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【CEDEC 2014】ゲーム開発のノウハウを応用すれば、面白さと学習効果を合わせ持ったシリアスゲームを開発できる

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【CEDEC 2014】ゲーム開発のノウハウを応用すれば、面白さと学習効果を合わせ持ったシリアスゲームを開発できる
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純粋な娯楽目的ではなく、教育・医療・福祉などの社会問題の解決を目的とするシリアスゲームは、日本のゲーム開発力をアミューズメントの枠を越えて展開できる手段のひとつとして注目を集めています。

そんなシリアスゲーム制作の教育分野での実践事例を紹介する「ゲームのチカラの社会貢献への展開 ~日本初の『シリアスゲームジャム』による英語学習ゲームと、世界の子ども達に発信する数学学習ゲーム『Global Math』の試み~」と題したセッションが、東京工科大学の岸本好弘氏、スクウェア・エニックスの二瓶光氏、ベネッセホールディングスの星千枝氏によって実施されました。

岸本氏はナムコ、コーエーで29年の長きにわたりゲーム開発に従事し、60タイトル以上を手がけました。2012年からは東京工科大学メディア学部特任准教授を務めており、「ゲームのチカラを教育・社会に役立てる」ことを研究テーマにしています。二瓶氏はスクウェア・エニックスのプランナーで、GrobalGameJamやシリアスゲームジャムなど、数多くのGameJamへの参加経験があります。星氏はベネッセホールディングスの研究部門で、主に「21世紀に求められる力」についての調査研究をしています。

セッションの冒頭、岸本氏は受講者に対し「中学時代、英語は嫌いでしたか?」と語りかけました。エンターテイメントゲームのノウハウを使い、中学生が楽しく英語を学べるゲームを作れば、シリアスゲームの存在や有用性を世に知らしめることができる。そう考えた岸本氏は、「楽しく英語学習」をテーマとした日本発のシリアスゲームジャム開催を呼びかけました。

これを受け、英語学習やゲーム開発の専門家14名と学生21名からなる賛同者が集まり、六本木のグリー株式会社の一室を会場として借り、2日間で5つのゲームを開発したのです。このゲームジャムでは、英語の勉強が嫌いな人でも、ゲームを遊んでいるうちに知らず知らずのうちに中学生レベルの英語が学べるシリアスゲームの開発を目標としました。つまり、遊べるうえに学習効果もある、一定のクオリティを有するゲームの開発が要求されたのです。

そこで岸本氏は、一般的なゲームジャムにはない特別な工夫……、たとえばFacebookを使ってチームメンバーが事前のディスカッションや準備を行う、完成したゲームをシリアスゲームの専門家や小学生にレビューしてもらいブラッシュアップの参考にするといったことを実践しました。その結果、参加者からは「シリアスゲーム開発に対する理解が深まった」、「次回があるなら再び参加したい」といった声が寄せられたそうです。

シリアスゲームジャム


そんな英語学習ゲームジャムの参加者の1人である二瓶氏は、当時をふり返り、シリアスゲーム開発の制作過程は基本的にいつものゲームジャムと変わらないが、学習効果という成果を盛り込むことが必須になっている点は大きな違いだったと語りました。とはいえ、作り手の「勉強させよう」という意図が露骨に感じられるゲームでは、プレイヤーは興ざめしてしまいます。これを回避するために、普段の業務で行っているレベルデザインのノウハウが応用できたと二瓶氏は続けました。プレイヤーの学習速度に応じて徐々に難易度の高い課題を提示して、成長を導く見えざる手を設計する。そのノウハウにかけては、ゲーム業界の人間にかなう者はいません。だからこそ、より多くのゲーム開発のプロフェッショナルをシリアスゲーム開発に巻き込みたいと岸本氏は語りました。

シリアスゲームジャムで得られたもの


続いて、岸本氏は2つめの開発事例であるGlobal Mathを紹介しました。これは算数学習をテーマとしたシリアスゲームのためのプラットフォームで、世界中の子供たちをターゲットとしています。

岸本氏が教鞭をとる東京工科大学は「Global Math2013コンテスト」に参加し、5本の数学シリアスゲームを作り、そのうちの2本が受賞したそうです。現在、Global Mathには10本の数学シリアスゲームが公開されています。コンテストは今後も開催予定で、ゲーム業界からの積極的な参加を切望しているとGlobal Mathプロジェクトの運営者である星氏は語りました。

Global Mathとは


なお、Global Mathが目的としているのは、プレイヤーに数学の問題を解いてもらうことだけではありません。問題理解、計画立て、実行、ふり返りのサイクルを繰り返すことで、問題解決に必要な力を養うこと、さらには周囲の人たちとのチームワークを学ぶこともねらいとしています。実際にゲームをプレイした子供たちからは「頭を使って楽しかった」「教えあえて、よくわかった」といった声がよせられました。昨今の学校教育現場では、タブレットなどの情報端末の導入が進んでいますが、まだまだコンテンツが不足しているそうです。ゲーム開発者たちが長年かけて積み上げてきたノウハウを投入し、面白さと学習効果を両立したシリアスゲームが生み出されたなら、それが活用される場は充分にあると星氏は語りました。

Global Math 参加者の感想


ゲーム業界には、楽しみながら人を成長させるためのノウハウが潤沢にあります。それをシリアスゲーム開発に投入すれば、英語や数学の苦手な子供が、その面白さに目覚めるきっかけが増やせるでしょう。今後のさらなるシリアスゲーム開発の活性化によって、ゲームの力が世に広く知らしめられることを願っています。
《尾形美幸》

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