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書籍「ゲーム・レジスタンス」レビュー、若くして亡くなったゲームライターが語り続けた“ゲームの魅力”とは

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書籍「ゲーム・レジスタンス」表紙
  • 書籍「ゲーム・レジスタンス」表紙
  • 「孤独ゲーム」なるものを紹介した回の最後。本当に彼が亡くなったあとになって書籍が出た。
  • 「ユーゲー」編集者たちが集まって対談した際の記事。原田氏は「ユーゲー」に対する不満を口にしていた。
  • アイテム課金ゲームを題材にした回。最後の言葉は、自分にも言い聞かせているのだろう。
  • 窓に「ドリームキャスト」のような模様ができたと報告した回。セガについて語った回も多いか。
  • オンラインゲームに馴染めないことを吐露した回。ただし、これでもいくらかオブラートに包まれた表現である。
私もゲームライターのはしくれなので、ゲームライターはどうあるべきかとよく考えます。読者の方はライターなんて気にしないかもしれませんが、各ライターによって姿勢は違うものです。個人的には、ゲームライター原田勝彦氏の姿勢に、共感を抱きます。同時に、不安のようなものも感じますが。

書籍「ゲーム・レジスタンス」は、雑誌「ユーズド・ゲームズ」、「ゲーム批評」、「ゲームサイド」などで活躍していたゲームライター原田勝彦氏が10年の間に書いた原稿の一部をまとめた書籍です。彼は2008年、30歳の時に交通事故で亡くなっており、そのために今回の本が発売されました。

原田氏のことを知っている方は、ただこの本を読めばよいでしょう。そのため今回は、原田氏のことをよく知らない方に、彼がどんな考えでゲーム記事を書いていたかご紹介します。それを知れば、おそらくは彼の原稿を読みたくなるでしょうから。

◆連載「ゲーム・レジスタンス」の概要



▲ 書籍「ゲーム・レジスタンス」表紙

さて、書籍「ゲーム・レジスタンス」に掲載されている内容は、連載記事「ゲーム・レジスタンス」をまとめたもの、ゲーム評論、対談記事やゲーム環境コラムなどをまとめたものの3種類で構成されています。

タイトルにもなっているように、雑誌「ナイスゲームズ」で2000年に始まった「ゲーム・レジスタンス」という連載が、原田氏のことを知るのに最適だと思われます。これは原田氏が世の中のゲーマーに反抗しつつ、さまざまなゲームを紹介するという記事です。第1回にある以下の文章が、理念をよく表しているでしょう。


最近、ゲームに対してナナメなスタンスの奴が多すぎる気がしないか? ライトユーザーの名を騙り、大企業の宣伝するゲームだけを手にする自分がセンスいいと思ってる奴。また逆に、マニアックなタイトルやプレミアがつくようなレトロゲームを持ちだしては、自分は違いのわかる人間だと言い張る奴。…違うだろうがっ! ゲームというのはもっと純粋なものじゃなかったのか? プレイすることが楽しい。それが全てではないのか!


この連載記事で紹介されているゲームは、『ナイトレイド』や『ザナック×ザナック』や『RAIDEN FIGHTERS ACES』といったシューティング、『ワイプアウト3』やスーパー32X版『バーチャレーシングデラックス』や『バーンアウトパラダイス』といったレースゲーム、アーケードの大型筐体など原田氏の趣味が丸出しです。

また、アタリ ジャガーやメガドライブ、そしてXbox 360のゲームも紹介していることからわかるように、結果的に日本でメジャーではない作品を好むことが多かったようです。よって、それらを知らない読者に(特にシューティングの)素晴らしさを知ってもらうため、本コーナーを設立したと対談で語っています。


▲ 「孤独ゲーム」なるものを紹介した回の最後。本当に彼が亡くなったあとになって書籍が出た。

しかしながら、連載が続くたびに原田氏は不安定になっていきます。ゲーム紹介が大部分だった記事は、次第に“社会の底辺をはいずるフリーライターの不幸自慢”が増えてゆき、鬱々とした雰囲気も出てきます。亡くなった方の書籍なのもありますが、それを差し引いても薄暗い気持ちになることでしょう。

なぜそんな書籍を紹介するのかと思うかもしれませんが、それが重要だからです。不幸な話があっても、結局はゲームの楽しさを語るのですから。

◆感情的とも評される感覚を表に出した文章


ゲームライターというのは、仕事のためにゲームを遊ぶことがあります。そのため、遊びが作業や仕事になるわけです。義務感から遊ぶゲームはつらいこともあり、原田氏は少なくとも連載記事「ゲーム・レジスタンス」で紹介する作品はすべて自費で購入しています。

しかしながら、ほかの仕事はそうも行きません。2000年代前半にオンラインゲーム(MMOやMO、あるいはネットゲーム)が流行したこともあり、原田氏もゲームライターなりにいくつか手を出したと書いています。ですが、彼は“俺のような人間がやるべきゲームではなかった”という結論を出しています。


▲ オンラインゲームに馴染めないことを吐露した回。ただし、これでもいくらかオブラートに包まれた表現である。

ゲームライターの仕事のひとつは、ゲームの面白さを理解・解釈して読者に伝えることです。しかしながら、それを理解できない時も当然のようにあります。そういう問題にぶつかった時、どうするべきでしょうか? おそらく、社会的にうまくやっていけるゲームライターならば、笑顔でうまくかわすなり、褒め言葉を駆使するでしょう。

では、原田氏はそういう人物かといえば、違うと思います。連載記事の中でつまらない移植作品を思い切り指摘したり、真の客観性など存在しないという理由ゆえに、自身の感覚を記事の前面に押し出すような方なのですから。しかし、その感覚をできるだけ言葉にして理解してもらおうとしているのが、原田氏の文章です。

その情熱的ともいえる文章が、読者を惹きつける理由になっています。ゲームを遊ぶ人間として、上辺だけでなく感覚で得たものを論理的に語ろうとする。これこそ物事を伝えるゲームライターとして素晴らしい行動だと思います。

◆原田氏の感じたものがこの本に詰め込まれている


しかし、原田氏はゲームライターとして大成しませんでした。仕事がうまくいかないせいか、原田氏の生活が不安定で不健康だったせいか、あるいは単にもともと根暗な人間だったせいか、「ゲーム・レジスタンス」は次第に薄暗くなり、その連載は続くものの彼は別の仕事をすることになります。


▲ 「ユーゲー」編集者たちが集まって対談した際の記事。原田氏は「ユーゲー」に対する不満を口にしていた。

「ゲーム・レジスタンス」が掲載されていた「ユーゲー」でも、読者層が変わったせいかマイナー作品よりメジャー作品が紹介されているほうが、人気を得られることがあったそうです。好む作品がマイナーになってしまうことの多い原田氏にとって、ずっと居座りたくなる好ましい状況ではなかったでしょう。

世間のメインストリームから外れた場所に立ち、次第に気力を失っていく原田氏でしたが、そんな彼にも何もかも忘れられる時がありました。それは、どのようなゲームであったとしても、自分が楽しく感じるゲームを遊んでいる時です。

そう、「ゲーム・レジスタンス」の第1回に書いてあったように、ただゲームをプレイすることに集中している時が、彼を興奮させたのです。時に何をするにもダルく感じられたり、つらさを感じることがあっても、レースゲームでアクセルを踏み込んでいる時、シューティングやアクションで敵を破壊しつくしている時は、彼の中に燃え盛るものがあったのです。

「ゲーム・レジスタンス」の奥底には、“ただゲームを遊ぶことが楽しい”という純粋な思いが込められています。更にそれは原田氏の暗い話によって、輝きを増します。素晴らしいゲームの力は、その暗闇が消え去るほど光ることがあるのですから。その光と闇を書き記したのが、この「ゲーム・レジスタンス」になるのです。

◆◆◆ ◆◆◆ ◆◆◆

書籍「ゲーム・レジスタンス」(著者:原田勝彦)は5月30日発売で、価格は1,300円(税抜)です。
《すしし》

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