昨年秋からのWiiのマーケティング戦略とそれによる成功が高く評価されたものです。次点にはアップル、ナイキ、アル・ゴア、ジーコ、ユニリーバが挙げられています。
任天堂のマーケティングで最も特徴的だったのはゲーム分野に限らず影響力の高いブロガーなどを捕らえての口コミ戦略です。Wii Ambassadors(Wii大使)と名付けた人を起用し、家族や友達と体験会に出席して貰いました。それによってブログなどで評判が伝わり、期待が高まっていきました。写真家でブロガー、そして最初の大使だったTracey Clarkさんは「電話を貰った時、人違いじゃないか思ったわ。任天堂が何かさえ知らなかったもの」と話しています。
任天堂とロサンゼルスの広報代理店Golin Harrisは各社と連携して積極的な宣伝活動を行いました。各都市を回るNintendo Fusion Tourでは実際にWiiをプレイする機会を設けました。セブンイレブン、プリングルス、コメディ・セントラルといった各ブランドとのタイアップは広告会社のレオ・バーネットが担当、日本人男性2人が出演した「Wii would like to play」というテレビCMや印刷広告はStarcomがメディアバイイングを担当しました。
非常に広範なマーケティングを繰り広げましたが、予算的には前年度と同じ程度だったようです。単に倍の予算を使うのではなく、効果的なメディアを柔軟に組み合わせるというのが目標でもあったようです。YouTubeなんかも利用しました。
しかし、上級副社長マーケティング&コーポレートコミュニケーションのジョージ・ハリスン氏、上級副社長コーポレートアフェアーズのペラン・カプラン氏、上級コンシューマー・マーケティングディレクターのロバート・マシュー氏といった今回の立役者は全て任天堂を去ります。そして任天堂はマーケティングチームをサンフランシスコやニューヨークに移します。IDCのビリー・ピジョン・アナリストは言います「このチームは素晴らしい成功を収めました。心配なのは新しいチームはそのような経験がないことです」。
「任天堂が本当に市場を拡大していくつもりなら、戦略は非常に本質的なものになります。それは"or"戦略ではなく、"and"戦略になります。そして任天堂の主張を広めていく必要があります」とロバート・マシュー氏は残しています。初動でトップを取った、その次がスタートしています。
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