「HTC Vive」で実現されているのは基本的には先行する2つのVRヘッドセットと変わりませんが、ハードウェアのデザイン(外観も中身もまだプロトタイプという印象)を除けば実現されているVR体験は全体的に高いレベルで仕上がっているほか、「Lighthouse」と呼ばれる、部屋全体をトラッキングする仕組みが差別化の要素となっています。既に複数のデベロッパーに開発機が提供されているということでローンチタイトルの開発も進んでいるようです。
米国ワシントン州カークランドに拠点を置くUber Entertainemntが『Planetary Annihilation: Titans』のHTC Vive版を実演していましたので体験してみました。本作は2012年にKickstarterで200万ドル以上を集めた超大規模なリアルタイムストラテジーの拡張で、シングルプレイを強化したもの。既にSteamでは配信されていますが、「Project Morpheus」でも開発が進められていて、HTC Viveでも製作されているようです。
『Planetary Annihilation: Titans』のHTC Vive版は純粋なデモ版といった雰囲気で、ゲームの一端を体験するだけのものでした。しかしHTC Viveの感触は十分に得ることができました。現状、まだかなり大掛かりなシステムで腰にベルトを巻いて、両手にコントローラーを持ち、本体を装着、ヘッドホンを付ける、という一連の流れは多少手間取る部分もありました。装着感についても、ハードウェア自体が開発途上であり、他のVRヘッドセットと比べるとまだまだ。本体の重量も多少感じます。
※装着時の様子
一方で視界は良好でした。リフレッシュレートは「Project Morpheus」に多少劣るものの、レンズに工夫があるといい、目とディスプレイの焦点が合う範囲が広く感じました。ディスプレイのドットが見えてしまう感覚も少ないように思いました。ここはVRヘッドセットの課題ですので、優位なポイントになりそうです。
デモは巨大なロボットと自軍の戦車が戦う場面を眺めているような形で、プレイヤーは2m×2mくらいの高所(やぐら?)に立って銃を放ったり、手榴弾を投げたり。基本的に無力です。動いたり、回ったり、しゃがんだり、様々な動きに対してトラッキング精度は良好で途切れる部分は見られませんでした。
※コントローラー。背面にトリガーがあるほか、表面にはトラックパッドがある。
頭上と下部の2つのセンサーで部屋全体をトラックするというSteamVRの思想の通り、このデモでも実際の2m×2m程度の範囲を歩くことができました。とはいえ、屋内で遊ぶ以上、動ける範囲には限界があります。このデモでは、ゲーム的な移動可能範囲(やぐら的な)とリアルな移動可能範囲を2m×2mに合わせることでゲームデザイン的に解決していましたが、歩けるけど範囲は制限される、という制約をどうゲームに落とし込んでいくかは課題になりそうです。
まだまだハードウェア的には発展途上と思われますが、期待が持てる部分も多かったHTC Vive。次回の体験できるタイミングを楽しみにしたいです。
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