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ポケモンが現実世界と仮想世界を繋いでいく、20年目の挑戦・・・株式会社ポケモン代表取締役社長・石原恒和氏インタビュー

ゲームビジネス その他

ポケモンが現実世界と仮想世界を繋いでいく、20年目の挑戦・・・株式会社ポケモン代表取締役社長・石原恒和氏インタビュー
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クリエイティブで壁を超えた海外展開



―――ポケモンは海外でも例外的にヒットした作品ではないでしょうか。テキストを読ませるゲームで、ヒットした例は皆無と言っても過言ではないと思います。

海外版は山内さんの鶴の一声でスタートしたんです。無論、アメリカでは厳しいよねという空気があるところにです。僕と岩田さんとで、「山内さんがやれというならやるしかないよね」と言って。でも当時、ゲームフリークは続編の『ポケモン 金・銀』で精一杯だったので、岩田さんにエンジニアリングの部分はお任せしたんです。彼の凄いところは「ゲームフリークさんは『ポケモン 金・銀』に専念してください。『ポケモン 赤・緑』は仕様や構造を一切聞かずにローカライズします」と言うわけです。もちろんクリエイティブ面ではポケモンや町や技の名前など新しいものが沢山必要でしたけどね。



※山内溥氏
任天堂の3代目の社長で中興の祖。1949-2002年に社長を務めた。故人。

※岩田聡氏
任天堂の前社長。HAL研究所の社長を経て4代目の任天堂社長に就任。2002-2015年に社長を務めた。故人。

※石原氏も出演している4Gamer.netの岩田氏の追悼特集で『ポケットモンスター 赤・緑』のローカライズにおける岩田氏の功績については詳しく述べられている

―――海外に持っていくに当たってポケモンのネーミングは苦労があったそうですね

ピカチュウはピカチュウで良いのか? という問題には非常に苦労しました。ピカチュウは日本人からすると、電気の「ピカ」とネズミの「チュウ」で意味のある単語に感じられますが、日本以外では意味が通じない、ナンセンスなんです。ナンセンスは評価できない。意味のない擬音語の羅列を良いか悪いかと聞かれても答えようが無いわけです。これはもう、1つ1つ考える他なかったんです。

ピカチュウは世界共通にしました。意味は通じないかもしれませんが、全世界で商標も取れるし、ピカチュウで行きましょうと。でも、全部そのままだと意味不明のオンパレードになってしまいますので、フシギダネは不思議な種を背負ってるからフシギダネなので、種を意味するBulbと恐竜を表すSaurusを合わせてバルバザー(Bulbasaur)に。念のためアメリカ人に聞いてみるとツボミを背負ったトカゲや両生類をイメージするというのでOKと。ヒトカゲは木炭を表すCharcoalと火のトカゲを表すSalamandraを合わせてチャーマンダー(Charmander)に。アーボも分かりづらいからアメリカではイーカンス(Ekans)。でもそれってスネークの逆さ読みで、アナグラムなんです。

何か法則性を持って英語にしたわけじゃなくて、みんなで一生懸命、1つずつ言葉にクリエイティブを込めて考えていったんです。それによってそれぞれのポケモンが生き生きとしたものに感じられるようになったと思います。その国のダジャレのようなものも取り入れながら、不思議な生き物の中に込めていったわけです。151匹のうち、かなりの割合で日本語と異なる名前が付いたことで、アニメの吹き替えでの大変さは何倍にもなりましたけど・・・。でも頑張って名前を付けたお陰で、世界中で受け入れられたという側面も大いにあると思います。


英語版でもピカチュウはピカチュウ


―――海外でも日本と同じような流れで人気が高まっていったのでしょうか?

海外展開がスタートしたのは、日本から2年以上遅れてのことだったので、やり方は随分変わりました。2年あったので、その間にアニメが放送され、映画もあり、カードゲームも発売されました。なので米国に上陸するに当たっては、既に色々な武器をもっている状態でした。米国ではまずアニメを先に放送して、ポケモンの世界を広めておいて、ゲームでより一層深い体験をしてもらう、カードゲームではもっと戦略性の高い遊びを提供する、という戦略でスタートしました。日本では当然ゲームからスタートでしたので、順番を変えて提供したということになります。山内さんからの鶴の一声から、実際にリリースできるまでには2年かかっていて、その間に武器が色々作れたので上手く立ち上げられました。これが日本と同時だったら失敗していたかもしれませんね。運やタイミングもあったと思います。


「ポケモンワールドチャンピオンシップス」現在では世界大会も開催され盛り上がりを見せている


―――海外でも成功した要因として、ポケモンが人類の普遍的なテーマを追っているということもあるのでしょうか?

そういうこともあるかもしれません。ポケモンは身近なテーマを描いているんです。小動物を飼うとか、昆虫が蛹になって蝶になるというような成長とか。そういう体験は人類共通の部分があるかもしれません。これが剣と魔法の世界だと、好みが分かれるでしょうし、バイオレンスの要素が入ってくると対象年齢も上がってきてしまいますからね。見方によっては、ポケモンは日本の怪獣や西洋ファンタジーの伝説上の生き物の延長線上の存在、という捉え方もできますが、日常生活で誰もが体験するような、昆虫採集の虫、家で飼っている犬、川で釣った魚、のようなもっと身近な存在として理解されたんじゃないかと思います。

次のページ: ポケモンを次のステップに進めるもの
《土本学》

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