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【レポート】アニメ「僕だけがいない街」監督インタビュー…アニメにとどまらない作品づくりを目指した

1月7日より『僕だけがいない街』が放送を迎える。マンガとしても注目を集め、3月には実写映画も公開を控える本作。伊藤智彦監督に作品やキャラクター、今回声を演じる満島さんや土屋さんについてうかがった。

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ノイタミナ「僕だけがいない街」伊藤智彦監督インタビュー アニメにとどまらない作品づくりを目指した
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“リバイバル(再上映)=時が巻き戻る現象”によって、主人公・藤沼悟がとある事件を解決するため奔走するタイムリープ・サスペンス『僕だけがいない街』が1月7日よりフジテレビ“ノイタミナ”ほかにて放送がスタートする。
同作は「このマンガがすごい! 2014」や「マンガ大賞2014」にランクインした三部けい原作の大人気マンガをアニメ化したもので、アニメーション制作をA-1 Picturesが担う。監督は『ソードアート・オンライン』シリーズ『銀の匙 Silver Spoon』(第1期)などで知られる伊藤智彦。悟役のキャストに土屋太鳳、満島真之介の2人を起用した。
7日からの放送を控えた伊藤監督に、放送への意気込みや作品の魅力について伺った。
[取材・構成=川俣綾加]

『僕だけがいない街』
http://bokumachi-anime.com/

■サスペンスの皮をかぶったヒューマンドラマ

──伊藤監督といえば『ソードアート・オンライン』(SAO)を思い浮かべるアニメファンも多いと思います。今回は『僕だけがいない街』、トーンもサスペンスという全く毛色の異なる作品ですね。

伊藤智彦監督(以下、伊藤)
俺の中ではむしろSAOのほうが異端なんですよ。もちろんSAOで監督をやらせていただいたことは、とても嬉しかったし、色々な経験をさせてもらいました。一方でもっと日常やドラマっぽい作品も、機会があればやりたいなとずっと昔から思っていて。そんな時に『僕街』と出会ったんです。

──原作との出会いと、アニメに携わることになった経緯を教えてください。

伊藤
A-1 Pictures制作スタッフの渋谷くんという子から「面白いマンガがあるから読んでみて」と『僕街』を渡されたのがきっかけです。その時は単行本が2巻までしか出ていなかったのですが1巻のラストを読んで「うわ! 何だこれ!」と驚いて、2巻のラストを読んで「ねえ、続きはないの!?」と彼に聞いて(笑)。3巻の発売が待ち遠しかったですね。そこから僕が「こんな面白いマンガがあるからアニメ化しませんか」と色々な人に相談した結果、アニメ制作が決定しました。

──監督は原作の魅力をどう捉えましたか?

伊藤
一体どうなるのか、先の展開が全く予測のつかないドキドキハラハラ感。もう一つ、俺は悟とほぼ同じ年齢なので、悟の小学生時代のエピソードには郷愁を覚えるノスタルジックな雰囲気という点もあります。


──アニメ企画を提案した時は2巻までしか発売されていなかったとのことですが、物語としてはまだまだ序盤。展開としてこの先どうなるか本当にわからない中での提案ですよね。冒険的な部分もあったのではないかと思います。

伊藤
そうですね。言ってしまえば、派手なバトルシーンやアクションがあるわけでもなく、淡々と進むお話だと思うんです。社会的な問題を描くヘビーな部分もある。でも可愛い女の子のアニメじゃなくってもいいじゃない、と。

──演出で気をつけたことは?

伊藤
マンガ的表現はあまりしないようにしています。とはいってもマンガ原作のアニメなので、緊張感のある空気と、マンガ的な空気の部分はきっちりと分けています。作品の中で起こっていく事件への衝撃、その時の感情をストレートに伝えたいです。そのため全体的にはリアル寄りで緊張感漂う作品ではありますが、だからこそほっとするシーンはある種のありがたみみたいなものが感じられるようにしています。

──この作品はジャンルでいえばミステリやサスペンスですが、もっと近づいて見てみるとヒーローもののように見えたりと、色々な要素があると感じました。

伊藤
原作の三部先生、担当編集さんと話した時に、サスペンスというのは実は外側だけで、サスペンスの皮をかぶったヒューマンドラマを描きたいとおっしゃっていたんです。作品を読んで僕もそれは非常に納得できて。だからアニメもルックとしてはサスペンスの色は濃いですが、ヒューマンドラマを意識しています。その中に本当に描きたいものが見えるように。


──先ほど「リアル寄り」と言っていた部分と共通するかと思いますが、今回は声優でない方をキャストに起用されていますね。それはなぜでしょうか。

伊藤
たまたま彼らがぴったりだったということだけですね。悟に関しては、『ドラえもん』ののび太をリアル方向にした感じが欲しかったんです。そこに合致したのが土屋さんと満島さんだった。

──土屋さんと満島さん、それぞれどんなお芝居がポイントでしたか?

伊藤
土屋さんにはなんというか、とても昭和っぽさを感じました。お芝居、ご本人、両方に。声質もいい子感が強くて、人に悪い印象を抱かせることがないんです。満島さんは超朴訥。ご本人はおしゃべりなのですが。1話の悟のお芝居では思わず「お前大丈夫か!?」って聞いてしまいたくなるほどの朴訥さ加減でした(笑)。もともとナレーションの経験があったこともありマイク通りのいい声で、コメディチックな芝居もできる人でしたし。
もう一つの目論見としては、2人がアフレコを重ねていくことで成長する姿が、物語の展開と重なって見えるのではないかと。これは賭けではありますが、のってみるのも面白いと思って決定しました。


──もう何話分かアフレコを終えていると思います。現在のところその手応えはいかがですか。

伊藤
アフレコでグッときた瞬間はありました。「悟よ。お前もこんな一言が言えるようになったか」、と。

──悟に共感するところがあれば教えてください。

伊藤
悟が漫画編集者に「あなたの顔が見えてこない。もっと踏み込んでいかないとダメなのでは」と言われるシーン。自分がアニメを制作していても同じだなという気持ちです。原作を自宅で読んでいると妻にも「このセリフが引っかかってるんでしょ?」と言われギョッとしました。「サトリか!?」と(笑)。そうやって気になっているところをアニメでも中心に描くべきかなと。悟がそこをいかにクリアしていくかが物語の中の課題としてあるのだと思います。


──悟以外のキャラクターのお話でいうと、原作では悟の母・佐知子はすごく印象的な存在になっています。佐知子や他のキャラクターについてどう思いますか?

伊藤
佐知子については、三部さんがああいうお母さんを描きたかったというように聞いています。だから作品の中で際立つのかなと思いますね。俺は加代がすごく印象に残るキャラクターだと感じました。他人に頼ることなく耐えていて、気高さが漂っているというか。すがって生きていくのではなく1人で立っていられるような強さを持っている女の子なんです。それは愛梨も同じだけれど、加代は小学5年生なのにそれを持ち合わせているのがすごいキャラクターです。

──最後に、読者にメッセージをお願いします。

伊藤
アニメ作品ですが、深夜の海外ドラマを見るような気持ちで見て欲しいです。主役を俳優が担当していることもですが、音楽やSEのつけ方も音響監督の岩波(美和)さんと相談しながら、実写ドラマのように感じられる作りをしています。なので、音を聞いていたら「ドラマをやっているのかな?」、で、画面を見ると「お、アニメじゃん!」みたいな。アニメファンはもちろん、普段アニメを見ない人もぜひ見てください!

『僕だけがいない街』
http://bokumachi-anime.com/

ノイタミナ「僕だけがいない街」伊藤智彦監督インタビュー アニメにとどまらない作品づくりを目指した

《川俣綾加》
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