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『アルキメDS』西健一&橋本長官インタビュー!(第一回)

任天堂 DS


7月19日に発売されるニンテンドーDS向け『アルキメDS』を制作中のRoute 24の元・カリスマクリエイター、西健一氏と、猿楽庁の橋本長官にお話を聞くことができました。今回は第一回として、お二人がゲームに関わるようになったきっかけと、どんな出会いであったのかという事について聞きます。

―――それでは最初にお二人から自己紹介をお願いします

西: はい。最初の最初から話すと、僕はずっと浪人してまして、シナリオの学校に通いつつ、ずっと予備校生みたいなことをやってたんですよね。ゲームが大好きで、ちょうどそのころにNECから「CD-ROM2」というゲーム機が発売されて、やっとゲームもお話ありきみたいな事ができる時代になったと。すると友達にそんなに好きならバイトでもしてみればって進められて入ったのが日本テレネットです。

そこで少しの間バイトをしてたら、すぐに社員になって、3年くらい仕事してたら今度は課長だと。でも当然、教えられるような事って何も無いんですね(笑)。何も教えるものが無いのに課長なんて無理だから、もういいやって思って、そこで奮起して、どうせやるならトップのところに行ってやろうと思ってスクウェアの面接を受けたんです。どこをトップとするかは人によって色々あると思いますけど、僕にとってはその時のスクウェアってキラキラ輝いてて、ちょうど『ファイナルファンタジーV』の時代ですね。ここはちょっと自慢で書いておいて欲しいんですけど(笑)、当時はもう何十倍の倍率で、周りもみんな落ちた中で僕が作ったものをたまたま坂口さんがやってくれてたから、面接一発目から坂口さんが出てきてくれたんですね。で、合格でした。

スクウェアでは『クロノトリガー』や『マリオRPG』ですね。これはもうスタッフ100人とかで作ってるので、別に僕が作ったっていうんじゃないんですけど。そういう大人数で、自分は部品の一部みたいなのがあまり性に合わなくて、どうしようかなと。当時、友達とこんなゲーム作りたいよね、って考えていた『moon』っていうゲームがあって、それを作らせてもらえませんか?っていうふうに色々な会社に持ち込みました。そしたらアスキーさんが凄く面白いって興味を持ってくれて、それで、お金は出すけど出す先の会社が無いと出せないというので、それで作ったのがラブデリックです。スクウェアで仲良かった連中とコナミで仲良かった連中、合わせて10人くらいで合流して事務所を立てました。

ラブデリックで1本やってホントは仲良いはずだったんですけど、バンドでよくあるような、方向性の違いみたいなのがあって、10人中7人くらいが『U.F.O』というゲームを作り始めて、でも僕は違うことやるよと。ちょうど仲良かった坂本龍一さんに誘ってもらって2〜3人だけ残った連中と『L.O.L』を作りました。それぞれ終わった頃にはもう誰もラブデリックで皆で一緒にやっていこうっていうモチベーションはなくて、当時社長をやってた鈴木(『マインドシーカー』など)がを設立して今に至る・・・至らない?(笑)。

橋本: 至らないよ(笑)

西: で、SKIPを立てたんですけど、仕事が全く無くて、一緒にやろうと残ってくれてたメンバーにも給料が払えなくなって1人辞め、2人辞め、ってなって設立はしたけどそのまま解散するんじゃないかって言ってる時に任天堂の宮本さんが事務所に来てくれて、ちょうど暖めてた『ギフトピア』って企画を見せたんです。すると「これいいじゃない? 作ってみなよ」ってその場で即決してくれたんです。その一週間後にはゲームキューブの開発機材とかが全部届いて、それで辞めていっちゃった連中に「悪い、ちょっと手間取ったけど決まったから、やっぱり戻ってきてくれ!」ってまた集まって作ったのが『ギフトピア』です。といってもその時はまだサンプル制作だけだったんですけどね。その後『ちびロボ』です。

その後またごちゃごちゃ色々あったんですけど、辞めて今に至ります。

―――またそれはどうして?

辞めた理由ですけど、誰かが憎くてしょうがないとか、金銭トラブルとか、契約条項に違反したとかそういうのじゃあ全くないんです。例えばゲームを作る時に、こうしたいっていのがある時に意向が合わないのが我慢できないんですよね。絶対にこっちが面白い、って人と、いやこっちの方が面白いだろ、っていう人がいたとき、間を取ってこうしようって話がよくありますよね。でも間を取るくらいなら、どっちかに寄せた方がいいってのが僕の考え方。よく言われるんですけど、僕は0か100しかなくて、僕の方に寄せられないのなら、あとはそっちでよろしくってなっちゃう。誰かを非難するような話じゃなくて、僕が未熟なんです。

―――ありがとうございます。それじゃあ橋本長官もお願いします

橋本: 僕は京都で学生をやってて、そのまま就職活動をして、1983年、ちょうどファミコンが出た7月くらいに任天堂から内定をもらって入社しました。ファミコンも知らん人間で、ゲームもインベーダーをやってたくらいで入って、コンピューター室ってところで経理とか営業用のプログラムをCOBOLとかで書く、SEみたいな事をしてました。2年くらい京都にいて、東京で仕事をしたいって手を挙げたら転勤させてくれて、でもまたコンピューター室でプログラムを組んで、更に5年くらいやってるといい加減飽きてきて、30過ぎてからかな、営業を始めました。

当時の任天堂の営業ってスーパーファミコンとかのいわゆるテレビゲーム系と、トランプ・花札・囲碁・麻雀牌みたいなやつと、そういうのを営業マンが両方売るのね。青森とかに行って営業してました。そうこうしてたらまた京都に戻ってこいっていう話になって、戻った先がスーパーマリオクラブ。当時はまだデバッグ組織ではなかったんだけども宮本さんにデバックやってみたい?って言われてやったのが『MOTHER 2』で、2年くらいしてもういいかなと思って任天堂を辞めました。そこからゲームと全然関係ない仕事を1年くらいしてました。

1年くらい仕事してたら35歳の誕生日に大熱を出しちゃって、医者に行ったら「これ死ぬよ」って言われて、半年間療養生活をしながら、ハローワークとか行ってました。その時に、宮本さんから「東京行かへん?」って話が来て行ったのが任天堂とリクルートが作ったマリーガルマネジメントって会社。「何するの?」って言ったらデバッグ組織作ってよって言われて、作ったのが猿楽庁。9年くらいやってるけど、途中でマリーガルをもう止めることになって、独立しなきゃいけないってところで浜村さんが一緒にやろうって言ってくれて、エンターブレインの資本で猿楽庁は株式会社猿楽庁になりました。


左: 橋本長官 右:西健一氏


―――なるほど。それではお二人の出会いっていうのは?

橋本: 僕が記憶してるのは、『L.O.L』の完成披露パーティみたいなのが渋谷のクラブか何かであって、そこかな。もう何年かもわからないんだけど。

西: 僕はそこは全然記憶になくて、本当にそういうパーティになると何百人も来てばーっと紹介されるから無理なのよ。全部覚えるなんて。僕が長官の顔と名前が一致したのは、その前から雑誌とかで見るから名前は知ってたんだけど、あ、この人が橋本さんだと一致したのは、飯田和敏さんの結婚式のパーティーでしたね。

西: そんな感じで、どこかで会ったり話をしたりはしてたんだけど、べったりやるようになったのは『ギフトピア』を作ってる時にわざわざ連絡くれて、どんな感じなの?っていうから、こんな感じですよって話をしたら、じゃあちょっと噛むわって言ってくれて、じゃあお願いしますって。そこからですね。

橋本: じゃあ来てよ、じゃあ行くわって感じで、行って現場でゲームをプレイしながら、ずっと喋ってるみたいなね。それが一番最初だね。仕事で一緒にやったかと言うと微妙だけど。


以下次回に続きます。『アルキメDS』の誕生秘話はここから!お楽しみに。

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《土本学》
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