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【RETRO51】 音声認識に夢見た未来のゲーム『N.U.D.E.@ Natural Ultimate Digital Experiment』

【RETRO51】 音声認識に夢見た未来のゲーム『N.U.D.E.@ Natural Ultimate Digital Experiment』

2015年1月6日(火) 18時00分



SUDA51とレトロゲームを探訪する連載企画「RETRO51」。2014年も様々なタイトルを遊びましたが、今年最初はなんと初代Xboxの作品です。Xboxが日本で発売されたのは2002年。レトロというには少々新しく思えますが、すでに10年以上経過しています。また日本での販売台数は50万台にとどまったため、まだまだ埋もれているタイトルは存在します。

そこで今回紹介するのは、マイクロソフトスタジオから発売された『N.U.D.E.@ Natural Ultimate Digital Experiment』。『天外魔境』や『サクラ大戦』シリーズで有名な広井王子氏がプロデューサーをつとめ、2003年にリリースされたXbox専用タイトルです。「同居型コミュニケーションドール」とうたわれているように、女性形アンドロイドと一緒に生活しながら育成させていくシミュレーションゲーム。最大の特徴はマイク付きのヘッドセット「Xboxボイスコミュニケータ」を使って音声で操作する点です。

美少女アンドロイドとの生活が始まる



ゲームを開始すると、まずはユーザー登録です。ゲーム内ではプレイヤーは製品モニターとしてアンドロイドと生活を行うという設定です。そのため、名前、生年月日、性別、職業を入力していきます。ここは素直に本名を入れた方が没入感が出そうなので、「須田ごういち」に決定しました。「剛」の字は残念ながら使用できませんでした。次に「好みのジャンル」が聞かれましたが、須田氏はなぜか「世界史」を選択。このデータは何に使われるのでしょうか。

ユーザー登録を開始するといきなりニュース映像が始まります。アンドロイドの会話も含め本作ではすべて人工音声を使用しているため、ニュースリポーターも非常にぎこちない話し方です。しかしながら、人工音声のぎこちなさはどこか懐かしく、本作をレトロゲームとして位置づけることは間違っていなかったようです。

ニュースを見終えると、タイミング良く宅配便が届きます。荷物を開けてみると、なんとそこには美少女アンドロイドの姿があります。Personal Assist Secretary System、略してP.A.S.Sと呼ばれるこの「製品」は総合家電メーカーのArk社の制作したアンドロイドです。プレイヤーと一緒に生活することで徐々に知識を獲得して、家事を行い、コミュニケーションを楽しめるというわけです。



起動して開口一番、P.A.S.Sは「わたしにもののなまえをおしえてください」と話します。最初のミッションは部屋にある家具などの名前を教えること。コントローラーのAボタンを押すと音声認識が作動し、ヘッドセット越しにP.A.S.Sに話しかけます。初期状態でも「こんにちは」といった挨拶には反応するようで、いろいろ試してみるのは楽しかったです。

ミッションの詳しい内容はYボタンを押してOSの画面を開きます。OSにはメールやブラウザの他、P.A.S.Sのモニターのためのミッションが閲覧できます。ミッションはいくつかのPhaseにわかれており、Phase1では物の名前を覚えさせる、Phase2では家事を覚えさせるといったように段階が上がっていきます。メールでは製品の取扱説明書、ブラウザからはArk社のウェブサイトが閲覧できるなど、世界観も非常に凝った作りです。さらに部屋の中で撮影したP.A.S.Sの写真を閲覧することも可能です。

つたない会話とリアリティ



――では早速、P.A.S.Sに物の名前を覚えさせましょう。

須田:
ベッドから行きますか。ベッド。

P.A.S.S:
*ティーン*

――これどういう意味のSEですかね。

須田:
ベッド。

P.A.S.S:
ベル?

須田:
このやろー(笑)。ベッド?

P.A.S.S:
べんとう。

須田:
面白いなこの子(笑)。ベッド。

P.A.S.S:
ベッド?わかりました!

須田:
おおっ!覚えましたね。

――正確に発音できたときは「そうそう」と相づちを入れると覚えが早くなるらしいです。間違ったときは「違う」と。

須田:
なるほど。丸テーブル。

P.A.S.S:
まるテーブル?

須田:
そうそう。

P.A.S.S:
丸テーブル!

須田:
丸テーブル。

P.A.S.S
ま、る、て、とぉ?

須田:
違う。

P.A.S.S:
*ティーン*

――これ泣いているSEだったんですね(笑)。

須田:
丸テーブル。

P.A.S.S:
あぶ、のーまる?

――アブノーマルって言いましたよ(笑)。



須田:
違う!丸テーブル!

P.A.S.S:
アブノーマル!

須田:
違う!違うよ(笑)。丸テーブル!

P.A.S.S:
ないて、とる?

須田:
違う(笑)!最初、言えたのに。おかしいな。丸テーブル。

P.A.S.S:
あぶ、のーまる!

――そんなにアブノーマルって言いたいのか(笑)。

須田:
本当ですよね(笑)。丸テーブル。

P.A.S.S:
丸テーブル!

須田:
覚えた?

P.A.S.S:
だいたい。

――反応するんですね。

須田:
これでいいんですか?

――さっきのカットシーンが入るまでやらなきゃいけないみたいです。

須田:
丸テーブル。

P.A.S.S:
わかりました!

――大変ですね、これ…...。

爆笑必至!言い間違えの数々



いくつかの単語をP.A.S.Sに覚えさせてみましたが、どうも単語によって覚えやすさが異なるようです。いくつかの単語は4、5回繰り返すだけで覚えてくれましたが、言い間違えを頻発させる単語もあります。ただしこれらの言い間違えもゲームの楽しみのうち。思いもよらないフレーズが飛び出し、何度も笑ってしまいました。

須田:
カレンダー。

P.A.S.S:
おれんだ

須田:
おれんだー

P.A.S.S:
おおるんだ?

須田:
オレンジ

P.A.S.S:


須田:
(笑)。どうもあらかじめ決められた言葉しか言わないみたいですね。カレンダー。

P.A.S.S:
かなしんだ

須田:
(笑)。

――上手いこといいますね。

須田:
楽しんだ。

P.A.S.S:
・・・

須田:
悲しんだ。

P.A.S.S:
・・・

須田:
だめですね。間違いワードはあるけど、特定の言葉しか反応しないようになっています。あと光源がおかしいせいか窓によると肌が黒くなる。

――ライティングの計算がおかしいのですかね。

須田:
しかしXbox 360ではなく、初代のXboxですよね。この頃にしては相当ポリゴン使ってますね。モデリングには力が入っています。 あと単語によって覚えやすかったり、覚えにくかったりゆらぎがありますね。

――ランダム要素があるみたいですね。成長していく様子がうまく再現されています。

その他にも「掃除機>もうじき?」、「ゴミ箱>宝箱 or 下駄箱」、「ビデオ>イデオン」、「ラジカセ>でまかせ」といった珍回答が続出。正解の単語を言わせるだけではなく、いかに面白い言い間違えを見つけ出すかという遊び方もありだと思います。その点、本作は実績システムとの相性は良かったかもしれません。また間違いの中にはプロデューサー広井王子氏の趣味が見え隠れするのも面白かったです。

未来を夢見たデートシム:バーチャルアイドルから『サマーレッスン』まで



しばらく名前を覚えさせていると、突然P.A.S.Sはオーバーヒートを起こし、強制冷却に入ります。一度に多くの名前を覚えさせるとオーバーヒートが発生するようで、冷却にはリアルタイムで10分程度が必要。その間に須田氏に本作の印象をうかがいました。

――今回は編集部がセレクトしたタイトルですが、須田さんは本作はご存じでしたか?

須田:
存在は知っていました。でも遊んだことはないですね。部屋で完結するのは、今だと『サマーレッスン』っぽいですね。

――そうですね。ただPhaseをクリアすると別の部屋にも行けるようです。

須田:
なるほど。でも外には出ないですよね?

――出ないです。テーマ自体が「同居型コミュニケーションドール」という設定なので、家での生活に焦点が当てられています。

須田:
でも当時から気になっていましたよ。CGはすごいし、初音ミクなんかよりずっと前ですよね。

――5年くらい前ですね。

須田:
当時、こういうCGのアイドルは他にもいましたよね。

――伊達杏子とかテライユキとかですね。ゲームハードが次世代機になり、3Dが使えるようになり、一時バーチャルアイドルブームがありました。

須田:
これが成熟したのが初音ミクだと思うんですよね。

――ただ本作は人工音声なので、ボーカロイド以前のレトロさを感じさせますよね。今聞くと相当、拙いですが。

須田:
ボーカロイドはもっと進化していますからね。人間の声をサンプリングしています。今だったらそういう技術でより自然な会話ができそうです。音声認識もより進化しているでしょうから。音声認識自体はこの時代に一番注目を浴びたと思います。

――セガなどでは『シーマン』以降もいろいろと研究していたようです。『バイナリードメイン』でも音声認識ありましたよね。

須田:
デバイスとして音声は便利なんですが、正直、本当に使いきれているものは『シーマン』が今のところ最高峰ですね。



――最高峰ですか(笑)。ところで須田さんは『サマーレッスン』は体験したのですか?

須田:
やりました。臨場感がすごかったですね。正直、こんなもんじゃないんです。ただ本作のような会話の仕組みがあっても良いと思います。音声で会話できるとすごいことになりますよ。

――声で指示を出すのは、非常に直感的なインターフェースですね。『サマーレッスン』の女の子はしゃべるんですか?

須田:
しゃべりますね。かわいい声優さんの声でがんがんしゃべってきます。

――なるほど。吹き込んだ人間の音声なんですね。P.A.S.Sみたいにロボットではなく。

須田:
リアルな女子学生です。女子学生とこの距離感で密室で二人っていうのは非常に照れます。あと顔が本当に小さい。モデリングが本当にすごいと思いました。もう数ヶ月あればもっととんでもないクオリティで作れるそうです。

――それは鉄拳チームだからでしょう(笑)。

須田:
あとは部屋で二人きりでコミュニケーションを楽しむ。密室シチュエーションだけ見ると『サマーレッスン』と本作は相当似ています。やってることは大体一緒と言えます。

――本作はPhase1、Phase2と進めていき、クリアするとエンドレスのモードで遊べるようです。そうするとただ自由に女の子と会話するだけですが、冗談や毒舌も吐いてくるし、甘えてもくるそうです。

須田:
恋愛シミュレーションとしてはうまく作られていますね。VRの世界にも向いていると思います。

より自由度が増したPhase2に突入



さて10分ほど経過するとP.A.S.Sが「くぅるだぅんしました」と戻ってきました。Phase1の残りの名前を覚えさせます。さらにPhase2に進むには一度、メーカー側でP.A.S.Sのメンテナンスを行う必要があります。これにはリアルタイムで1日以上の時間経過が必要。さすがに待っていられないので、Xbox本体の時間設定を変えて未来に進みます。

懐かしいXboxの起動画面を見てゲームを再開すると、P.A.S.Sが戻ってきていました。同時に多くのメールが届いています。Phase2におけるユーザーへの注意事項と共に、本筋とは離れた内容のものも多く含まれています。いくつかのメールは大企業による世界の支配を警告する内容であり、どうも本作のバックグラウンドには陰謀論的なストーリーがあるようです。



さらにPhase2からはP.A.S.Sに名前をつけることができます。入力した名前は実際にP.A.S.Sが発音しますが、須田氏がつけた名前はなぜか「チュンリー」。中華系のモデリングの影響でしょうか。実際にP.A.S.Sは早口で「チュンリー」と発音し、中国語っぽさはありました。またPhase2からはモーションや表情も豊かになってきます。かなり淡々としたPhase1に比べて、一気に内容が華やかになり、展開に期待が持てます。

ミッションでは、まずテレビをつけることから始めました。テレビをコントローラーで選択した後、「スイッチ>右」といったワードで順番に指示します。P.A.S.Sはあまり長い言葉を認識できないようで、「テレビの電源をつけて」といった言葉には反応してくれません。そのため、簡単な内容でも指示の仕方を推測する必要があり、このあたりは古典的なテキストアドベンチャーを音声でプレイしている気分になります。

さらにコーヒーメーカーでコーヒーを淹れるというミッションにも挑戦。「コーヒーメーカー」という指示を与えると、P.A.S.Sは「はい、コーヒーを入れます。豆は粗挽きですか、細かく挽きますか?」とお好みを聞いています。さらに砂糖の量とミルクの量に答えるとコーヒーを作り始めます。会話のワードが限られているため、ブラックを頼むことができませんでした。この融通が効かなさもロボット感にあふれています。

また「冷蔵庫」という指示を与えると「冷蔵庫にはMSコーラが入っています」という反応が返ってきました。「MSコーラ」と聞いて気にならないわけがないので、P.A.S.SにMSコーラを持ってきてもらいました。ごく普通のコーラでしたがサイズはアメリカン。部屋にはXboxのポスターがあり、冷蔵庫にはMSコーラ。主人公はマイクロソフトの大ファンのようです。

音声認識が未来であった時代



――まだまだ遊びたりないと思いますが、そろそろ時間です。今回、始めてのプレイでの印象はどうですか?

須田:
やはり女性キャラと育成という要素は相性がいいですね。これは本当に育成に特化したゲームです。これが距離感を引いていくと『ときめきメモリアル』や『アマガミ』といった恋愛シミュレーションゲームになります。複数の女の子とデートするという内容ですね。一方、本作は『ラブプラス』に近いですね。ずっと密着しているタイプ。やはりちょうど『サマーレッスン』を体験したんで同じような感覚があります。「自分=プレイヤー」となって対峙するのは、ゲームとの相性がいいですし。

――古典的なテーマですが、『サマーレッスン』でも扱われた通り、まだまだ探求しがいあるジャンルかもしれません。

須田:
そうですね。可能性はあります。あとはスペックが上がれば上がるほど、グラフィックスの密度は上がっていきますよね。そうするとより現実味が増します。本作がOculus RiftやMorpheusで出たら、それはそれで面白いでしょう。

――埋もれていた作品が復活するかもしれません。個人的には見た目とかボイスを使うっていう以上にゲームとしての出来が非常に良いと思いました。覚えていく過程で、たまに間違えるあたりが非常にリアルで楽しい。こういった部分は作っている人がゲーム的な快楽を良くわかっているなと感じました。

須田:
音声認識は新しいテクノロジーデバイスだったんですよ。MSはこのあとKinectとかをやりますが、音声認識も標準で入ってます。そういう可能性を模索していた時代ですね。今は当然のものとしてありますが、当時は音声認識がゲームの未来だったんです。現在はビデオゲームの文法が出来上がり、音声認識はツール化していく。でもその後にVRが新しいデバイスとして注目を浴びています。

――なるほど。この時代の未来が音声認識で、今だとVRに新しい可能性を見出しているんですね。

須田:
そこが最先端の未来ですよね。結局ソフトがないとダメなので作り手はそこでいかに楽しませるかが重要です。



――しかしながら、今回はレトロゲームというにはギリギリでしたが。

須田:
でも初代Xboxはもうレトロゲームで良いと思います。グラフィックスも古いところがありますが、P.A.S.Sのモデリングはいま見てもかわいいし、良く出来ています。髪の毛のフィジクスもしっかりしています。

――Phase1とPhase2のコントラストが強いのが面白かったですね。短調な作業をやらせておいて、その後に一気に広がる。その辺りのデザインがゲームとして楽しい。

須田:
それこそナラティブなゲームとして優れていますね。

――あとは陰謀論みたいな設定も興味深いです。

須田:
そこら辺も含めて当時はまさに未来のゲームだったのでしょう。音声認識を使った実験的なタイトル。

――確かに初代Xbox というハードの中でこういったタイトルをリリースしていたことは、今考えると驚くべきことですね。

記事提供元: Game*Spark

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(Article written by 今井晋)

パッケージ画像
機種 XBOX
ジャンル
発売元 日本マイクロソフト
開発元
発売日 2003年04月24日
プレイ人数 プレイ人数未定