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【GDC 2014】ヨコオタロウ氏が語るゲームシナリオの書き方。変わった人のための変わったゲーム

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GDC 2014の開催から4日、『ドラッグ オン ドラグーン』シリーズや『ニーア ゲシュタルト/ニーア レプリカント』、『DEMONS’ SCORE(デモンズスコア)』のディレクター・ヨコオタロウ氏が「Making Weird Games for Weird People (変わった人のための変わったゲーム)」という講演を実施。彼なりのゲームシナリオの書き方を結論から説明しました。

ヨコオ氏は、自分にとっては「物語」「ゲーム性」「収入」などのコンセプトが最も重要なことではないと述べました。物語やゲーム性は、ただあるゴールに向かう一つの手段にすぎず、そしてゲームを作る上で、そのゴールにたどり着くことが最も大事だとされています。では、ヨコオ氏が考えるゴールとは一体なんなのか。彼が描くストーリー、そしてそれに関わるプロセスからわかります。

ヨコウ氏が説明したストーリー・シナリオ作りは大きく二つに分けられています。

1.逆算ストーリー作り
2.Photo Thinking(フォトシンキング)


■まず「逆算ストーリー作り」とは何か。

「物語が小さな出来事の連続でできている」と説明してくれます。その中で一番の出来事は「感情ピーク」と呼ばれます。感情ピークを利用して、物語がプレイヤーの中に強い感情を生み出し、物語の中で最も伝えたいことを表します。シナリオを書こうとしているなら、まずはこの「感情ピーク」たるものを決めます。

感情ピークから最初までの逆算方法、ヨコウ氏が2010年にデザインした『NIER』を例として説明しました。(注意:ネタバレあり)

感情ピークを「彼女と死別すること」とします。

「女が死んだ」と同氏がスライドに出しました。「こう離してみると、全然悲しくないでしょう。ギャグに見えるくらいかもしれません」と説明します。「ですが、そこに感情のピークが来ます。なぜなら、そこに理由がある」と。

例えば、「あなたのペットが死んだ」という出来事をみてみます。子供の頃から一緒に過ごしてきたペットです。これはシンプルで悲しいとヨコウ氏が言います。それに比べて「ゲームキャラクターのペットが死んだ」と言われても、悲しい気持ちになりません。過去がないからです。

「そこで、ゲームキャラクターに過去を与えればいいのです。犬と一緒に遊んでいた過去を見せ、自分のペットが死んだような悲しい気持ちにさせます」と説明します。「悲しむ理由を与えることです」

では、先ほどの「女が死ぬ」にはどのような理由を与えれば、悲しい出来事になるのでしょうか。

1. 弱者であること-女が少女であることを追加。
2. ハンディーキャップを与える-彼女は言葉が喋れない。
3. 性格を与える-彼女は優しく、いい人で間違ったことをしていないのに殺される。
4. さらに悲しみを与える-結婚式の最中で殺される。大きな幸せが訪れるはずなのに、それが破壊される。


さらに、この4つの理由に時間感覚を与えます。「冒頭から悲しみを作り上げれば、悲しむための段取りができます。理由があればあるほど、ピークが高まる」と説明されています。また、理由を多く作るもう一つの利点は、すべてのプレイヤーがすべての理由に共感するとは限りません。一つの理由で共感できなくても、別の理由でその共感を得ることができます。

この逆算のストーリー作りはリアルライフから影響されたと説明しています。たとえば、ルールに厳しい友達がいます。どうしてそんなにルールに厳しいのか、きっと理由があったでしょう。後になってから、その友達の親友は昔ルールを無視したことで命を落としたことを知りました。それでやっと、どうして友達がルールに厳しくなったかわかります。

「大体は結論を知って、理由を知って、そして心が動きます」

しかし、物語の中で感動ピークが一つとは限りません。複数のピークと大量の理由が混じって、話が膨大になっていきます。要素が多くなりすぎると混乱を招くので、ここで第2の方法、「フォトシンキング」が活躍します。

「フォトシンキング」とは、「状況をそのまま頭の中で再現すること」だとヨコオ氏は説明します。

彼女の例に戻って、ヨコオ氏がフォトシンキングのプロセスを述べました。

・彼女が死ぬ
・結婚式の最中に殺される
・お腹を突き刺される
・異文化の国から来た
・仮面をつけている


「文章ではよくわからないので、画像で考える。画像で考え始めると、今まで見えていなかったものが見えてくる」

・少女が華奢
・王子の腕の中にいる
・血まみれである


■「見に行く」:フォトシンキングの概念

フォトシンキングは「見に行く」という概念でできており、誰でもできることであるとヨコオ氏が説明します。「考えられないことはない。想像の中で上を見てください。雲があるでしょう?下を見てください。地面があるでしょう?」と問いかけます。想像しに行って、イマジネーションを生かして、生まれてくるものがあります。そして見に行った、想像しに行った風景を脳に焼き付けます。

「見る力」は不思議なもので、人間はどうでもいいことまで覚えてしまいます、と笑いながらヨコオ氏が4年前のGDCのご飯でリンゴがでたことを未だに覚えていると明かしました。「脳内に焼き付けた風景、その世界を旅することができます」

「なので、彼女が殺された後の村が暗いとわかります。なぜなら、私が頭の中に形作られた村に訪れることが出来たからです」とゲームに関連付けました。

■「見過ぎ注意」:フォトシンキングの落とし穴

『NeiR』では、彼女が殺される場は結婚式です。その結婚式は盛大なもので、彼女の死以外のものに集中することで本来のピークを妨害することになります。これは「考えすぎ」の例です。設定を考えすぎると、ピークから感情を奪っていくことになります。「見過ぎは注意です。悲しい理由を支えるもの以外はなるべく見ないようにしないといけません。大事だと決めたら、それを見失わないことです」と同氏が説明しています。

■ヨコオ氏が語る「ゴール」とは

冒頭で、ゲームはただゴールに至るだけの手段に過ぎないと言いました。では、そのゴールとは一体なんなのか、同氏が説明しています。

「一番大事なのがプレイヤーの感動です。ゲームを提供し、プレイヤーが感動します。プレイヤーの脳内に感情を引き起こすのがゴールで、プレイヤーの心の中に何が起きるかが大事なのです」

最近のゲームはほとんど似たようなものばかりで、あまりワクワクやドキドキを与えてくれないと、同氏は話します。今まで作ってきた形のゲーム以外に、きっと可能性があるとのことです。

ゲームは「やってはいけないこと」と「やっていいこと」の二つに分けられますが、その境目にグレーエリアが存在します。ヨコオ氏は、そのグレーエリアにより突っ込んでいきたいと話しました。『NieR』で例えると、ゲームの最後でヒロインを助けるためにセーブデータを捧げなければなりません。物語が、自分がそれまで時間と労力を注いできたセーブデータを奪ってしまいます。

「オプション画面で人の心を動かせるのかなと考えて、感情のピークでオプション画面が消えていくことにしました」と説明します。「ですが、これはゲームでやってはいけないことだと言われました」

やってはいけないことは、プレイヤーやゲーム業界が積んできた暗黙のルールでできています。グレーエリアは、実は見えない壁になっています。ヨコオ氏は、この見えない壁を突破したいと語りました。

「ゲーム業界の経験が長いのに、まだ壁の向こうのものが見えたって気持ちになれない。ゲーム業界さえ変えられなかった。それでもゲームを信じている。壁を壊すことは出来なかったけど、ここにいる若者達なら可能だ。新しい風景を見て、新しい物をデザインできるはず。広大な可能性を持って、壁の向こうの世界をぐちゃぐちゃにして、私を楽しませてください。みなさんに期待しています」
《ハナ》

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