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【GDC Next 2013】アクセスゲームズが開発するXbox One向け『D4』をSWERY氏が語る・・・新型キネクトとの格闘

大阪のアクセスゲームズがXbox One向けに開発している『D4』は新型キネクトを使った、ミステリーアドベンチャーゲームです。

マイクロソフト Xbox One
Xbox Oneで発売予定のD4
  • Xbox Oneで発売予定のD4
  • SWERY氏
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  • SWERY氏が実演
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大阪のアクセスゲームズがXbox One向けに開発している『D4』は新型キネクトを使った、ミステリーアドベンチャーゲームです。開発にはXbox One向けにカスタムされたUnreal Engine 3が採用されています。「GDC Next 10」の一つとして同社で本作のディレクターを務めるHidetaka 'SWERY' Suehiro氏が本作の開発について語りました。同氏は『レッドシーズプロファイル』で米国でも知名度が高く、セッションには多くの聴衆が集まりました。



まずSWERY氏はゲームプレイの録画映像を見せながらゲームを解説。ストーリーは、過去の世界に行くことのできる主人公が、自分の奥さんが死んだ謎を調べていくというもの。様々な場所を探索し、色々な人物と会話をしながらミステリーを解いていきます。操作はキネクトのジェスチャーのみで完結し、かつ片手でソファーに座った状態で出来るように設計されています。

全身を使ったアクションではありませんが、まるで主人公として実際に行動しているような感覚を得られるものになっているといいます。手を握ってオブジェクトを選択、選択すると複数のコマンドが表示されるのでスワイプで決定します。視線のコントロールは画面の端に手を持っていき、スワイプ。手をかざしてアイテムを取り、押し出すようにしてキャラクターに触れ、謎を解いていきます。ヒントシステムも充実し、プレイヤーの混乱を防ぐようになっています。

会話はユーモアがあり、会場でも笑いが起きていました。主人公は過去の世界を旅することから、人間関係を無視したような態度を取ることができ、ちょっと失礼なキャラクター設定になっているとのこと。会話では"主人公が言いそうな"選択肢を選ぶことでシンクロ率というパラメーターが上がりますが、気にせず会話を楽しむこともできるということです。

バトルのようなアクションになる場合もあります。アクションシーンでは、画面に指示されるジェスチャーを反応よく行っていくことで進行します。タイミングを合わせるのに失敗しても再チャレンジとはならず、失敗したという前提で物語が進んでいくのでアクションが苦手でも心配することはありません(失敗しても楽しいストーリーが楽しめる、とのこと)。アクションはかなりダイナミックで迫力あるもので、SWERY氏は「子供の頃からジャッキーチェンの映画は全部見てきた」と話していました。絵として映えるアクションを目指しているとのこと。

講演の後半でSWERY氏は今のゲームデザインに落ち着くまでの試行錯誤について話しました。実は企画の当初はXbox360のキネクトを使ったゲームだったそうです。ここからも既にかなりの開発期間を経ていることが分かります。

躓きとしては「キネクトを活かそう」という気持ちが強かったということが挙げられていました。最初のバージョンでは、全身を使ったアクションで、移動するのも実際に歩くような動作を求めていたそうです。しかし「それだけで疲れてしまい探索どころではなかった」そうです。

続いては座ったまま動けるようにして、手を前に出すとキャラクターが進み、左右に振るとカメラが動くような設計となりました。しかしこの場合、「物を触る動きと移動が同じになり、ゲームデザインが成り立たなかった」とのこと。この期、両手を使って、片手で動き、片手で掴む、という設計にもチャレンジしましたが、「それぞれの手を別々に動かすのは難しすぎた」とか。かなり混乱してしまいそうです。

このような試行錯誤を経て、最終的には片手だけで遊べる今のような操作に落ち着いたそうです。

また、探索にも苦労があったそうです。当初は何かの動作をする際には、その動きをキネクトでさせたいと考えました。例えば、電話をかける場合は実際に受話器を取るような動作をしてもらう、というようなことです。しかし行動に対するイメージは人それぞれ、という問題点があったそうです。電話をかける時にどんなジェスチャーをすれば良いのか、受話器を取るのか、ボタンを押すのか、電話に手を伸ばすのか、人によってイメージはまちまちで混乱を招きかねません。

アクションも同様です。例えば敵からの攻撃を避けるという動作を考えると、身を引いて避けるのか、左右に動いて避けるのか、ジャンプして避けるのか、人によって異なります。もしプレイヤーが考えた方法で避けたにも関わらず、避けていないと判定されるようなことがあるとストレスになってしまいます。

こうした事を避けるために本作ではジェスチャーによるコマンド入力を最終的には採用しました。電話を掴んだ際には複数の選択肢が現れ、手の動きでいずれかを選択します。アクションでは指示された方向に手を動かすことでシーンが進んでいきます。

シンプルに落としこむという決断は開発が始まってから1年ほど経ったタイミングで行われたそうです。SWERY氏は「感情移入と感覚再現というゴールには、必ずしも現実的な動きをジェスチャーでする必要は無かったのです」と話します。考えてみれば人間の動きのシンボル化はビデオゲームの根幹的な要素です。FPSの銃を撃つトリガー、格闘ゲームのコマンド入力、スポーツゲームの連打、どれも現実の動作とは異なりますが根付いたものです。

最後にSWERY氏は次のように講演を締め括りました。

「キネクトのような新しいデバイスはゲームデザイナーにとっては幸せでハッピーなものです。しかしこうしたデバイスを見たとき、ゲームデザイナーはしばしば"デバイスに適したゲームデザインとは何か"という思考に陥ってしまいます。しかし、もっとシンプルに考えて、作りたいゲームのコンセプトは何だったのかということに立ち戻るべきです。デバイスに合わせてゲームデザインを考えるのではなく、ゲームデザインにマッチするデバイスの使い方を考えるのが"ゲームデザイン"なのではないでしょうか」
《土本学》
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