく練られていました。Twist選手がおとりで突出し、敵の注意を引き寄せて、常にnativo選手がC4を持って行くというパターン。テロリスト側ではずっとこのパターンです。かなり練習したのではないでしょう。nativo選手が爆弾を設置するとき、常に二人の護衛役がいて、nativo選手にとっては死角になる方向で銃を構えています。どうやらこれが定番のフォーメーションのようです。このパターンがずっと続いています。それなのにライバルチームは見破れず、同じパターンで術中にはまっていました。統制の取れた『Speeder』の勝利です。

試合後、この作戦についてnoppo選手に聞いてみました。「約一ヶ月くらい、週6日くらいの頻度で練習しました。21時から早くて26時、遅くて朝の4時まで。試合と練習を繰り返しました」とのこと。やはり練習量の勝利と言えそうです。いえ、他のチームだって練習してきたことでしょう。しかし『Speeder』のほうが効率的で長時間に及んでいたようです。テロリスト側のフォーメーションについては「C4を持ち運ぶ役は2人います。基本的な配置で、その2名がどちらでもすぐに動ける位置にいるんです。設置場所によって2人のうちどちらが爆弾を持つか決まります」とのことでした。

しかし、このスタイルにはちょっと不安もあります。あまりにもワンパターンではないでしょうか。日本のライバルたちはそこに気付かず、得点を許してしまいました。しかし、世界のレベルではどうでしょう。作戦がひとつでは簡単に見破られ、対策を講じられてしまいそうです。「あのフォーメイションをスタンダードといって、あそこから様々な形に展開していくんです。最初はいつも同じ形ですけど、そのあとに作戦を使って違う形で攻めていくつもりでした。日本予選ではこの方法で順調に勝ったのでスタンダードのみで済みましたが、本戦ではラッシュなど別のパターンも織り込んでいきますよ」

なんと、ワンパターンだった理由は、作戦がひとつだからではなく、ひとつの作戦で勝ってしまったため、結果的にワンパターンになってしまった、とのことでした。どうやら『Speeder』は、他の日本チームよりもひとつ抜きでた実力を持っていると言えそうです。これなら本戦にも期待できそうです。noppo選手によると「韓国の強豪と練習し合いをしています。お互いに新しいパターンを開発すると練習試合で試す、という感じです」とのことでした。

ESWCの世界大会は8月25日から。夏休みの最後の週は『Speeder』を応援しましょう!
《杉山淳一》
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