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【hideのゲーム音楽伝道記】第21回:『ドラゴンクエストVI 幻の大地』― 2つの世界で繰り広げられる冒険を彩る音楽

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【hideのゲーム音楽伝道記】第21回:『ドラゴンクエストVI 幻の大地』― 2つの世界で繰り広げられる冒険を彩る音楽
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インサイドをご覧の皆さま、こんばんは。ゲーム音楽好きライターのhideです。ゲーム音楽連載「hideのゲーム音楽伝道記」第21回目となる今回は、『ドラゴンクエストVI 幻の大地』をご紹介します。



『ドラゴンクエストVI 幻の大地』は、1995年12月9日にエニックス(現スクウェア・エニックス)からスーパーファミコンで発売されたロールプレイングゲームです。2010年1月28日にはニンテンドーDS版が発売、2015年6月11日にはスマートフォン版(iOS・Android)が配信されました。

本作は、言わずと知れた日本を代表するRPG、『ドラゴンクエスト』(以下『DQ』)シリーズの6作目であり、『DQIV』、『DQV』と続く天空シリーズの完結編となります。

本作の主人公は、辺境の村・ライフコッドに住む少年。彼はたったひとりの妹と平和に暮らしていましたが、ある日、山の精霊の啓示を受け、旅立つことを決意するのです。やがて主人公は、“幻の大地”と呼ばれる不思議な場所を見つけ、個性的な仲間たちと出会い、2つの世界をめぐる壮大な冒険を繰り広げてゆきます。

何を隠そう、僕は『DQ』シリーズの中で最初にプレイしたのがこの『DQVI』だったのです。「夢と現実」をテーマにしたシナリオ、自由度の高い育成と探索を楽しめるゲーム性、そして上質な音楽に魅せられ、当時僕は夢中になってプレイしていました。

◆崎元仁氏と多和田吏氏が参加、より美しい音色に


本作の音楽を担当したのは、『DQ』シリーズ全作品の音楽を手がけるすぎやまこういち氏です。本作でも、すぎやま氏ならではの美しい音楽の数々を堪能できます。

また、本作には『タクティクスオウガ』など多数のゲーム音楽を手掛けた作曲家の崎元仁氏と、『イーハトーヴォ物語』などの音楽を手掛けた作曲家・ピアニストの多和田吏氏がサウンドプログラマーとして参加しており、スーパーファミコンとは思えないほど美しい音色に仕上がっています。本作が発売されてすでに20年が経とうとしていますが、今聴いてもまったくチープに感じないほどクオリティが高いですよ!

では、本作の中で印象的な楽曲をいくつかご紹介していきたいと思います。

●「さすらいのテーマ」「もう一つの世界」
この作品には2つの世界があり、当然フィールドマップも2つ存在することになります。この2曲はそれぞれのフィールドマップで流れる楽曲になるのですが、実は同じメロディのアレンジになっています。ネタバレを避けるため、ここではあえて詳しく語りませんが、2つの世界の関係性が音楽で表現されています。どのような関係性があるのかは、ゲームをプレイすると紐解くことができるはずです。

●「木洩れ日の中で」
町の中で流れる楽曲です。非常にほがらかで明るいメロディが、にぎやかで平和な町のイメージを感じさせてくれます。『DQVI』の音楽の中では、まずこれを思い出すという方も多いのではないでしょうか。

●「ハッピーハミング」
スロットやポーカーを楽しめる、カジノの中で流れる音楽です。「トゥッ、トゥー♪」という、楽しげでおしゃれなハミングが入っているのが特徴ですね。本作を初めてプレイした当時は、そのあまりにも美しいハミングが、本当に人が歌っているかのように聴こえて、びっくりしたものです。

●「エーゲ海に船出して」
ゲーム中盤に入手できる乗り物「神の船」に乗っている時に流れる楽曲ですね。ストリングスとハープをメインにした壮大かつ流麗なサウンドで、神秘的かつ美しい旋律を堪能できます。個人的には、本作の音楽の中でも特に好きな楽曲です!

●「フォークダンス」
ライフコッドで行われる、精霊祭イベントの際に流れる楽曲です。「木洩れ日の中で」が3拍子のフォークダンス風にアレンジされているのですが、素朴かつ美しい、それでいてセンチメンタルなメロディが胸にスーッと沁みいってきますよ。

●「精霊の冠」
ライフコッドの精霊祭イベントで流れる、神秘的で美しい楽曲です。本来は精霊祭イベントのための楽曲なのですが、個人的には魔法の町・カルベローナでこの楽曲が流れていたのが印象深いですね。光の粒が舞う、この町の幻想的な雰囲気に非常にマッチしていたように思います。

本作の楽曲は、美しさがありながら、どこか哀愁や憂いを帯びている楽曲が多いように思います。それは、この作品のテーマにも関わっている「夢」や「幻」という “儚いもの” を、音楽で表現しているからなのかもしれません。

◆楽曲の中にひそむ「悪のモチーフ」


さて、ここまでは『DQVI』の楽曲をピックアップしてご紹介してきましたが、『DQVI』の音楽には、非常に大きな特徴があります。それは、「悪のモチーフ」がさまざまな楽曲の中に使用されているという点です。

※「モチーフ」とは……
  楽曲を形づくる最小単位となる音型で、いくつかの音符ないし休符の連なりのこと


この「悪のモチーフ」は、4音(ラ・#ソ・ラ・ファ)で作られた “悪”というイメージを感じさせるショッキングなジングルで、ゲーム中にそれ単体で流れることがしばしばあります。そして、この「悪のモチーフ」は、ゲーム中に登場する戦闘曲や、洞窟や塔などの楽曲に組み込まれているのです。

たとえば通常戦闘曲の「勇気ある戦い」には、イントロの後に2回「悪のモチーフ」が出てきます。洞窟で流れる楽曲「暗闇にひびく足音」も、イントロから「悪のモチーフ」が繰り返されます。

僕が本作の中で一番印象深くて大好きな音楽に、「敢然と立ち向かう」という楽曲があるのですが、もちろんコレにも「悪のモチーフ」が使われています。この楽曲は、ゲーム中盤で戦う魔王・ムドーとの戦いで流れるのですが、非常に荘厳かつ緊張感のあふれるメロディで、アツい戦いを盛りあげてくれますよ! ムドーがかなり強いこともあって、手に汗を握り、ドキドキしながら戦っていたことをよく覚えています。

また、ラスボスの最終形態戦で流れる「魔王との対決」にも「悪のモチーフ」が数多く登場します。はじめに「悪のモチーフ」が何度も繰り返されたのち、楽曲全体に「悪のモチーフ」がこれでもかと登場するのです。ラスボスにふさわしい禍々しさのある、強大な悪を感じさせてくれる楽曲になっています。

『DQVI』の楽曲群をよく聴くと、いたるところで「悪のモチーフ」が使われていることがお分かりになるはずです。このモチーフは、戦闘曲や、洞窟や塔の楽曲、ラストダンジョンの楽曲――つまり、”魔物”に関係する場所で流れる楽曲すべてに組み込まれています。作品中の“悪”という存在が、音楽でも表現されているわけですね。このような高度な技巧をさりげなく使っているのは、さすがすぎやま氏!と感嘆するばかりです。『DQ』シリーズ全体を見ても、ひとつの作品の中で同一のモチーフがここまで多く散りばめられているのは珍しいと思いますね。

◆「時の子守唄」


個人的に『DQVI』の中で特に素晴らしいと思う楽曲は、エンディングで流れる「時の子守唄」ですね。哀愁的な旋律が印象深く、『DQ』シリーズのエンディングの中でも異彩を放っている楽曲です。

「時の子守唄」は深い切なさや哀愁を帯びている楽曲なのですが、後半からの壮大かつ勇壮な旋律は、過去を振りきり、未来へ進んでいくような力強さを感じさせます。僕は当時、がんばってゲームをクリアしてこの楽曲を聴いて、その壮大な旋律に心が震え、深く感動したことを覚えています。エンディングがせつない展開だったので、半分茫然自失な状態になりながらでしたが(笑)。

実はこの楽曲は、はじめから『DQVI』のために書かれたものではありません。1978年に公開された劇場版アニメ映画『科学忍者隊ガッチャマン』の劇伴音楽として、すぎやま氏が作曲した「時の子守唄~レッド・インパルスのテーマ」を再登場させたものなのです。

すぎやま氏が『DQVI』発売当時のインタビューで語られた話によると、この楽曲は自身の会心の作品でありながら、『ガッチャマン』での使われ方がぶつ切りで心残りがあったとのことで、いったん楽曲の権利を返却してもらい、ずっと温めていたのだそうです。そんな時、この楽曲が『DQVI』のコンセプトにピッタリ当てはまったため、アレンジを施し、完全な形にして再登場させたとのことです。

他作品から楽曲を再登場させるというのは珍しいケースですが、すぎやま氏がそのように決断したのもうなずけるくらい、「時の子守唄」は『DQVI』の世界観によく合っている名曲だと思います。すぎやま氏自身にとっても、非常に思い入れの深い楽曲なのかもしれませんね。

◆『DQVI』には深い物語が秘められているように思います


『DQVI』の物語は、核心的な部分がぼかして描かれており、プレイヤーの想像にゆだねられる部分が多いです。この点は、プレイヤーによって評価が分かれるかもしれません。ただ、個人的にはこの「描かれていない部分」が、物語の深みを作り出しているように感じますね。物語の詳細を想像・考察することが好きな方には特におすすめな作品です。『DQVI』の世界をどっぷり楽しめると思いますよ。(※街の人の何気ない言葉にもヒントが隠されているので、街の人とこまめに話をしてみるといいかもしれません!)

また、ゲーム中盤に魔王を倒した後は、「明確な目的がない」状態になることがあり、「自分探し」が冒険の主軸になります。この点も、プレイヤーによって評価が分かれる可能性がありますね。しかし、プレイヤーの心のおもむくままに、さすらいの自分探しの旅をして、「本当の自分を見つける」という感覚は、本作にしかない大きな魅力だと思います。

直接的に描かれていないだけで、実は『DQVI』には深い物語が秘められているように僕は思います。ご興味をお持ちの方はぜひ、すぎやま氏の紡ぐ幻想的で美しい音楽を堪能しつつ、『DQVI』の奥深い世界を体験してみてくださいね。現在はスーパーファミコンだけでなく、ニンテンドーDSやスマートフォン(iOS・Android)でもプレイできますよ! 以前プレイした方も、また改めてプレイしてみると、新たな発見ができるかもしれません。

◆◆◆ ◆◆◆ ◆◆◆


なお、本作のサントラは、『すぎやまこういち 交響組曲「ドラゴンクエストVI 幻の大地」』というアルバムがスーパーファミコン版発売当時にリリースされていました。このアルバムには、ゲーム中の楽曲をオーケストラアレンジしたもの(演奏:ロンドン・フィルハーモニー管弦楽団)と、オリジナルゲーム音源が2枚組で収録されています。ゲーム音源とオーケストラで音を聴き比べてみるのも楽しいと思いますよ!

なお、『DQVI』のオーケストラアレンジ単品のCDアルバムとしては、ロンドン・フィルハーモニー管弦楽団および、東京都交響楽団が演奏したバージョンが発売されています。また、ピアノ、ブラス、エレクトーンによるアレンジCDもそれぞれ発売されていますので、こちらもご興味をお持ちの方はお聴きになってみてくださいね。

【筆者プロフィール】
 hide / 永芳 英敬


ゲーム音楽ライター&ブロガー。ゲーム音楽作曲家さんへのインタビュー記事、ゲーム音楽演奏会のレポート記事など、主にゲーム音楽関係の記事を執筆しています。最近気になっているアーティストは「水曜日のカンパネラ」!

[Twitter] @hide_gm [ブログ] Gamemusic Garden

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《hide/永芳英敬》

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