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【特集】最初は誰もついて来れなかった!?コーエーテクモ新作『進撃の巨人』開発者インタビュー、問題は“バランスをどうするか”

インサイド編集部では「東京ゲームショウ2015」の会場にて、鯉沼久史プロデューサーと喜多村智行ディレクターにインタビューを実施。本作最大の特徴である「立体機動」×「部位破壊」で魅せる巨人討伐アクションに迫りました。

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【特集】最初は誰もついて来れなかった!?コーエーテクモ新作『進撃の巨人』開発者インタビュー、問題は“バランスをどうするか”
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コーエーテクモゲームスによる、PS4/PS3/PS Vita向けタクティカルハンティングアクションゲーム『進撃の巨人』。本作は一騎当千の爽快感が楽しめるアクションゲーム「無双」シリーズの開発を手かげるω-Force(オメガフォース)の新作で、あの「進撃の巨人」をどのようにゲーム化するのか注目が集まっています。



そこでインサイド編集部は「東京ゲームショウ2015」の会場にて、鯉沼久史プロデューサーと喜多村智行ディレクターにインタビューを実施。本作最大の特徴である「立体機動」×「部位破壊」で魅せる巨人討伐アクションに迫りました。

左:鯉沼氏、右:喜多村氏

――今回はω-Forceが開発を担当していますが、立体機動×部位破壊というシステムは最初から決まっていたのでしょうか。

鯉沼:まず(原作者の)諫山創先生から「無双っぽくしないでくれ」という要望がありまして、そこから企画・概要をつくりました。それが「立体機動×部位破壊」であり、「気持ちのいい移動」と「多(人間)対1(巨人)」というテーマです。

――つまり「無双」シリーズとは逆の戦況になるんですね。となると、無双における一騎当千の爽快感はどこに置かれているのでしょうか。

鯉沼:むしろそこは除外していまして、「気持ちよく移動でき、気持ちよく空中で戦える。」という部分を突き詰めています。

――作り手から見てω-Forceらしさや強みはどこにあると思いますか。

鯉沼:ω-Forceに限らず、当社は非常に多彩なアクションゲームを作っていますので、蓄積されたノウハウがかなりあります。ですので、そのノウハウを活かした“新しいアクションゲーム”を開発できることが強みだと思います。

――今回のTGSで実機プレイが初披露されましたが、懸念として「難しくなるのでは」という声があがっています。

喜多村:これは開発初期の話なのですが、最初はシステムが複雑過ぎて、驚くぐらい上手くプレイするのが難しかったんです。

鯉沼:具体的に言うと、右ワイヤーをR2で打って、左ワイヤーをL2で打つ仕様だったんですよ(笑)。そこにブーストが加わり、方向を決め……って、無理ですよね。もちろん我々開発側はプレイできるんですが、例えば、版元である講談社さんなどに開発途中のゲームをプレイしていただくと、なかなか上手く遊ぶことができない。ですので、車で例えるとマニュアル操作からオートマ操作に落ち着き、ボタン一つで気持ちよくプレイできるようになっています。



――では安心しても大丈夫そうですね。

鯉沼:大丈夫だと思いますよ。アクションゲームが得意じゃないうちの女性広報が問題なくプレイできているので。「進撃の巨人」ってアニメのおかげも相まって女性ファンも多いんです。なので、普段ゲームをしない女性などのライトユーザーの方でも楽しめるように心がけています。

――となると、今度は「ゲームとしての奥深さはどうなの」という話になりますよね。

鯉沼:そこは現在調整中ですね。ただベースとなる「誰でも気持ちよく立体機動できる」を作るフェイズは終わったので、どこまでゲームとして厚みを持たせて難しくするのか、どのようなレベルデザインにするのか、「難しい」と感じた人に向けての救済処置をどうするのか。そういうバランスを詰めている状況です。



――映像では巨人の各部位をロックオンしていましたよね。

鯉沼:リアルさの追及とゲームとしてのバランス的には、これが落としどころだと思っています。自由にどこでも斬れる様にできますが、多分難しくなり過ぎてしまいます。また、現在検討中の項目として「ワイヤーの切断」があります。今回のデモは切れない設定でしたが、「巨人が触れるとワイヤーが切れる」などを考えています。

こういった“リアルな「進撃の巨人」”もありだと思うのですが、実現しても誰も楽しく遊べなくなってしまうと意味が無いので、難しいところですね。

――作中の様に訓練が必要になっちゃいそうですね。

鯉沼:なので繰り返しになりますが、ゲーム性をとるとか、手軽さをとるのか…このバランス調整は非常に悩ましいです。

喜多村:ただ理不尽にならないようにはしています。

鯉沼:あと今後予定しているシステムとして、“巨人の攻撃をギリギリで避ける”というせめぎ合いが楽しめる「スローモーション機能」があります。

喜多村:世界が一時的にスローになって、どう行動する!?という遊びです。

鯉沼:これも内部的には実装されているんですが、どうするかは検討中です。実装に至った経緯としては、例えば巨人の反応速度を早くして複数出現させると、あっという間につかまっちゃうんですよ。そこをスムーズに打破するためのシステムだったりします。超感覚モードみたいな感じですね。

喜多村:こういった“様々なシステムを搭載しては検討”というのを繰り返し、ベストなバランスを探っています。



――そういったゲーム性を深める要素のひとつとして、「奇行種」がいますよね。

鯉沼:実は奇行種に限った話ではないんですが、開発には「基本的には同じ巨人を出さないように」と言ってあります。外見もそうですし、例えば耳が良いとか足が速いとか……そのうちの一つが奇行種なんです。数多くの巨人には名前が無いのですが、「巨人A」とか「巨人2」とつけるわけにもいかないので、外見や動きで「あれは違う巨人だ」とわかるように目指して作成しています。

――本作では複数のキャラクターが登場しますが、何か違いがあるのでしょうか。

鯉沼:武器や成長の仕方はそれぞれ異なる予定です。原作との違いという意味では、それほど変化はありませんが、ゲーム的にどこまで変化をつけるかは現在検討中です。



――PS VR対応とかないですかね。

鯉沼:上野の森美術館の展示会でVRデモがあったので、それを期待される声も分かるんですが、ゲームとなると……難しいですね。ただ今回の東京ゲームショウで『真・三國無双7』のVRデモも出展しましたので、やろうと思えばできるかもしれませんね。

――最後にファンに向けてメッセージをお願いします。

喜多村:開発全員、心臓を捧げる思いでゲームを作っていますのでご期待ください。

鯉沼:まずはしっかりと原作の追体験をできる作品にしようと鋭意製作中です。そこは絶対にぶれません。まったく「進撃の巨人」を知らない方でも楽しめるゲーム作品になるよう目指しています。ご期待ください。

――ありがとうございました。


『進撃の巨人』は2015年冬発売予定で、価格は未定です。

(C)諫山創・講談社/「進撃の巨人」製作委員会
(C)コーエーテクモゲームス All rights reserved.
《栗本 浩大》
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