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【インタビュー】インティ・クリエイツ社長が語るクラウドファンディング開発…『Bloodstained』の今後も

『ロックマンゼロ』や『ぎゃる☆がん』、稲船敬二氏の新作として注目を集める『Mighty No. 9』、現在Kickstarterキャンペーン中の『Bloodstained』の開発を担当したインティ・クリエイツの代表取締役社長である會津卓也氏にインタビューを実施しました。

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◆『Bloodstained』について


──それでは『Bloodstained』の話しに移ります。五十嵐氏とインティ・クリエイツがこのプロジェクトに携わるようになった経緯について教えてください。



會津:五十嵐さんは元いた会社を退社されてから、探索型横スクロールアクションゲーム作りたいと考えていらして、そうしたジャンルが作れる会社を探しているという話をエージェントから聞きました。

そのタイミングでは、色々なパブリッシャーさんにプレゼンテーションをしたいという話しだったので、ゲームデザインは五十嵐さんが行って、世界観とキャラクターに関するアートワークを描いてもらえないかという依頼をいただきました。もちろん『悪魔城ドラキュラ』は存じ上げていましたので、五十嵐さんとお仕事ができることは光栄でした。それが2014年1月ぐらいだったと思います。

それから五十嵐さんは色々なパブリッシャーさんと話しをされていたのですが、この企画に対する市場の需要があるのか測れないという結果になり、それならKickstarterをやってバッカーがたくさん集まれば企画に対する期待が証明できるということで、現在のようなキャンペーンを展開する運びとなりました。

元々は五十嵐さんが作るゲームのアートワークをして、もし企画がどこかのパブリッシャーさんで実現することになったら弊社が開発すると言った座組みでした。お会いした時から五十嵐さんとはかなり波長が合うといいますか、ゲームに対する姿勢や勘所が非常に近い感じがしましたね。

──ではあまりプレッシャーなどはありませんか?

會津:横スクロールアクションゲームを作ることに関してのプレッシャーはありませんが、どんなことをしようかとは色々と考えています。これまで色々なタイプの横スクロールアクションゲームを作ってきましたが、今回は探索型です。過去に『ロックマン ゼクス』で近いことをやりましたが、その時はガン&ランの中にある探索型でした。今回はソードやウィップといった『ロックマン ゼロ』のような近接攻撃に近いもので探索型アクションなので、『ロックマン ゼクス』のときのノウハウも活かして色々できるかなとワクワクしています。

──開発は進んでいるのでしょうか?

會津:今回は市場にニーズがあるということを証明して初めて走り始めるタイトルです。そのため、これから開発に着手しますが、目標を達成した現在になってようやく作れるようになりましたので、皆さんにはとても感謝しています。



──開発側から見て、ここは注目して欲しいというゲームシステムや要素はありますか?

會津:一番大きいのは、ステンドグラスの表現ですね。五十嵐さんから体に水晶を埋め込まれたキャラクターが主人公だと伺ったので、弊社デザイナーの夏目から「ステンドグラスにして見ませんか」と提案し、「面白いね」ということで今の形になりました。ステンドグラスを中心に考えていくと、色々と表現の幅があることに気が付きましたので、表現だけでなくゲームシステムにも関わってくるのが今作の注目ポイントだと思います。

──確かに、ステンドグラスがモチーフとなっているゲームはあまりありませんよね。

會津:ゲーム内の背景にステンドグラスがある場合は見受けられますが、世界観全体にステンドグラスをフィーチャーした作品は今までにないと思います。ステンドグラスは青よりも赤の方が強いという設定があるのですが、それは赤のステンドグラスには金が入っているので高いからです(笑)。



今回の主人公はミリアムという女性で、彼女のステンドグラスはほとんど青や黄色系。一方、ジーベルという男性キャラクターは赤が散りばめられている。ミリアムはエノク文字を使った錬金術の力でステンドグラスの浸食を抑制する施術を施していますが、ジーベルは施術をしていないのでステンドグラスの力が強いこともあり体の侵食も進んでいます。



──開発は五十嵐氏との二人三脚で進められている感じがしますね。

會津:弊社はどんなタイトルに対してもクリエイター集団として関わっており、コンセプトやアイディアを採用していただくことをモチベーションの1つにしているので、色々な意見を出させていただいています。五十嵐さんはこうした姿勢をとても歓迎してくださっていて、弊社からの提案をどんどん採用してくださるのはしっかり波長が合っている結果だと思っています。今回は特にデザインを担当している夏目が本当にがんばって作っていまして、キャラクターは何度もラフを描いて五十嵐さんに見ていただき、クリーンアップまで漕ぎ着けたものになっています。

──インティ・クリエイツが探索型アクションゲームを作るというと、どのようなものになるのかとても期待が高まりますね。

會津:ロックマンシリーズや踏みゲー系のアクションも作ってきましたが、そのようなアクションゲームタイプの1つに『悪魔城ドラキュラ』があります。ドラキュラには2つの異なるゲーム性があり、1つは旧作のステージクリア型、もう1つが探索型。私は旧ドラキュラ世代ですが、弊社の若いスタッフはみんな新ドラキュラ世代なので、古いレトロな良さも新しい良さも盛り込んでいければと考えています。



──『悪魔城ドラキュラ』のテイストは残しつつ、新しい作品ということですね。

會津:ドラキュラを作ってみたかったという気持ちはありますが、今回の作品は『Bloodstained』という完全新作になります。ただ、ファンの方はドラキュラテイストを望んでいて、我々自身もそのファンの1人なので、ドラキュラファンが作る新しい五十嵐さんのゲームだと思っていただけると間違いはないと思います。皆さんはどのように開発者を見ているのかは分からないのですが、自分たちが作ったゲームを一番遊びたいのは自分たち自身だと思います。弊社では自分たちが遊びたいものを全力で作っていますので、早くこのゲームを完成させて早く自分で遊びたいですね(笑)。

──今後の展開について教えてください。

會津:大きな流れは通常のゲーム開発と変わらないと思いますが、Kickstarterキャンペーンで立ち上がったものですので、バッカーとのコミュニティを大切にしながらやっていきます。どのようなコミュニケーションの場を設けるかは決まっていませんが、情報を共有しながら作っていくことになります。特徴的な絵柄なのでシェーダーを工夫したいと考えており、これもコミュニティの中で相談したいですね。また、もう走ることが確定したので、簡単にでも動くものを作ってみたい気持ちでいっぱいです。具体的な開発はKickstarterキャンペーンが終了して、1~2ヶ月後に着手する予定ですので、少し間が空きますが、2015年秋ごろには第一報を出したいと考えています。

──『Mighty No. 9』は日本語用のサポートページがありましたが、『Bloodstained』でも予定されていますか?

會津:日本語とフランス語のサポートページを用意されると聞いております。日本で弊社のファンも少なからずいらっしゃるので、なるべく早く公開したいですね。

──最後に読者に向けてメッセージをお願いいたします。

會津:インティ・クリエイツはこれまで影の仕事をやってきた会社だと思います。たくさんゲームは作っているのですが、サイトを見て初めてこんなゲームを作っていたんだと分かる会社かと。ずっとこうした仕事をしていてもいいのですが、インティ・クリエイツを好きな方々からするとそれがもどかしいというお声もいただいております。ゆえに、これからはある程度自社パブリッシュのタイトルも含め、少し攻撃的に色々とやっていこうかなと思っています。もちろん今回の『Mighty No. 9』、『Bloodstained』も含め、弊社が関わっているすべてのプロジェクトを応援していただけると非常にうれしいですね。

──本日はありがとうございました。
《まいたこ》
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