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路地の向こうにある、非日常という冒険譚 ─ 『ハマトラ Look at Smoking World』放課後の青春を謳歌したプレイレポート

任天堂 3DS

ジュブナイル感たっぷりの、もうひとつの「ハマ」の物語
  • ジュブナイル感たっぷりの、もうひとつの「ハマ」の物語
  • (理想の)青春といえば、可愛い女子は外せませんね
  • 街並みの作り込みもかなりのもの
  • もちろん港にも歩いていけます
  • やはりヒーローは、高いところから登場すべき
  • 戦闘パートの移動はシミュレーション的な要素も含みます
  • セーブは街中のいたるところで可能
  • 不可思議なミニマムが、主人公たちを謎めく物語へと誘います
「冒険」という言葉で皆さんが連想するのは、未踏の大地や古代遺跡の探索でしょうか。もしくは、ドラゴンや魔王との決戦かもしれませんね。

ですが、ダンジョンや秘境に行くばかりが冒険ではありません。通い慣れた道からたった一本外れた先にある、まったく知らない路地裏。そこはすでに未知の世界であり、足を踏み込めばこれまでの日常になかった光景が広がることでしょう。

青春まっただ中の高校生たちが、学業の務めを終えた放課後に、港街にある路地裏の一歩先へ踏み込む──そんなシチュエーションを満喫できるのが、3DSソフト『ハマトラ Look at Smoking World』です。そこには異質で、しかしどこか身近にも感じる非日常が待ち受けていました。

◆イメージ重視派にも安心な主人公


本作の主人公は、濱風學園高校にやって来たばかりの転校生。街にも疎く、人間関係の構築もこれから始めるところです。そのため何も知らないプレイヤーと認識レベルが近いので、展開から置いて行かれるという感覚はなく、すんなりと物語に入れました。ささやかな配慮かもしれませんが、こだわる人には大事なポイントでもあります。

また主人公が直接台詞を語ることはないので、プレイヤーのイメージする主人公像と乖離するような個性が突然出てくることはなく、自分好みのキャラクターを想像しつつプレイすることが可能です。しかも4種類の体型選択が可能なので、よりイメージに近づけることができました。なお体型によりパラメータの初期値も変動しますが、自分の好みで成長させることができるので、完全に見た目の好みで選んで大丈夫です。

◆色濃く感じる、放課後の日常と非日常


ネタバレになってしまうので物語に関してはあまり深く触れませんが、とあるきっかけでこの街を守る「トラブルバスターズ」の一員として、放課後に様々な依頼や事件と向き合う日々を送ることに。「限定的で突発的な記憶喪失」という謎めいた現象を追いかけるメインストーリーだけでなく、商店街のトラブルといった街の住民を助けるサブミッションも多数取り揃えられています。

なお舞台となるのは、アニメ版の「横浜」ではなく、西の港街「神戸」。本作のタイトルにある「ハマ」は、横浜のことではなく、「浜=海沿い」という意味となります。神戸を再現した作中の街並みには中華街などもあり、港まで歩いていくこともできます。また街中も、大通りから裏路地まで作り込まれており、移動できるエリアもかなり広範囲。マップを見ながらでも迷ってしまうことがありました。

大通りには多彩な商店が並んでおり、もちろん利用可能な店舗も。そして道行く子供達の元気な姿も相まって、そこから活気ある日常を感じ取れます。ですが賑やかな大通りを一歩離れれば、裏路地でバトルに巻き込まれたり、困った人を助けるヒーローになれたりと、小説や漫画で憧れた非日常に出くわすことも。どこかにある異世界ではなく、日常と隣り合わせの非日常感を満喫することができます。

そんな港町の作り込みにも感銘を受けましたが、個人的には住民たちの作り込みに嬉しさを覚えました。小学生は元気にはしゃぎ回り、不良は通行の邪魔になるように群れ、おばさんたちはいたるところで井戸端会議。目立ちにくい演出かもしれませんが、それぞれがこの街で日常を送っているという雰囲気が自然と伝わってきます。

またあるイベントでは、共に公園へ向かう少女にAボタンを押して話しかけると、次々に新しい話が飛び出してきます。もちろん何度も話しかけると最後のメッセージは繰り返しとなりますが、話しかけるたびに異なる言葉が返ってくると「一緒に歩いている」というのが実感でき、小さな驚きと感動を覚えた新鮮な体験も味わえました。本作で過ごす「放課後のひととき」は、日常も非日常も様々な形でアプローチしてきます。

◆やり応えのある戦闘パート


ミニマムと呼ばれる特殊能力を持つ「ミニマムホルダー」。トラブルバスターズの面々ももちろんですが、記憶喪失事件にもミニマムホルダーが関わっている気配があり、謎めいた存在から明確な敵意を向けられるという展開も。街の平和を守るトラブルバスターズともなれば、危険な戦いにその身を投じなければならない局面にも遭遇します。

本作の戦闘は、移動や攻撃にAP(アクションポイント)を消費して戦う、いわばリソース管理型のバトルが行われます。長く移動すれば攻撃に割けるAPが少なくなり、結果的に与えるダメージが減少します。とはいえ敵が来るのを待っていると、相手が遠距離武器を持っていた場合一方的に攻撃を喰らうため、見極めと的確な判断が問われます。

また判断力は、攻撃の最中にも必要となります。本作の攻撃は、数種類ある技を連続して繰り出すシステムになっていますが、それらは基本的に先行入力。倒してしまえば無駄打ちにはなりませんが、敵を撃破すると少しAPが回復した上に再度行動できるため、再行動時にAPを残そうと思って節約した攻撃で倒しきれなかった場合は残ったAPも無駄になってしまいます。青春は後先考えず全力で当たるべき、がベターなのかもしれません。これらのように、随所に求められる判断力と戦略性が、放課後の冒険に緊張と達成感を与えてくれます。

更に覚えておきたいのが、「コンボスキル」と「属性」。それぞれのユニットは属性を持っているので、有利な関係にある相性を意識して戦うことで、ダメージに影響を及ぼします。そして、特定の順番で技を繰り出すことで自動的に発動するコンボスキルは、APを消費せずに追加攻撃やステータス強化などの効果が発生するという、リソース管理の面から見ても非常にお得な要素。決め技とも言える「フィニッシュスキル」も、威力面だけでなく気持ちよさの点からも押さえておきたいポイントと言えるでしょう。

◆青春を彩る、魅力的なキャラクターたち


自分の分身となる主人公、記憶喪失に端を発する謎めいた事件、港町にある日常と非日常、やり甲斐のある戦闘シーンなどを語りましたが、それらを彩るのに欠かせないのはやはり魅力的なキャラクターたちでしょう。

まず最初に出会う女子高生ユイカは、右も左も分からぬ主人公=自分に良く接してくれて、「青春っていいなー!」と懐かしい日々を思い出させてくれます。そして頼りになるソウケンは、照合のミニマムを駆使し、物語の序盤から主人公のピンチを救ってくれる場面も。また常時マスク着用のルチャは実に体育会系らしい思考の持ち主ですが、それだけに義に厚く、真っ直ぐな心根の持ち主でした。

この三人と共に過ごす放課後は「こんな青春を過ごしたかったなぁ…」と、憧れとも羨望ともつかない想いに駆られますが、今後さらに「最強の不良」や「裏で運び屋をやっている女子高生」など、伝奇系ジュブナイル心をくすぐる出会いも用意されています。社会人としてン十年経った今でも「あの頃に、能力(と書いてチカラと読む)に目覚めていたら…!」と夢想する、ちょっとダメな大人(筆者)のハートはがっちり鷲掴み状態です。もちろんダメじゃない人たちにとっても、友人として同志として、共に過ごすのに心地よい仲間たちばかりなので、ご安心を。

◆◆◆ ◆◆◆ ◆◆◆


ジャンルとして確立されているものの、ゲーム作品には意外と少ないジュブナイル。しかも、今振り返ると無闇にワクワクしてしまう「放課後」の日常と非日常に焦点を当てているこの『ハマトラ Look at Smoking World』。青春群像劇を得意とする今井秋芳氏が本作の監督と脚本を手がけているため、その切り口やあの年頃だけが味わえる空気感の再現なども、納得の一言です。

高性能なハード能力を活かしたリアルで美麗な大作ソフトとは大きく道を分かつ一作ですが、解像度の高さだけでは再現できない「青春」の魅力を切り取った作品になっているという印象を受けました。もちろん感じ方は人それぞれですし、年頃によっても感触は異なるでしょう。ですが「あの頃」に強く魅力を覚える方ならば、この日常と非日常の狭間を描く本作に触れてみるのも決して悪い選択ではないでしょう。かつて夢見た放課後が、ここにあります。

『ハマトラ Look at Smoking World』は、好評発売中。価格は、パッケージ版が5,980円(税抜)、ダウンロード版が5,695円(税抜)です。

(C)カフェノーウェア/ハマトラ製作委員会
(C)FURYU CORPORATION 2014
《臥待 弦(ふしまち ゆずる)》

評価の高いコメント

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