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【China Joy 2014】中国で見た日本コンテンツの復権、再び世界に羽ばたけるか?

閉幕した中国最大のゲームショウ、China Joy。連日の大盛況で昨年の来場者数、約20万人を上回った事は間違いなく熱気に溢れるショウでした。あらゆるモノが伸びていこうとする中国の力強さをここでも感じた思いです。

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閉幕した中国最大のゲームショウ、China Joy。連日の大盛況で昨年の来場者数、約20万人を上回った事は間違いなく熱気に溢れるショウでした。あらゆるモノが伸びていこうとする中国の力強さをここでも感じた思いです。筆者は昨年、事情があり参加できず、2年ぶりの訪問となったのですが、大きく変わった点がありました。



それは、至るところで日本のコンテンツが見られたことです。

オンラインゲーム最大手の盛大は『ファイナルファンタジーXIV』、インターネット企業最大手のテンセントは『モンスターハンター オンライン』(展示はありませんでしたが記者会見を実施)、メッセンジャーWeiboの新浪は「エヴァンゲリオン」をフィーチャー、新興メーカーの久遊網は「機動戦士ガンダム」、CMGEは一気に東映アニメーション、グリー、コーエーテクモ、SNKプレイモアの4社との提携を発表。どこのブースに行っても日本のコンテンツが大々的に取り上げられていました。

盛大は『ファイナルファンタジーXIV』をプッシュ久遊網はガンダム一色

会場ではエヴァンゲリオンのグッズが当たるプロモーションもあったWeiboの新浪のブースにはレイとアスカも登場


一昨年のChina Joyでは見られなかった光景です。日本のコンテンツとは対照的に韓国産オンラインゲームが殆ど見られなくなったのも印象的です。中国ではPCプラットフォームが強いため、テンセントの『League of Legends』(Riot Games)や『Call of Duty Online』(もうすぐβテストが開始)、EAの『FIFA』、ブリザードの『Dota2』や『World of Warcraft』など欧米タイトルも目立ち、さながらE3と東京ゲームショウを合わせたような状態になっていました。

『League of Legends』テンセントはRiot Gamesの大株主ブリザードのゲームによって中国市場は成長した


訪問前の筆者の予想では、急成長する市場を背景に現地パブリッシャー/デベロッパーが成長し、中国発のヒットタイトルや有望株が多数見られるのではないかと思っていたのですが、狐につまれれたような感覚でした。街中を歩いていても、「ワンピース」が猛威を振るっているようで、マクドナルドのハッピーセットに採用されていたり、服屋にワンピースのコーナーが用意されている始末。

人民広場ちかくのとある服屋にはワンピースのコーナーがあったキティちゃんや鉄腕アトムのTシャツもあった

マクドナルドのハッピーセットもワンピースだった


このような状況を現地で知り合ったゲーム好きに聞いてみると「数年前から日本のアニメを合法的に見られるようになって、みんなアニメを見るようになったのが大きい」と説明してくれました。実際に2013年頃から現地の動画サイトに正式ライセンスを供与する動きが出てきたようです(アニメ!アニメ!ビズ / アニメ!アニメ)。これにより日本のアニメに触れるユーザーが圧倒的に増え、関連商品にも波及しているようです。

無料のテレビ放送でアニメを放送し、市場を開拓していくのが、古きよき時代の日本のコンテンツの必勝パターンでしたが、まだ質の高い映像の出揃っていない動画サイトに高品質のアニメを、現地の一般層でも購入できる価格で提供することで、ユーザーの裾野を広げていくことが新しい時代の必勝パターンなのかもしれません。

(ちなみ、前述のゲーム好き曰く「中国でも艦これの人気は凄い。ローカライズして出したら絶対大ヒットする」とのこと。人民広場のあたりで、艦これのバッグを持った人を見かけました(もちろん日本人ではない))

一方で改めて中国のゲーム市場を俯瞰すると、市場規模は2008年の約3000億円から、2013年の約1兆3300億円まで増加(GPC IDCとCNGの調べ)。ただし、その内訳はPC(64.5%)、ブラウザ(15.4%)、モバイル(13.5%)、ソーシャル(6.5%)と極端にPCに寄っていて、モバイルゲームは約3000億円とまだ日本ほどの規模には達していません。

日本のモバイルゲームを中国に提供しようというディールはここ最近だけでも、『ブレイブフロンティア』(gumi/エイリム→Chukong)、『チェインクロニクル』(セガ→盛大)、『軍勢RPG 蒼の三国志』(コロプラ→崑崙)、『モンハン 大狩猟クエスト』(カプコン→Qihoo360)、『モンスターストライク』(ミクシィ→テンセント)、『ラブライブ』(KLab→盛大)など数え切れませんが、最も市場規模が大きく、競争も激しい日本で成功したコンテンツを輸入してこようという冷静な判断と言えそうです。

『黒ウィズ』(コロプラ)や『幻獣姫』(gumi)を展開するmoyogameカプコンの『モンハン大狩猟クエスト』はQihoo360が展開


中国ではテンセントがWeChatとの連携で、スマートフォンゲームの世界でも圧倒的な地位を占めようとしているため、競合他社としては優良コンテンツを集めたいというニーズが強く、いまは日本企業にとってチャンスなのでしょう。ただし、これも現地デベロッパーの成長がすぐにでも脅威になってくるでしょう。

崑崙から日本でも配信開始予定の『三国志ソウル』を開発したHRG TechnologyのWei Kun氏は「僕らは絵もプログラムも上手くなったけど、日本のクリエイティブには追い付いてない。『パズドラ』も『モンスと』も『黒ウィズ』も全く違うゲームデザインでどれも楽しい。中国ではヒットしたゲームのパクリだらけだ」と語りながらも、「それを変えたいと思い『三国志ソウル』を作った」と話してくれました。スマホでありながら完全3DのMOBAで非常に完成度は高く感じました(参考)。

中国といえば海賊版の問題とは切っても切り離せず、現在でも大きな課題となっていますが、経済発展によりコンテンツにお金を払えるユーザーは確実に増加しています。また、現地パブリッシャーと提携した日本企業が声を揃えるのは「海賊版対策も期待している」ということ。現地パブリッシャーにとっても海賊版は収益を圧迫する要因であり、利益を共有することでその対策も進みそうです。

インターネットで動画を楽しむという世界的なトレンドと、モバイルゲーム先進国という日本の今が、日本のコンテンツをもう一度世界に羽ばたかせる絶好の機会を与えているように思います。このチャンスをビジネスに変えることを各社には期待したいですね。

解禁された家庭用ゲーム機の展望については別記事で
《土本学》
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