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【インタビュー】Twitch日本支部に「人気配信者になる秘訣」を訊いた

日本のe-Sportsシーンや映像配信サービスに新たな息吹を吹き込みつつあるTwitchスタッフ陣にインタビューを行い、彼らが考える今後のプラン、「日本市場での戦略」、「人気Twitch配信者になるためのヒント」までを訊いてみました。

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【インタビュー】Twitch日本支部に「人気配信者になる秘訣」を訊いた
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YouTubeやニコニコ生放送などと共に、e-Sportsや人気ゲームの映像配信プラットフォームとして大きな賑わいを見せている「Twitch」。『Hearthstone』や『League of Legends』といった人気オンラインタイトルが日本に上陸し、注目を集めているなか、彼らもまた日本への展開に向けて大きく動き出しています。インサイド/Game*Sparkでは、日本のe-Sportsシーンや映像配信サービスに新たな息吹を吹き込みつつあるTwitchスタッフ陣にインタビューを行い、彼らが考える今後のプラン、「日本市場での戦略」、「人気Twitch配信者になるためのヒント」までを訊いてみました。

――まずは、Twitch日本支部の皆さんの自己紹介をお願いします。

野田龍太郎氏(以下、野田): 「アール」という名前でゲーム実況者として活動していました。コミュニティーマネージャーとしてパートナーシップを結んだり、コミュニティーと面した部分を担当しています。

Eric Kotaro Inge氏(以下、Eric): マーケティングマネージャーを担当しています。プロゲーマーや配信者ではありませんが、「コアなユーザー」だと自負してます。過去にはPC関連の仕事も行ってましたが、「趣味を仕事にしよう!」と思い立って脱サラしてここまでやってきました。

Victor Denchartphan(以下、Victor): Twitch日本支部でディレクターをやっています。これまでには『ウルトラストリートファイターIV』のプロプレイヤーとしても活動しており、「Twitch」では「2015 Capcom Pro Tour」の支援なども行っていました。

北垣文江氏(以下、北垣):  パブリッシャーさんと関わるリレーションズマネージャーを担当しています。以前には「League of Legends Japan League(LJL)」「e-sports SQUARE AKIHABARA」立ち上げにも関わっていました。

金聖桓氏(以下、キム): パートナーシップマネージャーとして在籍しています。私も「LJL」などの立ち上げから関わっており、日本の『LoL』プロゲーマーの活動を支援してきました。

――現在「Twitch」を使ってゲームプレイを配信/視聴している日本人ユーザーの利用状況を教えて下さい。

Eric: ユーザー数に関しては、配信者数や放送数、視聴時間も含めて毎月急速に伸びています。最近では“シニアゲーマー”の「みやび」さんのような、これまで考えられなかったようなユニークな配信者も見られています。これまでは「ゲームのうまい人」「プロe-Sports選手」「大会」が主に人気でしたが、日本市場ではまた違ったトレンドも見えてきています。

――特に日本人ユーザーが好んで配信/視聴しているゲームタイトルはどのようなものになるでしょうか。

Victor: 大まかなトレンドは世界的に見ても同じようなもので、『League of Legends』や『ストリートファイター』などが人気です。日本の場合だと他の格闘ゲームも。『鉄拳』や『ストリートファイターIII 3rd Strike』などもよく見られています。

――Twitch運営サイドとして特に注目している日本の配信者はいますか。

Victor: 特にTwitchとして注目している配信者個人というのはいないのですが、今は配信者や視聴者がTwitchと触れ合う環境に注目して活動しています。

――Twitchが計画している独自の「日本ユーザーに向けた取り組み」について教えてください。

Victor: 日本に限ってだけではないのですが、他国に進出する際には「その国の文化」にも注目しています。例えば、日本ではゴールデンウィークやお盆など独特のホリデーシーズンがあるので、それにあわせたイベントなどもやっていきたいです。

Victor: 「Twitch」のチャットでは「スタンプ」がとても人気で、これは各配信を「サブスクライブ」することで得られるチャンネル独自のものや、元々無料で使えるグローバルスタンプというのもあります。特に海外では「Kappa」などが人気ですが、日本ではあまりポピュラーではありません。そこで、現在は「世界的にリリースする日本発のスタンプ」というのも検討しています。

Eric: 日本進出と他地域における「差別化」を図る上では、スタンプは大きなポイントとなるかと思います。

――『League of Legends』人気配信者Otofuさんと「LJL」実況のeyesさんのRanked Duo(※2人が同じチームに入って試合をするモード)を行った際にはオフィシャルTwitter(@TwitchJP)やトップページでも取り上げていましたが、この配信は「Twitch日本の公式イベント」として行われていたのでしょうか。

Eric: 公式企画ではないのですが、元々eyesさん達は「パートナーチャンネル(※広告やサブスクライブで収入を得られるユーザー)」なので、Twitch運営側から企画提案することがあります。コミュニティーが作ったコンテンツを支援する形で、どういった企画をやりたいか伺う場合もあります。 公式配信として行うのは「東京ゲームショウ」などのイベント系くらいです。

――国内外での人気配信者の間では「サブスクライブ」や「ドネーション」といった文化が確立しているように感じます。これらの実際の金銭が関わるシステムについて、日本人ユーザーはどれほどコミットできているのでしょうか。

Victor: 他の地域に比べて日本人の配信者数はまだ少ないのですが、今後はその母数と共に増えていくと思います。「サブスクライブ」「ドネーション」以外では配信中にコマーシャルを流す「広告収入」で利益を得ている方もいます。今は配信者のみでなく、利益を得られる「パートナーチャンネル」の増加にも取り組んでいます。

――以前、『LoL』北米プロ選手のC9 Sneakyさんが、配信中に800ドルほど(約10万円)の「ドネーション」を受けていた瞬間を目の当たりにしました。彼の場合はプロゲーマーですが、「専業YouTuber」のように多額の収益を得て活動する「専業Twitchストリーマー」は存在しているのでしょうか?

Victor: 海外では実際にTwitchの放送だけで“すごくいい生活”をされてる配信者もいます。ちなみに、Twitchで配信した映像をYouTubeにエクスポートすることも可能です。つまり、TwitchとYouTubeの両方から収益を得ている人もいるのです。

Eric: 最近は「プロゲーマー」も浸透してきましたが、今後は「プロ配信者」という言葉も流行るといいですね。日本でもそのような傾向は見られつつあります。それと、Twitchでは人気配信者にスポンサーをつけるための支援も行っています。服や周辺機器、パソコンのみならず食べ物を提供することもありますね。

北垣: ちなみに、「ドネーション」機能はTwitch公式のものではなく、ユーザー達が制作したものです。「ドネーション」を告げるアラートも同様、Twitchオリジナルのものではありません。

――先ほど、「シニアゲーマー」や「日本人向けの人気ジャンル」について伺いましたが、これらを参考にした上で、専業で生活していけるような「人気Twitch配信者」になる秘訣、ヒントを教えてください。

野田: 「EVO」のような海外イベントに行って交流を持つのもチャンスかもしれません。「この人、よく分かんないけど海外ユーザーの間で人気だぞ」というような形で注目を集めて、逆輸入的に展開してみるような。グローバルに可能性を活かせるのが「Twitch」の強みです。

Eric: ゲームの腕前だけでなく、単純に「実況が面白い人」「友達になりたいと思わせる人」になるのも大事です。チャットを読み上げたり「顔出し」で個人性を出したり。その一方で「ただゲームがとても上手い」というだけでとてつもない視聴者数を誇っている人もいます。

Victor: 内容とは別に、「映像コンテンツとしてのバリュー」を高めることも重要です。ゲーム画面のみでなく「オーバーレイ(※ゲーム配信画面に付けるフレームのようなもの)」をつけたり、「サブスクリプションのマイルストーン(※目標購読者/金額を設定したユーザー独自企画)」を用意して番組を盛り上げるのも良いでしょう。

キム: この間知り合いのTwitch配信者から「視聴者数が増えないのですが……」という相談を受けたのですが、ユーザーコミュニティーとのふれあいのみでなく、「番組名」をどうつけるか、というのも重要です。

北垣: Twitchの番組は視聴者数が多い順で表示されるので、いかに探してもらえるかを意識するのもポイントのひとつです。

Victor: Otofuさんとeyesさんの配信のように、お互いのコミュニティーをすり合わせるのも面白いと思います。このお二人の場合は『LoL』をプレイされていましたが、全く違うゲームを遊ぶ人同士で一緒に配信してみるのもありかなと。

――最後に、2016年のロードマップを教えてください。

Victor : 2015年はユーザーの反響や市場など、とにかく「リサーチ」の年でした。2016年はこの調査の中で集めたデータを基に「実行」していく年になると思います。米国ではPAXやE3などがありますが、海外に比べ日本ではポピュラーではありません。2016年1月10日より始まったカプコンの「モンスターハンターフェスタ」配信を皮切りとして、日本に向けても大きく展開していきたいです。また、『パズドラ』『モンスト』『白猫』のようなスマートフォンゲームにも注目しています。日本ではスマートフォンで遊ぶゲーマーの割合も多いので、まだ発表ができませんが面白いことも考えています。

Eric: ユーザーの需要にあわせたマーケティング、そして「Twitch」の強みであるe-Sports分野の両方を活かした“合わせ技”で、日本のユーザーに向けて展開していこうと思っていますね。

――本日はありがとうございました。

Twitch Japan公式ツイッター
Twitch紹介動画 「ツイッチって何?」

記事提供元: Game*Spark
《Game*Spark》
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