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【CEDEC 2014】バンクーバーで新しい才能を探す、バンダイナムコスタジオのチャレンジ

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【CEDEC 2014】バンクーバーで新しい才能を探す、バンダイナムコスタジオのチャレンジ
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バンダイナムコスタジオは昨年、カナダ・バンクーバーにスタジオを設立。羽田からの直行便もできたこの地で、北米向けのモバイル開発をスタートしました。しかしバンクーバースタジオにはもう1つのミッションがあると言います。それは現地教育機関との連携、それによる優秀な人材確保。引いては新しいコンテンツをサービスの創出です。この取り組みについて、バンダイナムコスタジオの堤康一郎氏、本山博文氏、そして提携先のCenter for Digital MediaのDennis Chenard氏が語りました。

バンダイナムコスタジオ バンクーバー


最初はDennis氏からCenter for Digital Media(CDM)という大学院大学について紹介がありました。CDMはデジタルメディアにおけるプロフェッショナルの排出を目指した大学院大学で、産学連携に力を入れ、実践的な能力獲得を主軸としていることが特徴です。キャンパス内にはバンダイナムコを始めとする提携企業のスタジオが併設され、そうした企業とのプロジェクトが5~6名のチームで常に実施されています。

CDMではキャンパスに企業スタジオが設置


CDMのプロジェクトは企業がクライアントとなって、学生チームに仕事を発注。チームは示されたテーマに沿って成果物を制作していきます。プロジェクトを通じて学生は産業で必要なスキルやビジネスモデルを学び、企業は成果物と優秀な学生の採用チャンスを得ます。プロジェクトは3ヶ月程度のスパンで実施されることが多いようです。

3ヶ月スパンで実施されるプロジェクト


まずは堤氏がバンダイナムコが最初に学生プロジェクトを立ち上げた、第1期から振り返りました。同社から提示したテーマは「エモーション」で、iOS/Androidの試作アプリを作る事をゴールに設定しました。Team SHIROKUMAというチームが結成され、学生は週4日間、フルにプロジェクトにコミットします(1日は学校のカリキュラムかある)。実に30以上のコンセプトが学生から提示され、うち1つを採択。実際にデモ程度まで制作したものが最終的な納品物となりました。

提示したテーマ(ちょっと盛り沢山すぎたと反省したそう)
スケジュールはこのような形に


堤氏は第1期を振り返り「右も左も分からない状態でスタートしたものの、成果まで辿りつけ、学生の能力の高さを感じました。採用されなかったコンセプトも非常に多く提示され、魅力的なものも多かったです」とコメント。CDMのプロジェクトではこうした中間成果物も企業が権利を持てるため、使わなかったコンセプトは日本でミニゲームとして仕上げる、というような話もあったそうです。

採用されたコンセプト
ボツになったコンセプトも非常に多く提示された


一方で、学生はクライアントの意向を汲み取りがちであり、バンダイナムコという名前からIPを使ったゲームを考えがち、という問題点もあったそうです。また、3ヶ月という短期間では試作まで持っていくのは困難だったと言います。

第2期ではこれらの反省を活かして、2ターム(半年)で進める事になりました。ただし学生は3ヶ月で入れ替わり、コンセプト作りと調査をAチームが行い、その後、プロトタイピングとユーザーテストをBチームが引き継いで行うという変則的な形を取りました。また、余りクライアントの方を見ないようにという話も意識的に行ったそうです。加えて、日本から熟練の企画者を派遣して事前にゲームデザインの講義を行い、チームの共通認識の醸成やクオリティアップを図ったそうです。

2期~3期のスケジュール


第2期は「(メンバーが)本当に欲しいと思う欧米市場向けソーシャルアプリケーション」というお題が出されました。採択されたのは「クロネコSNS」というコンセプト。堤氏によれば実際にサービス化に向けて進行しているということで、具体的な内容についてはぼかされましたが、Twitterのようなクライアント画面が紹介されていました。CDMでは画面遷移やUI、ユーザーアクションなどのプロトタイピングを紙に書いて議論する文化があるそうで、今回のプロジェクトでもそうした手法で磨かれていったそうです。近年はUnity等でプロトタイピングが容易になりましたが、まずは「アナログ的に本質的に面白いものを試行錯誤するのは非常に大事」と本山氏は述べていました。

出てきた企画
プロトタイピングの様子
クロネコSNSというコンセプト


第2期の最後にはバンダイナムコスタジオの社長がバンクーバーに赴いてプレゼンテーションを受けたそうですが、「青天の霹靂だ」と言うように、衝撃的な作品が出来ていたそうです。また本山氏はこのプレゼンテーションの前にとても良いことがあったと言い、学生たちが名称を「Kuroneko」から「Hyrd」(heardの短縮形のスラング)にしたい、と提案してきたことを挙げました。「Kuroneko」という名前は日本的で、依然としてクライアントの視線を意識した名称であると本山氏は感じたとのことで、「Hyrd」という学生たちが本当に考えて、こうあるべき、という名称を提案してきたことが嬉しかったそうです。

続いて第3期では異なるチームが引き継ぎ、これを更に改善しながら、ユーザーテストを行いました。CDMの提携大学であるサイモンフレーザー大学にて、インタビューを重ね学生向けに受容性調査を行いました。こちらも最後はバンダイナムコスタジオの社長へのプレゼンテーションが行われましたが、ユーザーテストに関心が集まったそうです。学生ならではの横の繋がりを活かしたユーザーテストは日本企業では難しく、価値のあるものだと感じられます。

ユーザーテストの様子笑顔が多かったそう


本山氏は一連のプロジェクトを振り返り、「クリエイティブの原点を楽しむことができました。学生たちの予測不可能なアイデアは触発し、先入観を取り払ってくれるものでした。アナログな制作手法も新鮮で、効果的なものに感じられました。大学のネットワークを活かしたユーザーテストでは非常にリアルな反応が得られ、欧米若者向けの企画開発の打率を上げるにはとても良いのではないでしょうか」と話していました。

また堤氏は「学生の発想をとにかく引き出す工夫が必要です。上手く行えば、どう転がるか分からないものの、としても刺激的で、"青天の霹靂"という言葉になるようなものが生まれてくる可能性があります」と話していました。

3ヶ月というタームは2日間のGameJamや中長期の研究開発とも異なり、1つの適当なタームだと言うことも出来るかもしれません。講演を通じて、登壇者からはCDMの学生の高いレベルや、発想の自由さが伺えました。採用面でも、それぞれのチームからインターン希望者があったということで、効果が見込めそうです。

バンダイナムコのケースでは現地のスタッフではなく、日本にいる堤氏や本山氏がクライアント側としてプロジェクトに関わるスタイルを採用。毎週のテレビ会議や、毎月1回の現地訪問、プラス送られてくる仕様書の確認というようなペースで関わっていたそうです。堤氏は「通常業務がある中で、大変だが、やってやれない範囲でもない」と振り返っていました。

日本のデベロッパーが海外の大学と産学連携を模索するという興味深い試みでしたが、このケースを見る限りやる価値はあると感じました。CDMでは連携できる企業を模索しているということでしたので、ご興味の方はスライドを参照ください。
《土本学》

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