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【特集】『蒼き革命のヴァルキュリア』誕生経緯とその魅力に迫る ― 『戦ヴァル』とは別もの、例えるなら野球とサッカー

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セガゲームスが贈る「ヴァルキュリアプロジェクト」最新作である『蒼き革命のヴァルキュリア』がPS4/PS Vitaで2017年1月19日に発売されます。

「ヴァルキュリアプロジェクト」は今なお根強い人気を誇るシミュレーションRPG『戦場のヴァルキュリア』を含んだプロジェクトで、これまでは『戦場のヴァルキュリア』シリーズとして関連作品が展開されていましたが、2016年2月に発売された『戦場のヴァルキュリア リマスター』から「ヴァルキュリアプロジェクト」として始動。『蒼き革命のヴァルキュリア』ではジャンルがRPGになり、魔法と科学が共存する世界が舞台になります。


そのため『蒼き革命のヴァルキュリア』は『戦場のヴァルキュリア』の続編という位置づけではなく、開発陣は「まったく別もの」と言います。そこで疑問に思うのが「なぜ『戦場のヴァルキュリア』ではないのか」ということ。そして『蒼き革命のヴァルキュリア』にはどのような魅力があり、スタッフはどのような想いで本作を作っているのか。


左から三神桂プロデューサー、小澤武ディレクター

インサイドではそれらの疑問を直接スタッフに投げかけるインタビュー記事を企画。三神桂プロデューサーと小澤武ディレクターに様々な話を伺ってきました。

企画・編集・文:栗本浩大@koudai5511
編集協力:古瀬敏之

◆なぜ『ヴァルキュリア』は蒼くなったのか



――タイトルに「ヴァルキュリア」と付けられていますが、『戦場のヴァルキュリア』とはまったく別ものと伺いました。まずはそこから入らせていただこうかと思います。

三神:まるっきり別作品です。『戦場のヴァルキュリア』は既に一つのIPとして確立されているので、IP(知的財産)をさらに広げるもう一つのラインとして、世界観を一新したのが本作です。ジャンル変更も最初から決めていまして、シミュレーションRPGにシミュレーションRPGを載せても「戦場のヴァルキュリアの続編なんですか?」という話になりますよね。

ですので、違う路線で違うお客様にも喜んでもらえるような作品にしましょうと。そういう意味での別作品で、『戦場のヴァルキュリア』をそのまま引き継ぐものではないですし、『戦場のヴァルキュリア』が『蒼き革命のヴァルキュリア』になったという話でもないです。

――だから「ヴァルキュリアプロジェクト」の新作という表現なんですね。

三神:そうです。そこで「ヴァルキュリアシリーズ」と言ってしまうと、「『戦場のヴァルキュリア』の新作なのかな?」と誤解を受けてしまうと思ったので、当初から「ヴァルキュリアプロジェクト」と言っていたのですが、詳しく説明しないとなかなか伝わらないですね……。

――『戦場のヴァルキュリア』は『戦場のヴァルキュリア』で存在して、新しく『蒼き革命のヴァルキュリア』ができたと。

小澤:これは言っておきたいんですが、『戦場のヴァルキュリア』を作らないと言ったつもりはないです(笑)。両軸として上手くやっていければと思っています。この後の話にも繋がるんですが、プロジェクト立ち上げ当時は、弊社がセガからセガゲームスになるという変革の時期でして、ゲーム作りにも“チャレンジ”が推奨されていました。さらにPS4が普及し始めた時期でもあったので、「このハイスペックな新プラットホームで新たなチャレンジをしよう」と立ち上げたのが『蒼き革命のヴァルキュリア』なんです。


――本作ではファンタジー要素が強いように感じました。

小澤:右から左に全く同じものを作っても、それこそ「戦場のヴァルキュリアを作ってよ!」となってしまうので、まずベースを「戦争や戦場で生まれるドラマを大事にし、それを真正面から描く」と定め、その上で、RPGという新ジャンルで何が描け、お客様はどういったものを求められているのかというのを考えました。

その結果、「戦車」や「ライフル」などミリタリーに寄っていた『戦場のヴァルキュリア』に対して、『蒼き革命のヴァルキュリア』は「剣」と「魔法」というファンタジーに寄せることにしたんです。ただ、そういったバックボーンがありながらも、しっかりとした近代的な戦争を描いているというのが特徴ですね。

三神:『蒼き革命のヴァルキュリア』でモチーフにしているのは、時代的には『戦場のヴァルキュリア』から50年から100年位古いんですが、そういったちょっと古めかしいものとファンタジー要素の共存を狙いました。『戦場のヴァルキュリア』でもファンタジー要素は入れていますけど、設定的には第二次大戦から10年位前で、当時って既に銃が発達しすぎているんですよ。だから時代を100年戻したんですけど、100年前の銃のデザインってあんまり格好良くない。なので、銃のデザインだけ50年前くらいに押し戻たんです。そういうモチーフや時代の話をすると「『戦場の~』より古いから過去の話か!?」となるんですが、そうではありません。

小澤:地続きで過去の話というよりも、新たに『蒼き革命のヴァルキュリア』の世界設定を作りました。場所が『戦場のヴァルキュリア』と同じヨーロッパなのは、アメリカの南北戦争や日本の戦国時代のような内戦ではなく、地続きで国と国が接し合い、そこで戦争が起き、果てには第一次大戦、第二次大戦に発展している史実を参考にしたからです。その上で何か新しい視点がないかなと考えた時に、「産業革命」というのが1つキーワードになりました。


――現実の産業革命は蒸気機関によって成し遂げられましたが、本作では「ラグナイト」と呼ばれる鉱石に基づく「魔法技術」で産業革命が起こったと。

小澤:トンデモテクノロジー故にその時代としてはオーパーツというか、オーバーテクノロジー的に特殊発展したという設定も有りだと思い、ある種のいいとこ取りをしました。ただ、やっぱり『ヴァルキュリア』なのでミリタリーの要素も大事にしています。その上で「ファンタジー要素を強めにした新しい世界を描こう」と考えたのが今回の世界です。

三神:あと現代を描いてしまうと、敵がワーッといて味方もワーッといるという絵作りにならないんですよ。でも時代が昔になると、その絵作りができるわけです。というのも、現代戦って出来るだけ見つからないように移動して、できるだけ見つからないところから射撃しなきゃいけないじゃないですか。でも、古い戦闘だとみんなズラッと並んでて、「俺たちこれだけいるけど勝つ気?」と相手を威圧するんです。服も目立たない今の迷彩ではなくて、派手な色が使われていました。その方が絵図的に面白いと思い、今回のような設定にしました。


――設定の中で特に面白いと思ったのが、「車輪の発想に至らなかった」という部分なんですが、そういった世界だからこそメカが登場するわけですね。

小澤:まずチームで「この世界では、技術開発でどんなものが生まれるのかね?」「やはりメカでしょう」という話をしたんです。そこから「しかも車の派生系ではなく、生物を模したメカだと面白いよねと。」となり、じゃ「この世界にはドラゴンといった超常生物が居る」という設定にしましょうと。

ただ我々は理屈馬鹿なので、そこから「生物を模したメカが作られるようになった」理由付けを考えていったんですが、「やっぱり車輪を思いつかなかったんじゃない?」という結論に至ったんです。車輪の正確な起源までは分かりませんが、おそらく「ピラミッドの石を運ぶ時に木を転がして使っていた」辺りが起源だと思うんですよ。それで、もしそこに超常生物がいたなら、そいつらに引っ張らせれば大抵の事は成り立ってしまう。そんな世界で動く機械を作ったら、彼らにとって強い存在である(超常)生物を模すだろうと。だから車輪が生まれなかった。

というように、ある程度結論ありきで「この世界は何でこうなっちゃったんだろう」みたいな話をして、どんどん世界観が固まっていったんです。


三神:メカの動力にも「ラグナイト」が使われていますので、「凄いものが作れるぞ、どうする?」「じゃあ凄いもの作ろうぜ!」という発想になったのが帝国で、彼らは急にメカとか作り始めたんですよ。

小澤:しかも「ラグナイト」は超常的なエネルギーなんで、とくに効率とかは考えられていないんです。ザックリ組んでもどうにかなっちゃうんですよ(笑)。その荒削り感を産業革命ぽさとして表現しました。

三神:デザインもそういったのを踏襲していまして、大体真ん中に巨大な「ラグナイト」が嵌ってるんですが、「これだと足まで燃料いかないよね?」「じゃ足に直接ラグナイト刺せばいいじゃん!」みたいな発想を想定してデザインしています。「そこにパイプを通して……」ではなく「そこにザクッ」みたいな(笑)。

小澤:このころの戦争って、まだ“見栄と張ったり”があったと思うんですよ。だから普通は燃料部分なんて隠しますが、あえて隠さずに「俺たちはこんなに大きなラグナイトを使ってるんだぜ?」という見栄を出す。そういった戦場の雰囲気にも注目していただければと思います。


――逆に「ユトランド」側には「ラグナイト」を武器に使用するという文化があったんでしょうか。

小澤:文化があったというよりは、「ラグナイト」の供給が経済封鎖でストップされてしまい、「ユトランド」はカツカツな状況なんです。なので、「ラグナイト」をジャンジャンぶっこんでトンデモメカを作るような事ができない。一点集中して何かを作る道しかなかったんです。奇しくも「ユトランド」は技術大国なので、その技術の粋を集めてなけなしの「ラグナイト」を一点に集中させ、適正のある者しか使えないような武器を作り上げたんです。敵が巨大化巨大化といくところを量より質で攻めたわけですね。

三神:数で敵に全く及ばないならこっちはスゲー1点もの作ってやる!みたいな。

小澤:あと「ユトランド」は、経済封鎖の一環で、新たな技術の流入も止まってまして、技術はあるけど知識がないという状況になっています。だからメカなんて作れないんですよ。それでも何とかするために、「俺らの技術と古くからある武器を組み合わせて最新鋭まで押し上げてやる!」という思想に至ったんです。

三神:ジリ貧な発想ではあるんですが、力を垂れ流すんじゃなくて、最大限引き出すんだということですね(笑)。例え見よう見まねで10体のメカを作っても、相手側に100体のメカがあれば負けてしまう。だったら凄い武器を1つ作って、それを人に持たせましょうと。
《栗本 浩大》

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