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【ファミコン生誕30周年企画】元祖『第2次スーパーロボット大戦』に見るスパロボと自分の歴史

本日7月15日は、1983年のファミコン発売からちょうど30年の節目を迎えるファミコン生誕30周年記念日。インサイドとGame*Sparkでは今日一日【ファミコン生誕30周年企画】として、編集者やライター陣によるファミコン総力特集をお送りしています。

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第2次スーパーロボット大戦
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本日7月15日は、1983年のファミコン発売からちょうど30年の節目を迎えるファミコン生誕30周年記念日。インサイドとGame*Sparkでは今日一日【ファミコン生誕30周年企画】として、編集者やライター陣によるファミコン総力特集をお送りしています。

こんにちは、平素はインサイドにて「日々気まぐレポ」を隔週で連載させて頂いていますひびきと申します。初めましての方は初めまして、名前だけでも覚えていってもらえると嬉しいです。ライダーでもプリキュアでもなければ、デビルサバイバーでもシンフォギア装者でもない、ただのライターのひびきです。今回は普段とは違って、【ファミコン生誕30周年企画】とのことで気を引き締めて、さりとていつも通り、お送り出来ればと思っていますので、何卒よろしくお願いします。

さて、ファミコンのアニバーサリー企画ということで思い出のファミコンソフトを1つ、選んでみたいと思います。みなさんなら何にします?筆者が選ぶファミコンソフト……といえば。日々気まぐレポの連載を読んでくださっている皆さんなら何となく、薄々感づいていらっしゃる方もいらっしゃるかもしれませんが。はい、『第2次スーパーロボット大戦』を置いて他にはありません。こちら、『第2次スーパーロボット大戦』はバンプレストから1991年に発売されたシミュレーションロールプレイングゲームです。20年以上経過した2013年現在もリリースされ続けている「スパロボ」シリーズの記念すべき2作目として登場しました。

2作目とはいえ、この『第2次スーパーロボット大戦』はシリーズを語る上で最も重要な作品の一つと言えます。その際たる理由に、我々が慣れ親しんでいる「スパロボ」の直接の原型とも言えるその仕様にあります。

シリーズ第1作目となるゲームボーイソフト『スーパーロボット大戦』は、システムこそ現代のスパロボとそれほど差異のないSRPGの形をとってはいるのですが「キャラクターの扱い方」が現代のそれとは大きく異なっているのです。第1作では参戦作品であった「ガンダム」や「マジンガーZ」「ゲッターロボ」が、ロボットや兵器といった「乗り物」ではなく、意思を持ったひとつの「キャラクター」として描かれていました。今でこそ違和感を覚える「ロボットの擬人化」というこの設定ですが、当時としてはガンダム達自身が喋って戦って、という設定の作品はさして珍しくありませんでした。これは、初代『スーパーロボット大戦』の成り立ちが「コンパチヒーローシリーズ」からの派生作品である、ということに見ることができます。コンパチヒーローシリーズは、ロボットアニメと特撮ヒーローを組み合わせたクロスオーバーシリーズです。「設定サイズが違いすぎる」「そもそもアニメ作品と実写作品」といったクロスオーバーさせる上での障害を「SDキャラクター」で表現する、という手法を以て強引に、もとい違和感なく取っ払っているのです。SD化されるにあたって所謂「中の人」という概念が取っ払われました。これにより、変身ヒーローもロボットのパイロットも必要なくなり「外の人」が1個のキャラクターとして制約なくのびのび活躍できるようになったのです。SD化の恩恵によって、全長18mのガンダムと身長2m程度の仮面ライダーが同じ画面で活躍したり、ウルトラマンが3分で帰る必要もなくなり、様々なクロスオーバーが生まれました。

ところが、この余りにもカオスなクロスオーバーには欠点もありました。それは「原作の設定があまりにも無視されすぎている」ことです。これについては、初代『スーパーロボット大戦』は参戦作品がロボットアニメのみで固められているという点において1つの纏まりを見ました。そして、それを更に発展・進化させたのがファミコンソフト『第2次スーパーロボット大戦』だったのです。『第2次』と銘打ってはいますが直接初代『スーパーロボット大戦』との関わりはなく、現在ではその後展開された「DC戦争シリーズ」の第1作目として位置づけられている作品です。この『第2次スーパーロボット大戦』が初代『スーパーロボット大戦』と大きく異る点。それは「パイロットシステム」の導入にありました。それまでコンパチヒーローシリーズでは敢えて1つにされていた「乗り物」と「それを操縦する人間」が再び明確に別けられたのです。これにより、物語の主体がロボットから人間へとシフトしました。参戦作品達の原作でも展開された「人間達のドラマ」をゲーム上で再現できる舞台が整ったのです。そしてこれは原作再現だけに留まりませんでした。シリーズ最大の売りであった「クロスオーバー」を物語に絡めることができるようになったのです。

「スパロボ」で展開される様々な作品をごちゃ混ぜにした物語。これは言わば「二次創作」のストーリーです。なのですが、版元の許可を得たオフィシャルな「二次創作」です。しかも、原作を知り尽くした「よくわかっているファン」が創った贅沢なストーリーがそこにはありました。『第2次スーパーロボット大戦』で特筆すべき2つ目の点がこれです。当時、版権モノのゲームの中には、言い方は悪いのですが「キャラクターを借りてきているだけ」といった体のゲームも少なからず存在しました。そんな中でこの『第2次スーパーロボット大戦』は、原作を最大限に生かした上、更に他作品と絡められることでより高度なシナリオが練られているという一際珍しいゲームでもありました。今でこそ珍しくなくなったクロスオーバー作品の基本は既にこの時には確立していたのです。

……さて、ノリノリで語っていた所ではありますが、ぶっちゃけておきたいことが1つ。実は筆者ファミコン世代ではありません。なんならスーファミ世代でもありません。我が家が初めて購入したゲームハードは、そう、ニンテンドー64でした。64世代です、サンディーです。ここにきて今回の「ファミコン生誕30周年企画」を根底からひっくり返す発言、どうかお許し下さい。あぁ、わかります。お前は何を実際に見てきたことのように語っていたのか、と。聞きかじりの知識で、と。お怒りはごもっともです。が、しかし。しかしです。筆者とてファンの端くれ。当然過去作が気になり遡りプレイすることだってあるのです。まずは「スパロボ」との出会いから振り返らねばなりますまい。

筆者がまず一番初めに出会い、プレイした「スパロボ」はゲームボーイアドバンスソフト『スーパーロボット大戦ORIGINAL GENERATION2』でした。そうです、いきなり「OG」。しかも「2」。今考えると出会いの形が相当捻くれています。きっかけは些細なもので、ゲーム雑誌で目にした「フェアリオンS」なる機体に衝撃を受けたのです。なんだこのカッコ可愛いロボットは、と。格好良いだけがロボットだと思っていた自分には衝撃でした。ラトとの出会いがこんなところにあったとは。感慨深い。

……と、それはさておき。当時の筆者はあまりアニメを見る方ではなく、ロボット物にも詳しくありませんでした。「ロボット」と言えば子供の頃にビデオで見た「勇者シリーズ」という強いイメージが根底にあり「喋らないロボットはダサい」「合体しないロボットは格好悪い」という考えを持っていました。当然「ガンダム」シリーズにも苦手意識がありました。なんせガンダムには鼻も口もありません。何より機体の線が細っこく弱そうです。そのころの筆者は、ロボットは兵器ではなく、世界を守る相棒であり友達であるべしと強く信じていたのです。そんな考えを持っていた筆者がそれまで「ガンダム」が登場する「スパロボ」に興味がなかったのも至極当然のことでした。

そんな筆者が何気ないきっかけでプレイした『OG2』は新鮮な驚きと発見の連続でした。大人がロボットに乗っている。人間同士の戦争にロボットが用いられている。純然たるリアルな兵器として描かれているロボットがそこにはあったのです。

が、しかし。それだけではなかった。ロボットが地球を侵略する異星人を撃退する、謎の怪獣と相対する、合体して強くなる、少年少女が成長する、というような、それまで筆者がロボットものに抱いていたイメージ通りの展開もきちんと『OG2』用意されていました。今思えばこれらの塩梅が絶妙でした。「スーパーロボットアニメ」と「リアルロボットアニメ」両方の美味しいエッセンスを抽出凝縮した「OG」シリーズならではの渾然一体とした世界観。これこそが、筆者のリアルロボットアレルギーを取っ払い、後に目も当てられないロボットオタクへとその姿を変貌させる要因となった最大のファクターだったのです。

『OG2』を初めてクリアした時のことは今でも鮮明に覚えています。あれは春先の土曜日の夕方のことでした。エンドロールを見て涙を流したのはいつ以来の事だったでしょうか。もちろん、それでは飽きたらずその後何度も何度も周回プレイを重ねました。それから数ヶ月は毎日狂ったように『OG2』だけをやり続けたのです。

そして、ストーリーやセリフを覚えだした頃。一つの疑問と興味が筆者に芽生えました。彼らが言っている「L5戦役」や「DC戦争」とは何なのか、と。もちろん、文脈からこのゲームの本編開始自然に起こった騒乱であろうことは読み取れます。ならば。やるしかあるまい、前作を。『スーパーロボット大戦 ORIGINAL GENERATION』を。という考えに至るのにそう時間はかかりませんでした。この時こそ、遙かなる「スパロボ」過去作探訪への戦いの日々が開幕した瞬間でした。

一通り初代『OG』をやり終えた頃には数年が経過していました。本当にその間は『OG』と『OG2』を何度も何度も繰り返し遊んでいました。後者の周回プレイ数は恐らく3桁に届く勢いでしょう。いや、言い過ぎました。でも50回はいってそうな気がするな、うん。その頃になると「どうやら彼ら登場人物には原作があるらしい」さらには「ストーリーにも元になったネタが有るらしいではないか」ということに強く興味を覚えるようになっていました。

初代『OG』のストーリーは大きく分けて前半と後半の2部で構成されています。後に語られることになる「DC戦争」と「L5戦役」です。この前半部分となる「DC戦争」編、とくにリュウセイルートのストーリーは『スーパーロボット大戦α』のドラマCDに収録されていた内容が元になっています。さらに言えば、このストーリーは『第2次スーパーロボット大戦』から連なる初代スパロボシリーズであるところの「DC戦争」シリーズにルーツを見ることができす。各作品によって詳細は異なるのですが、共通しているのは以下の3つの点に挙げられます。1つは異星人の地球侵略を予言したビアン・ゾルダーク博士の存在、2つは軍事結社ディバイン・クルセイダーズの蜂起、そして3つ目はマサキ・アンドーとシュウ・シラカワの因縁です。

1つ目2つ目については、作品によっては描かれ方が変わることがあります。が、大筋としてのディバイン・クルセイダーズ蜂起によるDC戦争の意義が「来るべき異星人侵攻に向けて地球圏が一丸となるための武力統一」と「自らを倒し、異星人に対抗し得るための剣となる者を見出すための試練」という相反する要素のを兼ね備えている、という点が共通していると見ることができます。

3つ目は2013年現在においても現在進行形です。なにせ、今年8月22日はマサキやシュウたちのホームグラウンドたる「魔装機神」シリーズの最新作『スーパーロボット大戦OGサーガ 魔装機神III PRIDE OF JUSTICE』が発売されます。1991年発売の『第2次スーパーロボット大戦』に始まった因縁がここまで引っ張られることになるとは誰が予想したことでしょうか。

20年以上前に発売されたファミコンソフトで活躍したキャラクター達。彼らのその後の物語が、最新ハードに舞台を移した現代でも描き続けられているというシリーズの壮大さ。そんな作品に、こんな新参者が出会えたことを、スパロボシリーズを支えてきたファンやスタッフの方々に感謝するばかりであります。「20年続ければ文化になる」と誰かが言いました。次の世代の20年が歴史になった時を筆者は心待ちにしています。その時は、古参ぶって、今日のことを振り返ってやるんです。

(C)創通エージェンシー・サンライズ
(C)ダイナミック企画
(C)BANPRESTO 1991


■筆者紹介:ひびき
ゲームやアニメが大好きな駆け出しライター。
初めてクリアした版権スパロボは『R』。
初めて選んだ主人公はラウル。
好きなBGMはフィオナのテーマ。
好きなエクサランスはガンナー。
「OG」での出番はプライスレス。

Twitter:@hibiki_magurepo
《ひびき》

バーチャル関西の何でも屋さんです ひびき

2012年からインサイドにてゲームライターとして活動して、はや十数年。ちょっと古参気取りの何でも屋。Game*Sparkやアニメ!アニメ!にもたまに顔が出ます。ゲーム・アニメ以外では、ホビーやガジェット、バーチャルYouTuber業界が専門。お仕事お待ちしております。

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