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待たれるクロスバイの拡大、ゲームをより楽しむための環境整備への道のりの現状を探る

ゲームビジネス 開発

今はまだ欧州限定ではありますが、任天堂プラットフォームで初のクロスバイを取り入れたインディーズのストラテジーRPG『Squids Odyssey』。こうしたフットワークの軽さはインディーズならでは
  • 今はまだ欧州限定ではありますが、任天堂プラットフォームで初のクロスバイを取り入れたインディーズのストラテジーRPG『Squids Odyssey』。こうしたフットワークの軽さはインディーズならでは
  • 3DSからWii Uへセーブデータを移行する際に使用する「モンハン3G データ移行プログラム」。転送時はチャチャとカヤンバがキュートですが、もう少しお手軽なら……と思わずにはいられません
  • PlayStation Plusに加入することで利用できるオンラインストレージサービス。クロスセーブに対応しているタイトルはここを介してデータの移行ができます
  • コナミの提供する「トランスファリング」はセーブデータをCloudで管理するので移行の手間がありません。このレベルがスタンダードになれば理想的です
  • ユニバーサルアプリではないことが悔やまれるiOS対応の『ファイナルファンタジーIII』。iCloudによるデータ管理は便利なので、あとはアプリをセールしてくれることを祈るのみ!?
  • 密かに筆者が期待したいのが任天堂のamiibo。データの読み書きができるNFC通信なら、ソフト間の連動だけではなくクロスセーブの役割もはたしてくれるかもしれません
2012年8月、ソニー・コンピュータエンタテインメントはアメリカのE3、日本の東京ゲームショウと並ぶ欧州の新作ソフト見本市「gamescom 2012」の直前にプレスカンファレンスを開催し「PS3版ソフトの購入者に同タイトルのPS Vita版を無料で提供する」サービス、クロスバイを発表。そして2年が立った今、任天堂プラットフォームにもクロスバイの波が訪れようとしています

◆クロスバイと切っても切れない関係にあるクロスセーブのひと手間


クロスバイはユーザーにとって大変嬉しいサービスですが、複数のハードで一本のソフトを遊ぶにはまだもうひと手間が必要です。ソニーのサービスに名を借りるならクロスセーブ――すなわち、家庭用ゲーム機と携帯ゲーム機の間で、同一のタイトルのセーブデータを移行・共有しなければなりません。

任天堂プラットフォームは『モンスターハンター3G』が3DS~Wii U間のクロスセーブに対応していますが、3DS→Wii Uの順で遊ぶときは専用のデータ移行プログラムを使用するなど、少々手間がかかるものでした。ソニープラットフォームはPS Plusに加入すればデータの移行にオンラインストレージを利用できますが、これももうひと息という印象です。

◆クロスバイとクロスセーブのブレイクスルーはおとずれるのか?


こうしたサービスに一日の長があるメーカーといえばAppleです。同社が提供するサービスiCloudなら、端末の設定、電話帳、インストールされているアプリ、はては電子書籍の読了情報……と、さまざまな情報をネット上に保存し、複数の端末からそこにアクセスすることで容易にデータを共有することができます。

近年ではこのiCloudに対応したゲームも少しずつ増え始め、先月スクウェア・エニックスは、iPhone/iPod touch/iPad版『ファイナルファンタジーIII』を皮切りに、iOSで配信しているFFシリーズを順次iCloudに対応させていくことを発表しました。いまや家庭用ゲーム機を大きく上回る市場規模を持つスマホゲーム市場。その理由の一端となる「スマホならではのお手軽さ」はゲームの内容そのものだけではなく、こうしたところにも表れています。

ただ、スマホの一人勝ちなのかと問われると今はまだそこまででもなく、たとえば前述の『FFIII』はiPhone/iPod Touch版とiPad版が別個に配信されているため、状況に応じて両デバイスでプレイしわけるにはアプリを2本購入しなければならないという問題が残ってしまいました。iPhone/iPod touch/iPadすべてに対応したアプリのことをユニバーサルアプリと呼びますが、『FFIII』はこれに対応していないのが泣きどころです。とはいえ、今後はユニバーサルアプリとして配信することが少しずつスマホゲームのスタンダードになっていくでしょう。

先日行われた任天堂の第74期 定時株主総会では「(前略)最近の小さい子どもたちは、家族のお下がりのスマートフォンを使って無課金で無料ゲームを遊んでいることが非常に多い。(中略)任天堂はこれらをどの程度研究し、どう向き合っていくのか」という質問が株主から挙げられました。そのような形で小さな子が家庭用ゲーム機や携帯ゲーム機よりも先にスマホゲームの利便性に慣れてしまうと、いざ家庭用ゲーム機に触れたときに取り回しの悪さばかりが気になってしまうかもしれません。そうなる前に、なんとか家庭用ゲーム機ももう一歩利便性を高めたいところです。

クロスバイにクロスセーブ。サードパーティーにとっては直接利益が絡む問題でもあるため、どちらも一朝一夕に浸透するものではありませんが、そんな中でソニーと任天堂はサードパーティーにどれだけこうしたサービスを実現しやすい環境を整え、道を示すことができるのか。それぞれのプラットフォームの新作ソフトのみならず、ソフトをさらに遊びやすくしてくれる2社の取り組みにも注目したいですね。

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ILLUSTRATION : AKIHIKO YOSHIDA
《蚩尤》

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