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指輪物語の舞台で復讐劇が始まる!『シャドウ・オブ・モルドール』ハンズオンレポート

12月25日に発売予定のPS4/Xbox One向けオープンワールドアクションRPG『シャドウ・オブ・モルドール』。11月6日にワーナー・ブラザースにて本作のメディア向けのハンズオンが行われましたので、その模様をレポートします。

ソニー PS4
12月25日に発売予定のPS4/Xbox One向けオープンワールドアクションRPG『シャドウ・オブ・モルドール』(PS3は3月5日発売予定)。海外版は既にリリースされ、メタスコア80点超えの高い評価を得ています。11月6日にワーナー・ブラザースにて本作のメディア向けのハンズオンが行われましたので、その模様をレポートします。



『シャドウ・オブ・モルドール』は『F.E.A.R.』や『Condemned: Criminal Origins』などで知られるMonolith Productionsが開発。Monolith Productionsは2012年に同じ『指輪物語』を題材にしたMOBA系ゲーム『Guardians of Middle-earth』をリリースしています。当日はまずパブリッシャーのWarner Bros. Interactive Entertainmentのピーター・ワイズ氏によるプレゼンテーションが行われました。


当日プレゼンテーションを行ったバイス・プレジデントのピーター・ワイズ氏。

本作はJ・R・R・トールキンの世界をモデルとしたRPGです。物語的にはトールキンの小説『ホビットの冒険』と『指輪物語』の間の出来事を扱っています。主人公はゴンドールのレンジャーであるタリオン。冥王サウロンがモルドールに帰還するのを防ぐため、タリオンは「黒の門」の警備にあたっていました。しかし、オークたちの襲撃により息子と妻と共に殺されてしまいます。謎の力で復活したタリオンは幽鬼(Wraith)の力を得ることで復讐を誓うというのが基本的な物語の流れです。



次にWyse氏自らのゲームプレイによって本作の一番の特徴である「ネメシスシステム」が紹介されました。本システムでは敵役となるオークに異なる個性や性格が与えられています。これらの組み合わせはランダムに生成されるため、プレイするたびに異なるタイプのオークと戦うことになります。さらにオークたちは出世欲に彩られた独特の社会を構築しています。プレイヤーがオークとの戦闘に負けると、そのオークはなんと昇進するのです!

このようなオークの軍団を相手するタリオンも負けてはいません。オーク同士の出世抗争を利用して軍団を撹乱するのです。オークの中には自らの出世のため、タリオンに情報提供を行うものもいます。さらにスキルを利用することでオークたちを仲間に引き入れることも可能。撹乱作戦によって少しずつ家族を惨殺した黒幕に迫っていきます。

■全部入りの爽快なアクション



プレゼンテーションの後、別室でハンズオンが行われました。今回プレイしたバージョンはPS4の日本語版。ローカライズも完了しているようで、日本語でオープニングから自由に楽しめました。オープニングであっさりと殺されてしまう家族ですが、操作チュートリアルで在りし日の息子と妻を登場させる憎い演出を行っています。息子も妻もとても可愛いため、オークへの憎しみの気持ちが湧き上がります。

ゲームは最初からかなりの自由度があります。メインミッションを行うも良し、サブミッションを行うも良し、無駄にオークを惨殺するのも良し。オープンワールドということでフィールドは広大ですが、意外とマップの密度は濃く、歩いていると何かしらのイベントに出会います。ただ中立的なNPCは少なく、歩いているキャラクターはほとんどオークか奴隷である人間。そのため頻繁に戦闘が発生します。バトルが主体のかなり殺伐としたオープンワールドゲームと言えます。



しかしながら、戦闘部分にはかなりの力が入っており、飽きさせません。基本的には『バットマン』シリーズののようなコンボ攻撃とカウンターによるスタイリッシュなコンバットです。さらに『アサシンクリード』シリーズのようなスニーキングやステルスキル、『F.E.A.R.』シリーズのスロー・モーを思い出させる遠隔攻撃、カラゴルという動物に騎乗してのアクションとかなり多彩です。昨今の3Dアクションではお馴染みの要素が全部入ったような印象です。それでいて操作にもたつくことなく爽快にプレイできるのは特筆すべきことでしょう。

成長要素はシンプルにスキルとルーンの二本立てです。スキルにはレンジャー(Ranger)と幽鬼(Wraith)の2系統あり、レンジャーでは主に剣技、幽鬼では闇の力を利用したスタン攻撃など多彩な技を習得できます。ルーンはボスのオークを倒すと手に入り、剣、短剣、弓のスロットに追加することで様々な効果が得られます。武器の変更はないため、ルーンが主なカスタマイズ要素となっています。しかしながら、ルーンの種類はかなり豊富であり、ハクスラ的な要素も持ち合わせています。

■オーク愛に目覚めるネメシスシステム



ゲームを進めるとボスキャラとなる小隊長のオークが登場します。これらの小隊長は5人のWarchiefを筆頭とする軍団を構成しています。メインミッション中に戦うこともあれば、フィールドを歩いていて偶然に接敵することもあります。一度、接触したことのある小隊長はオプションボタンを長押しですることで、名前や性格、弱点などを確認でき、ターゲットとして選択することでいつでも戦うことができます。

実際にフィールドを歩きまわっていると結構な確率でこの小隊長に出くわしました。一度に3名の小隊長に接敵することもあり、不意をつかれるすぐにやられてしまいます。タリオンを倒したオークは昇進してパワーアップするため、負けると思ったら逃げることも肝心。とはいえ、ゲームオーバーという要素によって敵の軍団構成が変化するのは楽しく、殺られるのもまた一興。あえてお気に入りのオークに殺されまくり、出世させるというプレイもありでしょう。



オークのバリエーションは本当に豊富でした。ネメシスシステムによってランダムに生成されるオークたちは名前もビジュアルも性格もまったく異なります。プレイするたびに個性的なオークと出会える本作はオーク好きにはたまらない内容と言えます。特にタリオンを倒したときに表示されるオークの啖呵はとてもユニーク。復讐心を煽られると思いきや、むしろオークへの愛着が湧いてきました。ピーター・ワイズ氏によると、これらのオークのデザインは映画『ロード・オブ・ザ・リング』シリーズの監督ピーター・ジャクソン氏とのワークショップで検討したそうです。これまでの映画化作品以上にオークの猫写にこだわった本作。まさにオーク愛に満ちたオークゲーとしての最高峰でしょう。

■原作ファンも納得の作りこまれた世界観



ストーリーが描かれるメインミッションでは、ゴラムやケレブリンボールといった原作ファンに馴染みの深いキャラクターが登場します。ゴラムは映画版に準拠した造形で有名な「いとしいしと」という台詞も登場します。ケレブリンボールは物語上で重要な「力の指輪」を作った人物として知られますが、本作で初めての映像化がなされました。これらのキャラクターデザインも映画監督ピーター・ジャクソン氏と共に作っていったそうです。

また原作の雰囲気を尊重する範囲内で独自の要素が付け加えられています。特に本作のアクションを特徴づけるカラゴルの騎乗ですが、この「モルドールのライオン」と呼ばれる動物は原作には登場しません。しかしながら、オークも恐れるこの獰猛な動物はアクション要素だけではなく、荒涼なモルドールの雰囲気にマッチしていました。



ピーター・ワイズ氏によれば、『指輪物語』という既に有名な作品のゲーム化において一番重視したのは原作への「尊重(respect)」であるそうです。既に映像化されたものに関してはそれに準拠しながらも、オリジナルの要素を原作の雰囲気にマッチさせてつくり上げるのには苦労したそうです。中でも主人公のタリオンのキャラクターデザインは2年という歳月をかけて作られています。

爽快なアクション、個性的なオークたち、作りこまれたオープンワールド。本作は原作ファンもそうでない人も同じく楽しめる非常にリッチな作品に仕上がっています。AAAタイトルとしてはいまいち派手さや知名度はありませんが、骨太なファンタジーを求める人には間違いなくオススメの作品だと感じました。
《今井晋》
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