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【CEDEC 2014】普及目前!「歩くウェアラブル」こと塚本教授がゲーム開発者に説いた、新しい遊びの作り方

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【CEDEC 2014】普及目前!「歩くウェアラブル」こと塚本教授がゲーム開発者に説いた、新しい遊びの作り方
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CEDEC二日目、神戸大学の塚本昌彦教授は「ウェアラブルコンピューティングの動向とウェアラブルゲームへの展開」と題して基調講演を行いました。塚本氏は百花繚乱状態の製品群を整理するとともに、「ウェアラブルコンピューティングはスマホや没入型HMDとは根本的に異なる」と指摘。昔ながらの子どもの遊びやスポーツを見直し、これらをベースにウェアラブルコンピューティングの技術を加えることで、新しい遊びを作ろうと投げかけました。

今日も多数のウェアラブルデバイスを身につけ登場した塚本教授
既にウェアラブル生活は13年目に突入


常に単眼型HMDを装着し、両腕には腕時計型コンピュータをいくつも装着するなど「歩くウェアラブルコンピューティング」といういでたちの塚本氏。こうした生活を送るようになって、すでに13年が経過しました。この間「孤高の存在」だったわけですが、Googleのグーグルグラスが登場し、アップルがiWatchを発表するという噂が流れるなど、急に風向きが変わってきました。しかし、それによりいささか用語の混乱が見られるといいます。

ウェアラブルコンピューティングとは本来「コンピュータを服を着るように身体に装着することで、人間の能力を増強させるもの」です。常時ONで生活に密着し、ハンズフリーで使えるなどの特徴があります。一方で没入型HMDのように別の世界に入り込むモノではなく、あくまで現実世界での活動がベース。つまりオキュラスリフトのようなデバイスはウェアラブルコンピューティングではありあせん(ただしビデオシースルーでの活用は除く)。逆に服を飾る電飾などは(コンピューティングパワーの使用度合いはともかく)本質的にウェアラブルだというわけです。

使用法についても苦言を呈しました。「ウェアラブルでTwitterを見るのが本質的な使い方ではない」(塚本氏)。それよりも目の前の情報や体験を大事にしなくてはならないと強調します。目の前の人たちとのコミュニケーションや活動を支援するためにデバイスを使うのが本質で、実世界でのコンピューティングに活用すべきだというわけです。「キャンプに行ってスマホばかり弄っているようではダメ。つい自分もやっちゃうけど」(塚本氏)。

巨大なネット空間が実生活に弊害を与えているのではないか


「ウェアラブルは実は難しい」と塚本氏は言います。身体性が強いデバイスだけに、実際に装着して使ってみなければわからないことがたくさんあるからです。HMD型ひとつとっても、画面の位置はどこがいいか、装着感はどうか、有線デバイスの場合はドアノブなどに引っかけないかなど、考えるべきことは無数にあります。ベルト型デバイスの装着中、お腹が痒くなったり、腰が痛くなったりしたこともあるといいます。

「さまざまな会社が製品開発を行っているが、たいてい遅れている。装着実験中に思わぬ問題が見つかるからではないでしょうか」。実際、これらのデバイスを13年間装着して自分自身が実験をされているだけに、この言葉はずっしりと重く響きます。社会慣習や一般常識との摩擦も発生します。「カメラを女性に向けただけで逮捕された」人のニュースを見て驚いた塚本氏。ふだん使用している単眼型HMDデバイスのレンズ部分に、あわててシールを貼った・・・などのエピソードも紹介されました。

その一方で良くも悪くもウェアラブルコンピューティングは旬を迎えており、さまざまなデバイスが発表されたり、市場に投入されています。中でも熱いのが腕時計型とHMD型デバイスです。リストバンド型活動量計とアクションカムも急速に広まってきました。他にライフログ系カメラにスマートベルト、スマートタイ(ネクタイ)、スマートペンダント、スマートアンクレット(腕輪)、スマートシューズなどなど。スポーツ用途では競技別に特化したデバイスも販売されています。

HMDタイプも多数が登場


腕時計型デバイスでは、製品の背後にあるプラットフォーム競争も進んでいます。Android WareとiOSが二大派閥ですが、他にTizenやAndroidベース、そして独自プラットフォームも存在します。忘れてはいけないのが「妖怪ウォッチ」などの玩具やニッチ製品で、アイディア次第でブレイクする余地を秘めています。携帯ゲーム機とスマホのように、まずは専用デバイスが個別にヒットして、その後HMD型や腕時計型といった汎用機が追いかけていく・・・そんな予測も示されました。普通に考えれば、そのとおりだといえるでしょう。

立て続けに発表されるウォッチ型のデバイス
やはり本命はiWatchか? 塚本教授の予測


ユニークなのはアップルとGoogleを除けば、この分野でアジア系企業が気を吐いていること。一方で日本勢ではソニーとエプソンくらいしか製品を投入していません。塚本氏は「小さくておもしろいデバイスは日本の独壇場だった。『失われた15年』であまりにモタモタしているうちに、欧米企業に追いつかれ、今やアジア勢の猛追をうけている」と語り、日本企業ももっとアグレッシブになるべきだと苦言を呈しました。

一方でデバイスの鍵を握る大きな要素の一つがアプリケーション、特にゲームです。塚本氏は「過去20年でネットなどのバーチャル世界が大きくなりすぎ、鬱や引きこもりなどの社会問題の背景になっているのではないか」と分析。ここから人々を実世界に引き戻すのがウェアラブルコンピューティングの役割だといいます。「電脳鬼ごっこ」などのアイディアはそのひとつで、昨今ブレイク中の「Ingress」はスマホ片手に街を散策する「電脳陣取りゲーム」。まさにこの文脈に沿ったゲームで、グーグルグラスに向いたコンテンツだともいえるでしょう。

実際、大阪で開催された日本ウェアラブルデバイスユーザー会勉強会では「RPG鬼ごっこ」などのアイディアが登場しました。Android Wearを装着してプレイするもので、動き回るとHPが減り、HPがゼロになると動けなくなるルールです。一方MPを消費するとHPが回復し、他にもさまざまなスキルやレベルアップの概念があります。2020年の東京オリンピックに向けて、スポーツ系の世界でもコンテンツやサービスのニーズが拡大中。AR(拡張現実)と絡めた遊びも可能性を秘めています。アニメ「電脳コイル」の世界が目の前にきているのです。

RPG鬼ごっこという遊びの提案


ただし課題も存在します。安全性やバッテリーの問題、位置計測やセンサ系の精度向上、通信遅延、ディスプレイの視認性などです。特に安全性の面では転倒や交通事故、肌荒れといった人体への影響などを慎重に考慮する必要があります。PL法との絡みもきちんと検証する必要があるのではないかとされました。グーグルグラスの国内発売が遅れているのも、日米での規制の違いがあると噂されています。社会にインパクトを与える可能性が高い技術だけに、きちんと社会に対して向き合うことが求められます。

最後に塚本氏は改めて「ウェアラブルコンピューティング・デバイスが広まった時に、それらを使った新しい遊びがきっとおもしろいはず。昔ながらの子どもの遊びやスポーツをベースに新しい遊びを作ろう」と呼びかけました。実際、今年のGDCではGoogleがグーグルグラスに関するセッションを持ち、アプリ開発のガイドラインを説明しました。日本のゲーム開発者も常にアンテナを高く掲げておく必要がありそうです。
《小野憲史》

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