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【ゲームラボ・カンファレンス東京】好きなことを純粋に続けてきただけ・・・鈴木裕氏が語る「ゲームの過去・現在・未来」

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【ゲームラボ・カンファレンス東京】好きなことを純粋に続けてきただけ・・・鈴木裕氏が語る「ゲームの過去・現在・未来」
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ゲームラボ・カンファレンス東京で3月28日、『バーチャファイター』『シェンムー』などの生みの親として知られる元セガの鈴木裕氏(YS NET)が登壇しました。テーマは「日本ゲーム開発の現在と未来」で、スペイン国営放送のテレビ番組「ズームネット」でディレクターをつとめるManuel Gonzalez氏との対談形式。セガ・エンタープライゼス(現セガ)入社時の状況や、ヒットタイトルの開発秘話、インディーズゲームをとりまく環境など、さまざまな考えを披露しました。

岡山理科大学に進学し、就職活動では大手企業のSE職をめざしていた鈴木裕氏。ところがセガ・エンタープライゼスの入社試験で面接官の話を聞いているうちに、すごく魅力的な会社だと思えてきて、入社を決意します。当時まだ珍しかった「週休二日」も魅力的に思えたとのこと。時に1983年、まさにファミコンやSG-1000などが発売され、業界が大きく変化していく節目でした。「当時のセガは、まだハードとソフトあわせて開発が50名くらいの会社でした」

初期の代表作が、『アウトラン』『スペースハリアー』など一連の大型筐体ゲームです。『アウトラン』は他社のドライブゲームで遊んでいても、すぐに爆発・炎上してしまうので、自分のドライブテクニックで走れて、そこそこの成績が出せるものをめざしたとのこと。また映画『キャノンボール』が好きで、同じコースを走るゲームを作りたかったが、アメリカ大陸は風景がずっと同じだと聞いて、急遽ヨーロッパに舞台を変更。レンタカーを借りてビデオを回しながら走ったといいます。

『スペースハリアー』はもともとハリアー戦闘機のゲームで、空対地の派手な内容にするはずが、メモリの問題で飛行機をうまく表示できないことが分かりました。そこで自機を人間に差し替えることになり、超能力戦士という設定やファンタジックな世界観が生まれていったと披露。映画『ネバーエンディング・ストーリー』『スペースコブラ』、そしてロジャー・ディーンの世界観が好きで、この3者を融合させました。

また「インディゲーム的な(自分が好きなモノを作るという)要素はありましたか」という設問には、「当時プロジェクトには平均的な予算と人数の割り当てがあり、その範囲やスタッフの力量で作れるものを考えた」とのこと。ちなみに「インディーズ」はテーマの一つだったらしく、以後もいくつか話題に出ていきます。

3Dゲームのパイオニアとしても称される鈴木氏、もともと大学で建築アーキテクチャを専攻しており、昔から3Dゲームに興味がありました。『バーチャレーシング』でようやく3Dボードが使えるようになり、以後『バーチャファイター』シリーズをはじめ、さまざまな3Dゲームで一斉を風靡していきます。当時はまだ画面がプアでしたが、「いつか技術の発達で、2Dの全ゲームジャンルが3D化されて、停滞していたジャンルも輝きを取り戻す」という考えをもっていたといいます。「3DのZ軸がないものが2Dで、3Dは2Dの上位概念というのが、自分の考えです。それによる可能性の広がりは桁違いだと思っています」

ここで話題はインディゲームに移りました。鈴木氏は日本にも1980年代はマンションの一室で作っているような、インディーズの香りが漂うゲームがたくさんありましたが、15年くらい前からそういったゲームがなくなってきたと言います。理由の一つとして文化や環境の違いを挙げました。「アメリカやヨーロッパのゲームショウにいくと、インディーズを世間が応援するような風潮を感じます。ゲームの芸術性や個性をユーザーが応援してくれているし、クリエイターとして元気づけられます」。

「日本には『ICO』『ワンダの巨像』といった美しいゲームがたくさんあるのに、『LIMBO』『Flower』といったインディゲームがなぜ登場してこないのか、海外のゲームシーンではよく話題に上る」というGonzalez氏。これについては「そうした個性豊かな作品を応援していく環境が不足しているのでは」と答えました。商業的成功以外の評価軸を作ったり、クリエイターを育てたり、お金を回していくためのシステムが必要で、そうした環境が不足しているというのが鈴木氏の考えです。

もっとも、最近Unityに触ってみて、昔のように楽にゲームを作れる環境が整ってきたと感じたそうです。学生や個人でもオリジナル性が高いゲームが作れる環境があり、そこからビジネスにつながる可能性もあります。ハード・ソフト・インフラと整ってきたため、あとは国として支援する環境が欲しいと話しました。

また「キックスターターのようなクラウドファンディングの仕組みはおもしろい」としつつも、まだ日本の会社が活用しやすい環境が整っていないとコメント。いずれにせよ資金調達で選択肢が増えるのは歓迎だといいます。

自身のゲーム開発については、数日前にDMM.COMからiOS用ゲーム『バーチャファイター フィーバーコンボ』の事前予約が始まったことを披露。日本はスマホが大きなブームになっており、市場を広げてくれていると話しました。アーケードゲーム、コンソールゲーム、そしてモバイルゲームと活動の幅を広げてきた鈴木氏。一つのジャンルに絞り込む意識はなく、ゲームであれば全方位で取り組んでいくといいます。一方でアーケードやコンソールの企画も進めており、タイミングがきたら公表したいと話しました。

ちなみに自身はあまりゲームをする方ではないが、娘が小さいときは一緒に「モグラ叩き」ゲームをしたり、最近では『トモダチコレクション』を一緒に遊んでいるそうです。特に『トモコレ』はキャラクターがすぐに「謝る」のがいいと評価。「ゲーム中でキャラクターが謝罪する姿をみて、謝ることを覚えてくれたらいい」と話しました。子どもと一緒に遊ぶと、家族の会話も増やしてくれるという鈴木氏。「やっとゲームが教育などに役立つと言われる時代になってきました」

続いて話題はVRに移りました。業務用ゲーム開発で一時期、VRの活用を真剣にリサーチしていたという鈴木氏。20数年がたち、再びVRに注目が当たり始めて、驚いているそうです。オキュラスリフトも興味があり、テストプレイをさせてもらったとのこと。「昔よりHMDが軽くて良いですね。反応も良い。簡単なゲームを2つ遊んで、純粋に楽しかったです。解像度がもう少し上がれば、目の負担も減ると思います」と分析しました。

一方でVRは頭を上下左右に動かしながら遊ぶのが楽しいが、ふだんゲームを遊びながら頭をそんな風に動かす習慣がないので、ゲーム作りには一工夫必要だと指摘。また「VRだけがゲームの未来ではない」として、今後もインプット&アウトプットデバイスの進化で、遊びが変わっていくと語りました。ちなみに「VR版『シェンムー』はどうですか?」と聞かれて、「『シェンムー』はVRに向かないんじゃないかなあ。むしろ『バーチャファイター』の方が良いのでは?」とのことです。

ゲームの未来に関する質問には「ゲームはコンピュータの未来と共に進化してきました。ハード面でいえば専用チップではなく、汎用チップでゲームがプレイできる時代が来ると思います。そうなるとゲーム専用機ではなく、汎用機ですむ時代が来るのではないか」と語りました。一方でアーケードゲームは特殊なゲーム機用途で残るとのこと。ゲーム専用機の存在意義が薄れますが、「それでも任天堂だけは専用機を作り続けるだろうし、そうあってほしい」と話しました。

最後に「どうしてこんなに長くゲームを作り続けられているのですか」との質問に「そもそも作るのが好きだったので、モチベーションについて考えたことがない」と回答しました。子どもの頃から粘土遊びやブロック遊びなどが好きだったという鈴木氏。プログラミングに出会い、「究極のブロック遊び」として、のめり込んでいきました。

2007年には「IGN.comの選ぶ10人のゲームデザイナー」にランクインされましたが、これも「没頭して作っていただけで、夜遅くまで働いていても、辛いなど思ったことがなかった」といいます。「好きなことをやりつつけて、名前を残せて光栄です」
《小野憲史》

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