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【CEDEC 2014】バンダイナムコGameJam運営チームによる人材育成と産学連携への挑戦

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【CEDEC 2014】バンダイナムコGameJam運営チームによる人材育成と産学連携への挑戦
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効果的に運営されたGameJamが個人の成長や組織の人材育成・活性化に有効であるという報告が、近年のCEDECでは相次いで行われています。

CEDEC2013では、「SEGA Game Jamがもたらした組織活性化の効果」、「ゲームジャムで見つけた!短期開発で全力を引き出すモチベーションコントロール法」といったセッションが実施されました。

それに続く今年は、バンダイナムコスタジオの高子佳之氏、松尾秀一郎氏、細谷祐恭氏が、「GameJamでクリエイターに『何が起きたのか?』 ~バンダイナムコスタジオが挑んだ人材育成の舞台裏~」と題するセッションを実施しました。

高子氏は『リッジレーサー』『エースコンバット』『鉄拳』『ソウルキャリバー』等の開発にビジュアルアーティストとして携わってきましたが、2012年以降はエンジニアに転向。新しい技術や新規デバイス・ハードウェアの研究などを担当しています。松尾氏はシステム系エンジニアとして『鉄拳』シリーズ等のプロジェクトに携わった後、プロジェクトマネジメント課(現グローバル経営企画部)に転向。現在はプロジェクト改善、風土改善等に取り組んでいます。細谷氏は『リッジレーサー』「エースコンバット』『鉄拳』等の開発に携わり、現在は新規プロジェクトのアートディレクターを務めています。

3名とも、2013年以降は社内GameJamの運営メンバーも担っており、2014年からは社外にも活動の場を広げてきました。なお、同社のGameJam運営メンバーには、他にも人事やプランナーなど、立場やスキルのちがう多様な人々が参加しています。

本セッションは、細谷氏による「GameJamとは?」、松尾氏による「GameJam応用編」、高子氏による「AfterGameJam」の3つのパートで構成されていました。これらの内容を順番に紹介していきます。

最初に細谷氏が、過去に開催してきた社内GameJamの特色を紹介しました。同社のGameJamは2日間15時間の開催で、徹夜は行いません。世界最大規模のGlobalGameJamの場合は2日間48時間ですから、相当短いといえます。



開催する目的は3つあり、1つ目は、分業体制や開発の長期化で見失われがちなゲーム開発の楽しさを再確認する。2つ目は、失敗できるGameJamの場で新しい技術や興味のあることをどんどん試す。3つ目は、デザイナーが工程管理をするなど、他業種の仕事を少しでも体験し相互理解を深めるというものでした。

これらの目的をGameJamの参加者が短期間で達成していく様子を目の当たりにして、運営メンバーは手応えを得たと細谷氏は語りました。しかし、色々な施策をするなかで、運営メンバーの負担増大、参加人数の頭打ちにといった問題も出てきたのです。そこで必要なタスクをリスト化することで運営の負担を軽減するのに加え、2014年以降は、社外GameJamの実施による内外両面での認知度向上も試みることにしました。

社外GameJamを行うに当たって、最初に協力が得られたのは福岡デザインコミュニケーション専門学校でした。さらに株式会社ワークスコーポレーション発行の学生向けフリーペーパー『CGWORLD Entry』の取材陣を入れることで、その成果が後日世間に広まるしかけも作りました。



このGameJamは学生の成長と気付きを目的としたため、運営メンバーには教育効果に配慮したマネジメントが求められたと細谷氏はふり返ります。最終的に、学生たちは内面に眠っていた柔軟な発想力や積極性を開花させ、参加した社員はリーダーシップを学ぶことができたため、このGameJamは非常に有意義なものとなりました。

続いて松尾氏が、なぜ学生の教育にGameJamを応用しようと思ったのか、その理由を語りました。GameJamに参加した社員や学生の感想を聞いた松尾氏は、GameJamには参加者の潜在能力を明らかにし、ゲーム開発に興味をもってもらう効果があると感じたそうです。

そこで、武蔵野美術大学と協力したGameJamに加え、インターンシップGameJamも開催することにしました。この時も、前述の福岡でのGameJam同様に教育効果を意識した運営を行った結果、学生からは「もっとゲーム制作のことを勉強したい」「チームで作るにはコミュニケーションが大事」といった反響が寄せられました。



さらに参加した上層部の社員からは「こんな短時間でチームメンバーの学生の力量がわかるとは思わなかった。この取り組みはぜひ継続していきたい」というコメントまで飛び出したそうです。これら一連の活動を通して社内でのGameJamの認知度が確実に向上し、参加者には良い結果と影響が見られたため、今後も継続してGameJamを開催していきたいと松尾氏は語りました。

最後に高子氏が、福岡デザインコミュニケーション専門学校と共同で開催したAfterGameJamの様子を紹介しました。この試みは、GameJamの足りない部分を補うためのものでした。GameJamがもたらすのは、今の実力の確認であって、採用試験に合格するためのスキルではないと高子氏は強調します。そのためGameJamを体験して「ゲーム業界に入りたい」と思った学生は、修行という試練を乗り越える必要があるのです。



この修行に対しても、企業ができる支援や連携があるのではないかと考えた高子氏は、福岡デザインコミュニケーション専門学校にAfterGameJamという名の特別講義の開催を提案しました。再び同校を訪れた高子氏たちは、業界のリアルな現状や本当に必要な人材を本音で語ったといいます。どんな企業にも学校にも、いわゆる“大人の事情”というものがありますが、AfterGameJam開催期間の2日間だけは、それらをすべて取り払い、学生の成長のために関係者全員が一丸となって全力を尽くしたと高子氏はふり返ります。

『鬼の「湊」のプログラム教室』『プランナー:鬼の「阿須名」の企画塾』『地獄先生「高子」の石膏デッサン』と銘打った講義を通して、講師役の3名は基礎力や創造性の大切さ、その磨き方を伝えました。いかにして学生のポテンシャルを引き出すかは、教える側の課題であると高子氏は語ります。「自分のスキルが足りないことに多くの学生は気付いています。けれど、どうすればスキルが向上するのかわからない。そこに道筋を示してあげることで、業界に引き込める学生の数はさらに増えるはずです」。

AfterGameJamのような試みを実践するには、企業と学校による思いの共有と密接な連携が必要で、そのためには“大人の事情”を始め解決すべき問題が多々あります。今回の場合は、GameJamによって生み出された「気持ち」と「勢い」が大きな追い風になったと高子氏はふり返りました。

本セッションで紹介されたような試みが今後も継続し、それを体験する人々や組織が増え、業界の活性化や次世代の育成がなされることを心から期待しています。
《尾形美幸》

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