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記野直子の『北米ゲーム市場分析』2014年11月号―DLCが今後のカギになる!

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記野直子の『北米ゲーム市場分析』2014年11月号―DLCが今後のカギになる!
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こんにちは。2014年もあと半月ですね。北米の年末商戦も最後の追込みの期間です。ビジネスの意味では北米ではクリスマス休暇などで12月の後半にコミュニケーションがとりにくくなりますが、購買意欲は旺盛です。今回報告する11月のセールデータ集計結果と合わせて見守っていきましょう。

■市場全体動向

10月の北米の市場規模総額は前年比11%ダウン。新ハード発売の勢いと比べられてはたまりませんので、このダウンは正常値と考えられます。その証拠にハードウェア売上を見ると前年比23%ダウン。この数値はあくまでも「金額」規模ですのでXbox Oneの値下げやPS4のバンドル版などを考えれば、こちらもうなずける数値です。

ソフトウェアハードウェア販売は前年と比べて2%ダウン。あくまでもパッケージセールスの数字なのでダウンロードを考えると決して落ちてはいないはずです。

■ハード動向―PS4の12カ月首位にストップをかけたXbox One!

11月のハード売り上げ状況は、好調のPS4を押さえて2013年12月以来のXbox Oneの首位返り咲きが見られました。11月2日からの期間限定50ドル値下げ(現在、Kinectナシ版が350ドル)や、各種ソフトウェアバンドル(同梱)による特別価格キャンペーンなどを考えると、この結果が出なければおかしなことになりますね。

Xbox One のソフトバンドル版を一部紹介しましょう。1TB ハードディスク(現在のところゲームハードウェアに搭載されているハードディスクで最大容量)付『Call of Duty: Advanced Warfare』が450ドル、「Assassin’s Creedバンドル」はKinectナシ版が350ドル、Kinectアリ版が400ドル。『Assassin’s Creed Unity』と『Assassin’s Creed IV Black Flag』の2本のデジタルダウンロード権がついてきます。また、Kinect アリ版はさらに『Dance Central Spotlight』もついてくるというお得感。インソムニアックゲームズ (Insomniac Games)が開発した話題の『Sunset Overdrive』バンドル版は400ドル。


NPD以外のソースからの情報によるとXbox Oneは11月単月で100万台前後の売上を達成したとのことです。また、同月のイギリスのランキングでもXbox Oneが首位とのニュースがありました。英語圏で頑張っている!という総評も聴かれます。

PS4が負けた!と言い切るほどの差はついていないようです。もちろん年末商戦ではソニーもバンドル版を駆使して販売を伸ばしています。僅差というのは語弊があるかもしれませんが、Xbox One、PS4ともに好調とまとめるのが正しい認識です。

ハードメーカーがどうやってユーザーにたくさんのハードを買ってもらうか競争する様子は、業界にとって非常に有益なことだと考えます。ユーザーがハードをたくさん買ってくれればソフトメーカーや開発会社は大きなユーザー規模に対して安心してソフトウェアを供給するモチベーションを持てるからです。

日本にいると感じられませんが、北米ではゲームハード移行が急速に進んでいるようです。NPDによると、PS4とXbox Oneが発売から13カ月に売り上げたハード台数をPS3とXbox 360のそれと比べると180%をマークしているということです。日本国内もこの勢いをフォローしたいところです。

Wii Uは11月だけで24万台超を売り上げたというデータがありました。これは『Super Smash Bros. for Wii U』がけん引したと言われています。サードパーティタイトルがハードを引っ張るPS4やXbox Oneと比較すると、ファーストパーティが自らのソフトの力でハードを押し上げる任天堂は、ハードメーカーとしてだけでなくソフトメーカーとしての強い力を感じます。

■『Call of Duty: Advanced Warfare』発売1ヶ月で2014年度に一番売れたソフトに

現在のところハイブリッド(新ハードだけでなく旧ハード版も準備すること)が多く見受けられる北米のソフト展開です。11月の北米市場での旧ハード向けソフトの対前年比の落ち込みは3億6,100万ドル(約430億円)とのこと、対前年比の新ハード向けソフトの売上が3億4,200万ドル(約405億円)のアップ、ということなので、全面的にシフトしても旧ハードの落ち込みが吸収できないと考えれば正しい判断かもしれません。

しかしながら、11月12月に爆発的なハードの移行が予想されるため、2015年は旧ハードを切り捨てて新ハード向けのみにシフトしていくことは確実です。
さて、11月度のソフトウェアランキングです。

    1. Call of Duty: Advanced Warfare (PS3/PS4/X360/X1/PC) - Activision Blizzard
    2. Grand Theft Auto V (PS3/PS4/X360/X1) - Take 2/Rockstar
    3. Super Smash Bros. for 3DS (Wii U/3DS) - Nintendo
    4. Madden NFL 15 (PS3/PS4/X360/X1) - Electronic Arts
    5. Pokemon Alpha Sapphire (3DS) - Nintendo
    6. Far Cry 4 (PS3/PS4/X360/X1/PC) - Ubisoft
    7. Pokemon Omega Ruby (3DS) - Nintendo
    8. NBA 2K15 (PS3/PS4/X360/X1/PC) - Take 2/2K Games
    9. Assassin's Creed: Unity (PS4/X1/PC) - Ubisoft
    10. Halo: The Master Chief Collection (X1) - Microsoft

パブリッシャーであるActivisionからプレスリリースが出ており、『Call of Duty: Advanced Warfare』は発売1ヶ月のソフトであるにもかかわらず、2014年度で一番売れたソフトタイトルになったとのこと。これはプラットフォーム別PS3、PS4、Xbox 360、Xbox Oneすべてにおいて2014年度ナンバーワンタイトルだったとコメントしています。前作を超える勢いではなかったようですが、それでも発売初週に370万本売り上げたという報告も出ており、新ハードが行きわたる途中の現段階においては十分に賞賛に値する結果です。

『Call of Duty: Advanced Warfare』と『Madden NFL 15』がXbox One版がPS4版より販売数が多いとのこと、逆に『Grand Theft Auto V』、『Far Cry 4』、『NBA 2K15』はPS4版が強かったとのデータがあります。PS3とXbox 360の時代には日本発のタイトル以外は常にXbox 360がリーディングプラットフォームと言われていたことを思い出すと、いかに現在PS4とXbox Oneは拮抗しているかがわかります。

話題性の高いEAの『Dragon Age: Inquisition』がランクインしていませんが、発売日が11月18日だったことから月初または前月末に発売されたソフトに日数で負けてしまったと言われています。この辺りは、年末商戦最後の12月のデータをお楽しみに。

■エクスクルーシブタイトルからエクスクルーシブDLCへ

ソフトウェア市場は2%ダウンとのことですが、PCソフトだけを見てみると前年比34%アップとのこと。これはActivision Blizzardの『World of Warcraft: Warlords of Draenor』が発売されたこと、EAの『The Sims 4』が好調なことによるようです。

日本でもゲーマーならば必ず知っている『Warcraft』シリーズ。『World of Warcraft(WoW)』はPCのMMOがほとんどF2Pモデルに移行している中で10年以上も有料(パッケージ+月額課金)で世界中のユーザーを魅了して止まないMMORPGの代名詞というべきソフトです。

拡張パックと言う名の追加コンテンツもPCソフトが始まりです。コンソールにおいてDLCという発想が容易に生まれてきたのも欧米のPC文化が先にあったからでしょう。日本でも少し前にコナミがアーケードでヒットした『beatmania』シリーズを家庭用に移植した際に、曲の追加をアペンドディスクという形で安価で販売していたことも、今考えると「先見の明」だったと業界の方と先日話していたところです。


話が遠回しですね。はい、DLCの話をしたいのですが、Activisionの『Destiny』はマルチプラットフォームで発売されていますが、本タイトルには『The Dark Below for Destiny』というDLCがありPS4オンリーのDLアイテム(ミッション/武器)があります。これがソニーにとってもActivisionにとってもいい話になっているというお話です。

過去にはエクスクルーシブタイトルと言われる単一ハード専用タイトルがサードパーティから出されることがありました。日本は単一ハードで発売することは抵抗がなかった感がありますが、PC版からマルチプラットフォーム化を常としていた欧米の開発会社からすると、プラットフォームが減るということはある程度のチャンスロスのリスクがありました。

この決断をソフトメーカーにしてもらうために、ハードメーカーは特別なマーケティングコミットメント(宣伝分担金やハードメーカーとして全面的にプロモーションをプッシュする約束をすること)や場合によっては開発援助金を拠出することもあるのです。

しかしながら、昨今のハイスペック化による莫大なソフト開発投資の環境下で、ハードメーカー側が自社タイトルでないにもかかわらず大きな金額を負担するのには限界がありますし、ソフトメーカー側は一部負担金が他のプラットフォームへ展開しなかった場合のリスクを吸収できるかと考えればこちらも苦渋があるのです。

そこでDLCで差別化をする、というのは非常に理にかなった手法ですよね。本編はマルチプラットフォームで展開したとしても独占DLCを使ってハード側の要望をかなえることができるのです。しかもDLCコンテンツそのものではなくアイテムやマップなどですから、本編をエクスクルーシブするよりも効率がよく、さらに低リスクで実現ができる、双方にとってメリットがあるので決断も容易ですね。

これは、ユーザーにとってDLCが単なる「おまけ」ではなくなっているということを物語っています。ユーザーにとってそのDLCが遊べることがハードの選択の材料になるということなのですから。ソフトがパッケージ販売だけでなくなった以上、きちんと課金ができるDLCは業界の進化のカギとも言えるでしょう。

それでは、また来月!
《記野直子》

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