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【hideのゲーム音楽伝道記】第19回:『ワイワイワールド2』― 往年のコナミサウンドを堪能できる魅惑のおもちゃ箱!

インサイドをご覧の皆さま、こんばんは。ゲーム音楽好きライターのhideです。ゲーム音楽連載「hideのゲーム音楽伝道記」第19回目となる今回は、『ワイワイワールド2 SOS!!パセリ城』をご紹介します。

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【hideのゲーム音楽伝道記】第19回:『ワイワイワールド2』― 往年のコナミサウンドを堪能できる魅惑のおもちゃ箱!
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インサイドをご覧の皆さま、こんばんは。ゲーム音楽好きライターのhideです。ゲーム音楽連載「hideのゲーム音楽伝道記」第19回目となる今回は、『ワイワイワールド2 SOS!!パセリ城』をご紹介します。



『ワイワイワールド2 SOS!!パセリ城』は、1991年1月5日にコナミからファミリーコンピュータ用に発売されたバラエティアクションゲームです。多数のコナミキャラクターたちが登場する、一種のお祭り的な作品となっています。

ある日、暗黒の彼方から突如現れた大魔法使い・ワルーモンに征服されてしまったワイワイワールド。シナモン博士は、こんな時のためにひそかに開発していたロボット「リックル」を出動させます。しかしワルーモンはパセリ城のお姫様・ハーブ姫を、お城ごと宇宙空間に連れ去ってしまうのでした。プレイヤーはリックルとなって、さらわれたハーブ姫を助け出すため、そしてワイワイワールドを救うため、往年のコナミ作品をモチーフにしたバラエティ豊かなステージをクリアしていきます。

リックルが持つ特殊能力には、「往年のコナミの人気キャラクターたちに変身できる」というものがあります。リックルが変身可能なのは『がんばれゴエモン』シリーズの「ゴエモン」、『バイオミラクル ぼくってウパ』の「ウパ」、『悪魔城ドラキュラ』シリーズの「シモン」、『魂斗羅(コントラ)』シリーズの「ビル」、『月風魔伝』の「フウマ」の5人で、それぞれ能力や攻撃方法が異なります。

僕は小学生の頃に本作をプレイしたのですが、とても面白くて大好きでした。本作は2人同時プレイが可能で、僕の弟と一緒に何度も繰り返し楽しくプレイしていましたよ。横スクロールアクションをはじめとして、シューティング(『ツインビー』や『グラディウス』など)あり、レースあり、パズルあり、道路横断(『フロッガー』という、カエルが道路を横断するゲームのパロディ)ありと、いろんな遊びがおもちゃ箱のようにたくさん詰め込まれていて、飽きることなく何度も楽しめましたね。

◆◆◆ ◆◆◆ ◆◆◆

そして本作は音楽も魅力的で、素晴らしい楽曲群がそろっています。僕が本作をプレイしたのはもう20数年ほど前になりますが、いまだにはっきりとメロディを覚えていて、ほぼ完璧に口ずさめます(笑)。僕がプレイしていた当時は、弟と一緒に、遊ぶたびに違うキャラを選んでみたり、違うルートを選択してみたりしながら何回も楽しくプレイしていたせいか、音楽が耳にこびりついていますね。

本作の音楽は、かつてコナミに存在したサウンドチーム「コナミ矩形波倶楽部」の「さかごん みるくしょっぷ ゆういち」氏、「じえんとるまん まつばら けんちゃん」氏、「みなみ むちむちぷりん さとこ」氏の3名が担当しました(お名前はスタッフロールより抜粋)。『がんばれゴエモン』、『ツインビー』、『魂斗羅』、『バイオミラクル ぼくってウパ』、『月風魔伝』、『グラディウス』、『悪魔城ドラキュラ』などの歴代コナミ作品の楽曲群が多数アレンジされて使用されており、この1本だけでコナミの色々な作品の音楽を堪能することができますよ! また、既存作品の楽曲のほかに本作オリジナルの楽曲も用意されているのですが、こちらもクオリティが高く、耳に残るものばかりでした。

ファミコン時代のコナミは、独創的なゲーム内容もさることながら、音楽面の評判が非常に高かったのです。当時をご存知でない若い世代の方も、当時の作品に実際に触れてみると、音楽への力の入り具合を実感できるかと思いますよ。では、本作の音楽の中から印象的なものをピックアップしてご紹介していきたいと思います。

◆◆◆ ◆◆◆ ◆◆◆

●走れ!リックル
ステージ1の『未来都市ステージ』前半で流れる、本作オリジナル楽曲です。冒険に旅立つリックルを、軽快かつ爽やかなメロディで彩ってくれます。

●リックルシューターGO!
『未来都市ステージ』中盤に登場する、リックルが戦闘機に乗って進むシューティングステージで流れる楽曲です。流れるようなアップテンポのメロディで、爽快感がありますよ!

●花のお江戸1
ステージ2の『お江戸タウンステージ』前半で流れます。こちらは『がんばれゴエモン! からくり道中』の最初のステージで流れる楽曲のアレンジですね。軽快な和風サウンドが堪能できます。

●花のお江戸2
『お江戸タウンステージ』の後半で流れます。個人的に、本作の中で一番好きな楽曲です! アップテンポに繰り広げられる和風サウンドがしびれるほどカッコよくて、とても3和音で鳴っているとは思えないほどのクオリティです! この楽曲は原作のゴエモンには無い本作オリジナルの楽曲なのですが、原作に負けないほど素晴らしい出来栄えですよ! ぜひ聴いてみていただきたいです。

●ボーナス ステージ
ツインビーに乗って進むステージ3のクリア後に登場する、3D視点のボーナスステージで流れる楽曲です。立ち並ぶビル群を背景に、夜空を駆けゆく――そんなツインビーの姿を演出する、疾走感のある爽やかな旋律が心地良いですよ。

●たたかいのジャングル
ステージ4『エイリアンジャングルステージ』で流れます。この楽曲は『魂斗羅』の「密林の戦い」のアレンジですね。うなるように鳴り響く低音が、とても野性味にあふれていて格好よく、ジャングルでの熱い戦いを音楽で大いに彩ってくれます!

●お菓子のダンス
ステージ5の『お菓子ステージ』で流れます。この楽曲は『バイオミラクル ぼくってウパ』の最初のステージで流れる「A Rattle Samba」のアレンジですね。『ぼくってウパ』の主人公であり、『ワイワイワールド2』プレイヤーキャラとして参加しているウパは、数あるゲーム作品の中でも非常に珍しい赤ちゃんのキャラクターなのですが、音楽も非常にキュートな旋律で、かわいらしいウパのイメージにぴったり合っています! 余談ですが、このステージはウパで行くと、ケーキをぱくぱく食べながら進んだりして、とっても可愛いです(笑)。ぜひウパで攻略することをおすすめします。

●魔界への誘い
ステージ7の『妖怪墓場ステージ』で流れます。この楽曲は『月風魔伝』の横スクロール面で流れる「1000億光年の彼方」のアレンジですね。妖怪がはびこる墓場という、おどろおどろしい恐怖感を表現しているとともに、プレイヤーを鼓舞してくれるような勇壮な旋律が魅力です。

●魔界の親玉
『妖怪墓場ステージ』のボス戦で流れます。この楽曲は『月風魔伝』のラスボス戦の楽曲「龍骨鬼戦」のアレンジですね。激しく火花を散らすように、アップテンポで繰り広げられるメロディが熱いですよ!

●ビッグバイパー発進!
『グラディウス』のビッグバイパーに乗って宇宙を進む、ステージ8の最初に流れる楽曲です。これは初代『グラディウス』のゲーム開始直後に流れる「Beginning of The History」のアレンジですね。原曲よりややポップなアレンジながらも、原曲の雰囲気は損なっていません。宇宙を駆けるビッグバイパーを、音楽で華麗に演出しています。

●遺跡スター モアイ
ステージ8『モアイ遺跡ステージ』で流れます。この楽曲は『グラディウス』のモアイステージで流れる「Blank Mask」のアレンジですね。原曲よりもかなりアップテンポになっていて、かつ印象的な短いフレーズが繰り返されるので、妙な中毒性があります。僕はこの曲が好きでずっと聴いていたのですが、だんだんクセになってきて、しまいには耳にこびりついちゃいました(笑)。

●和風要塞タケヤブ
ステージ8のもうひとつのルート『和風要塞ステージ』で流れます。和風でポップ、かつ軽快な旋律が耳に残りますよ。曲の後半に入る、鼓のような「ポン、ポン、ポポン」というリズミカルな音色も印象的ですね。この曲は『がんばれゴエモン』本編で流れていてもおかしくないほどに、絶品の和風サウンドです!

●悪魔城の誘い
ステージ9『パセリ城ステージ』で流れます。ここは『悪魔城ドラキュラ』をモチーフにしたステージで、楽曲も同作の「Vampire Killer」のアレンジとなっています。原曲にはないイントロが追加されていたり、原曲よりも音の厚みが増していたりして、聴きごたえがありますよ。

●モンスター バトル
『パセリ城ステージ』の後半で流れる楽曲です。こちらは『ドラキュラII』で初登場し、その後『悪魔城ドラキュラ』シリーズの定番となっている「Bloody Tears」のアレンジですね。原曲に近いシリアスなアレンジで、虚空へ響きわたるように寂しげな音使いが印象深いです。

●マジカル アクション
ラストステージで流れる、本作オリジナル楽曲です。この先にラスボスが控えているとは思えないほど、ファンタジックで明るいメロディが楽しめますよ。

●永遠の夢 ~僕たちのパセリ城~
ラスボスのワルーモンを倒し、ハーブ姫を救出して地球に帰還する時に流れる、本作オリジナル楽曲です。とても美しく心に沁みわたるようなメロディが印象深い1曲で、僕は初めてゲームをクリアした際、コントローラを握りしめながら、達成感とともに音楽に聴き入っていたことを覚えています。

◆◆◆ ◆◆◆ ◆◆◆

本作の楽曲は、全体的に楽しくポップにアレンジされていながらも、原曲の雰囲気を大切にした良アレンジが多いです。ピコピコサウンドでありながら緻密に織りなされた楽曲群はじつに聴きごたえがあり、まさに職人芸と言うべきクオリティを誇っていますよ。「えー、24年前に出たファミコンゲームでしょ? ピコピコ音でしょ?」とあなどってはいけません。ファミコンという制約のあるハードから匠のワザで生みだされた、魅力的で味わい深い音世界がここにあります。往年のコナミサウンドの魅力を、この1本で存分に堪能することができますよ。



本作は発売以来、24年もの間長らく移植や配信が一切されていなかったのですが、めでたく今年2015年の9月2日から、WiiUバーチャルコンソールでの配信が開始されました。今回は音楽にスポットを当ててご紹介しましたが、ひとつのゲーム作品として見ても、この1本にいろんなジャンルの遊びがおもちゃ箱のようにたくさん詰め込まれていますから、今プレイしても充分に楽しめると思います。ご興味をお持ちの方はプレイしてみてくださいね。……そうそう、もし人が揃うなら、2人同時プレイをおすすめしますよ。ワイワイ遊ぶのが本当に楽しいので!

そして、本作をプレイしてもし興味がわいたら、『がんばれゴエモン』や『悪魔城ドラキュラ』など、各原作のゲームにも触れてみてください。原作のほうにも色々と素晴らしい楽曲があるので、また機会があればご紹介したいと思っています。

ちなみに、本作はサウンドテスト機能がオプション画面に標準装備されています! お気に入りの音楽があれば、何度でも好きなだけ聴くことができますよ。何十ループでも、何百ループでも!(笑)


また、本作のサントラは、『ワイワイワールド1&2 サウンドコレクション』というタイトルで、1作目の『コナミワイワイワールド』とカップリングされた形でリリースされています。ご興味をお持ちの方は、こちらも聴いてみてくださいね。

【筆者プロフィール】
 hide / 永芳 英敬


ゲーム音楽ライター&ブロガー。ゲーム音楽作曲家さんへのインタビュー記事、ゲーム音楽演奏会のレポート記事など、主にゲーム音楽関係の記事を執筆しています。ゴエモンシリーズが大好き!…だけど新作が出る気配が全くないのが寂しいですorz

[Twitter] @hide_gm [ブログ] Gamemusic Garden

(C)Konami Digital Entertainment
《hide/永芳英敬》
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