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【CEDEC 2014】同人・インディーズゲームの戦い方、国内市場・海外市場・メディアミックス

ゲームビジネス その他

【CEDEC 2014】同人・インディーズゲームの戦い方、国内市場・海外市場・メディアミックス
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9月2日、CEDEC2014にて「自主制作ゲームの国内・海外展開とメディアミックスの現状と課題」と題された講演が行われました。先日のSCEJAのカンファレンスでもPS4から同人ゲームのリリースが発表され、国内でもインディーゲームや同人ゲームは盛り上がりつつあります。本講演では国内の著名なインディー・同人ゲームの制作者を招き、国内市場、グローバル展開、メディアミックス等についてのパネルディスカッションが行われました。

まず司会をつとめるIGDA日本の七邊信重氏が今回のパネルディスカッションの意義とともに、IGDA日本の紹介を行いました。IGDAとは国際ゲーム開発者協会というゲーム開発者個人を対象にした団体です。世界で1万人以上の会員を有する団体であり、IGDA日本はその支部です。

2002年に発足したIGDA日本は、それぞれ専門となる部会(SIG)を中心として勉強会やワークショップなどを開催してきました。今回の講演はSIG-INDIEという商業・非商業を問わずゲーム開発者の裾野を広げる部会が主催となっております。具体的には「ロケテゲームショウ」というゲームのユーザーテストのイベント、マイクロソフトやソニーといったプラットフォーマーを招いた研究会などを開催してきました。ロケテゲームショウは今年の11月4日にも開催する予定です。

東京ロケテゲームショウの様子


そのような活動の中、2013年頃から自主制作ゲームをめぐる環境が変化してきました。具体的にはスマートフォンなどの新しいプラットフォームの成熟、ダウンロード販売等のネット流通の一般化、UnityやUnreal Engineといったゲームエンジンの普及などです。また東京ゲームショウのインディーゲームコーナーなど、個人やアマチュアのゲームを発表するイベントも年々増加してきています。

2014年は様々な変化の年


今回、登壇する制作者の二人もそのような新しい流通を利用したり、イベントを開催したりしてきました。そこでこれまでの活動を振り返ることで、これらのノウハウを共有しようというのが本講演の意図というわけです。

縹けいか氏はオンラインゲームやコンシューマゲームの運営・開発を経て、現在はフリーランスのシナリオライターです。ビジュアルノベルを中心に制作するNovectacleというサークルを主催しており、2012年にリリースした『ファタモルガーナの館』は好評を博し、小説、漫画、ドラマCDというメディアミックスを展開しています。

一方、江崎望氏はD.N.A. Softwaresというサークルを主催して、1996年から同人ゲームの制作を行ってきました。当初はFM TOWNS用のゲームを制作していましたが、2000年からWindows用ゲームを制作。ほぼ年に1本のペースで継続的にゲームを制作してきました。作品の中心は同人ゲームである東方Projectの二次創作であり、シリーズ作品となった『東方幻想麻雀』が代表作です。また自ら開発したゲームエンジンの解説書やゲームのエフェクトの技術書なども販売。さらに2013年から同人・インディーゲーム専門の即売会「デジゲー博」を主催しました。第一回は97サークル集まり、600人の来場者が訪れました。今年も11月17日に開催する予定となっており、申し込みサークル数は150を超え、去年より確実に規模が拡大しています。

2つの団体の特徴


登壇者の紹介の後、議論は同人ゲームの流通に移りました。七邊氏はコミックマーケットや同人ショップといった同人流通の役割について、まず江崎氏に質問を投げかけました。江崎氏はコミックマーケットのメリットとして、1日で19万人という圧倒的な集客力、ゲーム以外のクリエイターとの交流の場所といった点を指摘しました。しかしながら、同人ゲームの販売においては電源が使用できない、落ち着いて体験してもらえないといったデメリットもあります。そこでゲームに特化した即売会が開けないかと企画したのがデジゲー博です。

他方、同人ショップでは同人ゲームの扱いは少ないそうです。大手のサークルなら商品を卸すことが可能ですが、新規サークルの参入は厳しいといいます。また同人ゲームの扱いはショップの意向などによって左右されるため、それまで精力的に販売を行っていたメッセサンオーといったショップが閉店するといったことで販路が突然なくなることもあります。ただ最近になって三月兎といった積極的に同人ゲームを扱うショップも現れています。さらに同人ゲームはダウンロード販売に移行しつつあるそうです。しかしながら、コミックマーケットに参加する以上、物理メディアにこだわるサークルは依然として多いそうです。

これまで商業作品の制作を行ってきた縹氏には、初めて同人誌即売会に触れた印象が聞かれました。縹氏は、同人誌即売会というと一般的にはアマチュアの作品が中心だと思われがちだが、実際にはプロが制作したものが多いと指摘しています。特に動的なゲームはプロのゲーム開発者が前線に立っているそうです。またノベルゲームもシナリオライターや小説家といったプロのクリエイターが参加していることが多いそうです。むしろ同人の世界はプロやアマチュアといった区別がはっきりとせず、だからこそ面白いと縹氏は説明します。

次に海外展開について議論が移りました。縹氏は『ファタモルガーナの館』の海外展開が決定しており、2015年の春には英語版がリリースされる予定です。当初はインディーゲームのローカライズと販売を手がけるPlayismに依頼しようと考えていましたが、ビジュアルノベルであるためテキスト量が多いことがネックとなりました。さらにローカライズ費用を捻出するために、Kickstaterなどのクラウドファンディングも検討しました。しかし、クラウドファンディングを行うには、目標金額の設定、出資者への特典の決定など様々なノウハウとファンディング活動の力が必要だとわかりました。結果として、日本のビジュアルノベルをこれまで英語に翻訳して販売してきたMangaGamerという企業に任せることが決まりました。現在、インディーゲームを翻訳・販売する企業は様々あるため、自分たちの作品にあった企業を選ぶことが大切だと縹氏は述べています。

海外展開に続いて、いかにメディアミックスを実現したかについて縹氏に質問が投げかけられました。縹氏はメディアミックスに関しては、狙ってやったものではなく、偶然であったと振り返っています。ただ『ファタモルガーナの館』の制作時から男女両方にウケるものを意識したと語っています。PC向けのビジュアルノベルは男性向けと女性向けのコンテンツに分断されがちですが、男女どちらでもキャラクターに愛着を持てるように意識したそうです。結果として長くファンになってくれた方は女性の人が多く、女性ファンを獲得できたのが現在のメディアミックスにおいても重要であったのではないかと振り返っています。

さらに江崎氏には同人ゲーム制作のための資金捻出についてたずねられました。基本的には多くの制作者は自らの貯金を切り崩したり、本業で稼いだ資金をゲーム制作につぎ込んだりしているそうです。同人ゲームの売上だけで生計をたてるのは、現在はほとんど無理だといいます。ただ完全に個人で開発することによって、制作費を少なくすることは可能です。実際に漫画やイラストレーターといったジャンルでは一人で活動しながら、生計をたてている作家は珍しくありません。

最後に二人に同人・インディーゲーム開発者として、CEDECを主催するCESAやIGDAへの要望がたずねられました。江崎氏はそもそもCESAなどの団体がどういった活動をしているか知らないため、積極的に広報を行ってほしいと答えています。他方、縹氏は業界団体というよりも、メディアにもっと積極的にオリジナルな作品を取り上げてほしいとうったえています。
《今井晋》

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