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【インタビュー】まさに衝撃!PS4版『燃えプロ』最大の疑問「なぜ作ることになったのか」を開発陣に訊いた

1987年に、ジャレコから発売されたファミコンソフト『燃えろ!!プロ野球』。それまでの野球ゲームは、打者の斜め後ろから見下ろす視点が主流でしたが、本作はテレビ中継でよく見られる投手側からの視点を採用。その斬新な画面演出が実に新鮮な一作でした。

ソニー PS4
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◆PS4版には、まさかの新チームが参戦!?




──本作でいよいよPS4にも進出を果たしますが、『燃えプロ』の魅力というのはどこにあるとお考えでしょうか。

喜多村氏:『燃えプロ』というIPが持つ強さですね。サターンやプレステ時代の子からはクソゲーと言われているんですけど、それって動画で見たりバントホームランの話などを人から聞いたものが主体なんじゃないかなと考えているんです。

──そういった側面も確かにあるかもしれません。

喜多村氏:で、今振り返ると信じられないかもしれませんし、僕自身も目を疑ったんですが、当時の雑誌レビューで初代『燃えプロ』は、とてつもなく高い点数を獲得しているんですね。それを見たら、当時はやっぱり評価されてたと思うんですよ。売上もミリオンを記録していますし。例え他のソフトと抱き合わせで買ったとしても(笑)。

──確かに、知名度の高さは大事なポイントのひとつですね(笑)。

喜多村氏:僕たちが小学生の頃の話ですが、2人に1人は『燃えプロ』を持ってましたよ。・・・でも実は、当時寂しい思いを味わったこともありまして。

──どのような思いですか?

喜多村氏:たとえば3人いたとして、『燃えプロ』で遊ぶと1人は見ているだけじゃないですか。僕はスポーツゲームが未だに苦手なほどで、当時もうまくボールを投げたり打ったりできなかったんです。その結果、ハブられることが多々ありまして。

──交代しながらみんなで遊ぼう、とならない辺りが当時の小学生らしさを感じさせますね。

喜多村氏:その復讐の意味でも、僕が出来るような『燃えプロ』を作ってもらえるよう吉川さんにお願いしているんです(笑)。

──それまでの野球ゲームと『燃えプロ』はかなり違ってましたからね。左右だけでなく上下への投げ分けも出来るようになった分、その操作に追いつけなかった人も間違いなくいました。

喜多村氏:なので、当時手こずった方でも遊びやすく楽しめる『燃えプロ』を目指して、鋭意制作中です。

──反響の大きさも相当なものですよね。インサイドでのPS4版『燃えプロ』発表記事だけでも、650を超える「いいね!」と1000を超えるリツイートが寄せられました。

喜多村氏:ありがたいことに、PS4版『燃えプロ』発表直後からずっと盛り上がっており、商売としては絶対に成立すると僕は考えています。そのため、開発費を倍増できるように今動いております。

──おおっ!

喜多村氏:実は先日行われた業界向けイベントに出展したんですが、PS4版『燃えプロ』のドット絵が動いているシーンを披露した瞬間にもの凄い笑い声が起こりまして、「これはもう勝ったな」と確信しました(笑)。話を聞きたいという方もすごく多かったですしね。

──では手応えも感じていらっしゃると。

喜多村氏:はい。SCEの担当者の方にプレゼンさせていただいた際にも、「是非お願いします」と仰っていただきました。あと、「本当に出していただけるんですか?」という確認も受けました。3回ほど(笑)。

──3回も(笑)。

喜多村氏:実際に吉川さんを連れていくまで、信じてもらえてなかった気もします(笑)。でも反響の大きさはSCEさんにも伝わってるようなので、頑張らなくてはいけませんね。

──嬉しい展開に繋がるよう願っています。それでは吉川さんは、『燃えプロ』の魅力がどこにあるとお思いですか? またPS4版では、それをどのように継承したいとお考えでしょうか。

吉川氏:そのままが魅力、というのもあると思いますが、先ほど喜多村さんが仰ったように、当時「どうにもならなかった部分」というのがあるじゃないですか。例えばバランスだったりとか。そういった部分を、今の野球ゲームみたいな形で直してしまうと、全然面白くない気がするんですよ。やっぱり『燃えプロ』は、『燃えプロ』らしくしたいですね。

──丸く小さくまとまってしまうのは、確かに『燃えプロ』らしくない気はします。

吉川氏:といって、そのまま完全移植するんだったら、そういうのが得意な会社さんに任せてしまえばいいわけでして。そこの間をいかに取っていくかを考えた時に、国原さんのお力だったり、上田のドット絵だったりが大事なわけです。

喜多村氏:『燃えプロ』シリーズは何作も出ていますが、みんなの頭に一番強く刻まれているのは、やっぱり最初のファミコン版だと思うんですよ。あの、テレビで見たような角度からの演出や、選手のクセを再現したモーションなどを、すべてドット絵で表現したあの画面の印象が強いですよね

あれをそのまま、(今風に)グラフィックを進化させたらまったく意味はないわけで、どうせやるんだったら、「あの当時のままを今のハードでやったらどんなことができるのか、をイメージを崩さずに実現させる」を一番の目標であり、やらなければいけないことだと考えています。

吉川氏:僕と喜多村さんは開発に直接は関わっていないんですが、基本ラインを話し合った後は現場に丸投げしていますね(笑)。開発陣が安心できるので。

喜多村氏:適当に思いついたこと言ってるだけですしね(笑)。

吉川氏:ただそれはそれとして、新しい要素も加えないといかんと思って叶えたのが、グラフィックやキャラクターの部分でして・・・あれはもう言ってもいいんですかね、ジャレコチームのことは。

──ジャレコチーム!?

吉川氏:大丈夫です。隠していてもしゃーないので(笑)。

──しゃーない!(笑)

吉川氏:当時某社さんでもあったじゃないか、ナムコスターズとか。でもあれって結局、グラフィックに大きな差はないんですよね。でもPS4版『燃えろ!!プロ野球』に登場するジャレコチームは、全キャラのグラフィックを描き下しています。ドット絵で(笑)。

喜多村氏:控えの選手も含まれるので、数十名出ますね(笑)。オールジャレコ関連で。

──それが、ひとりひとり専用のドット絵で表現されているんですか! 凄いですね・・・。

上田氏:案は国原さんに出していただいて、ドット絵は私が。

吉川氏:まさにオールスターズといった感じになっていますよ。クラリスが投げてじゃじゃ丸が打つ・・・なんてレベルの話じゃないくらい、色々出ます。

上田氏:『風雲少林拳』のキャラクターもいましたね。人間キャラはかなり網羅してると思いますよ。

──人間キャラ「は」、ということは・・・もしかして?

上田氏:人間以外のキャラも出ます(笑)。あと『燃えプロ』といえば8頭身じゃないですか。なので、じゃじゃ丸とかも8頭身になってます(笑)。ちなみにガマパックンも出るんですが・・・。

──もしかして、ガマパックンも?


上田氏:8頭身です。2本足で立って(笑)。というのも、『燃えプロ』ってどこかシュールな部分もあるじゃないですか。『ファミスタ』だったらデフォルメだと思いますが、『燃えプロ』なのでシュールさを外したくないなと。

上田氏:あと、さきほどクラリスの名前も挙がりましたが、PS4版『燃えプロ』には女性キャラクターも出ます。今はまだ統一したユニフォームを着せているんですが、女性らしさを出すために例えば半ズボンにするとか、ブーツや髪の毛の部分にこだわったりとかを考えています。

──そういったこだわりは、男性キャラクターにも盛り込まれますか?

上田氏:例えばじゃじゃ丸でしたら、刀を差していたり。ちなみにじゃじゃ丸ってパッケージとかで刀を背負ってたりするんですが、抜いたりしないんですよね。

──ということは、今回もしかして初めて刀を抜くとか?

上田氏:いえ、今回も抜きません。むしろ抜かせません(笑)。でもバットじゃないもので打つキャラもどうだろうという話もありまして。『スーチーパイ』のキャラはリーチ棒で打つとか。あと『ゲーム天国』のジーニアス山田とかは、自分で打つことすらせず機械にやらせるんじゃないかなみたいな案も出てますね。



──遊び心に溢れていますね。

上田氏:走る時に変化するキャラもいるんですよ。たとえばクラリスだったら、打った後にクラリスカーに乗るとか。

──凄いですね! 見どころ満載な一作になりそうな予感です。

国原氏:最終的にどこまで実装できるかが、ひとつの勝負になりますね(笑)。

喜多村氏:この話を聞いている間、ずっと胃が痛かったですね。でも開発の方も「死ぬまでついていきます」と言ってたので、多分やるでしょう(笑)。

──頼もしいお言葉、いただきました(笑)。

喜多村氏:ちなみに本作のドット絵に関してなんですが、『異史戦国伝 宿業』のドット絵を描いた弊社の大石が、上田さんのドット絵を監修しているので、動きとかも厳しく指導しています。

上田氏:いえいえ、優しく教えてもらっていますので(笑)。

喜多村氏:1秒でひっくり返されました(笑)。

吉川氏:大石さんとウチの上田がタッグを組んで、グラフィックに当たっています。

喜多村氏:ちなみにグラフィック関係に関してなんですが、既にお披露目した絵は出るには出ると思いますが、ファミコン版よりも全然枚数が増えているので、アニメーションに関してはかなり動くと思ってください。そうでないと、メビウスブランドとしては発売しにくいですからね。

──「動き」により力を入れたという形ですね。静止した絵を見て懐かしむだけでなく、アニメーションとしての表現にも要注目と。

喜多村氏:加えて、操作性や描画速度なども上ると思いますので、かなり遊びやすくなると思います。1試合の時間もテンポよくするつもりです。

──シンプルに野球ゲームとして見ても、面白いものになると?

喜多村氏:そうですね。今回はそこを1番に目指しています。最近の野球ゲームは、以前と比べハードルも上ってると思うんですよ。僕は未だに、3Dの野球で打てない人間なので(笑)。で、そういったハードルが乗り越えられなくてゲームから離れていく人も実際多いですよね。

──確かに聞く話ですね。

喜多村氏:なので、本作でどれだけ「ゲームに帰ってきてくれるか」を知りたくて、PS4というプラットフォームを選ばさせていただきました。ゲームに興味のある30代から40代の潜在的なユーザーを計るには、PS4が最適かなと思いまして。

──就職を機にゲームを離れた方にとっては、PS3やWiiよりも、最新ハードの方が興味を傾けやすそうですね。ところで野暮な確認なんですが、本作は完全にドット絵ということでいいんですか? ドット絵風な表現とかではなく、素材レベルでもドット絵なのかなと。


国原氏:はい、完全にドット絵です。普通に考えたら手間の問題もありますし、ドット絵風にするんでしょうね(笑)。

──それでも敢えてドット絵にこだわったというのは、やはり・・・。

喜多村氏:『燃えろ!!プロ野球』だからですね。シリーズ作品をプレイしているんですが、やはり一番遊びやすかったのはファミコン版かなと思うんですよ。ドット絵だと球の高さなどが分かりやすいですからね。

──懐かしさだけでなく、ゲーム性の上でもドット絵の有用性を取ったわけですか。

喜多村氏:あとは、初報が出た時のインパクトを狙った部分もありますね。スーパーファミコンレベルのドット絵でも(ゲームとしては)良かったのかもしれませんが、誰も驚かなかったんじゃないかなと思います。そのレベルの綺麗さを追求しても「当たり前じゃん」にしかなりませんから。ならば、いっちょやってまえと(笑)。

──その“やってまえ”のドット絵にアニメーションが加わると、画面映えするわけですね。

喜多村氏:ちなみに上田さんのドット絵なんですが、非常に『燃えプロ』世界に溶け込んでいるんです。「(オリジナル版に)こんな絵あったっけなー?」とか思って確認しに行くと、上田さんが描いたものですと言われたこともありました。

──上田さんのドット絵も楽しみです。

上田氏:いやその、恐縮です(笑)。

国原氏:発表した時、「『燃えプロ』がPS4で出ます、グラフィックは今風のものです」という話だったら、そんなに注目されなかったと思うんですよ。でもドット絵で出して、そしてこれだけの反響を頂いたということは、やはり皆さんが『燃えプロ』に求めるものはこれなんだとなと(笑)。

喜多村氏:ユーザーが求めているものを投入するという姿勢で、PS4の野球ゲームと言えば『燃えプロ』と言っていただけるようなタイトルにしますのでよろしくお願いします。上田さんの描いてくれたジャレコチームのグラフィックも、インサイドさんで初公開させていただきますね。

──本当ですか!

喜多村氏:(各メディアが発表した記事では)インサイドさんのリツイートが一番多かったんです。確か1,000を超えていますよね。あとタイトルにも「衝撃の新規グラフィック」と書いてくださって(笑)。

──いやその、恐縮です(笑)。ありがとうございます、楽しみにしておきますねっ!

喜多村氏:皆さんも、ワクワクしながらお待ちください!

◆◆◆ ◆◆◆ ◆◆◆

まったく予想していなかった新チームの参戦にも驚かされましたが、そのこだわりぶりにも目を見張るばかり。ですが、PS4版『燃えろ!!プロ野球』に関する話は、まだまだ終わりません。更なる新情報なども飛び出したインタビューの後編(8/26 20:00公開予定)も、合わせてご覧ください。

(C)CLARICE GAMES Developement&Publishing by mebius.
《臥待 弦》

楽する為に努力する雑食系ライター 臥待 弦

世間のブームとズレた時間差でファミコンにハマり、主だった家庭用ゲーム機を遊び続けてきたフリーライター。ゲームブックやTRPGなどの沼にもどっぷり浸かった。ゲームのシナリオや漫画原作などの文字書き仕事を経て、今はゲーム記事の執筆に邁進中。「隠れた名作を、隠れていない名作に」が、ゲームライターとしての目標。隙あらば、あまり知られていない作品にスポットを当てたがる。仕事は幅広く募集中。

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