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【特集】中古ソフトや販売流通の裏側―ゲオのゲームバイヤーが明かす

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【特集】中古ソフトや販売流通の裏側―ゲオのゲームバイヤーが明かす
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テレビゲームソフトやハードの販売・買取も行う、ビデオレンタルチェーン店として、日本全国に約1,200店舗が展開している、ゲオ(GEO)。ゲームユーザーなら、遊ばなくなったソフトを買取に出したり、中古ソフトを購入したり、あるいは新作ゲームを店頭で予約して、発売日に直接受け取りに行った経験は、誰しもあることでしょう。

インサイドとGame*Spark編集部は、ゲオの購買流通部商品購買課でリーダーを務める、“ゲームバイヤー”の海津祐樹氏を取材。ゲームの販売流通はどんな仕組みなのか、中古ゲームソフトはどのように運用・管理されているのか、普段あまり耳にすることのない裏側の話を詳しく聞いてきました。

◆◆◆ ◆◆◆ ◆◆◆

――本日はよろしくお願いします。まずは、自己紹介をお願いできますか?

海津祐樹氏(以下、海津): 2006年にゲオに入社をしまして、その当時は商品部というゲームを取り扱う部署に配属になりました。その後も、一貫してゲームの取り扱いに従事しています。中古品を担当した経歴の方が長いのですが、2年ほど新品を取り扱っている部署に配属になっている時期もありました。現在は、購買流通部商品購買課という中古ゲームチームのリーダーを務めています。

――海津さん自身も、ゲームがお好きなのでしょうか? ゲオに入社した経緯は。

海津: はい、好きですね。最近だと、『ストリートファイターV』や『スプラトゥーン』といった対戦ゲームをやっています。もともとゲーム関連の仕事をしたかったのですが、プログラムやグラフィックを作るという作業はあまり得意ではなかったので、それ以外のところで仕事を探していました。モノを販売するという点に関しては興味があったので、ゲオに入社することにしました。


――ゲームバイヤーがどんな仕事をする職業なのか教えてください。

海津: 新品ソフトと中古ソフトで仕事の流れが大きく分かれます。新品に関しては、まずメーカーさんからそのゲームの発売が決まった段階で、商品購買課が、ゲオショップ1,200店舗全体でその商品を最初にどれだけ発注するかという意思決定をします。イニシャル、と呼ばれるものです。その上でその商品を各店にどれだけ配分するかというのを決めていきます。実際にゲームが発売されると、その商品がどう動くかによって、リピート発注をしたり店舗間で在庫の取り回しをしたりします。一方、中古に関しては、まず買取価格・販売価格の設定をして、在庫の総数を決めていきます。その後はそれぞれの価格を調整しながら、売上を元に決められた在庫数を持ち続けるようにしていきます。

――イニシャルの発注数は、どのように決められているのでしょうか? 1,200店舗ともなると、数量の規模も大きく、判断が難しいのでは。

海津: まず、そのソフトが、ゲオのみならず、全国で初週にどれくらい売れるかという分析をします。弊社の販売シェアはおおよそ把握をしていますので、それらを掛け合わせることによって、初期の購入総数を決定します。その上で、何かプラス要素(メーカーさんから聞いている情報や、ゲオ独自の特典付与など)があれば、それも初期の購入総数に加味をします。最終的には、メーカーさんに発注をする際に、全国ベースでおおよそでどれくらいの発注があったかを伺います。その数字を聞いて、私たちの想定より多かった場合には「取り扱いに注意しよう」という話になりますし、逆に想定より少なかった場合は、そこはチャンスと捉えます。つまり、「世の中は在庫切れになっているけれど、ゲオでは売り切れてないという状況が作れる」という風に捉えます。

――店舗に来るお客さんや、ネット上の声も、イニシャル発注数を決める上で参考にされているのでしょうか?

海津: ゼロではない、という感じですね。弊社では予約を取っていますので、予約数が一番分かりやすいお客様の声になるんです。ですので、参考の優先順位としては、ネットの書き込みなどはあまり高くありません。

――ゲオがゲームの販売や買取事業を始めた経緯を教えていただけますか?

海津: 1986年に開業して間もなく「レンタル商材だけではなくて、他にできることはないか」と考え、ゲームの販売や買取事業を始めたという経緯は聞いています。


――先日、『ファイナルファンタジーXV』が発売されて、大きな盛り上がりを見せました。海津さんが関わった過去の『ファイナルファンタジー』シリーズで、何か記憶に残るエピソードはありますか?

海津: 『ファイナルファンタジーXII』の発売日は、朝7時くらいから繰り上げ販売を実施したのですが、店舗に着いた時点でお客様がたくさん並んでいたのは印象深かったですね。その状況を見て、「すごいな」という純粋な感想を持ちました。今回発売された『ファイナルファンタジーXV』も、初日に並んだり、本体同梱版を買われるお客様がいて、ブランドのすごさをあらためて実感しました。

――ところで、ゲームが発売延期すると、お店側にはどのような影響があるのですか?

海津: ネット上で延期が発表されても、それを全く見ていないお客様もたくさんいらっしゃるので、まずは、お客様に連絡するという作業が発生します。人気タイトルだと、店舗あたり何十人にもお知らせしなくてはいけない状況になります。他には、売り場に置いているPOP(告知物)の差替え作業も発生します。

――話題のPlayStation VRは、ローンチ時の反響はいかがでしたか?

海津: 初日に関してはほぼ予約分で、少量の当日販売分という形で対応をしました。しかし、わずかしかない当日販売分に対して、10~20倍のお客様が並ばれていて、PlayStation VRの盛り上がりを感じました。

――ゲームに封入される特典は、パッケージ版の魅力だと思うのですが、たとえばゲオの店舗別特典などはどのように決められているのでしょうか。

海津: メーカーさんと話をして、素材をいただけるということであれば、特典を作らせていただきます。描き下ろしイラストなどの絵素材が多いですね。商品を販売する上で、その特典が売上に繋がると判断したものについては、ゲオ独自の特典として展開をしていきます。

――ゲームバイヤーともなると、ゲームの内容を深く理解することが求められますか?

海津: そうですね。特に中古ソフトを取り扱う上で、どれくらいのプレイ時間でゲームが終わって、お客様が「売ろう」とするのかを見極める必要があるので、自分自身でもなるべく多くのタイトルをプレイするようにしています。また、社内でもゲーム好きな人間が多いので、頻繁に情報交換したりしています。

――海津さんが入社された2006年には、ニンテンドーWiiがローンチされました。思い出はありますか?

海津: 出社する前に朝一で店舗を見にいったのですが、30~40人くらいのお客様が並んでいました。私も本体がほしかったのですが、その時は全く無理でしたね(笑)。

――Wiiは任天堂のヒット商品だったと思うのですが、当時の買取や販売の状況は。

海津: Wiiは、ミリオンヒットのタイトルがとても多かった機種で、ローンチから最初の2年くらいは、常に本体の在庫が品薄ということが多かったですね。当然ながら、年末や書き入れ時ほど品薄になりました。

――先日、生産終了が話題になったWii Uについてはいかがですか?

海津: 個人的に、ポテンシャルを出しきれないまま終わってしまったハードかなと思っています。最初に『Nintendo Land』が発売されましたが、片方のユーザーがパッドを持って、もう片方のユーザーがモニターを見ながらリモコンを使って遊ぶというゲームでした。そういった分離的なゲームシステムというのは、その後ほとんど出てないんですよね。そういったギミックを活かしたゲームがもっとあれば良かったと感じます。

――ゲオの店頭でも、やはり『ポケモン』は人気ですか?

海津: 面白い話がありまして、『ポケモンGO』が社会現象になるほど人気になった影響で、ニンテンドーDS/3DSで発売されていた『ポケットモンスター』シリーズの売上が急激に伸びました。例えば、『ポケットモンスター オメガルビー・アルファサファイア』の中古版は、もともと2,000円くらいが相場だったのが、その時期は4,000円くらいまで跳ね上がりました。『ポケモン』とは話がそれますが、テレビの影響で中古の売上が伸びたこともあります。「アメトーーク!」で“桃鉄芸人“が放送されたときも、Wiiの『桃太郎電鉄』の売上が3~4倍になりました。


――話が戻りますが、買取価格はどのように設定されていますか?

海津: まず、商品が発売されたタイミングで、ゲオ全体としてどれくらいの在庫総数を持つかを決めます。その在庫総数を決める際には、販売と買取の状況を参考にします。次に「各店でこのくらいの数が売れるはずだ」という設定を組んだ上で、その数をなるべく切らさないように価格設定を組んでいくという形ですね。

――中古ゲームの価格変動について、苦労されたことはありますか?

海津: クリアまでのプレイ時間が短いゲームは、お客様が売りに来られるのも早いので、大変ですね。そういったゲームは、価格の調整を毎日のように行っています。

――ゲームのジャンル的な傾向はあるのでしょうか。

海津: アクションゲームは他のジャンルよりもプレイ時間が短い印象があります。RPGはタイトルによります。また、FPSのようなオンライン対戦系のゲームだと、人気があってオンライン上にプレイヤーがたくさんいる場合は、買取が極端に少なくなります。つまり、ユーザーがずっと遊び続けているんです。こういったオンラインマルチプレイ商品の特性というのは、ある程度時間がたったタイミングで一定のお客様はソフトを売りに来られるのですが、アップデートが発生したタイミングで“買戻し”という現象が発生します。弊社としては、そういったタイミングで、下げた販売価格を元に戻したりしています。

――急激に買取価格が下がった事例はありますか?

海津: 大きく2パターンあります。1つは、新品の時点で厳しい実績だったという場合です。発売した時点で、お客様から支持を得られなかった場合ですね。そういった場合はゲオに限らず、全国ベースで新品の値段も下がっていくので、おのずと買取価格も下がっていきます。もう1つは、続編が出るタイミングで買取価格が下がります。例えば、毎年シリーズや続編が発売されるようなタイトルは影響が大きいですね。

――売れない商品は棚を占領する上にキャッシュフローを圧迫すると思うのですが、そうした商品はどのように対応しているのですか?

海津: 動かない商品については、需給バランスを見て、徐々に値段を調整していく形です。基本廃棄処分したりはしないですね。

――任天堂が発表した新ハードNintendo Switchに対して、何か期待していることはありますか?

海津: Wiiがあれだけ普及して、私たちも多くの販売実績を積むことができました。その反面、Wii Uはミリオンのタイトルもあるんですけれども、幅が広がりきらなかった印象があります。ハードが広く普及するだけのソフトラインナップを出してほしいという要望はありますね。

――ゲオが発表したPCゲームのレンタルサービスについて教えていただけますか?

海津: 日本では、PCゲームを取り巻く状況は競争が厳しい と思っています。流通ができない中で、弊社では全国1,200店舗で展開できるという利点と、お客様にレンタルという形で試してもらうことができるので、遊ぶ機会を増やすきっかけになれば良いと考えています。

――昨今、ゲームのダウンロード購入が多く利用されるようになっていますが、店頭でパッケージを販売するゲオとして、何か影響を感じられたり、課題にしていることはありますか?

海津: 今のところ大きな影響はありません。例えば、パッケージ商品が売り切れてしまったときに、その瞬間から店頭でもPOSAカードの売上が急に上がったりします。つまり、パッケージ商品の代わりに、POSAカードを買おうと判断しているお客様がいたりします。また、メーカーのサイトから直接ダウンロードされる本数は、売上全体に対してそう大きくない割合だと考えています。過去に比べパッケージ商品を取り巻く環境は厳しいものの 、ただちに対応が必要なレベルではないと判断しています。

――とはいえ、デジタルコンテンツやダウンロード販売の波は避けて通れない部分だと思います。ゲオとしての方向性や戦略は。

海津: まず、ダウンロード購入で利用できるウォレットを店頭で買っていただくのが、ひとつの対応方法ですね。また、現状ダウンロード版が広がりきっていないと弊社で判断している理由のひとつが、価格の問題だと思っています。多少値段が下がっている場合もありますが、基本的にはダウンロード版はパッケージ版とほとんど同じ価格で販売されています。しかし、弊社の場合だと、その販売価格を定価ではなく、値下げして販売できることが強みとして挙げられます。それに加え、中古で買う場合はさらにお得な価格で購入していただけます。また、お客様からすると、もしそのゲームが終わった後に、パッケージを売っていただくことで、新たなゲームの原資にしていただくことができます。ずっと続けてきたことではあるものの、そこがゲオの方向性になっていると思っています。

他にも、ダウンロードゲームの欠点として、ハードのストレージ容量が挙げられると思います。昨今のゲームだと、容量は数十GBにも及び、500GBの本体の場合だと、ソフトを10本ほどインストールしたら空きがなくなってしまう。ハードディスクを追加・交換したり、外付けにする必要が生じ、結局追加の出費が出てきてしまいます。現状は、こうした容量の問題がまだまだ改善しないと見ています。それから、インターネットの回線速度の問題もあります。ゲームの容量が膨大なれば、高速の回線がない限り、ダウンロードするのに何日もかかってしまう。以上のことから、まだまだダウンロード購入の利用者比率は少なく、パッケージ版にもメリットがたくさんあると弊社は捉えています。

――わかりました。海津さん、本日はありがとうございました。


(聞き手: 谷理央 / 文・撮影: 松木和成)
《編集部》

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