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【CEDEC 2014】「野生の研究者」のパワーで社会を変える!ニコニコ学会βがめざすも

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【CEDEC 2014】「野生の研究者」のパワーで社会を変える!ニコニコ学会βがめざすも
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ニコファーレとニコニコ超会議という2つの会場を年ごとに往復しながら、常に新鮮な話題(研究発表)を提供し続ける「ニコニコ学会β」。オフラインだけでなく、ニコニコ動画で行われているユーザー参加型の学会です。発起人の江渡浩一郎氏は「ニコニコ学会βがめざすもの」と題して、その意義について語りました。

江渡浩一郎氏は『ジョイメカファイト』の開発にも携わったそう


独立行政法人産業技術総合研究所(産総研)の主任研究員で、メディアアーティストとしての肩書きも持つ江渡氏は、ゲーム業界にも縁が深い人物です。キャリアの発端は学生時代「任天堂・電通ゲームセミナー」に参加した縁で、「ジョイメカファイト」の開発にプログラマーとしてかかわったこと。プレイヤーが作成した歌詞にそって、熊が自動演奏で演歌を歌う「くまうた」のプログラマーでもあります。日本科学未来館に常設展示されている「インターネット物理モデル」の制作も手がけました。

もともとデザインパターンやマッシュアップといった現象に興味があり、どうしたらそうした状態を生み出す環境が作成できるのか・・・。Windows上で生物のように動くモデルを簡単に制作できるアプリ『Modulobe』などの研究を続けていた江渡氏。そこに降ってわいたように誕生したのが「ニコニコ動画」そして「初音ミク」です。その後の社会現象はいわずもがなで、江渡氏はこの2つのすばらしさを社会に知らしめたい、そんな熱い思いからニコニコ学会βを立ち上げたと語ります。

その目的は「野生の研究者の力で産業をバージョンアップさせること」。以下、江渡氏はこのビジョンについて解説を続けました。

いわゆる「失われた15年」とともに、日本からイノベーションが生まれなくなって久しいと言われます。一方で日本にはかつて、イノベーティブな製品を排出する土壌がありました。その好例がウォークマンで、その背景には録音機能やスピーカーを削除するなど、よぶんなものを「切り捨てる」思想があります。「引き算」がイノベーションを生み出したのです。

しかし、学会では手堅い研究ばかりが重視され、「引き算」の重要性がなかなか理解されない点があります。江渡氏はその理由を学会が求める「新規性」「有用性」「信頼性」にあるとしました。このうち信頼性の担保は重要です。しかし、本当に社会を変えるようなイノベーティブな研究は、新規性と有用性の価値基準では計れないというわけです。

その好例がティム・バーナーズ・リーによる「ワールドワイドウェブ」(1991年)です。世界最初のWebサーバとブラウザでしたが、インターネットとハイパーテキストを接続しただけだとして、某学会で不採択となりました。しかし、その後の社会に与えた影響は明らかでしょう。

今の日本で新規性や有用性を考えずに研究している人々は「ニコニコ動画」の中にいるのではないか・・・江渡氏は初音ミクのブレイクなどをみて、そのように感じるようになったといいます。その多くは元ネタを少し変えた「だけ」ですが、そこには研究にも通じる積み重ねがあります。正規の学会では無視されるかもしれないが、社会にインパクトを与えている・・・そうした人物を江渡氏は「野生の研究者」と呼び、彼らが集う場を「ニコニコ学会β」とする。こうして活動がスタートしました。

「野生の研究者」が集まる場を作りたい


ニコニコ学会βは巨大なシンポジウムです。学会の模様はニコニコ生放送で中継され、視聴者はオフラインでもオンラインでも参加できます(字幕が飛ばせるなど、オンラインでの参加が正当かもしれません)。プロの研究者が数十秒で発表する「研究100連発」から、野生の研究者が発表する「研究してみたマッドネス」まで、多種多様な分野が存在します。

ユーザー参加型の世界を作り上げる


ここで江渡氏は外骨格ロボット「スケルトニクス」や、網戸を使った半透明スクリーン「アミッドスクリーン」、そこからインスパイアを受けて、農業用フィルムが使用された「ポリッドスクリーン」などの例を紹介しました。アミッドスクリーンは通常使用されるデュラッドスクリーンよりも安価ですし、ポリッドスクリーンはさらに安価で透明感が増しています。ここまで安価になると、学園祭などでも使用できるようになります。価格破壊が新たなコンテンツ生成の引き金になっているのです。

「動画共有サイト上の参加型学会という形式を取ることで、学会そのものをイノベーションの対象としたい」・・・江渡氏はそう語ります。ひらたくいえば、ニコニコ動画や初音ミクのように愛される学会を作りたい、というわけです。その上で研究100連発のようにプロの研究者をとりこんだり、「研究してみたマッドネス」で未来の可能性を提示して、一般の人と研究者の敷居を下げたいといいます。

ニコニコ学会βが目指すもの


もっとも、学会と名乗ってはいるモノの、いわゆる「正規の学会」ではありません(日本では学会と名乗る上でルールや制約はありません)。自ら「5年で終了」と銘打っているほどです。すでに3年目を迎えて、後半戦に入っているという江渡氏。野生の研究者ならぬ、野生のゲーム開発者が登場することを、期待してやみません。
《小野憲史》

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