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Twitterで話題の“無造作すぎる”ゲーセン、その背景を訊く─「秋田にもレトロゲームを楽しめる空間があれば」

Twitterで大きな話題を集めている、秋田駅前緑屋ビル1階の“無造作すぎる”ゲーセン。レトロゲームを取り揃えた理由などを聞きました。

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Twitterで話題の“無造作すぎる”ゲーセン、その背景を訊く─「秋田にもレトロゲームを楽しめる空間があれば」
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第100回甲子園における地元、金足農業高校の大躍進に沸きに沸いた秋田県。その活躍と時期をほぼ同じくして、県内のとあるゲームコーナーが“無造作すぎる”と、Twitterを中心に大きな話題を集めていました。それが、秋田駅前の緑屋ビル1階にあるゲームコーナーです。

ガランとしたスペースに年季の入った筐体が6台。周囲には何も無く、筐体がドンと鎮座している光景はインパクト抜群です。え、なに、椅子が足りてない?譲り合えば良いじゃない。


設置タイトルは、プレイアブルキャラクターが8人しかいない元祖『ストリートファイターII』、相殺が存在せず独特の戦略が問われる初代『ぷよぷよ』、CPU戦の強烈な難易度で多くのゲーマーを震え上がらせた『餓狼伝説SPECIAL』、圧倒的な知識量が求められる名作『ドルアーガの塔』、美しすぎるドットグラフィックに見とれてるとすぐに死ぬ(筆者だけ?)『メタルスラッグ5』、2007年リリースでありながらラインナップの中では最も新しい『デススマイルズ』と、レトロなものばかり!

さらに筐体は全て、二人のプレイヤーが肩を並べて座る、いわゆる“仲良し台”でした。一般的に筐体が向かい合って配置される格闘ゲームさえ、ここでは例外にあらず。相手の顔すら見えないオンラインマッチングが主流となっているこの時代、見ず知らずの人とも隣あってプレイするこのスタイルが、逆に新鮮です。

また、このゲームコーナーがある「緑屋ビル」には、アニメやゲームのグッズを専門的に取り扱うお店がテナントとして長年入っており、多くの方に親しまれてきました。「“濃い目な”グッズが欲しけりゃ、緑屋に行け」というのが一種の不文律であり、秋田出身である筆者も中学・高校時代、ライトノベルを必死にかき集め、背伸びして「ニュルンベルクのマイスタージンガー」を聴きながら緑屋ビルに通ったものです。その節は、大変お世話になりました。

しかし、2017年5月にそのテナントは近所へ移転。1階で営業をしていたリサイクルショップも店内改装のため同年9月にいったん閉店し(2018年8月現在は営業再開中)、緑屋ビルに冬の時代が訪れます。

そんな中、突然現れた冒頭のレトロゲームコーナー。いったい、ミドリヤに何が起きているのでしょうか。その背景を伺いました。




─あの場所は、いつからゲームを置くようになったのですか?

緑屋ビル1階 リサイクルショップ「グリーンライフ」店長 渡辺 秀紀さん:
本当につい最近、8月中旬からです。元々そこもリサイクルショップだったんですが、諸々の事情でスペースが空いてしまい、なにか集客を考えようと思いました。そんな時、最近「e-Sports」というものが盛り上がっているという話題を耳にし、さらにNHKの『ドキュメント72時間』で東京・高田馬場のゲームセンターを見たんです。秋田にもそういうレトロゲームを楽しめる空間があれば良いなと思ったのが、きっかけです。

それで、お付き合いのある業者さんに相談したところ、「新しい筐体は難しいけれど、古いのならあるよ」という話になりまして。「レトロゲームの方が、かえって良いのではないか」とも言ってくれました。

─私もゲームセンターが好きで色々な所に行きますが、ここのラインナップは個性的で驚きました。とはいえ、格闘ゲーム、パズル、アクション、シューティングとジャンルは一通り抑えているようにも思えます。

渡辺さん:
私としては、昔の格闘ゲームがワイワイ遊べたら良いなと思っていました。最初の『ストII』に8人しかキャラがいないって、今の時代なら話題性がありますよね。あとのタイトルは、先ほど相談した業者さんが選んでくれました。

とりあえずは、筐体6台から始めてみようと。新しいタイトルは機械も高く色々と難しいですが、昔のものならみんな懐かしく遊べますよね。

─そうですね。渡辺さんはゲームがお好きなんですか?

渡辺さん:
ガッツリ、「ゲームが好きです!」と言うわけではありませんが、10年程前にゲームセンターの店長をやっていたり、リサイクルショップの業務の一環でゲームを取り扱ったりしていましたので…。

─なるほど。最後に、このゲームコーナーが話題になっていることについては、いかがでしょうか。

渡辺さん:
SNS等で話題になれば良いなぁとは思っていましたが、こうして取材が来るとは…という感じです。スマホでゲームを遊ぶことが多い昨今、外に出てゲームをやるということに対して、話題性が生まれたり、それを楽しむ輪があれば良いと思います。

良い意味で盛り上がっていますし、特に秋田は冬だと(雪が降るので)外でスポーツというのが、中々できません。そこで「e-Sports」というわけではありませんが(笑)、これからも発展していければと思います。

─ありがとうございました。…それにしても、甲子園楽しみですね!

渡辺さん:
そうですよね!そわそわしてます!!

(編集注:インタビュー時点では、甲子園真っ盛りでした。)



筆者がこのゲームセンターを訪れた当日、何組かの方々と出会いました。みなさん、一様にこの風景を写真に収め、「懐かしい~!」と歓声を上げながら100円玉を投入し、レバーを握っていました。

勇気を出して「Twitterを見て、いらっしゃったんですか?」と尋ねたところ、「そうです、そうです」との答えが。私たちは初対面ではありますが、レトロゲームに吸い寄せられてしまったという点では同じ。ついつい、「このゲーム、懐かしいですよね!」「ゲーセンで稼働してるとこ、初めて見ました!」なんて、話が弾んでしまいます。

平成最後の夏、秋田駅前にぽっかりと現れた緑屋ビル1階のゲームコーナー。往年のゲーマーであれば、“あの頃”の血が騒ぎますし、若い世代の方にとってはテレビや動画サイトでしか見たことないであろうレトロゲームを、実際に体験できる貴重な空間となっています。

機会がありましたらぜひ一度、足を運んでみてはいかがでしょうか。

《ねんね太郎》

また、お会いしましたね ねんね太郎

ゲームセンターとテレホーダイが生み出す濁流に、満面の笑みで身投げした雑食系ゲーマー。油断すると余裕で半日は寝てしまうため、スヌーズ機能が欠かせない。ゲーム以外の趣味は、モノを捨てること。

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