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【インタビュー】発売が迫る『深夜廻』ディレクター溝上氏へ訊く!注目すべき新要素やこぼれ話が満載

得体の知れないお化けから逃げ惑い、夜の街を探索していくという独特の世界観が高い評価を集めた『夜廻』。その続編にあたる『深夜廻』がPS4とPS Vitaにて8月24日より発売されます。そこで今回は同シリーズのディレクターを担当している溝上侑氏に、お話を伺ってきました。

ソニー PS4
【インタビュー】発売が迫る『深夜廻』ディレクター溝上氏へ訊く!注目すべき新要素やこぼれ話が満載
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YouTube URL:https://youtu.be/aQ53RTyT3ks

得体の知れないお化けから逃げ惑い、夜の街を探索していくという独特の世界観が高い評価を集めた『夜廻』。その続編にあたる『深夜廻』がPS4とPS Vitaにて8月24日より発売されます。そこで今回は同シリーズのディレクターを担当している溝上侑氏に、お話を伺ってきました。

日本一ソフトウェアの溝上侑氏。『深夜廻』ではディレクションを担当。
キャラクターデザインやシナリオ演出なども手がけている。

◆『深夜廻』の新要素について


──前作にあたる『夜廻』が2年ほど前の発売ですが、続編の動きはいつ頃からあったのでしょうか?

溝上氏:開発が進んでいたのは、1年前の5~6月頃です。もともと続編の構想は全く無かったのですが、前作の『夜廻』が想定以上の評価を頂きまして、こうして続編を出すことができました。

──『深夜廻』の中で、1番ここを見て欲しいという要素はどこでしょうか?

溝上氏:前作はPS Vitaのみの販売でしたが、今回はPS4でも発売されますのでグラフィックに相当力を入れています。前作は手探りで作っていたところがあり、至らない箇所もありましたが、今回はかなり丁寧に取り組めました。特に恐怖演出や感動演出には、注目して頂きたいです。

──本作では新たに、サイドビューも採用されましたよね。

溝上氏:はい、『夜廻』って基本的に俯瞰目線で進んでいくゲームなのですが、サイドビューで空が見えたら綺麗だなと思って取り入れました。恐怖演出やお化けとのやりとりなどが、綺麗に仕上がったと思います。


──従来の俯瞰視点からサイドビューへの切り替わりも、シームレスで行っているんですね。

溝上氏:そうですね、探索している街の中で暗転やロードが入らないように意識してまして、スムーズに視点が切り替わるようにしています。

──探索といえば、本作からは屋内の探索もできるようになりました。

溝上氏:『夜廻』は夜の住宅街を歩くというイメージが根底にあったので屋外のみでしたが、「屋内を見たかった」という意見もあったので取り入れてみました。扉を開けてみるだとか、室内の電気が突然消えるとか、屋内ならではの演出も色々入っていますよ。


──それは楽しみですね。ゲーム全体としてのボリュームはどうでしょうか。

溝上氏:本作はストーリーの章が前作よりも多くなっていて、その分だけボリュームが増しています。ただホラーゲームですし、あんまり長いとしんどいので、そこまで大幅に増えたというわけでもありません。ただその分、演出などの密度はとても濃くなっています。正当な進化をしていると思って頂ければ。

──やりこみ要素はありますか?

溝上氏:前作のようなアイテム収集がありますね。また、『夜廻』も『深夜廻』も基本は多くを語らないゲームではありますが、考察に役立つような情報が手に入るサイドクエストもあります。一度訪れた場所でも、クリア後に行ける範囲が広がっていたりするので、足を運んでみてください。


◆前作『夜廻』との関連性について


──お話の中で前作『夜廻』が何度か挙がりましたが、本作との関わりはあるのでしょうか。

溝上氏:そうですね、無いわけではないです。同じ世界の、どこかの街という感じですね。ただし、お話の舞台となる街自体は全く異なりますし、前作を遊んでいなくても大丈夫です。

──個人的に前作では頭にサイレンが付いたお化けや、“道ふさぎ”がとても怖かったです…。彼らは今作にも登場するのでしょうか。

溝上氏:前作を遊んだプレイヤーが喜んでくれるよう一部のお化けは再登場しますが、基本的には新しいお化けがメインになっていますね。街が変わっているので、出てくるお化けたちも刷新されています。今回も、怖いお化けが揃ってますよ(笑)。

──前作では「よまわりさん」という、印象的な存在がいましたけど、今回も……?

溝上氏:それは遊んでからのお楽しみということで。ただ今回は、「コトワリさま」という血まみれのハサミを持ったお化けがいて、それが物語の鍵を握っていますね。前作の「よまわりさん」は真意が分からないというか、訳が分からないというか、そんなキャラにしていましたけど、「コトワリさま」は明確な殺意を持って襲ってきます。「(プレイヤーを)殺すぞ!」って顔してますし(笑)。逆にその殺意がほかのお化けと比較して浮いているかなと危惧しましたが、ちゃんと作品に合わせて動いてくれたので、良かったなぁと。腕の姿にも理由があって、あのデザインになっているので、ぜひ公式サイトを見てください。

コトワリさま

──公式サイトといえば、ずっとページを表示していると突然お化けがでてきますよね。初めて見た時はかなり驚きました。

溝上氏:びっくりしますよね。実はあれ、最初はお化けを横切らせるようにしたかったんですが、なにかのバグでその場で止まっちゃって……。でも案外そっちの方が怖かったので、そうしちゃいました。

──前作は怖い話以外にも、切なくなるような話がありましたが、今作にもそのような雰囲気はあるのでしょうか。

溝上氏:はい。シリーズを通したコンセプトとして、幼い時の切なさとかノスタルジックな思いというものがあって、今回も怖いだけじゃなく、懐かしいや悲しい思い出みたいな話も入ってます。前作はゲームのみだと全ての状況を理解するのは難しかったかなと思うのですが、今回は主人公が喋ったり、アイテムなどのテキストや演出から情報を出すようにしています。前作よりは、分かりやすくなっていると良いのですが。ただ、あんまり語り過ぎてもなあという部分もあります。前作の寡黙さを保ちつつ、どう進化させるかという部分に挑戦しました。


◆二人の主人公について


──本作はユイとハルという、二人の女の子が主人公として登場しますね。

溝上氏:そうですね。前作の街に負けず劣らず、本作の街も寂れていまして。で、ハルも引っ越すことになると。今回は「引っ越し」という、小さい頃に誰もが経験するテーマを扱ってみました。

『深夜廻』では彼女たちを、ゲームの進行に合わせて交互にスイッチングしながら進めていくことになります。はぐれてしまった二人を再会させるというのが、プレイヤーの目的となるわけです。前作に登場する人物は少女とお姉ちゃんのみで、会話も片方だけしか喋りませんでしたが、今回は二人の掛け合いも楽しめますよ。ストーリーは二転三転するので、どんな反応を頂けるか私個人としても非常に楽しみです。

ユイ(左)とハル(右)

──なるほど、ちなみにNPCというのは?

溝上氏:特にいないですね。彼女たちと一緒にいる、犬ぐらいです。

──溝上さんから「犬」という単語を聞くと、不吉な予感が……。

溝上氏:そういう風に見てもらえると、すごく嬉しいです(笑)。


◆今後の展開について


──最近の日本一ソフトウェアさんは、Steamに力を入れている印象があります。『夜廻』もSteamで配信されていますね。

溝上氏:そうですね。北米版の『夜廻』では「止まれ」の標識が「STOP」になっていたり、主人公のセリフも手書きっぽいアルファベットのフォントが使われていたりと、細かい所までこだわっています。ちなみに『深夜廻』も10月25日からSteam配信をする予定になっています。

北米版『夜廻』の手書き風フォント

──『深夜廻』はPS4とPS Vitaでのリリースとなりますが、違いはありますか?

溝上氏:大きな違いは、振動機能の有無とグラフィックの解像度ですね。振動はお化けが近付いてきた時に高まる心拍数と連動していて、思っていたよりもずっと良かったです。ただファンの方とお話させて頂くと、PS4とPS Vitaの割合は半分くらいでしたね。PS4で綺麗なグラフィックと振動を楽しみたいという方もいますし、前作と同環境が良いという方もいます。

──追加DLCは予定されていますか?

溝上氏:特にありません。前作も無かったですし。なにかやりましょうかね、キャラクター衣装の変更とか……(笑)。まあ、反響次第かなと思います。

──ちなみにPS4版『夜廻』の発売予定は?

溝上氏:今の所、ありません。その話をする前に、続編の開発がスタートしてしまったという感じです。

──少し気が早いかもしれませんが、前作における小説のように、本作発売後の展開予定があれば教えてください。個人的にはコミカライズも良さそうだな、と。

溝上氏:良い話があれば、ぜひやりたいです。ただ『夜廻』は会話が少ないゲームなので、色々と大変かなと。『深夜廻』なら二人いますけど。実は前も漫画化の話はあったのですが、色々検討したら難しかったんですよね。その分、小説は皆様からの評判が良くて、とても嬉しかったです。今回も小説が出せたら良いなあ。

──小説版は私も読ませていただきました。ゲームでは明らかにされなかった姉側の話や、主人公の心境を文字で読めたのは、作品を理解する助けになりました。また、純粋にホラー小説として見てもおもしろかったですし、挿絵も印象的でした。

溝上氏:ありがとうございます。挿絵は私が描かせていただきました。

──前作『夜廻』の話になってしまうのですが、エンディングを迎えた後の少女とお姉ちゃんのその後が特に気になってしまって…。もちろんハッピーエンドなのですが、いろいろあったので。これからどう生きていくのだろう、と。

溝上氏:そうですよね。でもまあ、彼女たちは強く生きるんじゃないかなと。私のイメージだと前作って、どこにでもいる女の子が“主人公”になるまでの物語なんです。だから、あのラストを迎えて“主人公”になった少女は、これからも強く生きるんじゃないかな、と。彼女たちの後日譚も、お話がかかればやりたいです。必ずしもゲームである必要はないと思いますしね。

──色々と答えていただき、ありがとうございます。最後に『深夜廻』の発売を心待ちにしている読者にメッセージをお願いします。

溝上氏:『夜廻』は元々低予算で作るゲームで、続編を作る予定はありませんでした。それでも、前作を評価してくださったみなさんのおかげで、こうして『深夜廻』を作ることができました。本当に嬉しい限りです。その期待に添えるよう頑張って制作したので、ぜひとも楽しんで頂けると光栄です。

◆◆◆ ◆◆◆ ◆◆◆

PS4/PS Vita『深夜廻』は8月24日(木)、発売予定です。

(C)2017 Nippon Ichi Software, Inc.
《ねんね太郎》

また、お会いしましたね ねんね太郎

ゲームセンターとテレホーダイが生み出す濁流に、満面の笑みで身投げした雑食系ゲーマー。油断すると余裕で半日は寝てしまうため、スヌーズ機能が欠かせない。ゲーム以外の趣味は、モノを捨てること。

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