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『テイルコンチェルト』設定資料集発売記念インタビュー!いま明かされる三つの十字架、そして松山洋の本音とは

1998年にバンダイ(現バンダイナムコゲームス)から発売されたプレイステーション用ソフト『テイルコンチェルト』は、「イヌヒト」と「ネコヒト」が暮らす浮遊大陸を舞台に、ワッフルたちが挑む冒険を描いた3Dアクションゲームです。

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1998年にバンダイ(現バンダイナムコゲームス)から発売されたプレイステーション用ソフト『テイルコンチェルト』は、「イヌヒト」と「ネコヒト」が暮らす浮遊大陸を舞台に、ワッフルたちが挑む冒険を描いた3Dアクションゲームです。

本作の開発に当たったのは、サイバーコネクト(現サイバーコネクトツー)。同社の初作品となった本作は、その特徴的なデザインやキュートなキャラクターたちにも注目が集まり、当時はもちろん今現在も多くのファンから根強い支持を受けています。


そんな熱い声に応えるかのように、今年の1月30日に本作の「テイルコンチェルト」新約設定資料集が発売されました。リリースから約17年もの年月が経ちながらも、新たな活躍を見せる『テイルコンチェルト』。今後は如何なる動きを見せてくれるのか、またこの新約設定資料集はどのような経緯で生まれたのか。

新約設定資料集の詳細はこちら



全ての始まりとなった『テイルコンチェルト』そのものにも踏み込んだ話を伺うべく、サイバーコネクトツー代表取締役社長の松山洋氏と制作プロデューサー/ディレクターの新里裕人氏に直撃取材を敢行しました。

◆一歩目から試行錯誤、その果てに辿り着いたのは……


──本日はよろしくお願いします。まずは、『テイルコンチェルト』に関してお聞かせください。お二人はそれぞれ、当時どのような立場で本作に関わったのでしょうか。

松山氏:当時の私は社長ではなく、サイバーコネクトという会社もまだ立ち上がったばかりでした。最初は10人、1年半の開発期間の中で最終的に13人に増えましたが、その中で私はいちアーティストとして背景グラフィック全般を担当していました。また、会社やチームを代表し、本作のクライアントだったバンダイさんとミーティングを行うといった営業的なこともやっていました。

──当時から幅広く動かれていたんですね。

松山氏:笑い話なんですけど、当時の名刺には「グラフィックデザイナー/営業」って書いてありましたからね(笑)。

──その兼任は、かなり珍しい気がします(笑)。

松山氏:そして(創設メンバーでもある)新里はチームリーダーであり、ディレクターも務めました。

新里氏

新里氏:新里です。よろしくお願いします。

──本作をよく知るお二人ということですね。全ての始まりとなった『テイルコンチェルト』ですが、どのようなきっかけで生まれたのでしょうか。

松山氏:どこまで遡ればいいかな……いっぱい削除しないといけなくなるかも(笑)。言える範囲というか、言える言い方で話しますね。サイバーコネクトは、プレイステーションのゲームを作ろうと興した会社でした。(最初期の)私以外の9人は大手のゲームメーカーに勤めていたメンバーで、彼らは既に3Dポリゴンゲームの制作経験がありました。

当たり前ですけど、デベロッパーを作ったわけですから仕事をしないとお金がもらえないわけですよ。(実務経験はすでにあったので)じゃあまずは、作りたいゲームの企画を立てようと練ってはいたんですけど、一番最初のサイバ子ちゃんの話まで遡ると……。

──サイバ子ちゃん!?

松山氏:そう、サイバ子ちゃん。『サイバーコネクション』というアンドロイドの女の子が活躍する3Dアクションゲームを企画していたんです。……要は、何も考えていなかったんですよ(笑)。その企画を進めてはいたんですが、冷静に考えたら「これ売れるかな?」と思いまして。更に、本当にこれを作りたいのかと向き合ってみたら、「これじゃないだろ、適当に企画考えるのはやめよう」ってなりまして。すごく先行き不安な流れですよね(笑)。

──会社の立ち上げ直後から、試行錯誤が始まったんですね(笑)。

松山氏:メーカーさんと契約しないとお金がもらえないので、自分たちがちゃんと勝負できるモノを考えようと、みんなで企画を持ち寄って毎日打ち合わせをしたんです。その期間も結構長くて、1週間2週間と続き、それが1ヶ月2ヶ月となり……。

──かなり難航されたような印象ですね。

松山氏:みんな、自分がやりたい企画を持ってきたんですが、(いわば)ホームラン大会でしたね。「これ、売れるか?」みたいな(笑)。みんな大手でゲームを作ってきたクリエイターだったんですが、0から1を作り出す「企画」を作るという点に関しては素人のような面もあったので、「これなら俺達の力も発揮できるし、お客さんも喜んでくれるよね」と勝負できる企画がなかなか見つかりませんでした。

松山氏:プログラマーも新里も私も、みんなバラバラに企画を書いて持ち寄っては「なんか違う」とか言い合ってモニョモニョしてる時に、今もメインでキャラデザをやっているWAKA(磯部孝幸氏)がそこで何か描いていたんですよ。なんかこう、「ふわっ」としたヤツを(笑)。

新里氏:落書きみたいなカンジでしたよね。

松山氏:そこに、ワッフルやロボ、そしてコネコたちがもう既にいて、ロボに乗ったワッフルがコネコたちを捕まえてるというシーンが描かれていたんです。今で言うところのイメージボードであり、当時の我々の感覚で言えば「軽い気持ちで描いた落書き」です(笑)。


──落書き(笑)!

松山氏:それに目が止まり、気付いたらみんなも集まってきて、「これじゃねーの?」ってなって。

新里氏:すごくイメージしやすかったんですよ、イヌのおまわりさんでしたから。「あ、捕まえていくゲームなんだな」というのが、企画書でもなんでもない一枚の絵で伝わってきたんです。

松山氏:たった一枚の紙切れで、みんながひとつになった瞬間でした。会社作って数ヶ月かかったけどな!(笑) そして企画書を作ったんですが……『テイルコンチェルト』を制作するに当たって、感銘を受けたゲームがあるんですよ。

──どのゲームですか?

松山氏:『スーパーマリオ64』(以下、「マリオ64」)です。当時は、ちょうどハードが切り替わった時期で、(スペックが上がったことで)3DCGが活性化する、メディアも大容量になるなどは分かっていたんですが、「3Dになることで、遊びはどう変わるの?」という疑問もあったんですよ。ゲームの遊び方自体はそんなに変わらないんじゃないかなって。

──当時は未知の世界でしたよね。

松山氏:ですが『マリオ64』を見て、お客様も業界もみんな衝撃を受けたと思うんです。私たちも衝撃を受けました。「3Dでアクションゲームを遊ぶお手本」のようなゲームだったので、ショックでしたね。3Dはこうやって遊ぶんだ、と。

なので3Dアクションのテイストは、『マリオ64』のような良質なアクションを目指し、しかし同じようなゲームを作っても意味はないので、『マリオ64』にはなかったドラマ性やキャラクター性、(主張の強い)世界観などを盛り込みました。イキイキとしたリアクションをするコネコたちを追いかけて掴まえるといった部分などもそうですね。

──そして企画書が出来上がったわけですか。

松山氏:はい。そして十数社に企画書を送って、色よい返事のあったところと話を進めていき三社に絞り、間を端折りますが最終的には当時のバンダイさんと契約を結び、1年半をかけて完成しました。

──文字通り、一枚のイラストから誕生したんですね。
《臥待 弦》

楽する為に努力する雑食系ライター 臥待 弦

世間のブームとズレた時間差でファミコンにハマり、主だった家庭用ゲーム機を遊び続けてきたフリーライター。ゲームブックやTRPGなどの沼にもどっぷり浸かった。ゲームのシナリオや漫画原作などの文字書き仕事を経て、今はゲーム記事の執筆に邁進中。「隠れた名作を、隠れていない名作に」が、ゲームライターとしての目標。隙あらば、あまり知られていない作品にスポットを当てたがる。仕事は幅広く募集中。

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