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【GDC 2009】ゲーム開発者が選ぶ2008年のベストゲームは『Fallout 3』、小島監督が生涯功労賞を受賞

GDC3日目の夜、好例の「Game Developer's Choice Awards」(Choice Awards)が開催され、『フォールアウト3』がゲームオブザイヤーを含む二部門を受賞。生涯功労賞には「メタルギア」シリーズの生みの親として著名な、コナミの小島秀夫氏が受賞しました。また併設のIndependent Games Festival(IGF)の最優秀賞には、横スクロールタイプのカジュアルアクション「Blueberry Garden」が輝きました。

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GDC3日目の夜、好例の「Game Developer's Choice Awards」(Choice Awards)が開催され、『フォールアウト3』がゲームオブザイヤーを含む二部門を受賞。生涯功労賞には「メタルギア」シリーズの生みの親として著名な、コナミの小島秀夫氏が受賞しました。また併設のIndependent Games Festival(IGF)の最優秀賞には、横スクロールタイプのカジュアルアクション「Blueberry Garden」が輝きました。

「フォールアウト3」のエグゼクティブプロデューサー、Todd Howard氏。生涯功労賞を受賞し、会場から大喝采を浴びたコナミの小島秀夫氏。IGF最優秀賞のSeumas McNally Grand Prizeに輝いた「Blueberry Garden」の開発陣。


Choice Awardsは国際ゲーム開発者協会(IGDA)の会員による投票を下に贈られる賞です。いわば欧米のゲーム開発者のリスペクトを集めた賞という位置づけで、ゲーム版アカデミー賞ともいえ、受賞作にはその時々の欧米のゲーム事情が見て取れます。昨年度は大作『バイオショック』をおさえて、FPSパズルの『ポータル』がゲームオブザイヤーに輝き、欧米ゲームシーンのカジュアルゲームへの流れを感じさせました。

これに対して本年は『リトルビッグプラネット』がベストゲームデザインを含む4部門に輝いたものの、Choice Awardsを制したのは大作RPG『フォールアウト3』で、トレンドの揺れ戻しを感じさせました。一方で国内ゲームスタジオ開発の受賞は、第9回目にして初めてゼロとなりました。『ワンダと巨像』がゲームオブザイヤーを含む5冠に輝いたのが3年前のことで、ゲーム業界のサイクルの速さには、改めて驚かされます。

■受賞作一覧
*タイトル名は日本未発売のものは英語で表記。また海外でのパブリッシャー名のみ表記した。

ベストニューデビュー部門:リトルビッグプラネット(SCE、PS3)

ベストオーディオ部門:Dead Space(EA、PC・PS3・Xbox360)

ベストゲームデザイン部門:リトルビッグプラネット(SCE、PS3)

ベストダウンロードゲーム部門:World of Goo(2D Boy、Wii・PC)

ベスト携帯ゲーム部門:ゴッドオブウォー 落日の悲壮曲(PSP)

ベストシナリオ部門:フォールアウト3(ベセスダ・ソフトワークス、PS3・Xbox360)

ベスト技術部門:リトルビッグプラネット(SCE、PS3)

ベストビジュアルアート部門:プリンスオブペルシャ(UBI、PS3、Xbox360)

イノベーション部門:リトルビッグプラネット(SCE、PS3)

ゲームオブザイヤー部門:フォールアウト3(ベセスダ・ソフトワークス、PS3・Xbox360)

生涯功労賞:小島秀夫(コナミ)

IGFの受賞風景。独立系ディベロッパーにとってはサクセスルートの一つだ。Choice Awardsの風景。コミュニティの育成にも大きく貢献している。会場は世界中のゲーム開発者で埋め尽くされた。


このほか『ロックバンド』シリーズの開発元として有名なHarmonix社の創設者、Alex Rigopulos氏とEran Egozy氏がパイオニア賞を受賞。ゲームコミュニティの拡大に貢献した人物に贈られるアンバサダー賞には、海外のゲームミュージックを多数作曲し、演奏会「ゲームミュージックライブ」の創設にも貢献したTommy Tallarico氏が輝きました。

生涯功労賞を受賞したコナミの小島監督は、こうした賞を受賞すると、たいてい引退すると思われがちだが、まだまだ現役でゲームを作り続けると、受賞のスピーチを力強く行いました。また日本人のクリエイターにしては珍しく、全編英語でスピーチをおこなったり、会場で流されたパロディムービー「Mega64」に出演するなど、海外の開発者の前でサービス精神を遺憾なく発揮していました。

受賞作の傾向についてですが、ファーストパーティタイトルの『リトル〜』を除けば、すべてマルチプラットフォームで開発されており、欧米の大作タイトルのマルチ傾向がよく分かります。また『リトル〜』とダウンロードコンテンツの『World of Goo』を除けば、こってり系の大作ゲームばかり、というのも興味深いところです。

もっとも、昨年度の欧米市場で上位を独占した任天堂タイトルは無冠となりました。同様に、昨年最も話題をさらったウィル・ライト氏の『Spore』と、同じく高いリスペクトを集めるピーター・モリニュー氏の『Fable 2』は、ノミネートのみで、共に無冠に終わりました。『グランドセフトオート4』『メタルギアソリッド4』『Left4Dead』についても同様です。「市場で評価されたゲーム」と「開発者がリスペクトするタイトル」の違いが感じられます。

また国内で大ブレイクした『モンスターハンター』シリーズが皆無というのも、携帯ゲーム機が主流の日本と、据え置き機が主流の欧米というように、ムーブメントの違いを感じさせます。携帯ゲーム部門では他に国内開発の『ファミコンウォーズDS 2』『無限回廊』『パタポン』『すばらしきこのせかい』がノミネートされたのですが、受賞を逃した点も残念でした。このほかIGF、Choice Awardsの双方でノミネートされた『PixelJunk Eden』も、惜しくも受賞を逃しました。

一方でベストオーディオ部門を受賞した『Dead Space』が、残虐描写から国内版の発売が見送られているのは、ハードコアなゲーマーからすれば残念でしょう。またベストダウンロード部門に輝いた『World of Goo』については、Wiiウェアでの発売ということもあり、早急に日本版のリリースが期待されます。これに限らずダウンロード配信ゲームについては、全世界でプレイできるような環境整備が求められるのではないでしょうか。

このほか今年の特徴として、IGFで受賞した作品が、Choice Awardsでノミネートされたり、受賞するという流れが明確になってきたことが上げられます。実はこの背後には、ゲームのプロトタイプをプレゼンするGDCの人気セッション「実験的ゲームプレイ」があり、GDCでプレゼンしてIGFで受賞し、商業配信される流れが明確になりました。今年Choice Awardsで受賞した『World of Goo』は、昨年のIGFで受賞したタイトルですし、昨年度のIGF最優秀賞に輝いた『Crayon Physics Deluxe』は、ハドソンからiPhone向けに移植リリースされています。こうした独立系ゲームディベロッパーの層の厚さと、クリエイティブをビジネスに繋げるシステム作りの巧さが、欧米のゲーム業界の強みだと言えそうです。
《小野憲史》
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