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『ららマジ』サントラ発売記念―西村悠氏&いとうけいすけ氏による「全曲解説ライナーノーツ」をお届け【Disc1】

『ららマジ』サントラ発売に合わせて、メインシナリオ・西村悠氏&BGM作曲・いとうけいすけ氏による、全曲ライナーノーツをいただきました。まずはDisc1に収録された29曲分の解説をお届け。

その他 音楽
『ららマジ』サントラ発売記念―西村悠氏&いとうけいすけ氏による「全曲解説ライナーノーツ」をお届け【Disc1】
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A-1 Pictures&Wright Flyer Studiosがタッグを組んで贈る『ららマジ』。様々な楽器で構成された「器楽部」という部活を舞台に物語が進む本作は、“音と魔法の学園RPG”と銘打たれている通り、“音楽”が一つの大きなテーマとして存在しています。

音楽を題材にしているだけあり、本作ではBGM面でも抜かりないクォリティの楽曲が揃っています。数多のゲーム音楽を手がけてきた伊藤賢治氏と、ノイジークロークのいとうけいすけ氏、藤岡竜輔氏が制作する楽曲たち。それは、西村悠氏が綴る“心”に迫るシナリオ、飯塚晴子氏による魅力的なキャラクターと共に、『ららマジ』の世界に浸る上では欠かせない存在となっています。

そんなわけで、「サントラ」を望む声が多かったのですが…この度、全チューナー待望のオリジナル・サウンドトラックがついに発売となりました。待ってました!

このサントラ発売を記念して、なんと「全曲ライナーノーツ」を、インサイドに掲載することとなりました!これは、メインシナリオ・西村悠氏&ノイジークローク・いとうけいすけ氏が、サントラに収録された全59曲を順に解説していく、というとんでもないものです。(現状)インサイドでしか読めません。

そしてそして、このライナーノーツを基に、お二人へのインタビューも実施しました!こちらは近日公開予定となっていますので、まずはライナーノーツからお楽しみください。

本稿では、Disc1収録分(1~29曲目まで)を掲載。ぜひ、サントラを聴きながら読んでみてください。色々な発見とともに、『ららマジ』をもっと楽しめるようになるはずです。

◆Disc1


1.始まりの唄


西村氏:
ゲームを始めると最初に耳に入る曲、と同時に、チュートリアルにおいて、チューナーが「魔法の音」を聴くシーンのバックに流れる曲です。
ゲームとしても物語としても『ららマジ』を象徴する場面で使われる大切な1曲です。

いとう氏:
伊藤賢治さん作曲。BGMサイドでの『ららマジ』メインテーマであるこの曲は、オーケストラの重厚な響きと軽やかさが同居していて聴いていて本当にワクワクします。
これから東奏学園と器楽部に巻き起こる様々な物語を予感させる素敵な曲。




2.東奏の街


西村氏:
ホーム画面に使われている楽曲です。
のんびりとくつろげる雰囲気と、なにか楽しいことが始まりそうなワクワク感が同居していて、ホーム画面にぴったりの印象です。
この曲を聴いていると、なんとなく放課後、授業を終えた器楽部のメンバーが「今日は何しようか」と呼びかけているシーンを思い浮かべてしまいます。

いとう氏:
伊藤賢治さん作曲。おそらく最も長く聴かれるであろうBGMですね。
活発すぎず落ち着きすぎず、いつもと変わらない平和な日常を感じられます。
よくよく聴くと木管・金管・弦・ピアノ・シンセとだいたいの種類の音が網羅されていますね。




3.魔法の導き


西村氏:
召喚の画面で使われている楽曲です。
穏やかでリラックスできる曲とは裏腹にプレイヤーとしては勝負どころ。
ここの楽曲が「どうぞ素敵な時間を過ごしてくださいね」という雰囲気なのは、なかなか一筋縄ではいかない使い方だなと思っています(笑)。

いとう氏:
藤岡竜輔さん作曲。どこか不思議でキラキラしていて何か(虹)が飛び出しそうな気がしてきます。気がするだけですが…。
じっくり聴くとかなり面白い和声をしています。



4.結城 菜々美のテーマ


西村氏:
菜々美の登場時の楽曲です。より正確にタイトルを表現するなら「調律前の菜々美」あるいは「菜々美の悲しみ」などになるのではないでしょうか。
1幕の始まりは、この少女の悲しそうな言葉から始まります。
静かで悲しい曲が似合う儚げな少女を、前向きな曲が似合う元気な少女に戻すべく、チューナーの冒険が始まります。

いとう氏:
実は1~11幕までシナリオ未読のまま作曲をしています。
菜々美については「少し憂いのあるピアノ曲」という要望で作ったのですが肉と根性論で動いていることを先に知っていたらもっと違う曲が出来たかもしれません。
1幕をプレイして私もチューナーになりました。




5.器楽部の日常


西村氏:
そのまま、日常イメージを感じさせますよね。
部活練習時よりも、練習前や、練習の合間に無駄話をしていたりするイメージでしょうか。
もしくは、公演の企画を皆で話し合う、その直前の雰囲気など、空気が緩くなって、少女たちがリラックスして、素の自分を出しているシーンに、とても似合う曲だなと思っています。

いとう氏:
ADVパート日常曲です。まずはこの曲の雰囲気がベースになるので
「東奏の街」よりは元気な印象になるようにしています。
ねえねえ何する?と様々なアクティブの起点になれるように
転がるようなマリンバと、コロコロと可愛く動くエレピをチョイスしています。



6.寂しい解決


西村氏:
冒険の末たどり着く、菜々美の傷に関して語られる場面で流れる曲です。
傷の原因になった事柄に対して「逃げる」という解決方法を選ぼうとした、菜々美の心に寄り添った曲だなと思っています。
「逃げる」は立派な選択肢です。
ただ「逃げた」という事実はずっと心に残り続けるのだよな、などと、曲を聴きながら改めて考えてしまいました。

いとう氏:
本来はエピローグ的な用途を意識して作った曲です。
辿り着いた答えが望んだものであったかどうか、またどう受け止めるべきなのか、様々な解決を受け止められるように楽曲の調性感にとても気を使いました。
明るくても暗くても困る、すごく難しい位置付けの曲です。
なかなかよい塩梅の曲が出来たんじゃないかと思います。



7.Magical Battle


西村氏:
バトルステージでかかる曲です。『ららマジ』にどっぷり漬かっている身としては聴いてるだけでキャラたちの掛け声が聴こえてきそうです。
「アミちゃん・フォーエバー!」とかとか。
燃えるぜー!という気持ちを盛り上げてくれる素敵な曲です。

いとう氏:
伊藤賢治さん作曲。私はこの曲を聴いていると「バカね」「どいて」「顔も見たくない!」とか聞こえてきます。
女子高生が?楽器を武器に?ノイズと戦う?え?なんで?
といった疑問を清々しいほどに吹き飛ばしてくれる凄い曲ですよね。




8.九条 紗彩のテーマ


西村氏:
菜々美のテーマより悲しみの度合いがはっきり出ているような気がしていて、個人的には紗彩の物語にとても似合っていると思います。
菜々美が「持てる者の悩み」の物語なら、それすら羨ましく思う「持たざる者の悩み」が紗彩の物語だと思うので、ユーザーに、より直線的にヒロインの感情が伝わる紗彩の物語にははっきりとした「悲しみ」の色合いがよく似合います。

いとう氏:
「切ない・つやのあるシーン」というオーダーを受けて作った曲です。
彼女の挫折の物語は私も涙なくしては読むことが出来ませんでした。
つやのあるシーンて何だろう、恋愛要素?とか思いましたがまさかあんなに辛く苦しいお話が展開するなんて…。
同じ音楽に携わるものとしてはこの2幕はスマホでプレイするには重すぎました(誉め言葉)。




9.その高みへ


西村氏:
紗彩・菜々美の救いのシーンで流れる楽曲です。
「持たざる者の悩み」の先にあった救い。
それが「持てる者の悩み」に対しても希望になったというシーンで、この楽曲の悲しみを積み上げた上で到達した場所という感じのニュアンスがシーン全体の雰囲気をぐっと押し上げてくれたと思います。

いとう氏:
決意、過去との決別、悲しみを乗り越えて、自分自身との対峙。
そういう強い言葉、イメージを優しい風合いで表現した曲です。
牛肉を食べたいという強い願いも込められていましたね。
ちなみにピアノソロ曲に聞こえますが実は1人では弾けません。
2人で一緒に演奏する連弾曲なんです。不思議と物語にマッチしてますね。



10.ライバルバトル


西村氏:
バトル楽曲第二弾。燃える曲ですね。様々なバトルステージで使われています。
タイトルが示す通り、現れた強力な敵を前にして、ひるむのではなく闘志を燃やすような熱い雰囲気や、私たちは無敵だと言わんばかりの無双感があり、バトルを大いに盛り上げてくれているように思います。

いとう氏:
藤岡竜輔さん作曲。よしいっちょやってやるか!待ってろよ!という気持ちにさせてくれる格好いい曲ですよね。
良く聴くとサビのコードもどんどん上にあがっていく進行でよく考えられてるんだなあと私も感心しました。



11.前向き


西村氏:
イベントの導入などでもよく使われている、青空の下でスキップをしているような雰囲気で、曲を聴くと、ほとんど反射的に、さあ、どんな物語が始まるのかな?と、ワクワクするような気持ちになります。
『ららマジ』の日常への入り口を支えてくれる曲だと思います。

いとう氏:
ADVパート導入日常曲その2。
こっちは「器楽部の日常」よりも少しテンポを遅くして日常感をさりげなく強調しています。
エピソードの導入も受け持つし、お話の途中経過も担当出来る優れものです。
澄んだ笛の音がどこまでも広い青空を想像させてくれます。
くれるハズ。



12.絶望だった未来


西村氏:
最初にこの楽曲が流れるのは、チュートリアルにおけるストーリーで、夢を通じてホニャがチューナーに語りかけてくる瞬間です。
語っている内容の神秘的な雰囲気に寄り添うと同時に、どこかホニャ自身のキャラクターを感じさせます。
この曲が「絶望だった未来」というタイトルなのもなにか象徴的なものを感じます。

いとう氏:
「死からの再生のような」というすごいオーダーを受けて作った曲です。
もしかしてこの作品ゾンビ物?なんて一瞬頭をよぎったりしましたが、「死」を「魂」「精神」と考えて、あの世とこの世を結ぶ不思議な世界といったイメージで作りました。
当時は勿論ユグドラシルや夢世界のことも知らなかったんですよ。



次ページ:Disc1・13~29曲目までの解説
《編集部》
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