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【インプレッション】コンタクト(ニンテンドーDS)

これは『マザー』ではありません。『キラー7』等を手がけたクリエーター集団・グラスホッパー・マニファクチュアが放つRPG、『コンタクト』。ユニークなセンスとその世界観、果たしてその中身は・・・小さいけれどもへんてこなカラクリ箱の中身を見てみたら、たくさんの部品が詰まっていたようです。発売元のマーベラスインタラクティブさんの厚意でデモを遊ぶ機会を頂きましたので、レポートします。 

任天堂 DS
これは『マザー』ではありません。『キラー7』等を手がけたクリエーター集団・グラスホッパー・マニファクチュアが放つRPG、『コンタクト』。ユニークなセンスとその世界観、果たしてその中身は・・・小さいけれどもへんてこなカラクリ箱の中身を見てみたら、たくさんの部品が詰まっていたようです。発売元のマーベラスインタラクティブさんの厚意でデモを遊ぶ機会を頂きましたので、レポートします。 

何者かに追われ宇宙船が墜落させられて「エレメント」をばらまいてしまった「ハカセ」。それに巻き込まれてしまった平凡な少年「チェリー」。そして、ハカセからの通信を受信して「コンタクト」に成功した「受信者」。受信者―すなわちプレイヤーは、ハカセの指示に従いつつ、チェリーを操作していくことになります。

操作は、ボタンとタッチペンのどちらでも可能です。確実な操作をしたいのならば十字キーとボタンがベストかもしれませんが、タッチペンのみでも全操作が可能になっていたのは好印象です。ボタンならワンタッチの操作が、タッチペンの場合は2度クリックするようになることもあり、タッチペンだとボタンほどガツガツとプレイは出来ません。しかし、アクションバリバリのゲームではないので、特に気にはなりませんでした。シールをはがして画面上に張る「シールシステム」(後述)といったような、タッチパネルを用いた要素もあるので、「ボタン操作を主にして、たまにタッチペンを使う」、あるいは、「まったりとタッチペンで操作、タッチ機能を使うときもそのまますんなり」、のどちらかになると思います。セーブはちょっと長めで、『どうぶつの森』と同程度です。

グラフィックはハカセがいる上の画面はファミコン的なグラフィック、チェリーのいる下の画面は描き込まれたドット絵と、上下ともいい感じのグラフィックとなっています。ただ、キャラクターデザインに福島敦子さん(『ポポロクロイス』等)を起用しているのに、そのテイストがチェリーのドット絵にあまり活かされていないのは残念です。基本的に使うのは下画面ですが、上画面でハカセが独り言をしゃべったりヒントをくれたりと、なかなかうまい2画面の使い方です。ちなみに、ハカセとチェリーのグラフィックのテイストが違うのに、キャラが上下を行き来してもグラフィックは変わらなかったりします。



ゲームの基本となるバトルシステムとしては、『聖剣伝説』といったアクションRPGから、アクション性を引いたような感じです。フィールド上で敵に出会ったら、Bボタンでバトルモードに突入します。といっても、戦闘画面に突入するわけでなく、そのままフィールド上で戦います。バトルモード中でも動き回ることができますが、敵への攻撃自体はオートです。タッチペン操作のことを考えると、オートバトルで正解でしょう。Yボタンで必殺技を発動することも出来ます。戦闘を繰り返せば成長していきますが、レベルという概念はなく、次第にHP最大値が上昇していきます。RPGおなじみ、武器・装備・回復アイテム(食材)といったものももちろん用意されています。

コスチュームチェンジシステムは、いわゆるジョブチェンジのようなものです。コスチュームを手に入れることで、それ相応の必殺技やスキルが手に入れられます。コスチュームなだけに、洋服部屋にいって着替えられます。たとえば、コックのコスチュームを着ると、料理のスキルが発動し、アイテム(食べ物)をいくつか選び調理することで、新しい食べ物をつくることができます。いわば『アトリエ』シリーズのようなアイテム合成です。釣り人のコスチュームもありますから、釣りをすることも出来そうです。このように、スキルとそれによるゲーム要素が用意されており、本編そっちのけでその要素を遊びこめそうです。

面白いな、と思ったシステムを一つ。プレイヤーには満腹度メーターが存在し(ゼロになってもゲームオーバーとはならない)、回復アイテム(食べ物)には、回復する満腹度の数と更に消化時間が設定されています。そして、食べ物を食べたとき、消化しきるだけの間、満腹度分だけ胃の中に食べ物がたまる、というものです。想像ですけれども、大量に食べ物を食べてしまうと、消化が追いつかずにおなかいっぱいになってしまって回復できなくなってしまう、ということが起こりそうなシステムです。アイデアとして非常に面白いのですが、ただ、プレイできたところまででは、満腹度がフルになることはなかったので、(アイデアとしてでなく)システムとして機能するのかどうか、プレイに影響を及ぼすかどうかは、結局未知数でした。

トリックシールシステムは、タッチパネルに表示されたシールをうまくはがして画面内に貼り付けると、そのシールの効果が発生するというものです。ハカセの元へ持っていかなければならない「エレメント」に貼り付けることで、回収することができる機能を持つシールもあります。シールを貼り付けて画面内に干渉する、というアイデアは良いのですが、厳しく言ってしまえば、アイテムの選択方法を変えただけともいえます。あまりシールの効果を実感できるところまでプレイできなかったからかもしれませんが、これだけさまざまなゲーム要素が混在している以上、この「シールシステム」まで詰め込まなくてもいいのではないかとも思いました。

そうなのです、はじめに「部品が詰まっていた」と書きましたが、とにかく、構成要素が多いソフトなのです。ボリュームとはまた違いますけれども、いろいろなゲームシステムや要素が共存しているのです。ぱっと見でのわかりやすさ、という点から言えば、もっとまとめたほうがよかったのではという気はします。けれども、導入はある程度丁寧につくられており、最初から全部用意されているわけでなく徐々に様々な要素が使えるようになっていくので、難解ということはないと思います。この『コンタクト』というゲームは、『マザー』に近いと紹介されることもあると思います(確かにそれを髣髴とさせる要素がゲーム開始時にあります)けれども、システムや内容を見ていただければわかると思いますが、『マザー』とは全く違います。



この『コンタクト』はニンテンドーWi-Fiコネクションにも対応しています。リアルタイムでのマルチプレイは遊ぶことはできませんが、フレンドの趣味などを反映されたキャラクターが住人として登場するといった要素が用意されています。料理や釣りなど、たくさんの要素が詰まっているソフトですから、リアルタイムで多人数とオンライン通信できるゲームとしても良かったのではないか、という向きもあります。ですが、この「博士―プレイヤー―チェリー」というつながりを軸にした秀逸な世界観を崩さないために、シングルでのプレイを主にし、同時にWi-Fiも単純なマルチプレイにしなかったことは正解だったのかな、とも思います。

プレイできたのは序盤の1時間30分ほどでしたが、やはり全体を通して感じたのは、ゲームである以前に「アート」だな、ということです。ゲームじゃないという意味でなく、世界観やセンスが非常に「アート」であり、その上でこそ成り立つゲームが出来上がっているように見えます。おそらく、パッケージを開け、その取り扱い説明書を見た時点で、言いたいことを理解してもらえると思います。ゲーム自体は、序盤をプレイしていった限り、非常にすんなりとゲームになじむことが出来ました。見た目はコンパクトながら、多すぎると思うほど盛りだくさんの構成要素で、グラスホッパーが創り出したこのユニークな世界をじっくりと味わうことが出来そうです。部品たっぷりのカラクリ箱、どの部品をいじるかはあなたの自由です。

『コンタクト』は3月30日発売で、価格は5040円です。
(reported by OKOK & TAKURO)
《》
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