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宮本氏インタビュー/WHAM!

WHAM!に任天堂の宮本茂氏へのインタビューが掲載されています。E3に収録されたものなので、少し前のものになりますが紹介します、

ゲームビジネス その他
WHAM!に任天堂の宮本茂氏へのインタビューが掲載されています。E3に収録されたものなので、少し前のものになりますが紹介します、

――レボリューションに関して余り多くを明らかにしませんでした。新ハードの詳細は来年まで持ち越すつもりですか

E3はトレードショーです。そこで私達は今年何を行うかという所に重点を置きたい、今年のビジネスに注目して欲しいと望みました。しかしながら、他の会社はもちろん沢山喋ろうとするので、何も言わないという事も出来ませんでした。少ない情報でしたが、良い情報を皆さんに伝えることができて嬉しく思います。レボリューションは私達が来年行う何かで、先端技術の全てを備えて、強力なマシン、モンスターマシンではないけれど。私達はその技術をファミリーに優しく、全ての年代の経験の有る無いに関係なく全ての人々にも簡単に使えるハードにする為に利用しています。私達は静かで、小さく、シンプル、という点にそれらの技術を使おうとしています。

――小さく静かで家族に優しいという特徴はゲームキューブにも共通していたように思います。しかしレボリューションは非常に革命的と言います。ヒントを下さい

インターフェイスが全てです。しかし何も話すことはできません。残念なことに、過去に私達が何か発表すると直ぐに他社が真似をしてしまうということが多くありました。もしインターフェイスについて詳しく話せば、私達が製品を出す前に他社によって実現されてしまう可能性もあります。一例はワイヤレスです。私達はファーストパーティで最初のワイヤレスコントローラー「ウェイブバード」を実現しました。私達は他の誰も生み出せないようなゲームを開発できるようなハードを設計します。これは私達の大きな武器です。もっと多くのことを話せなくて申し訳ありません。

――あなたはレボリューションがモンスターマシンにはならないと言いましたが、ソニーとマイクロソフトはできるだけ強力なマシンを設計しようとしているように見えます。彼らの思想は余りにもゲームから離れていっていると考えますか、それともそれぞれが別の道を歩んでいるという風に考えますか

任天堂は娯楽企業であり、5歳〜95歳までのユーザーを獲得することを視野に入れています。ここで、ハードの価格が問題になります、ハードの使い易さも問題になります、私達は「All Access Gaming(全ての人がゲームに)」を実現しようとしています。ニンテンドーDSはその一例です。しかし北米ではDSで何ができるか本当には理解されていないように思います。しかしDSに関して、皆さんは「こんなことも、こんなことも、あんなこともできるんだ!」ということを目の当たりにするはずです。私達が提供しようとしている製品はそれがより明白で、私達のやりたいことをちゃんと理解して貰えると思います。

レボリューションに話を戻すと、言われたように他社は、より速くか、より大きくという風にばかり焦点を置いています。任天堂は明白に別の方向に技術を活用しています。また、私達は全ての技術的な議論でそのような方向を取っています。

これを見たことがありますか? (宮本氏は「プレイやん」の刺さったゲームボーイミクロを取り出す) これはiPod Shuffleよりちょっと便利な音楽/映像プレイヤーです。これは日本でインターネット上で販売されています。(ヘッドホンを渡して『ゼルダの伝説〜黄昏の姫』のトレイラーを見せる)

――これは北米でも発売になるでしょうか

まだ決まってません。今は日本でインターネットで購入できるだけです。

――『黄昏の姫』は開発に近づいていると感じていますか。それともまだまだでしょうか

終わりに近づいていると思います。しかしこれはビッグゲームです。まだまだやらなきゃいけないことが沢山あります。しかし今年中に発売されるでしょう。

――GBミクロについて話しましょう。これはGBAが遊べる4つ目のハードです。どのような役割を果たすのでしょうか

ミクロでは「プレイやん」で動画や音楽を鑑賞できます。また、より長い時間バッテリーが持つようになっています。もちろん少し小さくなっていて、GBASPが大き過ぎると不満だった人達にもオススメです。GBミクロは少しスタイルやイメージを意識しています、フェイスプレートを変えることも可能です。恐らく年が上のユーザーはこれに喜ぶでしょう。ですからミクロはニッチな商品ですが、より小さく、電池寿命の長いハードで、プレイヤーを満足させるでしょう。

――何人かの人は今年GBの後継機が発表されるのではないかと期待していました。


私達はまだ殆どの努力をDSに注いでいて、GBAの後継機の開発に本格的には入っていません。私達はSPを発売して、ミクロを開発して、そしてDSの本当のパワーを発揮する為に努力しています。

――VoIPやNintendogsなどニンテンドーDSで驚くべきものを沢山見せられました。特にNintendogsはこれほどまでに人気を集めると考えていましたか?

一ヶ月足らずで40万本を突破して、購入者の1/3はゲームと一緒にDSを買ったか、暫くの間ゲームやゲーム機を買ってなかった人達でした。このゲームで、働いている女性や年配の女性、主婦といった今までにないユーザー層を獲得することができました。

またこのゲームはゲーム雑誌だけでなく様々な雑誌で取り上げられました。

私は以前ファミ通の人と話して、彼らによれば、Nintendogsの情報を得る為に今までにファミ通を買ったことのないような人達が雑誌を手にしていたそうです。

私達はゲーム業界が今後どうあるべきかという議論で、今までにゲームを遊んだことのないユーザーを獲得すべきだと何度も耳にしてきました。私達はそのような人達がNintendogsを購入する所を見ています。しかし、これからもゲームに興味を持っていて貰うためにあなたはどのようなことをするべきだと思いますか

私達にとってこのように言うのは間違いです。「どんなゲームが好きですか? ではそんなゲームを作りましょう」。これは誤ったプロセスで私達は「人々は何を楽しんでいるのだろうか? 何が興味をひきつけるのだろうか?」という問いかけでソフトを制作しています。ちょっと他とは異なる方法だと思いますが、私達はこのようにソフトは作られるべきだと考えています。

(ここで宮本氏は『脳を鍛える大人のDSトレーニング』を見せる。記者が「色当て」に挑戦するが80歳という結果に)

私はずっと70台後半になる両親から、自分たちでも遊べるゲームを作って欲しいと言われてきました。このゲームは6月19日に発売され、両親も「これいいね」と言ってくれています。このゲームは本当に「ゲーム」の定義を広げます。私達が本当に望むのはレボリューションでも「ゲームとは何なのか」という定義を広げていくと共に、ゲーム市場を広げていくことです。

――ゲームキューブはオンラインゲームを殆ど支援しなかった唯一の現行機です。あなたは以前にオンラインゲームはそれほど重要ではなく、サポートしないと言いました。任天堂は今、レボリューションとDSの両方でオンラインゲームを重要な戦略と位置付けています。何が変わったのでしょうか

任天堂は常にその技術を持っていました。そしてオンラインは非常に重要だと考えていました。恐らく私達は過去に自身を間違って表現していたのかもしれません。私達が言いたかったのはそれは私達にとってはビジネスにならないということでした。ビジネスパートナーに話すように消費者に話していたかもしれません。唯一変わったのは、私達がやっと現実的なビジネスプランを立てることができたということです。これが私達がオンラインビジネスを決定した理由です。

――アリガトウゴザイマス Thank you very much!
《土本学》
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