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【レポート】VR空間を歩く魅力は格別!「HTC Vive」体感&インタビュー

【レポート】VR空間を歩く魅力は格別!「HTC Vive」体感&インタビュー

2016年2月22日(月) 19時06分

台湾のスマートフォンメーカー・HTCと、SteamでおなじみのValveによる共同開発が話題となっているVRヘッドセット「HTC Vive」。このたび、HTC NIPPONにてその最新版の試遊と、最新情報が得られるインタビューをする機会に恵まれましたので、その様子をお届けします。

“ルームスケール”――仮想現実を歩くことの魅力と説得力


VRヘッドセットといえば、Oculus VRの「Oculus Rift」やソニーの「PlayStation VR」を思い浮かべる方も多いと思います。それらに対する「HTC Vive」の最大の特徴は「ルームスケール」と呼ばれる“部屋の中(ほどの広さ)を歩き回れるVR体験”を提供してくれることにあります。「HTC Vive」は、ヘッドセット、2つで1組のコントローラ、「SteamVR Base Station」と呼ばれる赤外線照射装置2台で構成されており、ヘッドセットとコントローラにはそれぞれセンサーが内臓されています。

「HTC Vive」のヘッドセットとコントローラ。ヘッドセットの前面にはフロントカメラがついています

この赤外線とセンサーで割り出した自分の位置情報をPCにリアルタイムで送信することにより、VR空間を歩き回れるというわけです。現実で壁が目の前に迫ると、VR空間にも格子状の壁が表示されるようになっていますので、夢中になりすぎてリアルで壁とゴッツン、という心配もありません。

右に映っているのが「SteamVR Base Station」。部屋の対角線上に配置します

筆者がこの日体験できたソフトは、海底探査を味わえる「theBlu」、事務用品や家電を操作して遊ぶ「Job Simulator」、VR空間に自由にお絵かきができる「Tilt Brush」、宇宙を舞台としたシューター「A-10 VR」の4本。どのソフトにも共通して言えることは、「VR空間を歩き回れることによる説得力が極めて大きい」ということ。自分が実際にその世界を歩くことで、眼前に広がるVR空間の広がりや奥行きが極めて自然に感じられ、この上ない没入感を得られました。

「HTC Vive」の装着風景。ヘッドセットからのびるケーブルはPCへとつながっています

それぞれのソフトを体験して“酔う”ことはありませんでしたが、最後に椅子に座ってヘッドセットを外してもらうときにクラッとしました。VR世界に没入しすぎて、現実の部屋の中で自分がどう動き、今どの辺にいるのかをまったく見失ってしまっていたのです。筆者は「Oculus Lift」も「PlayStation VR」も体験したことがありますがこういった感覚は初めてで、とても新鮮でした。

また、その他のソフトとしては手軽にパターゴルフを楽しめる「CLOUDLANDS:VR MINIGOLF」や、文字通り四方から迫るゾンビを銃で撃退するシューター、ValveがSteamで配信する「Dota 2」の特定のシーンを楽しめるインタラクティブゲームのようなタイトルなども体験することができました。

「CLOUDLANDS:VR MINIGOLF」。パット後は、ボールのある位置に瞬時に移動することもできました


編集部員が体験中の様子。

この上ない没入感を与えてくれる「HTC Vive」。気になる価格は? PCの動作環境は? HTC NIPPONの代表取締役・玉野浩氏と、開発に携わっているレイモンド・パオ氏にインタビューすることができましたので、そちらも併せてお届けします。

ローンチタイトルは? PCの動作環境は? 「HTC Vive」のキーマン2人にインタビュー


――まずは簡単なプロフィールをお聞かせください。

玉野浩氏(以下、玉野):パナソニック モバイルコミュニケーションズ、NTTドコモを経て、去年の1月にHTC NIPPONの代表取締役に就任しました。30数年間、移動体通信に関わり続けているガジェット好きです(笑)。弊社の主要なビジネスはスマートフォンで、auさんに年に一機種出させていただいていて、昨年10月からは、SIMフリー市場にも参入しました。消費者のみなさんが、どういうモチベーションで購入してくださるのかを調べられればと。

レイモンド・パオ(以下、レイモンド):私は2007年に入社してWindows Phoneの開発に携わり、2008年には、androidを搭載した世界初の端末・T-Mobile G1の開発に携わりました。その他、ソフトウェアの開発にも携わっています。そして2014年に今のCEOオフィスに移り「New Technology」という部署の担当になりました。弊社に利益をもたらせるであろう新しい技術を探すのが主な業務です。そしてVRに行きつきました。2015年からは、VRをメインに担当しています。

――それでは、Valveとの共同開発に至った経緯をお聞かせください。

玉野:2014年にゲーム配信の世界的なトップであるValveさんと知り合えて、本当にVRを推進するためにベストなものを作ろう、と意気投合したのが始まりです。そこから1年足らずで初のデベロップメントキットが完成し、それを発表したのが昨年のMobile World Congress 2015(スペインで開催される、世界最大規模のモバイル展示会)でした。以降は、その開発キットを提供してのファミリー作りをずっとやっておりまして、今は7000くらいのパートナーさんに恵まれています。

――共同開発にあたり、役割分担などはどのようにされているのでしょうか。

レイモンド:どちらが何を担当するというわけではなく、そうした線引きなしに双方の技術と知識を出し合い、ハードウェアもソフトウェアも共に開発をしています。これほどの規模は前人未到のプロジェクトといって差し支えないほどで、開発開始以降、それぞれが得意な分野でもいろいろと壁にぶつかりました。センサーの安定性や正確性の向上、ディスプレイのクオリティ確保……レンズの製造ひとつでも困難だらけでしたね。

――レイモンドさんから見たValveはどのような企業でしょうか。

レイモンド:とても変わった会社です。役職という概念が希薄で、あそこでは誰もが開発者で、誰もがエンジニアなんです。何かプロジェクトが動き始めると、チームが一丸となり、誰もが何でもやって作り上げていく。非常に生産性に優れています。いつも新しいことに挑戦していて、それでいて結果を出しているところもすばらしい。代表取締役のゲイブ・ニューウェル氏とは一度だけお会いしたことがありますが、“ボス”や“社長”といった雰囲気はなく、ただひたすらに“スーパーゲーマー”だなと感じました(笑)。

Valveのゲイブ・ニューウェル氏はとにかく“スーパーゲーマー”でした、と語るレイモンド氏

――Oculusやソニーなどの競合他社をどう見ておられますか。

レイモンド:競合というより、まずは一丸となってユーザーのみなさんにすばらしい体験を届けることが重要です。今はそういうステージだと思っています。みなさんに気に入っていただかないことには、市場が広がりませんから。もちろん、例えば「HTC Vive」があれば部屋の中を歩き回れるというように、それぞれに異なるメリットや個性がありますが。

玉野:われわれだけで大きくできる市場には限度があります。Oculusさんやソニーさんと一緒に盛り上げていきたいですね。

――「HTC Vive」の大きな強みである“ルームスケール”についてお聞かせください。

玉野:ヘッドセットを装着しながら、部屋を歩き回れるのが「HTC Vive」の大きな魅力です。部屋の対角線上に設置する2つの「Base Station」からインフラレッドのレーザーを照射してX軸とY軸を割り出し、それをヘッドセットとコントローラそれぞれについているセンサーで感知、その位置情報をリアルタイムでPCに送信することで、常に自分の立ち位置にあった画像を高速で表示しています。これは非常にリアルで、なおかつレイテンシ(遅延)もありません。レイテンシは“酔い”の一番の原因にもなりますから。映し出される映像も、もっとも酔いにくいとされる90fpsを実現しています。

レイモンド:ルームスケールのコンセプトはValveから挙げられたものです。開発当初、まずはヘッドセットができましたが、それだけを被っても何をすればよいかが分かりません。次にコントローラができ、さまざまなものを動かすことができるようになりました。そうなると、今度はその世界を歩きたくなってくる……そうした遍歴がViveをここまで進めてきました。360度、本当の体験を提供するには歩けるようにするしかない。モニター越しに見ているだけでは、やはり距離感がありますから。

――確かに、眼前に広がる世界を歩けることの説得力はとても大きいものでした。先日「Oculus Lift」が599ドルであると発表され話題となりましたが、気になる価格はどの程度になるのでしょうか。

玉野:価格とPCの動作環境は、2月22日から開催される「Mobile World Congress 2016」にて発表させていただきますので、あと少しだけお待ちください(※2月22日に発表済み、本体/コントローラー/センサー/ソフト2本同梱で799ドル』。PCは、CPUがCorei5くらいなら充分な程度です。ValveさんのSteamを愛好されているみなさんはPCを自作されている方も多いでしょうし、また、HTC Viveを最初に買ってくださる可能性があるのも、そうしたこだわり派の方が多いと思いますので、お持ちのPCならそのまま動くのではと思います。価格はOculusさんの価格設定を参考にしています。そこからかけ離れると、みなさんにメリットを感じてもらいづらいですから。その後、3月1日から全世界同時で予約を開始し、製品のお届けは4月いっぱいくらいを見込んでいます。

――ロンチタイトルは何本くらいを予定されておられますか。

玉野:これまでにも対応ソフトを何タイトルか発表させていただいていますが、正式なロンチタイトルが何本になるかは、3月16日から開催される「Game Developers Conference」で発表させていただきます。

きたる予約開始~発売に向け、価格や動作環境、ロンチタイトルを順次発表すると意気込みを見せる玉野氏

――これからさまざまなVR機器がリリースされますが、「HTC Vive」で今課題に感じておられることはありますか。

玉野:やっぱり「ヘッドセットをいつワイヤレスにできるか」ですよね。今の技術では有線じゃないと処理が追いつきませんが、ゆくゆくはワイヤレスにできたらと。

レイモンド:そのもっと先にある最終的なゴールは映画「マトリックス」の世界ですよね(笑)。ゲームから始まった「HTC Vive」が、工業や医療などさまざまな分野で用いられるようになり、どんどんみなさんにとって身近なものにできればと思います。ワイヤレスの実現はもちろん、ディスプレイもまだまだクリアにできると思っていますし、PCの処理能力ももっと必要ですし、ネットワークもさらに早くなる必要がある。ハードウェア企業としては、やれることがたくさんあると思っています。

玉野:ゆくゆくは、VRを中心としたエコシステムが構築できるといいですね。それは他社さんにもメリットのあるお話だと思いますので。

――それでは、最後に読者へひと言お願いします。

玉野:「なぜスマートフォンのメーカーがVR機器を?」とよく言われるのですが、弊社の理念はスマートフォンに限らず「いろいろなことにチャレンジして、みなさんの豊かな生活の実現に貢献すること」なんです。そして、それにはイノベーションが必要です。android搭載のスマートフォンを世界で最初にリリースしたのは弊社だという自負もありますし、その精神を忘れずにやっていきたいです。まだVRを経験されたことがない方も多いと思いますが、これから体験できる場所や機会もしっかり用意していきますので、ぜひ「HTC Vive」のすごさを味わっていただければと思います。よろしくお願いします。

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(Article written by 蚩尤)

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