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「VRアクティビティ」はゲームセンターの未来を創造するのか

原稿を書いて、いろいろなフィードバックをもらえるのは嬉しいことです。それが肯定でも、否定であっても、自分の原稿を読んでもらったということにまず感謝したいと常々思っています。

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原稿を書いて、いろいろなフィードバックをもらえるのは嬉しいことです。それが肯定でも、否定であっても、自分の原稿を読んでもらったということにまず感謝したいと常々思っています。

なかには、とても丁寧に間違いを指摘してくれる読者がいらっしゃいます。貴重な個人の時間を使ってくれて、さらに自分に無かった知識を得ることができるのは素晴らしいことだと思います。そして、私自身は、いくつに成っても知識を習得し、新しい体験や感動を以って迎えられるようでありたいと思います。

さて、新しい体験と言えば、この場合は「体感」という表現のほうが適切だと思いますが、4月15日にお台場のダイバーシティ東京に開園したバーチャルリアリティ(以下VR)体験施設「VR ZONE Project i Can(ブイアール・ゾーン プロジェクト・アイ・キャン)」で現在稼働中の6つの「VRアクティビティ」を体験することができました。

「VRアクティビティ」という名称を使ったのは、私が体験した当日に取材したバンダイナムコエンターテインメントのAM事業部のプロデューサーコヤ所長こと、小山さんの命名に依るものです。つまりアトラクションという「惹きつけるもの、観てもらう」というよりも、自分で「アクションをする、感じる」という意味での「VRアクティビティ」です。

個別の「VRアクティビティ」のインプレッションはここでは行いませんが、体験しないものは語るべからず、「非現実の現実」を早めに体感してほしいと思います。

さて、他誌のコラムで、この「VRアクティビティ」は現在低迷しているゲームセンター復活のカギになるのではないかということを触れました。しかし、すべてのゲームセンターがそれに対応できるワケではありません。

かつて90年代の格闘ゲームのムーブメントの頃は約2万店舗あったゲームセンターが、現在は5000店舗ほどになってしまいました。

その背景には筐体やゲーム基盤の高額化や大型化、経営者の高齢化、顧客単価の低下などもあると思います。まさに時代の変化です。さらにはスマートフォンやタブレットなどのテクノロジーの一般化もそれを促進しました。テクノロジーは加速しましたが、コンテンツの新しいイノベ-ションが生まれにくくなったこともあります。

そこに、大型資本の大型店舗の出現により幅広い顧客へのアプローチが求められ、以前は下町の迷路のカオスのようだったゲームセンターは、整然と並んだコインゲーム、クレーンゲーム、そしてプリクラというまるで新規に造成された住宅の区画のようなレイアウトになってしまいました。

皆さんも思い返してほしいのですが、通学路や通勤途中にあった街並みで、ポッカリと古い家屋などが撤去されて、新規に造成され、新しいビルなどが建つと、そこに以前にあったものの記憶が浮かばないことはありませんか?

おそらく今のゲームセンターもそのような状況になっているのではないでしょうか。昔を知る古参プレイヤーにとってはある種の猥雑さや興奮をもたらしたものが無くなってクリーンなスペースに……そこに激しい記憶のギャップを感じながらも、今そこに来ている顧客にとっては何の違和感もないという場所です。

「VRアクティビティ」がゲーセンを救えるかという問いに関しては、エンタテインメントというルーツは同じでも別の成長と進化がVRにあるのではないかと思うことがあります。個人的には、かつてVR的なギミックを使ったコンテンツや筐体モノを多数プロデュースしていたセガの積極的な参入を期待しています。

あの頃はよかった的な発想は老人の発想に過ぎません。常に今を生きる人がどう思うか、どう感じるかが市場であり、需要です。

VRへの注目がテクノロジーの進化だけに終わらず、「VRアクティビティ」として、広く受け入れられ新しい体験として体感できることを応援していきたいと思います。

(※写真はバンダイナムコエンターテインメントのAM事業部のプロデューサー小山様と筆者)

最後は次回、黒川塾のご案内です。

5月31日(火) 黒川塾35 開催決定 
「ゲームビジネス潮流観測 ~ 藍綬褒章受章記念ナイト」
ゲスト:和田洋一 株式会社スクウェア・エニックス 前会長

家庭用ゲームソフトから、ガラケーコンテンツ、そしてスマートフォンコンテンツ、クラウドゲーミングまでのビジョンを描き、そして実現に向かい走り続けた株式会社スクウェア・エニックス 前会長、和田洋一氏をゲストとしてお迎えしました。コンテンツ、デバイスなど、2016年のコンテンツとデバイスなどの萌芽の時代のあるべき姿を語り合いたいと思います。皆様の積極的なご参加をお待ちしております。

参加申し込みはこちらから
■PeaTIX ↓(ネットからのお申込みはこちらから)
http://peatix.com/event/168121

■著者紹介

黒川文雄
くろかわ・ふみお 1960年、東京都生まれ。音楽ビジネス、ギャガにて映画・映像ビジネス、セガ、デジキューブ、コナミDE、にてゲームソフトビジネス、デックス、NHNjapan(現LINE・NHN Playartにてオンラインゲームコンテンツ、そしてブシロードにてカードゲームビジネスなどエンタテインメントビジネスとコンテンツの表と裏を知りつくすメディアコンテンツ研究家。コラム執筆家。アドバイザー・顧問。黒川メディアコンテンツ研究所・所長。黒川塾主宰。「ANA747 FOREVER」「ATARI GAME OVER」(映像作品)「アルテイル」「円環のパンデミカ」他コンテンツプロデュース作多数。

「VRアクティビティ」はゲームセンターの未来を創造するのか・・・黒川文雄「エンタメ創世記」第53回

《黒川文雄》
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