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【TGS 2014】争奪戦が始まるジャパンコンテンツ ゲームのアジア進出はいまどうなってる?

ゲームビジネス 市場

【TGS 2014】争奪戦が始まるジャパンコンテンツ ゲームのアジア進出はいまどうなってる?
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東京ゲームショウ2014特別企画「国際会議アジア・ゲーム・ビジネス・サミット」が開催され、「ジャパンコンテンツ争奪戦~日本のゲームの魅力とは~」をテーマに、5カ国6名のパネリストがゲームのアジア進出について議論を展開。キャラクターIPに対する需要は高いが、日本企業と現地企業とのやりとりが煩雑・・・。そんな問題意識が浮かび上がってきました。

パネリストはインドネシア・XL Senior GM Digital Entertainmentのレビエ・シルビアン氏。シンガポール・TM Gamerのアルビン・ヤップ氏。中国・盛大ゲームズの銭東海氏。韓国・GAME VILの李京一氏。そして日本からグリー・青柳直樹氏とディー・エヌ・エーの小林賢治氏です。モデレータは日経BP社の渡辺敦美氏が務め、「自己紹介と現地のスマホゲーム事情」「ジャパンコンテンツは本当に魅力的なのか」「日本企業が準備しなければならないこと」の大きく3点がテーマとなりました。

■こんなに違う、各国のスマホゲーム事情

はじめにシルビアン氏がインドネシアの現状について紹介しました。2億6100万人と世界第4位の人口を誇り、モバイル普及率が120%を越える「隠れたモバイル大国」のインドネシア。OS別ではAndroidが53%、Blackberryが35%と二強で、特にAndroidの伸びが著しいといいます。ただしユーザーはまだ初期段階で「スマホの操作」から教育が必要とのこと。クレジットカードの普及率も20%程度で、回線も2Gから3Gへの移行期です。

そこで通信キャリアでもある同社では「gdang aplikasi」というコンテンツポータル(キャリアの公式サイトに相当)を運営し、ゲーム、アプリケーション、音楽、壁紙など、さまざまなコンテンツを配信中。ユーザーの消費動向などをプロファイルしながら、企業向けにマーケティング支援なども行っていると説明しました。またインドネシアでの展開では、ロースペック端末でも楽しめるようなコンテンツの改変が重要だとしました。

続いてシンガポールに拠点を置きつつ、東南アジア全域でスマホゲームを配信するヤップ氏は、「100年に1度のチャンス」だと現状を分析しました。モバイルで初めてインターネットに触れるユーザーが、これから新興国を中心に20億人も増加する見込みです。しかし先進国の企業では収益性などを考えると、なかなか進出しにくいのも事実。そのため同社のような新興国企業が有利というわけです。

マネタイズについても、同社では500ドル相当のAndroidアプリ100本を月額0.2ドルで遊び放題にするプランを展開中。『FF』『ソニック』『ハローキティ』などの国産コンテンツも含まれています。「auスマートパスのように、厳選したタイトルを提供し、包括契約で売り上げを立てる」戦略だと紹介しました。「これにより新しいエコシステムを構築しています」(ヤップ氏)

これまでの二社が通信キャリアのエンタメ部門&ゲームアプリの総合商社だとしたら、次の二社は内作スタジオも有するアジアのゲームパブリッシャーです。

まずはMMORPGの雄であり、中国で有数のゲームパブリッシャーとして知られる盛大ゲームズ。近年ではモバイルにも力を入れており、中でも記憶に新しいのが『拡散性ミリオンアーサー』の成功です。他にも『チェインクロニクル』『ラブライブ』と立て続けに国産タイトルのパブリッシングを担当。日本企業にとって、数年ぶりとなる中国進出ブームのキーマンだといえるでしょう。

そんな銭氏は「中国ではGoogle Playが存在せず、100種類にもおよぶアプリサイトとどのようにビジネスを進めていくか」「これまでオンラインゲームやコンソールゲームが中心だった政府の規制が、いよいよスマホゲームでも強化されていく見込み」「一つのIPをさまざまなデバイスやスクリーンで展開する流れが中国でも到来している」という3点を、最新情報として共有しました。

韓国からはRPG・ストラテジー・スポーツを主力にアプリを展開するGAME VILが参加しました。李氏は韓国はクレジットカードやLTEの普及率が高く、商慣行が近しいため、日本企業も進出しやすいのではないかといいます。もっとも市場の小ささはぬぐえず、同社もダウンロードベースで7割、売り上げベースで6割を海外市場に依存しているほど。中でも北米が横ばいなのに対して、中国本土と欧州が過去1年で急速に増加してきました。今後も同社にとって海外展開は必要不可欠だとします。

こうした海外企業に対して青柳氏は、今年はグリー創業10周年で、新たな挑戦としてネイティブアプリへのシフトを進めていると紹介しました。「すでに1000人を越える開発者が全世界でネイティブアプリを開発しており、これだけの規模感は世界でも珍しいのでは」(青柳氏)。またゲームだけでなく、スタートアップへの投資事業なども行っており、海外展開の際にもパートナー候補として検討して欲しいと語ります。

少し前までアメリカ支社にいたという青柳氏は、開発費の増加と共にアメリカでもスマホゲーム開発でスタートアップが減っていると説明しました。宣伝面でも日本と同じく、スマホゲームをテレビCMで広告する時代に入っており、ある程度の規模感が求められるといいます。そのため当初からマルチリージョンで配信して、開発資金の回収を行うことが求められると説明しました。

最後に小林氏は日本・中国・アメリカでそれぞれ開発拠点をおき、独自に開発・運営を行う体勢を紹介しました。MOBA(マルチプレイヤー・オンラインバトルアリーナ)系の『WARP(Warriors of the Red Planet)』は北米の開発会社との協業。『God Breaker』は韓国スタジオ。そしてトランスフォーマーの版権を活用した『Transformers Rising』では、アメリカの開発会社が開発したゲームを、中国のスタジオで徹底的にカルチャライズした・・・などです。

また国内トレンドとしては「『モンスターストライク』を契機に、過去1年でリアルタイム系が増えてきた」「運用の重要性を再確認」「短時間×高頻度プレイのゲームが根強い」と整理しました。小林氏は「リアルタイム系ゲームはコアユーザー向けになりがちだが、『モンスト』はうまくカジュアル向けに寄せたと評価。また「短時間×高頻度プレイ」は日本が世界に先んじて創り出した、スマホらしい遊びだと言います。他に海外進出時のパートナー候補としても、ぜひ活用して欲しいと補足しました。

■オリジナルゲームとIPゲームの有利不利

さて、各社の自己紹介が終了したところで、いよいよ本題となります。「日本のコンテンツは本当に魅力的なのか?」。まるっと以下の議論を整理すると「魅力的、しかし・・・」となりました。これには漫画やアニメなど、日本のコンテンツが海賊版として先に浸透してしまった経緯があります。そのためオリジナルよりもキャラクターゲームの方が人気が出やすいのは当然で、日本企業としてはIP管理に慎重になるところもある、というわけです。

「インドネシアではインターネットユーザーの58.4%が12歳から34歳。若い人たちの嗜好をいかに掴むかが重要です。そのためJKTB48をはじめ、日本の音楽やアニメ、キャラクターなどは高い吸引力を持ちます」(シルビアン氏)。「東南アジアの若者はみな日本の漫画やアニメで育った世代です。『ドラえもん』『ナルト』『パワーレンジャー』などです。しかし総じて日本の企業はこうした価値をうまく活かせていません」(ヤップ氏)。

小林氏は「これまで海賊版でビジネスにならなかったが、F2P(基本プレイ無料のアイテム課金方式)の普及ではじめて状況が変わってきた。日本には膨大なIP資産があり、協業のメリットが生まれてくる」と展望を語りました。しかし、オリジナルゲームならまだしも、IPを活かしたゲームではカルチャライズや運営などを巡って課題もあるようです。

銭氏も「日本企業はコンテンツの大衆化が上手い」と評価しつつ、「日本で流行ったものをそのまま中国に持ってきてもダメ」と釘を刺しました。その好例が『拡散性ミリオンアーサー』で、オリジナルゲームだったので制約も少なく、中国側で自由にやれたとのこと。ただし知名度はゼロだったので、事前予約キャンペーンをはじめ、販促にかなり力を入れたそうです。「知名度は高いが制約が多いIP系ゲーム」「自由度は高いが知名度がないオリジナルゲーム」この両者で、いかにいい落としどころを見つけるかが鍵をにぎりそうです。

これに対して小林氏も「中国市場でやっと目が出てきた」としつつ、成功の秘訣は「一気に現地流のやり方に切り替えたこと」だと語りました。成功例として上げられたのが前述の『Transformers Rising』で、ハリウッドの人気IPを使ったゲームをアメリカ人が作り、その上で中国人が徹底的にカルチャライズしました。これによって「IP好きの中国人」の感覚にピッタリはまるゲームができ、ヒットにつながったというわけです。

小林氏は「日本のやり方が驚くほど通用しません」と語ります。前述のとおり中国では100種類ものアプリサイトとどのように付き合うかがビジネスの鍵を握ります。このノウハウは日本ではあり得ません。コンテンツの消費速度も日本とは比べものにならないほど。これについては韓国でも同様で、李氏は「韓国ユーザーはゲームが大好き。日本で1ヶ月程度のアセットも、韓国では4-5日で遊び尽くされてしまう」と語りました。

プロモーションについても同様で、小林氏は「日本はちょっと出してみて、火がつき始めたらテレビCMを投下してユーザー数を増やすのがセオリーだが、これができるのも日本は地上波中心でチャンネル数が少ないため。日本ほどテレビCMが効く国はない」と注意を促しました。北米向けにも「カナダでテストマーケティングし、人気が出たらアメリカ向けに配信する」という方程式があるが、中国・韓国ではこうしたやり方が使えないとのこと。それよりも日本でも増えてきたアプリの事前登録などが効果的だと説明しました。

これについては銭氏も同意見で、特にオリジナルゲームでは必須だといいます。事前にどれだけ前評判を高めてユーザーコミュニティをもりあげ、初速でランキング上位に躍り出るかが重要なのです。『拡散性ミリオンアーサー』はまさにこの手法でヒットしました。

■ローカルのことをローカルに任せられるか?

このように議論を通して、現地のコンテキストをいかに理解して進出するか。そのためには現地の人間をいかに活用するか、または協業するかが重要・・・そんなポイントが浮かび上がってきました。

「管理を徹底しようとするのは良いことだが、納品後の研修やテストなどが多く、煩雑なこともある。もう少しローカルの人間を信頼して欲しい」(李氏)というのは、まさに本音でしょう。これに対して小林氏は「すべて日本側でコントロールせず、時にはわりきることも重要だ」といいます。余談ながら、この「何でも本社に相談したがるため、商機を逃がしがちな日本企業」というのは、ゲームに限らず広く指摘される点でもあります。

ガチャについての話題も出ました。銭氏は当初ガチャシステムを日本の担当者からパチンコのアナロジーで説明されました。玉を弾いてチャッカーに入れるとルーレットが回転し、一定の確率で数字が揃うと大当たりというシステムは、なるほどガチャに似ています。しかし中国ではそもそもパチンコが存在しないため、開発者も理解しづらかったというのです。

そのため「日本企業がアジア展開を行う上で事前に準備しておく点は?」という質問に対して、銭氏は「中国で流行っているゲームを徹底的に遊び、理解することだ」と回答しました。なぜ遊ぶのか、なぜ課金するのかというイメージをつかんでおくと、話がスムーズだというわけです。

課金スタイルについてはヤップ氏から興味深い指摘もありました。シンガポール以外の東南アジア市場では、まだまだ課金という商習慣が根付いていません。決済もプリペイドカード式が主流で、一度に3-40セントずつ、ちびちびと課金するのだそうです。そのため99セントの課金アイテムなどは、その時点で課金額をオーバーしてしまいます。それもあってヤップ氏は月額0.2ドルの「遊び放題」モデルを推進しているのだそうです。

李氏からは韓国ならではの、「ゲーム中毒」に起因する社会的な風潮についても共有されました。当初PCオンラインゲームで市場が拡大したことで、良くも悪くもゲームは「部屋の中で閉じこもって、一人で長時間遊ぶもの」という社会的イメージを植え付けてしまったというのです。ゲーム中毒で未成年ユーザーが命を落とすといった事件もあり、しばしばマスコミを賑わしています。

そのためスマホゲームにおいても、十把一絡げに規制の対象にされがちな面があるとのこと。こうした意識をどのように変えていくかがポイントだとしました。こうした社会背景は、まさに現地の人間でなければわからないところでしょう。

シルビアン氏から上げられたのは翻訳の問題です。「テキスト量が少なければ英語でもかまいませんが、テキスト量が多い場合はインドネシア語に翻訳するほうがベターです。全員が英語を話せるわけではないからです」(シルビアン氏)。また小林氏から進出のタイミングについて質問されると、「この1-2年で2Gから3Gに切り替わるため、その頃がベストではないか」と回答されました。

これらの議論を総括するように、青柳氏は「日本とアジア圏で、遊び方の違いは想像以上に大きかった。むしろアメリカと日本の方が近いところがある。グリーが韓国に開発拠点を残しているのは、そうした生の声を取り入れるためでもある」と語りました。ローカルはローカルで完結した方が良い・・・青柳氏はこのように説明します。

小林氏も「Bボタンダッシュとか、Aで決定、Bでキャンセルとか、日本人なら体に染みついているものが、コンソール文化がなかったアジア圏では通用しない。日本人はなんでも理屈で納得したがるが、言葉にできないことも多い。現地の感覚をいかに信じられるかが重要だ」・・・そのように説明しました。

■各社トップが語る2015年の抱負

最後に各社から2015年の抱負が語られました。シルビアン氏は「よりアグレッシブにゲームを展開して行きたいし、国際パートナーもより強化していきたい」。ヤップ氏は「Google Playに負けないように、新興国でもさらに自分たちの(月額0.2ドル遊び放題)サービスを展開していく」と回答しました。

一方で銭氏は「『生き残る』・・・というのは冗談だが、多くの日本企業に『中国で成功するなら盛大ゲームズと提携するのが一番』というイメージを定着させていきたい」。李氏は「グローバルトラフィックを拡大させたい。ミッドコアユーザーを中心にグローバル展開を拡大させ、日本のアニメやコンソールのIPゲームにも取り組みたい」といいます。

青柳氏は「グリーはモバイル向けSNSでスタートし、『釣り☆スタ』という新しい遊び方の提案で成長した」と説明し、今は1000人規模のネイティブアプリ開発体制で、さらに新しい遊び方の提案を進めている最中だとコメント。次の10年を暗示させる年にしたいと語りました。

最後に小林氏は「弊社は2011年からグローバル展開を進めてきて、これまでさまざまな失敗を繰り返してきた」と振り返りつつ、「自社の成功もさることながら、開発者にいかに利益を還元するかが大事だ」と指摘。そのための仕組みをいかにグローバルで成立できるかに取り組んでいきたいとまとめました。
《小野憲史》

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