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カプコン・コーエーテクモ訴訟問題まとめ ― 特許権侵害は『猛将伝』のMIX JOYか?特許期限が今年12月に迫る【追記】

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昨日伝えられたカプコンによる特許権侵害を理由としたコーエーテクモゲームスを相手取った訴訟。その背景にはどのような問題があったのでしょうか。

◆特許権侵害しているのは「MIX JOY」?


カプコンが、特許権の侵害にあたるとして挙げているコーエーテクモゲームスのソフトは『戦国無双』シリーズなど49タイトル。産経によると以下のゲームシステムが特許を侵害していると主張しているとのことです。


訴えによると、カプコンの特許は、シリーズ化されたソフトの続編を作動させる際、前作をゲーム機に読み込ませることで、追加のキャラクターやシナリオで遊べるシステム。

引用元:msn産経ニュース ゲーム「戦国無双」法廷闘争に カプコン、9億8千万円賠償請求 特許権侵害訴え
http://sankei.jp.msn.com/west/west_affairs/news/140826/waf14082617470028-n1.htm


『真・三國無双』シリーズ、『戦国無双』シリーズ、あるいは『遙かなる時空の中で』といったネオロマンスシリーズなど、コーエーテクモゲームス(旧・コーエー)のゲームには「MIX JOY」と呼ばれるシステムが多く搭載されています。ここでは、PS3『真・三國無双7』とPS3『真・三國無双7 猛将伝』を例に挙げて説明します。

『真・三國無双7 猛将伝』は、新キャラクターや新シナリオで構成された『真・三國無双7』の内容を補う追加コンテンツ的な内容となっています。単体でもゲームをプレイすることは可能ですが、『真・三國無双7』のゲームディスクを予め読み込むことによって、『真・三國無双7』と『真・三國無双7 猛将伝』のすべての内容を一度に楽しめるようになるというものです。このシステムは、コーエーテクモゲームス(旧・コーエー時代を含む)では「MIX JOY」と呼ばれる『猛将伝』シリーズの核とも言えるもので、古くはPS2『真・三國無双2 猛将伝』(2002年8月29日発売)から親しまれてきました。

「MIX JOY」を採用しているゲームタイトルは『無双』シリーズだけに留まらず、人気ネオロマンスシリーズのひとつ『遙かなる時空の中で』などにも同様のシステムが採用され、追加シナリオなどが楽しめるようになっています。このシステムが採用されている49タイトルの全ては把握できませんでしたが(30以上のタイトルを確認しましたが、類似システムまでは把握できませんでした)、基本的に「MIX JOY」システムが大きく関わっていると見て間違いなさそうです。

◆間もなく特許権が切れる?


一部報道では2002年に特許の登録が行われたとされていますが、カプコンが当該の特許を出願したのは1994年12月9日、公開日は1996年6月21日となっています。

※当サイトでも2002年に特許を取得したと伝えておりましたが正しくは下記の通りです。誤った内容をお伝えしたことをお詫び申し上げます。


出願番号:特許出願平6-306428
出願日:1994年12月9日
公開番号:特許公開平8-161164
公開日:1996年6月21日
出願人:株式会社カプコン

【目的】たとえばシリーズ化された一連のゲームソフトを買い揃えてゆくことによって、豊富な内容のゲームを楽しむことができるようにする。

引用元:電子特許図書館(http://www.ipdl.inpit.go.jp/homepg.ipdl


つまり、シリーズものの続編ゲームソフトを動作させる際に、前作のゲームソフトを動作し読み込ませることで、追加のキャラクターやシナリオなどが解放されるといった類のシステムに関する特許です。これはコーエーテクモゲームスの『真・三國無双7』と『真・三國無双7 猛将伝』における「MIX JOY」システムの内容と類似性があると言えます。

しかし、「MIX JOY」が初めて登場したと思われる『真・三國無双2 猛将伝』の発売は2002年8月29日。「なぜこのタイミングで訴訟を起こしたか」という疑問を持った方も多いでしょう。それについては、やや筆者の邪推を含みますが、特許法66条について、少しだけ知る必要があります。要点は、出願された特許の有効期限について。特許権は、審査後に特許として設定登録されたときから始まり“出願日から20年後に終わる”とされています。つまり、カプコンが特許を出願したこのシステムの特許は、2014年(今年)の12月9日で期限が切れることを意味しています。訴訟を起こせるギリギリのタイミングとも言えるでしょう。


※訂正・追記(2014年8月28日15:45)
この件に関しては、誤解を招く表記となっていたので、一部訂正と補足説明をさせて頂きます。特許法による特許の期限切れになった場合でも、特許が有効であった期間に起きた事案の場合は、特許権侵害として訴訟を起こすことが可能です。逆に、特許の有効期間後であれば(特許の更新が行われなければ)、その特許を使用した商品を発売しても特許権侵害にはあたりません。

ただし今回の件では、過去に発売されている商品の販売の差し止め要求も含まれているため、『猛将伝』シリーズを含めた『無双』シリーズなどの商品展開に関わる事案となります。現在は発売の予定などの発表は全くされていませんが、仮にPS3『戦国無双4』の『猛将伝』が「MIX JOY」を含めた内容で2014年12月9日(正確には10日になるかもしれません)以降に発売しても特許権侵害にあたらなくなりますが、万が一過去作の『猛将伝』シリーズが販売差し止めとなってしまった場合、新たな『猛将伝』を同じシステムで発売することは法的に問題がないとしても、社会的な信用の問題が懸念されます。特許が有効である期間内に過去のシリーズに対する訴訟を起こすことは、今後のシリーズ展開における牽制という非常に重要な意味を持っています。

特許権侵害の時効については、裁判等においても非常に複雑な解釈があるため、本サイトでは説明しきれない面が強く、中途半端な説明で誤解を招く恐れもあるため省略させて頂きます。何卒ご了承ください。



◆ポイントは、カプコンの特許が「発明」であるか否か


コーエーテクモゲームスの歴史を辿ると、PC98版『信長の野望 覇王伝』(1992年発売)において、シナリオなどが追加されるシリーズ初の追加フロッピーディスク『信長の野望 覇王伝 パワーアップキット』を発売。これは1993年発売なので、カプコンの特許申請よりも先んじたものとなります。現在『猛将伝』などで展開される「MIX JOY」は、おそらく『信長の野望』や『三國志』で多く展開された『パワーアップキット』から着想を得たものであることが考えられ、カプコンの特許が「発明」であるかどうかが論点となりそうです。

『パワーアップキット』は、当時も十分周知が行われた画期的なシステムですが、単体でプレイできないといったカプコンの特許や「MIX JOY」との違いも見られるため、今回の裁判でどのように扱われるかは非常に微妙です。

◆ほかの類似ゲームの扱いについて


例えば、KONAMIのプレイステーションソフト『beatmania』シリーズは、『アペンドディスク』と呼ばれる追加ディスクを発売しています。これらは『アペンドディスク』単体ではプレイできなかったため上記の『パワーアップキット』に相当しますが、同音楽ゲームシリーズのプレイステーションソフト『Dance Dance Revolution』では少々異なるシステムが存在しました。

『Dance Dance Revolution 2ndReMIX』において、初代『Dance Dance Revolution』とディスクチェンジすることができ、これにより『2ndReMIX』のシステムで初代『DDR』の楽曲をプレイすることができました。同様に『Dance Dance Revolution 3rdMIX』においても、ディスクチェンジすることで『3rdMIX』のシステムで初代『DDR』や『2ndReMIX』をプレイすることができました。コーエーテクモゲームスの「MIX JOY」と同様に、カプコンの特許との類似性が見られます。

前作のソフトがあることによって追加コンテンツの恩恵を受ける続編ソフトという構図は、これら以外にも、メジャー・マイナー問わず多数存在すると思われます。そのような中で、なぜコーエーテクモゲームスのみが訴訟の対象となったのか疑問が残ります。ただし、どのようなソフトでも、カプコンから特許の使用許諾を得て、使用料を支払っていた場合は特に問題はありません(上記で例に挙げた『DDR』シリーズがカプコンから使用許諾を得ていたかは不明です)。

◆◆◆ ◆◆◆ ◆◆◆

さまざまな疑問も残る今回のカプコンによるコーエーテクモゲームスを相手取った訴訟。コーエーテクモゲームスは徹底抗戦の姿勢を見せており、今後の裁判の行方が気になります。当サイトでも随時続報をお伝えしていきます。


※追記(2014年8月28日15:45)
スポニチの報道によると、「敵のキャラクターなどの存在を振動で知らせる装置に関する特許権」において、『零~紅い蝶~』などについても特許権侵害があるとされていますが、本件について本サイトでは現在詳細を調査中です。

引用元:スポニチ Sponichi Annex ゲーム「戦国無双」特許権侵害か…カプコンがコーエー訴える
http://www.sponichi.co.jp/society/news/2014/08/27/kiji/K20140827008818720.html
《津久井箇人 a.k.a. そそそ》

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