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熱意溢れる現場で作られた劇場版「ペルソナ3」、見どころは友情と主人公の成長 ─ 監督が裏話や制作秘話を語る

2006年にPlayStation2にて発売された『ペルソナ3』は、7年ぶりという時間を感じさせな高い人気と評価を獲得し、後日談が収録された『ペルソナ3フェス』や、女性主人公の追加という大胆な新要素を加えたPSP版のリリースなど、意欲的な展開を見せました。

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2006年にPlayStation2にて発売された『ペルソナ3』は、7年ぶりという時間を感じさせな高い人気と評価を獲得し、後日談が収録された『ペルソナ3フェス』や、女性主人公の追加という大胆な新要素を加えたPSP版のリリースなど、意欲的な展開を見せました。

そして今月11月23日には、『ペルソナ3』を原作とした劇場版アニメとなる「PERSONA3 THE MOVIE #1 Spring of Birth」が公開となりますが、それに先駆ける形で、先日関係者向けの試写会が行われました。ゲームの中で展開されていた物語や戦闘などが、アニメーションという表現を得て生まれ変わった映像体験は、まさに圧巻の一言。視聴した関係者にとって、時間を忘れるひとときとなりました。

その試写会終了後、本作の制作を指揮した秋田谷典昭監督に時間を割いていただき、貴重な生の声を伺うことができたので、こちらで紹介させていただきます。


■試写会終了直後の秋田谷監督に、直撃インタビュー

──試写会が終わってお疲れのところ、申し訳ありません。まずは、試写会を終えたばかりの、率直な心境をお聞かせください。

秋田谷監督:正直、ホッとしています。ですが、多くの方に見てもらう劇場公開はこれからなので、同時に緊張もありますね。

──監督として、本作に関わることになった経緯を教えてください。

秋田谷監督:『ペルソナ』シリーズのアニメ化としては、先にTVアニメ「ペルソナ4」(以下P4A)がありまして。最初は、そちらの監督をされた岸 誠二さんが担当し、自分はサブ的に入るものと思っていたのですが「では今日から君が監督だ」「えっ?」という感じで(笑)驚きと共にバトンを受け継ぎました。が、このシリーズは『女神転生』のころから大好きだったので、念願が叶いました。



──ゲームの主人公という存在を、劇場版の「結城 理(ゆうき まこと)」という一個人として創り上げるに当たり、注意した点や意識した部分などはありますか?

秋田谷監督:ゲームとアニメの違いといえば、ゲームは自分で(主人公に)名前を付け、自分の選択肢がストーリーに関わるという参加型のものですが、アニメはそういうひとりひとりのニーズに応えることはできないという点があり、見せ方の違いは出てくるなと最初から思っていました。なので主人公に関して、ゲームファンにとってのマス的なものを踏まえようと意識しつつも、平均値だけ取っても個性がなくなってしまうので、性格付けには非常に時間をかけました。

──「結城 理(ゆうき まこと)」という名前は、すんなりと決まりましたか?

秋田谷監督:シナリオ決定稿直前まで決まらず、このままだと、仮の名前でつけた「月太郎」のまま収録に入るかもしれないという状況でした(笑)。結局、コンテに入るくらいまでは、「山田月太郎」でしたね。

──「月太郎」!?(笑)

秋田谷監督:(名前が正式に決まるまで)ひとまず仮名をつけていたんです。脚本の熊谷 純さんが、「誰も愛着が湧かないはずの名前をつけよう」と言って山田月太郎になったんですが、4~5ヶ月ほどその名前でシナリオを読んでたら、なんだか愛着が湧いてしまって。「このままでもいいんじゃない?」みたいな気持ちにもなりました。



──劇場で主人公が「月太郎」って呼ばれたら、見ている人はビックリしそうですね。

秋田谷監督:一度、公式Twitterでネタとして、「今は仮の名前「山田月太郎」でやってます」と報告したら、見てくれた方々が結構ノって下さって。

──すると、もしかしたら「月太郎」がそのまま採用されていた可能性も?

秋田谷監督:かもしれませんね(笑)。

──名前ひとつをとっても、今回の主人公に関しては慎重に煮詰められたんですね。では、主人公の造形以外で、本作の制作で気を配った点はどこでしょうか。

秋田谷監督:今回の主人公は(見ていただいたとおり)積極的に行動する人間ではないんですが、ゲーム的には色んな仲間との絆を深めていくため、そのすり合わせが難しくもありましたが、逆に「どういう風に仲間たちと関わるのか」というのが本作の見どころでもありますね。

──制作中に起きた、印象深いエピソードなどがあれば教えてください。

秋田谷監督:今回は、「P4A」から引き続きのスタッフも多かったし、もちろん新規に加わったスタッフもいるんですが、皆さんのテンションが最後の最後になるまで落ちず、非常にいい現場でした。ゲームのイメージを壊したくないから、という想いから、スタッフ側から「こんなのどうですか」や「こういう背景描きました」とか、個人個人がゲームを尊重しつつ、その上でアニメとしてどう表現すればいいのかという自発的な試行錯誤が、強いチームワークの下で行われていたのが印象的でしたね。

──チームワークも優れていたんですね。

秋田谷監督:そうですね、特別課外活動部に負けないくらいに。あ、綺麗にまとまっちゃいました(笑)。



──ちなみにゲームでは約1年を通した物語でしたが、今回の劇場版はサブタイトルにある通り、春までの物語となりました。先がありつつも1本の映画としてまとめるのは、大変だったのではないでしょうか?

秋田谷監督:第1章ということで、大きな流れで言えば起承転結の「起」を担当することになりましたが、元々のゲームがしっかりしていますし、またストーリーの着地点は決まっているので、そこを目指して作ろうと心がけました。

──なるほど。

秋田谷監督:エンディングに向かって、それぞれの監督がバトンを繋いでいくっていうのは、システム的にも面白い試みですよね。

──そんな試みが予定されているんですか!

秋田谷監督:ええ、そうなんです。あとは、シリーズ構成の段階で言うなら、1章の段階で主人公をどこまで成長させようかと打ち合わせて、主人公が「とある変化」を見せられるようになったらいいね、という話になり、それは見て頂いた通りの結果となりました。

──劇場版のラストで描かれた「あのシーン」が、とある変化なんですね。

秋田谷監督:ええ、そうです。主人公の心境の変化を、ぜひ劇場で楽しんでください。



──それは、劇場版ならではの魅力のひとつと言えますね。その他にも、ゲーム版にはない劇場だけの見どころなどはありますか?

秋田谷監督:ゲームとアニメでは楽しませ方がそれぞれ違うので、ゲームでは見られなかった別の選択肢の結果や他のキャラクターの心情などを描ける面もあるのかなと考え、ゲームが取りこぼした部分をうまく拾えればなと。それを見た時に、「ああ、そうだったんだ」と同調してくれる人がひとりでも多くいてくれれば嬉しく思います。

──難しい質問で恐縮なんですが、今回の映画を敢えて一言で表すとなんでしょうか。

秋田谷監督:ベタな言葉になっちゃいますけど、「友情」ですね。


■『ペルソナ』のみならず、『真・女神転生』からのファンである監督


──監督と、家庭用ゲーム『ペルソナ』シリーズとの出会いを教えてください。

秋田谷監督:自分は、スーパーファミコンで『真・女神転生』が出た時からやってた人間で、いかに悪魔と合体させるかというのをずっと楽しんでいました。

──生粋のユーザーですね。

秋田谷監督:『真・女神転生if...』や『ソウルハッカーズ』なども遊んでいたんですが、『ペルソナ3』(以下P3)で、雰囲気が一気に変わりましたよね。最初は斜に構えてたんですが、聞くと評判はいいようなのでやってみたら、どっぷりハマってしまって。『ペルソナ』シリーズの魅力は、『P3』でも変わっていませんでしたね。

──『ペルソナ』シリーズの中で、最も思い入れのある作品はありますか?

秋田谷監督:やはりオリジナル版の『P3』ですね。特にエンディングが綺麗すぎて、まさに「お話」でした。お酒飲みながら一晩くらい語れますよ(笑)

──分かります(笑)。それだけ人を惹きつける『ペルソナ』シリーズの魅力を、監督はどう考えていらっしゃいますか?

秋田谷監督:仲間たちの存在が大きいですね。個性的ですし、成長させる楽しみもありますし、好きなメンバーでパーティが組めるのも嬉しいですよね。もちろん、ペルソナ合体の要素も外せません

──『ペルソナ』シリーズの魅力として挙げられた仲間の存在ですが、好きなキャラは誰ですか?

秋田谷監督:ゆかりがお気に入りです。あんなに可愛いのに、(ユーザーの)みんなにちゃんと愛されていない気がしていて。なので、今回の話が来た時には、絶対ゆかりを救おうと思ってました(笑)。あとはやっぱり、今回の制作でずっと主人公と向き合っていたので、すごく愛着が湧きましたね



──2章以降でも、ゆかりと主人公には活躍して欲しいですね。

秋田谷監督:ええ、ぜひとも(笑)

──ちなみに、お好きなペルソナや悪魔は?

秋田谷監督:「サラスヴァティ」ですね。ゲームでは序盤から、回復役としてお世話になっていました(笑)。

──では逆に、苦手だったり、こいつだけは許せないといったキャラクターはいますか?

秋田谷監督:特にそういうキャラいませんね。敵ではあっても、嫌いにはならせない話の持っていき方を感じます。

──『ペルソナ』シリーズで、お気に入りのシーンといえば?

秋田谷監督:劇場版にもあるシーンですが、やはり『ペルソナ3』の主人公が初召喚する場面は、一番イメージに残っていますね。息を荒げて口元はニヤリと笑ってというあのシーン、今回のキャラクターデザイン・アニメーションディレクターの渡部圭祐さんに直接原画を担当していただいているので、そこも本作の見どころですね



──確かにあのシーンは見応え充分でした。ちなみに、監督がペルソナ能力に目覚めるとしたら、どんな能力が欲しいですか?

秋田谷監督:そうですね、ペルソナとは言えないかもしれませんが、時間を止められたらいいですね。締め切り間際には助かります(笑)。

──それがあれば、更に作品を作れそうですね。もし叶うならば、『3』以外でアニメ化してみたい作品とかありますか?

秋田谷監督:『真・女神転生 STRANGE JOURNEY』をアニメ化してみたいですね。きっと、『P3』の主人公以上に無口でストイックな主人公が世界を救う、みたいな感じになるんじゃないかな。

──スタッフさんや声優さんの中で、『ペルソナ』シリーズを遊んだ方はいましたか?

秋田谷監督:『P4A』から引き継いでいるメンバーに関しては、ほとんどですね。遊ぶだけじゃなくて、何度も同じシーンをチェックしたりと。だから本当に、みんな詳しいですね。


■原作をプレイした方へ、そして遊んでない方にも向けて、監督から


──熱意あるスタッフにより作られた劇場版「ペルソナ3」ですが、原作を遊んだ方と、この映画で初めて『ペルソナ』の世界に触れる方に、それぞれメッセージをどうぞ。

秋田谷監督:まず遊んだ方に向けてですが、ゲームとアニメは表現も異なりますし、「自分が進めた『P3』とは違う」と思う方もいるかもしれませんが、ペルソナ愛に満ちたスタッフによるひとつの流れ、という目で見て頂けると嬉しいです。あと今回は第1章ということで、始まりの話となります。2章以降も段々盛り上がっていって、最後どういう着地になるのか、期待して楽しんでください

秋田谷監督:そして知らない方に向けてですが、本企画は第1章ということもあり、間口は拡げて作ってあります。これを見て興味を持ってもらえたら、ゲームを遊んで予習してもらい、2章以降を楽しんで頂けると嬉しいなと思います。

──監督が受け継がれたバトンが、来場される方々に届く日を楽しみにしています。本日はありがとうございました。



劇場版「PERSONA3 THE MOVIE #1 Spring of Birth」:2013年11月23日公開
配給:アニプレックス
公式Twitterアカウント:@P3movie

劇場版「ペルソナ3」公式サイト
http://www.P3M.jp/

(C)Index Corporation/劇場版「ペルソナ3」製作委員会
《臥待 弦》

楽する為に努力する雑食系ライター 臥待 弦

世間のブームとズレた時間差でファミコンにハマり、主だった家庭用ゲーム機を遊び続けてきたフリーライター。ゲームブックやTRPGなどの沼にもどっぷり浸かった。ゲームのシナリオや漫画原作などの文字書き仕事を経て、今はゲーム記事の執筆に邁進中。「隠れた名作を、隠れていない名作に」が、ゲームライターとしての目標。隙あらば、あまり知られていない作品にスポットを当てたがる。仕事は幅広く募集中。

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