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【hideのゲーム音楽伝道記】第48回:祝発売20周年!『ワイルドアームズ』 ― 荒野と口笛のRPGを彩る熱い音楽

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【hideのゲーム音楽伝道記】第48回:祝発売20周年!『ワイルドアームズ』 ― 荒野と口笛のRPGを彩る熱い音楽
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インサイドをご覧の皆さま、こんばんは。ゲーム音楽好きライターのhideです。ゲーム音楽連載「hideのゲーム音楽伝道記」第48回目となる今回は、本日で発売20周年を迎えた、『ワイルドアームズ』をご紹介いたします。


『ワイルドアームズ』は、1996年12月20日にソニー・コンピュータエンタテインメント(現ソニー・インタラクティブエンタテインメント)から初代プレイステーションで発売されたロールプレイングゲームです。開発はメディアビジョンが手掛けました。また、2003年にはリメイク版である『ワイルドアームズ アルターコード:F』がPS2で発売されました。
※今回の記事では、1996年発売のオリジナル版についてご紹介します。

本作の舞台は、かつて守護獣「ガーディアン」の庇護のもと、緑あふれる豊かな大地だった世界「ファルガイア」。しかし、鋼鉄の身体を持つ魔族の襲来によって、ガーディアンの力は失われ、ファルガイアの草原は荒野と化していってしまいました。月日が流れ、人々は荒野の中に新たな文明を造り出すことに。そして今、ロディ、ザック、セシリアという3人の若者をめぐって運命の輪が回り始めることになります。

本作は、西部劇とファンタジーが融合した世界観、人間と魔族の戦いの中で様々な人の想いが描かれた熱いストーリー、それぞれの宿命を背負った個性的なキャラクターたち、謎解き要素のあるダンジョンなど、多くの魅力を持った作品です。

そして、本作に絶対欠かすことのできない、大きな魅力のひとつが音楽です。作曲家のなるけみちこ氏が手掛けた、西部劇的なテイストを交えたメロディアスかつ美しい旋律は、ゲームを大いに盛り上げてくれます。じんわりと胸に沁み入ってくるような、情感豊かなサウンドが非常に魅力的ですよ! 本作の総楽曲数は70曲以上にもおよぶボリュームを誇るため、全てをご紹介することはできませんが、特に印象深い楽曲をピックアップしてご紹介していきましょう。

◆『ワイルドアームズ』の世界を彩る音楽たち


●「荒野の果てへ」
本作のオープニングムービーで流れる、『ワイルドアームズ』シリーズ全体の中でも最も有名と思われる代表的な楽曲です。どこまでも続く荒野の世界の荒涼とした雰囲気や、この世界で力強く生きているロディたちの熱い想いを、『ワイルドアームズ』を象徴する“口笛”とアコースティックギターの音色で、爽やかかつ情感たっぷりに紡いでいますよ。

●「世界にひとりぼっち」
ゲームの序盤にロディが訪れる「サーフ村」のとあるイベント後や、ゲーム中盤に見られる、ロディの育ての親・ゼペットとの思い出イベントなどで流れる楽曲です。アコースティックギターで奏でられる切なくも美しい旋律が、とある力を持っていることで人々に疎まれ、孤独な境遇であるロディの寂しさや憂いと、それにも負けずに懸命に生きている様をドラマチックに演出しています。

また、この楽曲は、とある町で出会う花を愛する少女・マリエルに関するイベントでも流れます。彼女も、ロディと同じく孤独な境遇で生きており、かつとある宿命を背負いながら、ひとりぼっちでも健気に頑張る少女なのです。そんな彼女が抱える寂しさと、それにも負けない心の強さ、両方が伝わってくるような印象深い楽曲ですね。

●「勇気(ダンジョン)」
本作の様々なダンジョン内で流れる楽曲です。オープニング曲「荒野の果てへ」が、アップテンポで疾走感たっぷりにアレンジされていますよ。RPGのダンジョン曲というと、洞窟の不気味さや不安感を演出する暗めの楽曲を想像される方も多いと思います。しかし本作のダンジョン曲は、勇気を持ってダンジョンを進んでゆくロディたちとプレイヤーを応援してくれるような、勇壮さにあふれるメロディでとっても魅力的ですよ!

●「アーデルハイド城」
ファルガイアに残る唯一の国家、アーデルハイド公国のお城で流れる音楽です。ロディの旅の仲間となる「セシリア」は、この国の公女である重要人物。高貴で気高さがありながらもアグレッシブな印象を感じさせる旋律は、城の威厳を表すと共に、とある使命のためロディ達と旅に出るセシリアの行動力や芯の強さを描いているようにも感じます。

●「葬列」
アーデルハイドを襲うとある事件の後、国葬が行われる際に流れる楽曲です。なるけ氏のメロディアスな旋律が、作編曲家の外山和彦氏編曲・指揮による荘厳なオーケストラとコーラスで、しめやかに、かつ美しく奏でられます。このイベントはオープニングクレジットも兼ねていて、ロディたちの本格的な旅がここから始まる、という彼らの旅立ちの決意がひしひしと伝わってきますね。僕は初プレイ当時、お葬式から旅が始まるという演出と、荘厳な音楽に衝撃を受け、鳥肌が立ったことを強烈に覚えています。

●「荒野の渡り鳥 (ロディのテーマ)」
フィールドマップ上で流れる楽曲です。「渡り鳥」と呼ばれる、ひとつの場所にとどまらずに各地を転々とする流浪の旅人。そんなロディの生き様を思わせる、さわやかかつ切ない笛の旋律が風のように響きます。

●「渡り鳥が集う水辺」
ロディたちが旅の途中で訪れることになる、ミラーマやティムニーなどの街で流れる楽曲です。乾いた荒野を行く長い旅の途中、オアシスに立ち寄って疲れを落とすような、平和でのんびり、ゆったりとした穏やかな旋律が癒されますよ。

●「エルゥの村」
ファルガイアの世界でとある重要な役割を持つ種族、「エルゥ」たちが住む村で流れる音楽です。やさしい笛の音色で奏でられる美しくも切なさを帯びた旋律は、彼らの持つ神秘性と、人間たちと距離を置いたエルゥの複雑な過去を感じさせる、しんみりとした切なさを合わせ持っています。

●「孤高の世界」
エルゥたちが作り出した世界である、“エルゥ界”のフィールドマップで流れる音楽です。エルゥ界は、ファルガイアとはまた違う時空に存在する、雲の上の緑あふれる世界なのですが、その幻想的な空気感を演出する美しい旋律は思わず聴き惚れてしまうほどすばらしいです。僕は初プレイ当時、あまりにも音楽が綺麗なので、コントローラを動かす手が止まり、音楽に聴き入ってしまう……というようなことがしばしばありました(笑)。

●「あいのきせき」
ゲーム中盤、とある事情で心を閉ざしてしまうことになるロディ。そんな彼を、セシリアが彼の心の中の世界へと入って説得するシーンで流れます。オルゴール調の繊細で美しいサウンドが、心が洗われるかのように美しいです。イベント内容も非常に熱くて胸を打つものなので、できればゲームをプレイしながら聴いてみていただきたいですね。

●「空を駆る鳥 (エマのテーマ)」
ゲーム中盤、古代文明の研究家である女性・エマが作った赤い飛空機械に乗る時に流れる楽曲です。気持ちいい高音の音色がアップテンポかつ爽やかに響き、空を飛ぶ爽快感を何倍にも増してくれますよ!

◆強敵との戦いをより熱くさせるバトル曲!


●「クリティカル・ヒット!」
本作の通常戦闘時に流れる楽曲です。特徴的な熱いイントロから始まった後、軽快かつ勇壮な旋律が展開され、戦闘を格好よく演出してくれます。

●「Battle M-BOSS」
様々なダンジョンの奥などで待ち受けている、ボスとの戦いで流れる音楽です。金管楽器やドラム風の音色で奏でられる緊張感あふれる旋律が、強敵との戦いを彩ります。

●「Power fighter」
魔族の盟主「マザー」のもとで暗躍する、「終末の四騎士(ナイトクォーターズ)」。ゲーム中何度もロディたちの前に立ちはだかる事になる、彼らとの戦いで流れる楽曲です。重々しい鐘も交えて奏でられる重厚な旋律が、ひとくせもふたくせもある強力な彼らとの壮絶な戦いを演出します。

●「あれれ? (ゼットのテーマ)」
本作のお笑い担当キャラクター、ゼットの登場シーン&戦闘時に流れる楽曲です。おちゃらけていてコミカルながらも格好良さのある旋律が、自分で自分を「お茶の間のアイドル」なんて言っちゃうお茶目な彼のキャラクター性を演出し、強烈な印象を残してくれます!

また、ラスボスに関しては曲名でネタバレになる恐れがあるため詳しくは触れませんが、こちらも格好良く熱い楽曲になっていますので、ぜひ聴いてみていただきたいです。

◆感動的なエンディングを盛り上げる音楽!


これまで『ワイルドアームズ』の楽曲をピックアップしてご紹介してきましたが、本作の中で僕が一番おすすめしたいのが、エンディングの音楽です。本作のエンディングシーンでは、なるけ氏のメロディアスかつドラマチックな旋律が、オープニングの「葬列」なども担当した外山氏の編曲・指揮によるオーケストラサウンドで響きます。どれも素晴らしい楽曲群で、クライマックスの感動をより深く演出してくれますよ!

まずは、カ・ディンギルという塔の崩壊シーンで流れる、重厚かつ禍々しいコーラスで奏でられる「灰燼に帰す」。続いて流れる「『アースガルズはがんばったもんね』」は、本作で重要な役割を持つゴーレム「アースガルズ」にやさしくセシリアが語りかける……という、本作でも屈指の名シーンで流れる音楽です。穏やかなアコースティックギターで奏でられる、やさしくてせつない旋律が胸に沁みますよ!

続いて、ゆったり穏やかな口笛で奏でられる「ここからはじまるプロローグ」、とある人物の旅立ちの姿を描く「旅立ちの朝」。新たなる旅に向けての決意が、さわやかな木管の音色で美しく、そして勇壮に描かれています。

そして「姫巫女の想い」。セシリアのあふれんばかりの強い想いが、オーケストラで壮大に歌いあげられます。ゆったり穏やかに奏でられる「旅は道連れ」のあとに続くのは、「荒野の果てへ ~新たなる旅路へ~」。爽やかに響く「荒野の果てへ」の旋律が、新たなる旅へと出発する者たちを後押ししてくれます。僕は初めてこのエンディングを見たとき、演出と音楽のあまりの素晴らしさに、鳥肌が止まりませんでした。

最後は「青空に誓って」。本作を締めくくる、さわやかなエンディングテーマです。歌手の渡辺真知子氏の高らかで前向きな歌声が、物語を非常に心地よく、綺麗に締めくくってくれますよ。

『ワイルドアームズ』の楽曲はどれもメロディアスで美しく、耳に、そして心に残ります。なるけ氏が紡ぐ音は、すーっと心に沁み込んでいって、心地よく残り続ける。そんな素敵な魅力がありますね。なるけ氏の楽曲は単体でも素晴らしいのですが、ゲームをプレイしながら聴くと、熱い物語との相乗効果で、より胸に来るものがありますので(エンディングは特に!)、ゲームをプレイして音楽を聴くのを心の底からおすすめします。

◆ファンの熱い要望に応えて発売された、完全版サントラ!


本作のオリジナルサウンドトラックは、「2回」発売されました。なぜ2回発売されたのかと言いますと、一度サントラが発売された後、なんとファンの方の署名活動で完全版のサントラが発売されたのです。


本作のサントラは最初、『ワイルドアームズ オリジナル・ゲーム・サウンドトラック』という名前で1999年に発売されたのですが、このCDは残念ながらゲーム中の全曲を収録したものではなく、半数以上の楽曲が未収録になっていました。


その後、とある『ワイルドアームズ』のファンサイトで、管理人の方が「完全版のサントラ発売を!」という署名活動を行い、たくさんのファンの署名が集まり、ゲーム発売から10年後となる2006年に晴れて全曲収録となる完全版サントラ『ワイルドアームズ コンプリートトラックス』の発売にこぎつけたのです。このことからも、本作の音楽が非常に高い人気を得ているということがお分かりになるかと思います。

『ワイルドアームズ』は、本当に情感あふれる素晴らしい楽曲がたくさんの作品です。心を打つ熱い物語とともに、なるけ氏の魂がこもった音楽もぜひご堪能いただければと思います。現在ではゲームアーカイブスでの配信も行われており、PSP、プレイステーション3、プレイステーションVitaでプレイすることが可能です。ご興味をお持ちの方はプレイしてみてくださいッ!

少し余談になりますが、ゲームは、グラフィックやサウンドがいくら豪華に、綺麗になろうとも、そこに「魂」が込められていなければ、ゲームとしての楽しさやおもしろさには繋がらないと僕は思っています。その点、この初代『ワイルドアームズ』は、製作者の皆さんの熱い魂がこもっています。もう20年前のゲームですし、今のゲームに比べると見た目は少し地味かもしれませんが、RPGに必要な要素がきっちりと丁寧に作り込まれている、素敵な作品だと思います。ご興味をお持ちでしたら、ぜひ『ワイルドアームズ』の世界に触れてみてくださいね!

◆◆◆ ◆◆◆ ◆◆◆


先日12月7日には、スマートフォンで展開される『ワイルドアームズ』完全新作が発表されました。ゲームの詳細はまだ明かされていませんが、こちらも、なるけ氏が音楽を担当するとのことで、『ワイルドアームズ』ファンとしては気になりますッ! このシリーズは休眠期間がだいぶ長かったので、どんな形であれ新しい動きがあったことが、いちファンとしては嬉しいです。今後の続報に期待したいと思います。

関連記事:
スマートフォン向け『WILD ARMS』新作が発表―グリーとフォワードワークスが共同開発



そして、本日、『ワイルドアームズ』20周年を記念したサウンドプロジェクト『Score Re;fire WILD ARMS』の始動が発表されました。こちらは、『ワイルドアームズ』シリーズの作曲を手掛けてきたなるけみちこ氏と、多数のゲーム音楽コンサートの企画・制作を手掛けている株式会社2083によるプロジェクトとのことです。どのような企画が展開されるか、ファンの1人として楽しみですッ!
『Score Re;fire WILD ARMS』公式サイト

【筆者プロフィール】
 hide / 永芳 英敬

ゲーム音楽ライター&ブロガー。ゲーム音楽作曲家さんへのインタビュー記事、ゲーム音楽演奏会のレポート記事など、ゲーム音楽関係の記事を執筆。最近は『ファイナルファンタジーXV』と『人喰いの大鷲トリコ』をクリアしました。トリコかわいい!
[Twitter] @hide_gm [ブログ] Gamemusic Garden

(C)1996 Sony Interactive Entertainment Inc.
"WILD ARMS" 及び "ワイルドアームズ" は株式会社ソニー・インタラクティブエンタテインメントの登録商標です。
《hide/永芳英敬》

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