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【TGS 2014】「プレイステーションがリードして業界全体を盛り上げていく」SCEJA盛田厚プレジデントに聞く

9月1日付でソニー・コンピュータエンタテインメント ジャパンアジアのプレジデントに就任した盛田厚氏。新しいプレジデントはどこに向かおうとしているのか、東京ゲームショウの初日にインタビューに答えてくれました。

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ソニー・コンピュータエンタテインメント ジャパンアジア プレジデントの盛田厚氏
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9月1日付でソニー・コンピュータエンタテインメント ジャパンアジアのプレジデントに就任した盛田厚氏。新しいプレジデントはどこに向かおうとしているのか、東京ゲームショウの初日にインタビューに答えてくれました。

―――最初に自己紹介からお願いできますでしょうか?

盛田厚と申します。30年ほど前にソニーに入社して、最初の仕事がMSXを売るという仕事でした。ソニーがゲームパソコンを売ろうという取り組みは大変な苦労の連続だったのですが、これが私が仕事としてゲームに携わる最初の出来事でした。ですから、後年のプレイステーションの成功は特に感慨深いものがありました。MSXの後は、英国のオフィスで営業に携わり、日本に戻った後は経営企画部門に在籍し、2006年からSCEに移り主に経営管理部門を統括してきましたが、9月1日付でジャパンアジアのプレジデントを拝命したところです。

―――盛田さんがプレジデントとして取り組んでいくのはどういったことでしょうか?

今日から東京ゲームショウが開幕しましたが、まずは業界全体が盛り上がっていく事が大事だと思います。その上で、SCEとして目指すのは、「プレイステーション」というプラットフォームを拡大していくことです。具体的な製品やサービスとしてはPS4、PS Vita、PS Network等がありますが、これらを包含したプラットフォーム全体として拡大をしていく。それを日本だけでなく、アジアも含めて実現するためにリーダーシップを取っていくことが私の仕事と考えています。

―――新しいカラーのようなものがあるのでしょうか?

それは余り考えていないですね。○○カラーと自身で言うのも違うと思いますし、世界はどんどん変わっていきますので、やることは変化していかないといけないですよね。今の状況だから、こうする。でも来年には全く違う事をしなくてはならないかもしれない。その都度の色を出していかないといけないわけです。何かを成した後に、「あの人ってこういうカラーだよね」と言われる事はあるかもしれませんが、一言で表されるのも余り良くないと思いますね。凝り固まらない姿勢が大事だと思います。

―――それでは、盛田さんの視線から今のゲーム業界をどのように捉えられていますか?

まず年明けに日本でもプレイステーション4を発売しましたが、その動きが日本と欧米で大きく異なっていますね。つまり、初期の需要が一段落した後、欧米では勢いが持続したのに対して、日本では落ち込んでしまった。我々が目標としていた所に届いていないという事実は認識する必要があります。この原因は、十分なコンテンツを提示できていなかったことに尽きると思います。ただ、9月1日の発表会を契機に、今後のラインナップでユーザーさんに訴えかける事はある程度出来たのではないかと思っています。日本のゲーム、エンターテイメントのポテンシャルはこんなものではないと思いますので、一番大事なコンテンツでもっともっと訴求していきます。

―――プレイステーション4の普及はどのように進んでいくでしょうか?

まず最初のステップとしては、今までゲームに親しんできた方、あるいは少しお休みになっていた方がプレイステーション4で今までとは趣向の違うゲーム体験を楽しんでいただけるようにするということが必要だと思います。その上で、「シェア機能」で遊びを共有する楽しさや、「リモートプレイ」でPS Vitaを使い出先でプレイステーション4を遊ぶ、というような遊びの広がりを提案していますので、そこでも訴求をしていきたいと思います。中心としてプレイステーション4があるのは当然ですが、ネットワークサービスや携帯ゲーム機のPS Vitaもあります。流通がデジタルになることで出来る事も増えていますので、広くプレイステーションフォーマットの世界を広げていく事が答えになっていくと思います。

―――今回のゲームショウのコンセプトを教えていただけますか?

今年の東京ゲームショウでは盛り沢山のゲームを展示しています。全てを体験して欲しいと思っています。先程も申し上げた通り、プレイステーション4のタイトルもようやく出揃ってきました。日本のお客様が待ち望んできたタイトルが集まったと自負していますので、ぜひ体験して欲しいですね。もちろんPS Vitaも揃っています。そして、Project Morpheusも一般のお客様には初めて体験いただける機会となります。これまで幾つかのイベントで出展してきましたが、非常に大きな反応が得られています。ぜひ実際に手にとって体験して見て欲しいですね。

―――ゲームショウのインディーコーナーを御社がスポンサードされたというのも大きなトピックですが、どういう意図があるのでしょうか?

プラットフォームはハードを出しただけでは成り立ちません。ソフトと一緒に進化していくものです。大手のビッグタイトルはとても大事ですが、一方で、色々なクリエイターが自分の発想を実現できるようにすることは業界にとっても、ユーザーにとっても大きな事ですし、一企業の利益を超えて、やらなければならない事の一つではないでしょうか。いま大手企業でトップクリエイターとしてゲーム作りをされている方も最初は一人から始まっています。その意味で、インディーに対する支援というか協力関係は非常に重要だと捉えています。

―――以前と比べて、SCE Worldwide Studiosの作品が大ヒットすることが減っているように感じるのですが、Worldwide Studiosにはどのような期待をしているのでしょうか?

Worldwide Studiosの開発する作品が日本において、全盛期と比べて数字が出なくなっているというのは事実としてあると思います。ただそれは、日本で受け入れられなくなったというよりは、ハードの普及台数の問題ではないかと思います。

Worldwide Studiosを自社スタジオとして抱えているのは、ハードとソフトを足並みそろえていくためです。プレイステーション4ならプレイステーション4の良さを最大限に引き出すソフトを作っていく。これは吉田修平さん(Worldwide Studiosプレジデント)も意識していることだと思います。

―――そういえば、PlayStation Now(クラウドサービス)の新展開はありませんでしたね

そうですね。ただ、ちゃんとやっていますので、時期がくれば発表するつもりです。

―――ちなみに個人的に好きなゲームなどあれば教えていただけないでしょうか?

好きなゲームを言うのは差し障りのある立場になってしまったのですが・・・(笑)。昔、MSXを売っていた頃、ゲームが出るとまず家で練習するという日々を過ごしていました。ある時、『ドラゴンクエスト』をMSX向けに出して貰えることになり、家で練習したんです。自分にとって初めてのRPGの経験だったのですが、見事に没頭してしまい、本当に冒険に出るような体験をしました。なので『ドラゴンクエスト』は思い入れ深い作品で、先日の発表会で『ドラゴンクエストヒーローズ 闇竜と世界樹の城』を紹介できた事は営業トークではなく、本当に嬉しかったんです。

―――最後に今後の意気込みを聞かせていただけますでしょうか?

プレイステーションの役割は業界全体を盛り上げていく事だと思っています。まずは日本を含むアジアで、そしてグローバルでも。この業界の先頭に立ってリードしていく考えです。応援、よろしくお願いします。

―――本日はどうもありがとうございました。
《土本学》
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