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【特集】知られざる「4DX」の裏側 ― 紅茶を飲みながら「ガルパン」や、オススメ作品、エフェクトの仕組みなどを担当者に訊いてみた

最近は若者の映画館離れが進んでいるなんて言わている一方で、『アバター』で世界を魅了した「デジタル3D」から始まり、超巨大スクリーン「IMAX」、音が骨まで響く「爆音上映」といった様々な上映方法が登場し、劇場でしか味わえない独自の体験が人気となってきています。

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◆4DXの気になるところ

遊園地のアトラクション顔負けの迫力ある演出が楽しめる4DX。一体誰がギミックを使うタイミングを考えているのか。食べ物や飲み物を持ち込んで、こぼれないのか。気になるところを「ユナイテッド・シネマ」の営業部の梶谷さんに聞いてみました。

――国内で一番人気だった4DX作品はなんですか。

梶谷:興行収入とリンクする部分もありますので、やはり『スター・ウォーズ/フォースの覚醒』が一番ですね。昨年は、同じく4DXで人気だった『ジュラシック・ワールド』など洋画のシリーズ物の大作が多く、4DXシアターが増えたという背景もあって一番となっています。

――人気といえば『ガールズ&パンツァー』の反響はいかがですか。

梶谷:都心の劇場ではチケットの販売を開始してからすぐに売り切れるほどでした。ローカルの週末でも完売が続くというような状態になりました。『ガールズ&パンツァー』は11月に通常上映が行われましたが、今回は権利者も監督も4DX化に前向きに考えていただき、エフェクトを付けて改めて4DX版を公開という運びになりました。

――『ガルパン』の4DXといえば、『ダージリン様のポップコーンセット』を販売されていますが、紅茶やポップコーンはこぼれないんですか?

梶谷:4DXシアターに入る際スタッフが、ポップコーンは袋をかぶせ、飲み物のカップには通常の蓋の上にさらに専用のカバーをつけますので、こぼれずに映画を快適に楽しめるように対応しておりますので、ご安心ください。



――4DXにはどんなお客さんが来ているのですか。

梶谷:遊園地に行く感覚で映画館に来館される若者層からのの人気が高いですね。最近、若者が洋画から足が遠のいていると言われていますが、4DXを導入することで、そういった層の方々にも楽しんでいただいています。

また、4DXに向いている作品というのは、洋画の大作というイメージがもたれるのですが、一昨年公開されたCGアニメの『ベイマックス』はファミリー層に大変好評で満席が続くなどということもありました。

これからも幅広い層のお客様に来ていただけるよう、洋画だけでなくアニメなども積極的に4DXで上映していくように編成しています。また、人気作品のアンコール上映も行っています。

――4DXに向いている作品ということですが、誰が4DX化する作品を選んでいるのですか。

梶谷:CJ 4D PLEX社が、映画スタジオなどの権利元と話をして許可が出たものに関して4DX化ができます。

配給会社が4DX化を決めることもありますし、われわれ劇場側が要望を出して実現ということもありますので、ケース・バイ・ケースですね。

――誰がエフェクトの出るタイミングを考えているのですか。

梶谷:CJ 4D PLEX社には4DX職人とも言うべき、エフェクト専門の熟練プログラマー・チームがいて、彼らがエフェクトのタイミングから、安全確認まで細かいところまで作りこんでいきます。その後、映画の監督やプロデューサーなどに4DX版のテスト上映に参加してもらい、監修してもらった上で、お墨付きをもらってから、上映という形になっています。

――今後新たなエフェクトが増えることはありますか。

梶谷:まだ詳細は発表できないのですが、今まさに新しいエフェクトを準備中です。

――現在公開中の作品で、4DXで見るべきオススメ作品はありますか。

梶谷:『マッドマックス 怒りのデス・ロード』ですね。昨年6月に封切られた作品ですが、今回アカデミー賞おめでとうということで、リバイバル上映がをスタート、3月24日まで上映しております。全編4DX向きの作品なので、きっとお楽しみいただけると思います。

また先の作品ではありますが、3月25日からの『バットマン vs スーパーマン ジャスティスの誕生』、4月29日からの『シビル・ウォー/キャプテン・アメリカ』と続くアメコミ映画もオススメです。

◆◆◆ ◆◆◆ ◆◆◆

というわけで、ポップコーンや飲み物が飛び散って大変なのかとおもいきや、しっかり対策がされているということ。4DXでどんなに揺れても、一滴たりとも紅茶をこぼしたりしたくない「ガルパン」ファンのみなさんも安心してティータイムを楽しめそうですね。

◆CJ 4D PLEX社に技術面を訊いてみた

しかし、大量に出ている水はどこから来ているのか。一体あの雪は何で出来ているのか。といった技術面で疑問が残ったため、今度は技術面に関して4DXを生み出したCJ 4D PLEX社の担当者に話を伺ってみした。

――1 シーンで使用できるエフェクトの分量は決まっていますか。


CJ 4D PLEX:どの演出を行うのかはシーンによって決まってきますが、1 シーンで使用できる上限はありません。上映時間中ずっと演出を行うことも技術的には可能です。

1作品のエフェクトの平均としては、シートが動くエフェクトを 4 割、環境効果(雪、雨、嵐などの効果)を 1~2 割。全体で、エフェクトのある部分が 1/3を超えない程度で考えられています。

――飛び出る水は、どこにどのくらいの量が貯められているのですか。

CJ 4D PLEX:貯水タンクが設置してあり、そこに貯めた水が配管を通して皆様に供給される形になります。

――匂いはどうやって作っているのですか。

CJ 4D PLEX:機械の中のシステムルームで専用カートリッジを用いて、「ローズガーデン」や「ホワイトガーデン」、「海」など、多様な匂いを用意しています。

カートリッジはアメリカのセントエア社製で、同社が作っている 2000~3000 種類の匂いの中から、基本中の基本の匂いを8種類カートリッジで用意してセットしています。それ以外に 2 種類のカスタマイズした匂いをカートリッジにしてセットすることもできます。

――風の風量は、強弱を付けることが出来るのですか。

CJ 4D PLEX:ファンの回転速度をプログラマーが調節するので、シーンごとで風の強さも調節できます。

――雪のエフェクトに使っているものは何なのですか。

CJ 4D PLEX:雪の演出は専用の液体をシャボン玉に似た仕組みで飛ばして、雪の演出をしています。ちなみに、この液体は体に害はありません。

◆◆◆◆ ◆◆◆◆ ◆◆◆◆

これで4DXにもだいぶ詳しくなれましたね! あとは4DXを体験するだけ。今まで『4DX』を体験したことが無いという方は、大作・話題作が続き、名作のリバイバル上映もある今が絶好のチャンス。普段映画を見ないという人でもアトラクションとして楽しめますので、熟練の4DX職人が作り上げた独特の臨場感を劇場で味わってみてはいかがでしょうか……!

筆者のオススメ作品は、やはりスター・ウォーズおじさんとして『フォースの覚醒』……と言いたいところでもありますが、やはりアカデミー賞でなんと6部門も受賞するという快挙(V6!V6!)を達成した、『マッドマックス 怒りのデス・ロード』。

激しく座席が揺れ、顔面に血しぶきを食らう興奮も味わうことができるので、4DXが初めてという人も、通常版で観たよという人も、是非一度4DXで観てみて欲しい! ちなみに、飲み物無しで喉が渇いた状態で見ると、水が貴重な世界観とマッチして、没入感が高まるのでぜひお試しください。
《傭兵ペンギン》
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