2013年は、公式発表されているだけでも、WIT STUDIOの和田丈嗣社長、ピーエーワークス菊池宣広専務、ウルトラスーパーピクチャーズ/サンジゲン松浦裕暁社長、トリガー大塚雅彦社長、アニプレックス夏目公一郎社長、A-1 Pictures植田益朗社長、ニトロプラス小坂崇気社長、日本一ソフトウェア新川宗平社長、シャフト久保田光俊社長と企業経営者だけでも、かなりの数になる。
そのひとりが、プロダクションI.Gの石川光久社長である。石川氏は、7月5日、アニメエキスポ会場内にて、現地メディア向けの記者会見を行いプロダクションI.Gの現在や米国についての感想を語った。
会見では最新作『攻殻機動隊ARISE』に質問が多く集まった。とりわけテクノロジーと結びついた質問が多かったのは、シリーズがいまでも最新技術と結びつけられてみられることを示しており、興味深い。石川氏は、「犯罪はコンピューターに移ることでどんどん目に見えなくなっている。しかも、世界レベルで広がっている」、「ビジュアルで描くのが難しいが、それをどう描くかだ」と話した。
また、今回のキャラクターデザインについては、総監督である黄瀬和哉氏の存在が大きかったと説明した。総監督が一番こだわった部分なのだという。
アニメにおける目標を聞かれると、「アニメが大人でも楽しめるものにすること。映像表現のひとつなのだから」と答えた。
アニメエキスポ2013の感想は、「世界中に日本のアニメのファンがいる」、「コスプレは世界共通だ」と話す。実は石川氏が前回アニメエキスポに来たのは15年前だという。その時と比べて今回は「お客さんがとて若返っていた。昔はおじさんばかりだった」と驚いた様子だ。国際ビジネスの経験豊かな石川氏にも、アニメエキスポは新たな発見がある場だったようだ。
石川氏にとっては、15年ぶりというアニメエキスポだが、実際にはプロダクション I.Gとアニメエキスポのつながりは深い。現地法人Production I.G.,LLCがあることもあり、アニメエキスポに欠かさず参加する数少ない日本のアニメ会社である。
本来、海外におけるアニメの宣伝は、海外のアニメ流通会社や日本の海外ライセンス担当企業の仕事だ。製作に出資をするとはいえ、制作スタジオは本来関わりが少ない。ここにはプロダクション I.Gが自身で海外に作品を広げたいとする強い想いが窺われる。
そして、15年ぶりに訪れたアニメエキスポは、石川氏にとって頼もしく映ったに違いない。『攻殻機動隊ARISE』に加え、現地ではグループ会社WIT STUDIOによる『進撃の巨人』の人気が驀進中だ。
クラウドファンディングで話題を呼んだ『キックハート』、記者会見で「シリーズは日本で思われているより人気がある」と記者から発言のあった『宇宙戦艦ヤマト2199』など話題作が目白押しである。
「アニメを通じて創造力のある子どもたちが生まれたら。科学の進歩は創造力があってのものだから」と語る石川氏の挑戦はまだまだ続きそうだ。
[数土直志]
プロダクション I.G 石川光久社長のみたアニメエキスポ15年
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