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2016年はスマホゲームの第2ラウンド、生き残りをかけてひたむきに開発を続ける/セガゲームス秋山隆利氏インタビュー(後編)

2013年7月にサービスが開始され、約2年間で500万ダウンロードを達成するなど、セガの人気RPGとして確固たる地位を築いた『チェインクロニクル』。2016年は第3部がスタートするほか、アニメ化も行われ、その先の展開も続々予定されているといいます。

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2016年はスマホゲームの第2ラウンド、生き残りをかけてひたむきに開発を続ける/セガゲームス秋山隆利氏インタビュー(後編)
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2013年7月にサービスが開始され、約2年間で500万ダウンロードを達成するなど、セガの人気RPGとして確固たる地位を築いた『チェインクロニクル』。2016年は第3部がスタートするほか、アニメ化も行われ、その先の展開も続々予定されているといいます。本作のチーフプロデューサーの秋山隆利氏にお話を伺いました。前編はこちら

―――『チェンクロ』のアニメ化発表については驚きました。

秋山: せんだって『ケイオスドラゴン 混沌戦争』で、TVアニメ『ケイオスドラゴン 赤竜戦役』を放映し、ゲームとアニメの連動をさせてもらいました。実験的な位置づけでしたが、こちらの予想を超えた反響があり、ゲーム世界を深掘りして楽しみたい、DVD/Blu-rayをコレクションしたいというニーズを改めて感じました。これが背景となって、『チェンクロ』のアニメ化も決まりました。

―――トレーラーでは本格的なアクションシーンが披露されました。

そうですね。スピーディな殺陣やアクションは見どころです。また、キャラクターの魅力や愛着で遊ばれているお客様が多いので、ストーリーにこだわったものを見せた方が良いんじゃないかなあ・・・。そんな風に話が進んでいます。とはいえ、単純にゲームのストーリーを再現した内容にしても、それは違うだろうと。制作委員会の座組も、一緒にコンテンツを盛り上げてくれそうな会社さんばかりで、僕も楽しみにしています。


アニメ「チェインクロニクル ヘクセイタスの樹」


―――VRコンテンツなどへの広がりはありますか?

まったくノープランですが、おそらくそういった話も出てくるのではないでしょうか。来年はPlayStationVRとOculus Riftが発売されて、VR元年ともいわれていますしね。ただ、何か作るにしても、お客様の心に響く物じゃないと意味がないですから。「お金を出すから、好きに作ってください」では、ゲーム会社っぽくないですよね。

―――何か「意味」がほしいですよね。

そういう意味では、最近の宣伝環境は個人的にどうかなという気もします。スマホゲームでは、TVCMやウェブ広告をイベントにあわせて大量投下するのが一般的ですよね。でも昔はもっと宣伝を通して流れを作って、ユーザーの心情を高めていった部分があったじゃないですか。制作発表があって、雑誌記事があって、レビューがあって、みんなワクワクして新作の発売日を待って、お店に並んで・・・。

―――今となっては懐かしい感じもします。

パッケージゲームとF2Pの違いはありますが、何か違ったことをやりたいですよね。

―――海外展開の状況はいかがですか?

gumiさんと組んで北米・欧州・東南アジアで昨年11月に開始しました。それとは別に東アジアで盛大遊戯さんと進めています。とはいえ、弊社は日本企業ですから、まずは日本を大切にしつつ、海外展開も進めています。

―――1年ほど運営されてみて、何か違いは感じられますか?

モバイルゲームは生活に密着するものなので、現地のライフスタイルや通信環境に応じて、違いは出てきますよね。場所が変わるとモバイルゲームに対する考え方も違います。我々としても、もっとサポートができれば良いんですが、宣伝ならまだしも、開発となると手が足りないところもあります。やれるところから少しずつ、海外ユーザーへのケアも進めていきたいですね。

―――課金に対する考え方も、それぞれで違うでしょうしね。

日本と欧米ではちょっと考え方が違うんですよ。こちらとしては「おもしろいゲーム体験」が先にあって、必要に応じて課金してもらって、その中でキャラクターが入手できるという感覚です。しかし、欧米圏では、ゲームを進めるための手段としてキャラクターを直接購入したい、というニーズがあります。ゲーム自体が批判されているのではなく、ハマリ方次第なんだろうなと思います。

―――アジア圏はどうですか?

より日本に近い感じですね。ビジュアル面でも親和性が高いですし。特に台湾では『チェンクロ』の魅力について、先方の企業に良く理解してもらっています。一時期は数億円単位で売り上げがありましたが、今は少し落ち着いてきていますね。現地でもまた盛り返そうと努力していますので、我々も間接的に協力してきます。


『チェインクロニクル』チーフプロデューサーの秋山隆利氏


―――2016年はアニメ化に向けて一連の施策が進んでいく感じですか?

それとは別ですね。まず二部が終了して、三部が始まって、それとは別にアニメ化の情報が出ていくと思います。大前提としてモバイルゲームとしての『チェンクロ』があり、世界観やキャラクターの魅力を、それぞれのメディアやデバイスで深掘りしていくというのが基本です。

―――アニメ、漫画、PlayStationVita版など、さまざまな展開が行われています。

もともとオリジナルの『チェンクロ』は、さまざまな人生を背負った魅力的なキャラクターがたくさん登場して、それらがキズナによって繋がっていく様や、その背後にある世界観などを、ゲームというメディアで体験してもらうことがテーマでした。別のメディアやデバイスでは、その基本は守りつつ、また別の体験を感じてもらえるように準備をしています。

―――当然、柱である第三部も盛り上げていかないと……。

そうですね……。モバイルゲームって、エンジンをコピーしてゲームを派生させることが、意外とできるようで難しいのかなと感じています。家庭用ゲームだと可能なことでも、モバイルゲームだと、それだけでは「手落ち感」が強くて、受け入れられにくいんですよね……。そのため、エンジンのありようであったり、プレイフィールの違いを明確に出していきたいと思っています。

―――なるほど。

その中でも繰り返しになりますが、『チェンクロ』はキズナがテーマで、それが一番わかりやすいのがキャラクター間の会話シーンだと思いますので、そこで感情移入が強まるような要素や表現を考えていきたいですね。

―――いろいろと気になります。

まあ、2016年から2017年にかけては、そういった感じで準備をしています。「ええっ? こっちに来るんだ」と驚いてもらえるように、良い意味で裏切りたいですね。大きなことを言うようですが、モバイルゲームの発展に寄与するタイトルになるように動きたいと思っています。それくらい思い入れをもって作っているタイトルです。

―――2年以上続けていると、スマホの機種変更などが原因で、少なくないユーザーが離脱してしまっているのではないでしょうか?

ああ、そうですね。せっかく進めてもらっていたのに、引き継ぎがうまくいかなくて、続きが遊べなくなるというのは問題ですよね。キャラクター名、レベル、登録時期、フレンド情報などをカスタマーセンターに連絡してもらえれば、できるだけサルベージできるような体制にしています。以前より救出率が増していますので、諦めてしまうまえに、ぜひご連絡ください。

―――話は変わりますが、2016年のスマホゲームはどうなりますか?

激戦区ですよね。タイトルが溢れている中で、「ゲームとは何か」という真価が問われる年になるのではないでしょうか? 生き残れるのは、ゲームをひたむきに作っている会社だけだと思います。

―――VRに活路を見いだす動きもあります。

たしかに新しいアプローチはモバイルでも考えていかなければいけません。そういう意味ではセガは新しいことに、ずっとトライし続けています。だから、あまり変わらないのかな。何が正しいのかは、やってみなければわかりませんし、その一方で確実に売り上げを立てていく必要もある。スマホゲームという荒波の中をうまく泳ぎながら、生き残りたいですね。

―――「王道RPG」を唄うタイトルが増えている中で、あらためて『チェンクロ』がここまで育った理由は何だったのでしょうか?

これは個人的な意見ですが、「RPG」と唄いながら、実際にはRPGではないものもありますよね。じゃあRPGって何だという話になりますが、僕は単純にキャラクターが育つだけでは不十分だと思うんですよ。それに加えて、周りでいろいろなドラマがあって、キャラクターの葛藤などがあって、それらを疑似体験する遊びが、日本の王道RPGだと思っています。そういったモバイルゲームが2年前は『チェンクロ』くらいしかなかったんですよ。それをひたむきに作ってきました。

―――やはり「ひたむきさ」ですか。

RPGにはバトル、ストーリー、世界観、キャラクターなど、いろいろな要素がありますよね。それこそ一つの世界を丸々作りあげないといけない。作り手にとって、一番やることが多いゲームジャンルの一つだと思います。僕らは当時考えられていた規模の「モバイルゲーム」じゃなくて、「ゲーム」をモバイルというプラットフォームで作りたかった、それだけなんですよ。そうしたら、お客様がちゃんと答えてくれた。そういうことではないでしょうか。

―――逆に言うと、そうではないRPGも多いということでしょうか。

僕らは「自分たちが作りたい」ものがあり、その一方で「お客様にこういった体験をしてもらいたい」という思いがある。その両者を組み合わせてゲームを作っています。ただ、市場を見て思うのは、そのあたりがあやふやになっていて、「ゲームを作るためにゲームを作っている」ようなものが多いなあということなんです。だから、結果的に何を体験して欲しいのか、うまくまとまっていないものが多い気がします。逆にランキング上位にあるゲームはみんな、そこをちゃんと抑えているのではないでしょうか。

―――たしかに、だからこそ上位にきているわけですしね。

2016年はそうした「ツボをおさえた」タイトルが上位にひしめき合う中で、新たに生き残りをかけた第2ラウンドが始まる年だと思っています。そこをどうやって攻略して、生き残っていくかですね。いろいろ楽しみにしてください。





(C)SEGA
《小野憲史》
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