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【京まふ2013】角川書店・井上社長による「マンガ・アニメがもたらす地域活性化」聖地巡礼成功の鍵とは

【京まふ2013】角川書店・井上社長による「マンガ・アニメがもたらす地域活性化」聖地巡礼成功の鍵とは

2013年9月6日(金) 21時57分
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9月6日、京都市・みやこめっせにて「京都国際マンガ・アニメフェア2013(京まふ2013)」のプレオープンとして事業者向けセミナーが開催されました。

「京都国際マンガ・アニメフェア」は昨年初開催で、23,800人(3日間)の来場者を集めた西日本最大規模のマンガ・アニメの総合見本市です。今年も9月7日(土)~8日(日)にみやこめっせ(京都市勧業館)にて開催されることが決定しています。

その開催に先駆けて6日、プレオープンとしてマンガ・アニメ業界の著名人による事業者向けビジネスセミナーが開催されました。開始時から既に満席状態で会場は多くの事業者で賑わいました。

2コマ目のセミナーには株式会社KADOKAWA代表取締役専務兼株式会社角川書店代表取締役社長の井上伸一郎氏が登壇。井上氏は87年4月にザテレビジョン入社。アニメ雑誌「月刊二ュータイプ」の創刊に副編集長として参加。以後、女性情報誌「Chou Chou」漫画雑誌「月刊少年エース」等の創刊編集長などを歴任され、07年1月には角川書店代表取締役社長に就任。13年4月、角川グループホールディングス(現KADOKAWA)代表取締役専務に就任し、現在に至ります。

井上氏は「京都から世界へ! マンガ・アニメがもたらす地域活性化」と、マンガやアニメが地域活性化の一役を担った成功例やその経済波及効果を「聖地巡礼」現象を中心に検証されました。

まずはじめに、井上氏はアニメ・マンガファンによる「聖地巡礼」を紹介。聖地巡礼とは、マンガやアニメの舞台のモデルとなった地域を実際に訪れる行為のことで、00年代からインターネット上で盛り上がりを見せたファン活動でした。聖地巡礼による経済効果は100億円規模に上るとされ、現在では一大観光業となっています。しかし、聖地巡礼は今に始まったことではなく「となりのトトロ」ではサツキとメイの家のモデルとなった愛知県に、「北の国から」では北海道の富良野にファンが訪れるといったようなことは過去にもあり、ドラマ・バラエティのロケ地旅行の規模は約700億円とも言われています。

続いて、昨年4月から9月にかけて放送されたテレビアニメ「氷菓」を例に事例を紹介。この「氷菓」では作中で明示はされていないものの、原作者の出身地である飛騨高山が劇中のモデルに選ばれ、京都アニメーションによる緻密な画作りにより、現地の風景が見事に再現されていました。これについて、井上氏は「実写と見紛うばかり」と絶賛、再現性が重要であることが語られました。また、「氷菓」のキャクターが使用された観光協会のポスターや商工観光部のマップなども紹介され、現地の「氷菓」による経済波及効果は21億円にのぼったとのことでした。

その他、聖地巡礼の大きな成功例の1つとして、同じく京都アニメーション制作の「らき☆すた」が例に挙げられました。らき☆すたは劇中にモデルとして「鷲宮神社」が描かれており07年の放送前の参拝客が7万人規模だったのに対して、放送後は年々参拝客が増加し50万人に達したことが紹介されました。また、このらき☆すたの聖地巡礼は、ブームが過ぎても参拝客が減少すること無く定着していることも挙げられ、長期的なビジネスモデルについての例ともされました。これには現地の商工会議所などの積極的な協力が大きな成功につながったと井上氏は語り、「地元の人の理解」が重要であるとされました。

また、細田守監督の「おおかみこどもの雨と雪」の舞台となった富山県の例も紹介されました。ここでは、劇中の古民家をイメージした公営住宅の整備が勧められていることが挙げられ、アニメ作品が観光にとどまらず、定住の促進に繋がっているというモデルが語られました。

開催地「京都」に関しては、アニメ企画も進行中の漫画「いなり、こんこん、恋いろは。」が例に挙げられました。この漫画では京都の伏見稲荷大社が舞台となっており、作中でも実際の風景が忠実に再現されており、500箇所のロケハンが実際に行われたといいます。この中には、「食堂」や「児童公園」「JR伏見稲荷駅の改札」など、観光地とは少し離れた場所が含まれていますが、こういった「観光地ではない場所」こそが成功の鍵であるとされています。このような街中にある極々普通の場所に「アニメのドラマが繰り広げられた土地である」という付加価値が加わることによりファンにとっては大きな意味をもつものとなるとされ、井上氏は「本当の意味での聖地は、このような何でもないところにある」と語られました。また、日常風景にファンが意味を見出すことを現地がいかに理解しているか、受け入れるかも重要であるとされました。従来の「ここではない、どこか」の物語ではなく、「いま、ここ」を読みかえるための聖地巡礼であるとされ、「日常」と「非日常」の混在がキーであるとされています。

また、地域活性化のファクターとして「継続的な燃料」と「参加して自分がつくり上げること」が挙げられました。「燃料」とは話題のことで、継続的に話題をファンに提供していくことで盛り上がりが拡大することを指摘。また「初音ミク」の例を上げ、ファンが自ら参加してコンテンツを「自分の作品」にしていく動きの大切さが解説されました。

井上氏は、今後のコンテンツはピクシブやニコニコ動画などのインターネット上のサービスに「作品単位」や「ジャンル単位」「閲覧方法単位」など様々な単位で存在するとし、いかにそのコンテンツに対してファンを「参加させるか」が重要であると語られました。昔であれば「同人誌」が主な手段であったとされていますが、現在ではインターネットを使うことによって様々な形で参加することが可能になっていると言います。この様に、ファンと制作側との距離が縮まった「拡張現実」としての作品のあり方がこれからの時代には重要であると締めくくられました。

質疑応答では、地元京都の舞鶴市の企業から、角川グループが展開するブラウザゲーム「艦隊これくしょん」に対する問い合わせなどもあり、事業者の関心の高さが伺えるセミナーとなっていました。

(Article written by ひびき)

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