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【hideのゲーム音楽伝道記】第20回:『スーパーマリオギャラクシー』― 壮大なオーケストラサウンドが宇宙を駆けめぐる爽快感を演出

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【hideのゲーム音楽伝道記】第20回:『スーパーマリオギャラクシー』― 壮大なオーケストラサウンドが宇宙を駆けめぐる爽快感を演出
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インサイドをご覧の皆さま、こんばんは。ゲーム音楽好きライターのhideです。ゲーム音楽連載「hideのゲーム音楽伝道記」第20回目となる今回は、『スーパーマリオギャラクシー』をご紹介します。

『スーパーマリオギャラクシー』は、2007年11月1日にWiiで任天堂から発売された3Dアクションゲームです。おなじみのマリオが広大な宇宙を冒険するという作品で、海の星、マグマの星、砂漠の星、要塞の星などなど、個性豊かなギャラクシー(ステージ)の数々を攻略していきます。


本作の音楽を担当したのは、任天堂の横田真人氏と近藤浩治氏のお2人です。横田氏がサウンドディレクターおよびメインコンポーザーを担当し、近藤氏は4曲(同一楽曲のアレンジを含む)を担当されています。

本作の音楽面における特徴としては、『スーパーマリオ』シリーズでは初めてとなるオーケストラサウンドが採用されたという点が挙げられます。これは横田氏の意向によるもので、マリオが宇宙を駆けめぐる冒険活劇を彩るため、計28曲にもおよぶ楽曲群が50人規模のオーケストラで収録されているのです。オーケストラで奏でられる壮大かつ華麗なサウンドによって、果てしない宇宙のスケール感が十二分に表現されており、目だけではなく、耳でも大いにゲームを楽しむことができますよ!

横田氏は本作の音楽を制作するにあたり、「『マリオ』らしい音楽とはどんなものか?」という部分で非常に悩み、苦労したそうです。横田氏は最初、ラテン系の音楽で考えていたそうですが、近藤氏からは「横田さんの中にマリオがかわいいというイメージがあったら、それは捨ててください」「マリオはね、かっこいいんだよ」という助言があったとのこと。最終的には、マリオが宇宙を冒険するという壮大なスケール感を出すために、オーケストラサウンドを取り入れることになったのだそうです。(詳細は、任天堂ホームページ掲載の「社長が訊く『スーパーマリオギャラクシー』Vol.3 サウンドスタッフ篇」をご覧ください)

横田氏と近藤氏によって生み出された『スーパーマリオギャラクシー』の音楽は、非常に素晴らしい楽曲群に仕上がっています。それでは、本作の中で特に印象深い楽曲をピックアップしてご紹介していきたいと思います。

◆◆◆ ◆◆◆ ◆◆◆

●エッグプラネット(作曲:近藤浩治氏)
最初に訪れるステージ、「エッグプラネットギャラクシー」で流れる楽曲です。金管の華やかなファンファーレで幕を開け、フルートのやさしい音色がメインに響きます。続いて美しいストリングスが高らかに歌い、マリオが宇宙を飛び回る爽快感とワクワク感を存分に演出します。作曲者の近藤氏は、「最初にこのゲームの画面を見た時、マリオが宇宙空間を気持ちよさそうに飛び回っている姿に感銘を受けました」と語られており、その印象を音楽にしたのだそうです。マリオが宇宙を飛びまわる爽快感が見事に表現されている、『スーパーマリオギャラクシー』を象徴する1曲だと思います。

●天文台のロゼッタ 1/2/3(作曲:近藤浩治氏)
冒険の拠点となる星船、「ほうき星の天文台」で流れる楽曲です。これは3つのバージョンがあり、ゲームを進めていくと違うバージョンを聴くことができますよ。

この星船は最初真っ暗なのですが、冒険を進めてパワースターを集めていくにしたがって、灯りがともって星船の機能が復活していきます。それと同時に音楽も、楽器の編成が増え、音色が豊かになってゆくのです。

最初の1ではチェロの繊細な音色による、少し心細さのある楽曲なのですが、2では弦楽が入ってワルツのようになり、美しさが増します。そして最終バージョンの3では、さらに楽器編成が豪華になって、非常に優雅な楽曲になります! 星船の機能が復活していくとともに、音楽もにぎやかになっていくという演出が素晴らしいですね。

●スターダストロード(作曲:横田真人氏)
宇宙に浮かぶ星々を移り渡ってゆくステージ、「スターダストギャラクシー」で流れます。ピアノをメインにした美しい楽曲で、聴いているとフワッと昇天してしまいそうなほどの心地よさがあります。中盤から入ってくる不思議な響きの電子音も、ゆったり安らいだ気分にさせてくれますね。また、マリオが星々を渡っていく際に使う“スターキャプチャー”というポイントをつかむ際に鳴る「ふょ~ん♪」という効果音も、じつに見事な宇宙的浮遊感があって心地いいですよ。

●ウィンドガーデン(作曲:横田真人氏)
ゲーム中盤に訪れる「ウインドガーデンギャラクシー」で流れます。壮大なオーケストラで奏でられる、爽快感のある旋律が魅力です。風をイメージさせる、爽やかさにあふれた後半のストリングスの盛り上がりがたまりません。個人的にこの楽曲は本作の中で一番好きな楽曲で、普段からサントラ(後述)でよく聴いています。近年の『スーパーマリオ』シリーズの中でも、トップクラスに素晴らしい出来栄えの楽曲だと思います!

●タマコロ(作曲:横田真人氏)
マリオがパワースターの入った大きな玉に乗り、玉をころがして進むステージ「トライアルボールギャラクシー」で流れます。このステージではWiiリモコンを縦に持ち、それを傾けて操作するのですが、玉がゆっくり転がる時には音楽がゆっくりとしたテンポになり、玉が転がるスピードが速くなると、それに合わせて音楽のテンポも早くなる……という、面白い仕掛けになっていますよ。この仕掛けがプレイヤーの緊張感をニクいくらいにあおってくれて、ハラハラドキドキさせてくれるのに一役買っています。

●フローターランド(作曲:横田真人氏)
水上要塞のステージ「フローターランドギャラクシー」で流れる楽曲です。不思議な響きのイントロからはじまり、勇壮な金管の音色が響き、壮大なオーケストラサウンドに展開してゆきます。この楽曲で特筆すべきなのは、マリオが水中に潜った際、曲調がゆらめく水のような透き通ったものにシームレスに変化するという点です。まるでマリオとともに、プレイヤー自身が水中を泳いでいるような感覚になりますよ。“プレイヤーの操作に合わせてリアルタイムに音楽が変化する”という、ゲーム音楽ならではのインタラクティブな仕掛けで、プレイヤーとマリオの一体感を高める役割を音楽が果たしていると思います。

●ギャラクシープラント(作曲:横田真人氏)
マリオシリーズでは毎度おなじみの悪役・クッパとの決戦へ向かう、最終ステージの「クッパギャラクシープラント」で流れます。重厚かつ勇ましさのある弦や金管の音色が、クッパとの決戦直前の緊張感を盛り上げてくれますよ。また、低音で鳴り響くピアノの音色も、容赦のない仕掛けの数々がマリオに襲いかかってくるさまを演出するかのように冷たく響きわたります。最終ステージにふさわしい格好よさの音楽です!

●パープルコメット(作曲:横田真人氏)
ゲーム中にステージを選ぶ際、時々飛来してくる「パープルコメット」という紫色の隕石のステージで流れる楽曲です。この「パープルコメット」ステージは、制限時間が設けられた中でパープルコインを100枚集めるという趣向になっており、通常のステージよりも難易度が高いのです。

たとえば、「パープルコイン オン ルイージ」という、消えていくパネルの上をジャンプで渡りながらパープルコインを100枚集めるという、ゲーム中でも最難関と思われるステージがあります。僕はこのステージで何回ミスしたことか…というくらい相当苦労したのですが、「パープルコメット」の曲が素晴らしくて、この曲を聴きたいがために諦めることなく何度も挑戦してクリアできました!(笑) この曲は軽快かつアップテンポなものになっており、聴いていて本当に心地よく、かつ適度な緊張感を演出してくれるところが大好きなのです。難しいステージに挑むプレイヤーを、音楽で応援してくれるようなイメージですね。

僕は何回も奈落の底に落っこちながらも少しずつコツをつかみ、「パープルコイン オン ルイージ」に何度も挑戦しました。挑戦するたびに何度も何度もこの曲を聴いたせいか、だいぶ音楽が印象に残っていますね……何度も落ちたトラウマとともに(笑)。この曲の軽やかなビートを聴きながら、うまくアクションが決まった時の気持ちよさ、そしてやっとの思いでクリアした時の達成感は格別でした!

◆◆◆ ◆◆◆ ◆◆◆

本作では、じつにバラエティ豊かな多数のステージと、オーケストラの壮大なサウンドをはじめとした多数の楽曲群が、宇宙を舞台にしたマリオの大冒険を彩ってくれます。僕は本作を発売当時に初めてプレイした際、豊かな音色のオーケストラをバックに宇宙を冒険するのが本当に爽快で、心の底から気持ちよかったことを強く覚えています。ワクワク感にあふれ、胸がおどる素晴らしい音楽の数々は、聴いていて「耳がしあわせ」になりましたね。

ゲーム内容も、重力をテーマにした、宇宙という舞台ならではの仕掛けの数々が楽しかったです。次はどんなステージが飛び出すのだろうと、夢中になってプレイしていました。


※上記映像では「エッグプラネット」(0分30秒~)および、
「ウィンドガーデン」(2分02秒~)を聴くことができます。

本作はWii Uでダウンロード版が配信されています。音楽の壮大さ・美しさは今回ご紹介したように非常に素晴らしいのですが、アクションゲームとしても完成度が高く、楽しさにあふれた作品です。ご興味をお持ちの方はプレイしてみてくださいね!



本作のサントラ(私物です)

なお、本作のサントラは一般販売されておらず、任天堂の会員制サービス・クラブニンテンドー(現在は終了)のプレゼントとして配布されました。CD1枚の通常版と、CD2枚組のプラチナバージョンの2つがあります。通常版はゲーム中の代表的な楽曲が収録されており、プラチナバージョンにはゲーム中の楽曲が完全収録されています。

通常版は貯めたポイントとの引き換えで入手できたのですが、プラチナバージョンのほうは、クラブニンテンドーの2007年度プラチナ会員特典として用意された3つのプレゼントの中の1つだったのです。3つの中から1つだけを選ぶという形式だったのですが、当時僕はスーパーファミコン型のクラシックコントローラとどちらにしようか悩みに悩みまくった末(笑)、サントラを選んだことをよく覚えています。このサントラをいただいてからもう8年ほどの時間が経ちますが、とっても大好きで、今でも普段の生活で愛聴していますよ。

このサントラを今から入手するには、中古CDショップをめぐるか、インターネットの通販やオークションで探すしか手段がないのですが、根気よく探せば入手できなくはないはずです。ご興味をお持ちの方は探してみてください!

【筆者プロフィール】
 hide / 永芳 英敬


ゲーム音楽ライター&ブロガー。ゲーム音楽作曲家さんへのインタビュー記事、ゲーム音楽演奏会のレポート記事など、主にゲーム音楽関係の記事を執筆。『いけにえと雪のセツナ』が気になる今日このごろです。だんだんPS4が欲しくなってきました。

[Twitter] @hide_gm [ブログ] Gamemusic Garden

(C)2007 Nintendo
《hide/永芳英敬》

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